【絶対俺だけ王様ゲーム】美少女幼馴染3人と男オレ1人で始まったゲームが何かおかしい。どんどんNGがなくなっていく彼女達に迫られてます

かくろう

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25回目 その2

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 新年の空気は冷たいけれど、広場に集まった人の賑わいと甘酒の香りが混じって、どこかほんわかしている。神社から少し離れた境内横のスペースで、羽根つきの板が配られていた。

「れー君! 今年最初の勝負、羽根つきで決めよっか♡」
 杏奈が、羽子板を軽く振ってひらりと笑う。振袖姿の袖がひらめいて、その勢いで彼女の髪飾りの水色リボンが揺れる。

 ああ……。ただでさえ正月の振袖姿で目が眩んでるのに、さらに羽子板だなんて反則だろ。しかも人前で堂々と「今年最初の勝負」とか言い出すし。周りの人たちも「あらあら若い子たち可愛いわね」みたいに笑って見てるのが余計に恥ずかしい。

「いくよ、れー君っ!」
 杏奈の打った羽根がふわっと青空に舞い上がる。俺は慌てて打ち返すが、風に流されて……ギリギリセーフ。

「おお、やるじゃん♡ でも次は負けないからね~!」
 杏奈がにやっと笑って、思いきり振袖の袖を翻しながらスイング。振袖+羽子板のダイナミックモーションは見惚れるしかない。いや、でもちゃんと返さないと。

 バシッ、と俺も必死に羽子板を振って打ち返す。だけど勢い余って杏奈の目の前に飛ばしてしまった。

「きゃっ!」
 羽根が杏奈の前髪にちょこんと引っかかる。……完全に狙ったみたいになってしまった。

「れー君……♡ わざと?」
「いや、違うって! 風だ、風!」
「ふふふ♡ でも“今年最初におでこ狙われた”って、ちょっと特別かも♡」

 杏奈は羽根を取って、俺の胸元に軽く押しつける。近い。近すぎる。甘いシャンプーの匂いが振袖の生地に染み込んで、正月の冷気が一瞬で溶けてしまう。

「じゃあさ――勝った方が、負けた方に“お正月のお願い”できるってルールにしよ♡」
「……出たよ杏奈ルール」
「いいでしょ? 新年一発目なんだから、王様ゲーム的に盛り上げないと♡」

 結局、俺は振り回されるように最後のラリーに挑む。観客がちょっと出来てて緊張する中、羽根を打ち合って――最後、俺が空振り。

「やったー! 正室・杏奈の勝利~♡」
 杏奈が両手を広げて小さく跳ねる。その姿が振袖に包まれていて、ほんとに眩しい。

「じゃあ、お願いね♡」
 耳元に顔を寄せてきた杏奈の声は、参道のざわめきに溶けそうなくらい小さい。けれど俺の心臓には爆音で響いた。

「――“今年も、ずっと私のこと見ててね”」

 勝ち誇った笑顔と、ほんのり照れた上目遣い。
 ……正室ターン。これは完璧に決まった。

◇◇◇

 境内横の芝生スペースには、羽子板に続いて「かるたコーナー」も設けられていた。正月限定の大きめ札、干支のイラスト入り。白い吐息がひらひらと漂う中、参拝客の子供たちが賑やかに遊んでいる。

「れーじくん~♡ 次はわたしのターンだよぉ~。かるた取り~。正室はふわりねぇ~♡」
 ふわりが振袖の裾をそっとつまんで、すり足で畳の上に座り込む。桃色の振袖が日の光を吸いこんで、まるで花そのものがそこに咲いたみたいだ。髪飾りの小さな鈴がちりん、と鳴る。

 その姿だけで人だかりができていた。子供たちも、大人たちも「きれい……」と声を漏らしている。俺は、その中心に座ることになった。

「札の並べ方、れーじくんの好きな形にしていいよぉ~♡」
 ふわりはそう言いながら、俺の手の上に自分の手をそっと重ねて、札を並べていく。指先がかすかに触れるたび、桃色の香りが鼻腔をかすめて、頭の奥がふわっと緩む。

