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27回目 その1
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エレベーターの扉が開いた瞬間、目の前に広がった光景に俺は思わず息を呑んだ。
リビングの明かりに照らされて立っていたのは、普段とまったく違う装いの彼女たちだったからだ。
まず目に入ったのは――母親チーム。
仙奈さんは淡い水色の振袖に桜の模様。まるで「姉」と間違えられそうなくらい若々しくて、にこっと笑った顔に俺の心臓が跳ねた。
あまみさんは桃色の振袖に大柄の牡丹。背も高くて迫力があるのに、笑えばふわりそっくりのふんわり感。
紫音さんは濃紺の振袖に白鶴の柄。髪を鈴音と同じポニーテールにしていて、凛とした雰囲気が背筋を伸ばさせる。
その一歩前には――娘チーム。
杏奈は水色のミニ丈浴衣をハーフテール姿で軽やかに着こなし、元気さと可愛さが全開。
ふわりは桃色のショート浴衣で、背の高さもあってまるでファッション誌のモデル。
鈴音は黄色の浴衣を短めにまとめて、元気いっぱいな笑顔。耳元で鈴の飾りがちりんと鳴った。
母娘六人がずらりと並んだ和装姿は、まさに圧巻。
「お、おう……やっぱ和装って反則だな……」
俺の本音がぽろっと漏れると、杏奈が得意げに笑った。
「でしょ♡ れー君のために頑張ったんだから!」
「えへへ~、今日は食べるだけじゃなくて、見ても楽しませてあげるの~♡」
「鈴音も……少し、恥ずかしいですが。零士に綺麗って思われたいので」
母親たちもくすくす笑っている。
「ほら見てごらん、あんなちゃん。れー君、目がハートになってるじゃない」
「ふわりちゃんの浴衣姿、やっぱりモデルみたいねぇ~」
「りおんちゃん、やっぱりポニーテールが一番似合います」
俺は苦笑しながらも内心、完全に撃沈していた。
(母ちゃんが今日来られないのは、正直ちょっとホッとしたな……。こんなの目の前で見られたら、恥ずかしくて死ぬ)
テーブルには大皿いっぱいの刺身と具材が並び、色とりどりの海苔や酢飯が山のように準備されていた。
それぞれが思い思いに海苔を取り、寿司を巻いていく。
「れー君、はいっ♡ 杏奈スペシャル!」
杏奈が作ったのは、鮪と玉子とキュウリをぎゅっと巻いたもの。俺の口に強引に突っ込んでくる。
「うわっ、うまい……でもちょっと詰め込みすぎ!」
「えへへ、れー君の口いっぱいにしたかったの♡」
「れーじくん~、ふわりはね~、サーモンとアボカドとチーズ~♡ 女子力巻きだよ~」
ふわりのは見た目もおしゃれで、しかもちゃんと美味い。
「おお、これ、普通に店で売れそうだな」
「えへへ♡ じゃあ“ふわり寿司”って名前で出しちゃう~?」
「レージ君、鈴音のは……納豆と大葉、そしてマグロ。健康志向巻きです」
「お、これはサッパリしてて食べやすいな」
「よ、良かったです……」
耳まで赤くしながらも、鈴音は嬉しそうに笑った。
その様子を見ていた母親三人も参戦してくる。
「はいはーい、ママ特製! れー君、こっちも食べて♡」仙奈さんが手ずから差し出してくる。
「あらあら~、こっちもどうぞ~♡」あまみさんが大きな手巻きを笑顔で差し込んでくる。
「レージ君、こちらも……」紫音さんは控えめに見えて、実はしっかり盛り込んでくる。
「ちょっ、待って! 一度に食えないからっ!」
俺が慌てていると、娘チームが母親チームに食ってかかる。
「ママ! れー君は私達が食べさせるんだから!」
「そうだよー。もう、勝手に割り込んでこないで~」
「そうですっ! これは鈴音達のターンです!」
母VS娘の寿司バトルが勃発し、テーブルは笑い声と騒ぎでいっぱいになった。
山のようにあった具材もほぼ食べ尽くし、全員が腹をさすりながらごろっとソファに沈んだ。
