【絶対俺だけ王様ゲーム】美少女幼馴染3人と男オレ1人で始まったゲームが何かおかしい。どんどんNGがなくなっていく彼女達に迫られてます

かくろう

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年末イベント その1 杏奈宅の大掃除

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 冬休みの午前。冷たい風が頬を撫でる中、俺は杏奈の家の玄関前に立っていた。
「今日は大掃除。手伝わせてもらいます」なんて殊勝なことを言ったつもりなんだが、扉を開けた瞬間に返ってきたのは予想通りの光景だった。

「れー君っ、おっそーい!」
 玄関先で仁王立ちしてる杏奈。すでにエプロン姿で気合満々。手にはモップを構えて、まるで剣道部か何かの稽古を始める前みたいなテンションだ。

「まだ集合時間の五分前なんだけど……」
「こういうのは“早く来た人が勝ち”なんだよ♡」
 勝ち負けじゃなくて掃除だろ、と突っ込む暇もなく、後ろからもう一人。

「れー君いらっしゃい♡ 今日はバケツと雑巾、持ちやすいように用意してあるからね~」
 明るい声。杏奈そっくりだけど、さらに奔放さを増した雰囲気の女性――仙奈さん。やっぱりこの人が出てくると場が一気にドタバタになる。

「ママ! 余計なこと言わなくていいの!」
「え~? 大掃除ってイベントだよ? 盛り上げていかないと~♪」
 娘と母親のやり取りがそっくりで、俺は思わず笑ってしまう。

「じゃあ、俺はどこをやればいいですか?」
「窓ガラス! 外側は冷たいから気をつけてね」
 杏奈は指揮官みたいにビシッと指示を出す。
「で、私はカーテン。ママは廊下の床磨きお願い」
「はいは~い♡ ……あ、れー君、一緒にやる?」
「やめて!」杏奈が即座に制止。
「れー君は私と! ママは自分でやってて!」

 母娘でモップと雑巾を取り合いながら言い合う様子、正直漫才にしか見えない。俺はとりあえず窓拭きに専念することにした。

 外は冷たい風。指先が少し悴むけど、内側から聞こえる二人のやり取りが賑やかすぎて寒さを忘れる。
「ママ~! そこ違うでしょ!」
「え~? ほら見て、ぴっかぴかだよ♡」
「雑っ!」
「雑じゃないよ、愛情だよ~♡」
 愛情で床が磨けるなら苦労しないと思うけどな……。

 しばらくしてリビングに戻ると、杏奈が腰に手を当てて胸を張っていた。
「見て見て、れー君。カーテンの洗濯、完璧!」
 光を透かしてふわっと揺れるカーテン。確かに清々しい。
「……すげぇな。ほんとに部屋が明るくなった」
 そう言うと杏奈は得意げに「でしょ♡」と笑う。その横で仙奈さんも同じ顔で「でしょ♡」。親子そろって同じ仕草、笑うしかなかった。

 窓も床も磨き終わり、部屋が一気に明るくなった。息を吐くと、ちょっと汗ばんだシャツが冷えて心地いい。
 杏奈は腰に手を当てて「ふぅ~」と大きく伸びをした。エプロンの裾がふわっと揺れて、なんだか妙に絵になる。

「れー君、お疲れ♡ ほら、雑巾の跡見て。ピッカピカでしょ?」
「お前がリーダーだと本当に体育会系になるな……」
「だって大掃除は部活みたいなもんでしょ!」

 横で仙奈さんがケラケラ笑ってる。
「杏奈ちゃん、昔から“お祭り担当”だったからね~。小学校のときも大掃除なのに『勝負よ!』って言って、机運びで男子に相撲挑んでたんだよ~」

 そのエピソードは知らないな。同じクラスじゃない時期もあったし、その時だろうか。

「やめてよママ! そういう昔話は封印してってば!」

 耳まで赤くして抗議する杏奈。……正直、想像できるから余計に笑える。


 ひと段落ついたところで、テーブルの上に仙奈さんがちゃちゃっと並べた昼食。
 おにぎりに卵焼き、唐揚げに野菜スープ。いかにも「掃除の合間」って感じの家庭の味。

「はい、れー君は唐揚げ追加ね。たくさん食べてくれないと掃除のご褒美にならないでしょ?」
「ありがとうございます……でも、なんか俺ばっかり優遇されてません?」
「優遇っていうか、期待値が違うんだよ♡」杏奈が得意げに答える。
「そうそう。だって杏奈ちゃん、れー君が来るって聞いたら張り切っちゃって~」と仙奈さんが追撃。

「ママあああ~~っ!」
 杏奈が顔真っ赤にして唐揚げで口を塞ごうとしてくる。俺は慌ててかわしながら笑うしかなかった。

 食後、スープでひと息ついていると、窓際から冬の陽が差し込んでくる。
 杏奈は畳にごろりと寝転んで、汗を拭きながら「れー君、掃除も悪くないね」なんて呟いた。
「普段はサボってるくせに」
「だって今日はれー君がいるから頑張れるんだよ♡」
 その素直な一言に、仙奈さんが「やっぱりね~」と頷いて笑う。

「……なんか、ほんとに家族みたいですね」
 俺がぽつりと口にした言葉に、杏奈は「えへへ♡」と嬉しそうに笑い、仙奈さんも「そりゃそうでしょ~」と返す。
「うちにとっては、もうれー君が居て当たり前なんだから」

 その空気がやけに温かくて、窓からの冬の光までやわらかく見えた。


◇◇◇


次の日

 エレベーターを降りて一歩足を踏み入れただけで、いつものことながら空気が違う。
 大理石の床にふかふかのカーペット、そして視界いっぱいに広がるガラス張りの窓。その向こうには街全体を見下ろす景色――昼間なのに、まるで模型を覗き込んでいるような非日常感だ。

「れーじくん、いらっしゃ~い♡」
 ふわりが両手を広げて笑顔で出迎えてくれる。その仕草は昔から変わらないのに、この空間でされると妙に“お嬢様のお出迎え”っぽさが出る。

「……いや、何度来ても思うけどさ。ふわりんちってやっぱすごすぎない?」
「えへへ~♡ でもね、高いとこって掃除がほんと大変なんだよ~」

 確かに。天井まで届くガラス窓は、見上げると空がそのまま切り取られたみたいに青い。けど、その分拭き掃除なんかは普通の家の何倍も骨が折れるに決まってる。
 ここに来るのはもう何度目だろう。皆でゲームしたり、テスト勉強したり、泊まり会をしたり。だいぶ慣れたはずなのに、部屋に入るたびに「広っ!」と心の中で叫んでしまう。

 リビングに足を踏み入れれば、いつもの革張りソファと特注サイズのローテーブルが待っていて、そこに俺たちの“日常”があっさり持ち込まれる。
 結局、豪華すぎる空間も三人がわちゃわちゃしてるだけで一瞬で“俺たちの遊び場”に変わるんだ。

 さて、今回も張り切ってお手伝いするか。
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