「……っ」
 不意に息を呑む俺を見て、ふわりは“うふふ♡”と微笑んだ。

「れーじくん、今日のふわり、ちゃんと見てる? 振袖だからって油断したら、あっという間に取っちゃうよぉ~♡」
 声が甘い。けれど、目はいたずらっぽく光っている。

 読み手のおじさんが声を上げる。「――“あけましておめでとう”」
 その瞬間、ふわりの指先が風のように動く。桃色の袖がひらりと舞い、俺の目の前から札が消える。

「はいっ、いただき~♡」
 札を胸元に当て、目を細めるふわり。その仕草が妙に色っぽい。参道のざわめきも、冷たい空気も一瞬止まったように感じる。

「もう一枚いくよぉ~♡ 今度は“ふ”の札ねぇ~」
 読み札が終わる前に、ふわりの手がまた先に伸びる。俺は慌てて追いかけるけど、指先をかすめただけで届かなかった。

「ふふ♡ 二連続~。れーじくん、もっと本気出さないとぉ~」
 ふわりが札を積んでいく横顔が、ほんのり紅潮している。息が白く、唇だけが赤い。

「最後の札はこれねぇ~」
 読み手の声が境内に響く瞬間、ふわりがにやりと笑う。桃色の袖がまるで鳥の翼のように広がり、札をひらりとさらっていった。

「三連勝♡ ふわり、今年最初の“勝利”です~♡」
 ふわりは札を胸に抱えて、俺の方ににじり寄ってくる。振袖の裾がするりと俺の膝にかかる。

「ねぇ、れーじくん。今年も、ふわりのこと、ちゃんと見てくれる?」
 顔を近づけてくる。息がかかる距離、桃色の香り、甘い声。周りには人がいるのに、ここだけ密室みたいに空気が濃い。

「……もちろん、見るよ」
 俺がそう答えると、ふわりはにこっと笑って、札を俺の手に一枚そっと置いた。

「じゃあ、これで“契約”ねぇ~♡」

 ふわりは小さく笑って、髪飾りの鈴をちりん、と鳴らした。
 ――色気も可愛さも全部混ざった“正室ターン”。桃色の勝者は、やっぱりふわりだった。

◇◇◇

 ふわりの色気攻めで場が赤くなった直後、鈴音がすっと立ち上がった。
「……では、次は鈴音の番です」
 そう言って取り出したのは、大きな台紙と袋に入った紙のパーツ。

「おおっ、これは……?」
「“福笑い”。お正月遊びの定番です。皆でできますから」

 台紙には輪郭だけが描かれている。目や鼻や口は別パーツ。目隠しをして順番に置いていくシンプルな遊びだ。
 さすが鈴音、参謀肌らしいチョイス。

「じゃあ、まずは鈴音から!」杏奈が勢いよく促す。
「がんばれ~、リンちゃん♡」ふわりも楽しそうに応援する。

「……わかりました。挑戦します」
 鈴音が目隠しをして、慎重にパーツを置こうとする。けれど――

「もっと右右~♡ ……あっちが鼻の場所だよ!」杏奈が悪ノリ。
「リンちゃん、もっと下だよぉ~。……あ、逆さまに置いてる~♡」ふわりも追撃する。

「……っ!? だ、大丈夫でしょうか」
 真剣な鈴音の手元は、完全に翻弄されていた。俺はツッコミを入れながら見守るしかない。

 そして目隠しを外した瞬間――
「「「ぶはっ!」」」
 目は耳の辺り、口は斜めに。どう見ても“怪人レージ君”だ。

「……っ、こ、これは……」鈴音は頬を染めながら俺を見る。
「レージ君……可愛いですか?」

 真っ直ぐな問い。俺は少し笑いながらも、ちゃんと答えた。
「最高に可愛いよ。どんな顔でも、鈴音が作ったならな」

 その言葉に鈴音は固まって、ゆっくり頷く。
「……はい。ありがとうございます」

 その後は杏奈とふわりも挑戦。
杏奈版はパーツが派手にずれて爆笑を誘い、ふわり版は全部寄せて「団子みたい♡」というトンデモ顔に。

 最後に鈴音が小さくまとめる。
「……どれも可愛いです。だって全部、“私達のレージ君”ですから」

 その一言で、空気がふわっと甘く締まった。
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