テーブルの上は、笑いながら作った寿司の残骸と、母娘の張り合いの証拠のような巻き簾や海苔の切れ端が散乱している。
「いやぁ……食べた食べた。もう寿司は一生分くらい食った気がする」
「れー君、そんなこと言って。明日にはまた食べたくなってるよ♡」杏奈が突っ込んでくる。
「れーじくん、ふわりはまだいけるよぉ~? デザート寿司も作っちゃう?」
「レージ君。鈴音も……もう十分です。これ以上は体重計が恐ろしいです」
三人娘の反応もバラバラで、それだけでまた笑いが起きる。
そんな中、仙奈さんがぱん、と手を打った。
「さーて! お腹も満ちたところで……次は勝負よ!」
「勝負?」と俺が首を傾げると、隣のあまみさんがにっこり。
「そうそう~♡ 食べた後は頭を使わないとね~」
「ボードゲームを用意しました。娘たちが小さい頃にみんなでよく遊んでいたものです」紫音さんが落ち着いた声で続ける。
「ボードゲーム大会ぁ!?」
娘チーム三人が同時に声を上げる。
「えっ、それって……」杏奈が目を丸くする。
「……まさかの、親子対抗戦?」鈴音がぽつり。
「えへへ♡ いいねぇ、それ楽しそう~」ふわりが妙に嬉しそうに笑った。
仙奈さんが胸を張って宣言する。
「そう! 今夜は“母親チーム vs 娘チーム”で、れー君をどっちが楽しませられるか勝負よ!」
「「「えええーーっ!?」」」娘三人が揃って叫ぶ。
俺は頭を抱えた。
(ちょ、ちょっと待ってくれ。寿司バトルでも大変だったのに……次はボードゲームで母娘対抗!? これ絶対またカオスになるだろ……)
でも、六人のきらきらした顔を見て、結局俺は笑ってしまう。
「……分かった。そこまで言うなら、やろうじゃないか」
「やったぁ♡」杏奈が飛び跳ねる。
「ふふふ~。ふわり達、負けないからねぇ~」ふわりは拳を突き上げる。
「鈴音……真剣勝負、大歓迎です」鈴音は静かに闘志を燃やしていた。
「それじゃあ――ボードゲーム大会、開幕っ!」
母娘入り乱れの新たなバトルが幕を開けた。
リビングの明かりに照らされて立っていたのは、普段とまったく違う装いの彼女たちだったからだ。
まず目に入ったのは――母親チーム。
仙奈さんは淡い水色の振袖に桜の模様。まるで「姉」と間違えられそうなくらい若々しくて、にこっと笑った顔に俺の心臓が跳ねた。
あまみさんは桃色の振袖に大柄の牡丹。背も高くて迫力があるのに、笑えばふわりそっくりのふんわり感。
紫音さんは濃紺の振袖に白鶴の柄。髪を鈴音と同じポニーテールにしていて、凛とした雰囲気が背筋を伸ばさせる。
その一歩前には――娘チーム。
杏奈は水色のミニ丈浴衣をハーフテール姿で軽やかに着こなし、元気さと可愛さが全開。
ふわりは桃色のショート浴衣で、背の高さもあってまるでファッション誌のモデル。
鈴音は黄色の浴衣を短めにまとめて、元気いっぱいな笑顔。耳元で鈴の飾りがちりんと鳴った。
母娘六人がずらりと並んだ和装姿は、まさに圧巻。
「お、おう……やっぱ和装って反則だな……」
俺の本音がぽろっと漏れると、杏奈が得意げに笑った。
「でしょ♡ れー君のために頑張ったんだから!」
「えへへ~、今日は食べるだけじゃなくて、見ても楽しませてあげるの~♡」
「鈴音も……少し、恥ずかしいですが。零士に綺麗って思われたいので」
母親たちもくすくす笑っている。
「ほら見てごらん、あんなちゃん。れー君、目がハートになってるじゃない」
「ふわりちゃんの浴衣姿、やっぱりモデルみたいねぇ~」
「りおんちゃん、やっぱりポニーテールが一番似合います」
俺は苦笑しながらも内心、完全に撃沈していた。
(母ちゃんが今日来られないのは、正直ちょっとホッとしたな……。こんなの目の前で見られたら、恥ずかしくて死ぬ)
テーブルには大皿いっぱいの刺身と具材が並び、色とりどりの海苔や酢飯が山のように準備されていた。
それぞれが思い思いに海苔を取り、寿司を巻いていく。
「れー君、はいっ♡ 杏奈スペシャル!」
杏奈が作ったのは、鮪と玉子とキュウリをぎゅっと巻いたもの。俺の口に強引に突っ込んでくる。
「うわっ、うまい……でもちょっと詰め込みすぎ!」
「えへへ、れー君の口いっぱいにしたかったの♡」
「れーじくん~、ふわりはね~、サーモンとアボカドとチーズ~♡ 女子力巻きだよ~」
ふわりのは見た目もおしゃれで、しかもちゃんと美味い。
「おお、これ、普通に店で売れそうだな」
「えへへ♡ じゃあ“ふわり寿司”って名前で出しちゃう~?」
「レージ君、鈴音のは……納豆と大葉、そしてマグロ。健康志向巻きです」
「お、これはサッパリしてて食べやすいな」
「よ、良かったです……」
耳まで赤くしながらも、鈴音は嬉しそうに笑った。
その様子を見ていた母親三人も参戦してくる。
「はいはーい、ママ特製! れー君、こっちも食べて♡」仙奈さんが手ずから差し出してくる。
「あらあら~、こっちもどうぞ~♡」あまみさんが大きな手巻きを笑顔で差し込んでくる。
「レージ君、こちらも……」紫音さんは控えめに見えて、実はしっかり盛り込んでくる。
「ちょっ、待って! 一度に食えないからっ!」
俺が慌てていると、娘チームが母親チームに食ってかかる。
「ママ! れー君は私達が食べさせるんだから!」
「そうだよー。もう、勝手に割り込んでこないで~」
「そうですっ! これは鈴音達のターンです!」
母VS娘の寿司バトルが勃発し、テーブルは笑い声と騒ぎでいっぱいになった。
山のようにあった具材もほぼ食べ尽くし、全員が腹をさすりながらごろっとソファに沈んだ。
テーブルの上は、笑いながら作った寿司の残骸と、母娘の張り合いの証拠のような巻き簾や海苔の切れ端が散乱している。
「いやぁ……食べた食べた。もう寿司は一生分くらい食った気がする」
「れー君、そんなこと言って。明日にはまた食べたくなってるよ♡」杏奈が突っ込んでくる。
「れーじくん、ふわりはまだいけるよぉ~? デザート寿司も作っちゃう?」
「レージ君。鈴音も……もう十分です。これ以上は体重計が恐ろしいです」
三人娘の反応もバラバラで、それだけでまた笑いが起きる。
そんな中、仙奈さんがぱん、と手を打った。
「さーて! お腹も満ちたところで……次は勝負よ!」
「勝負?」と俺が首を傾げると、隣のあまみさんがにっこり。
「そうそう~♡ 食べた後は頭を使わないとね~」
「ボードゲームを用意しました。娘たちが小さい頃にみんなでよく遊んでいたものです」紫音さんが落ち着いた声で続ける。
「ボードゲーム大会ぁ!?」
娘チーム三人が同時に声を上げる。
「えっ、それって……」杏奈が目を丸くする。
「……まさかの、親子対抗戦?」鈴音がぽつり。
「えへへ♡ いいねぇ、それ楽しそう~」ふわりが妙に嬉しそうに笑った。
仙奈さんが胸を張って宣言する。
「そう! 今夜は“母親チーム vs 娘チーム”で、れー君をどっちが楽しませられるか勝負よ!」
「「「えええーーっ!?」」」娘三人が揃って叫ぶ。
俺は頭を抱えた。
(ちょ、ちょっと待ってくれ。寿司バトルでも大変だったのに……次はボードゲームで母娘対抗!? これ絶対またカオスになるだろ……)
でも、六人のきらきらした顔を見て、結局俺は笑ってしまう。
「……分かった。そこまで言うなら、やろうじゃないか」
「やったぁ♡」杏奈が飛び跳ねる。
「ふふふ~。ふわり達、負けないからねぇ~」ふわりは拳を突き上げる。
「鈴音……真剣勝負、大歓迎です」鈴音は静かに闘志を燃やしていた。
「それじゃあ――ボードゲーム大会、開幕っ!」
母娘入り乱れの新たなバトルが幕を開けた。
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