【絶対俺だけ王様ゲーム】美少女幼馴染3人と男オレ1人で始まったゲームが何かおかしい。どんどんNGがなくなっていく彼女達に迫られてます

かくろう

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 冬休みもいよいよ終盤。
 新学期を前にして、俺たちはふわりのマンションにまたも集合していた。
 理由は――杏奈の爆弾発言だ。

「ちょ、やばい! 宿題やってない!」

 朝っぱらから電話でそう叫ばれ、俺と鈴音は半ば強制的に召喚。
 ふわりは「みんなでやれば楽しいよぉ♡」と笑って会場を提供してくれた。

 テーブルの上には教科書とノート……のはずが、その横には山盛りのお菓子とポットに入ったホットココア。どう見ても勉強会より女子会の準備万端だ。

「はい、ここ計算間違ってる」
「えー? れー君の字が汚いからだよ」
「俺のせいかよ!」

 隣に座る杏奈は、頬杖をつきながら俺のノートを覗き込む。近い。近すぎる。
 わざとなのか、肩が触れるたびに視線をそらす俺を楽しんでいるようだった。


「れーじくん、はい、クッキーどうぞ~♡」
「ふわり、今は勉強タイムだろ」
「えへへ、糖分補給は大事だよぉ」

 ふわりは俺の口に直接クッキーを突っ込もうとしてくる。
 勉強する手より、甘やかす手のほうが明らかに多い。

「……もう! 二人とも集中してください」
 ペンを持つ鈴音が、ついに声を上げた。
「冬休みの課題は、提出期限があります。レージ君も、流されている場合では――」

 と言いつつ、鈴音の耳はほんのり赤い。
 俺と杏奈の距離感を見て気になってるのか、視線がチラチラ泳いでいた。

 勉強会は結局、三人三様に崩壊していった。
 杏奈は「れー君、ここ教えて~♡」と甘えっぱなし。
 ふわりは「はい、ココア飲んで~」と差し入ればかり。
 鈴音だけが必死に真面目に取り組もうとするが、俺の膝の上にノートを置いて解説を始めてしまい、自然と至近距離。

(……これ、全然勉強になってないな)

「じゃ、こうしよう!」
 杏奈が唐突に立ち上がった。
「問題に答えられなかった人は罰ゲーム! 王様ゲーム方式で!」

「杏奈ちゃん、またそうやって遊びにしちゃうの……」と鈴音が呆れる。
 だが、ふわりは「面白そう~♡」と賛成してしまった。

 こうして始まった「課題罰ゲーム」。
 最初の犠牲者は俺だった。

「はい、零士くんは『好きな人のいいところを三つ言う』!」
「ちょ、待っ……!」
「罰ゲームだからね♪」

 三人がにこにこと俺を囲む。
 逃げ道はない。

「……杏奈は、行動力あるとこ。ふわりは、誰よりも優しいとこ。鈴音は、頑張り屋なとこ」
「れー君っ……!」
「れーじくん……♡」
「レージ君……」

 顔を真っ赤にする三人を見て、俺の心臓は爆発寸前。

 結局、勉強会はほとんど進まず、冬休み最後の一日もドタバタと甘々で終わっていった。
 ――まあ、これも俺たちらしいか。


◇◇◇

 冬休みが終わり、いよいよ三学期の始まり。
 俺は凍える朝の通学路を歩きながら、ふぅっと白い息を吐いた。

(宿題は……まあ、なんとか提出できたし。ギリギリセーフだな)

 思い出すのは、数日前のふわりのマンションでの勉強会。
 結局ほとんど進まなかったけど、三人に囲まれながら笑い合った時間は、宿題の重荷すら帳消しにしてくれた。

 昇降口を抜け、教室に入る。
 ガヤガヤとした冬休み明けの空気。友達同士の「お年玉いくらだった?」「スキー行った?」みたいな声が飛び交う中、俺は自然と窓際の席に座った。

 と――。

「れー君っ!」
 黒髪ハーフテールがぱたぱた揺れて、杏奈が駆け寄ってきた。
「新年おめでと! ……って、もう遅いか。久しぶりに教室で会うと、なんか新鮮だね」

「れーじくん、おはよぉ♡」
 ふわりは白いマフラーを首に巻いたまま入ってきて、そのまま俺の隣の席へ。
「今日のお弁当、ちょっと豪華だから楽しみにしてね~」

「レージ君、おはようございます」
 鈴音は少し恥ずかしそうに、でもきっちりお辞儀をして席についた。
「……やっぱり教室に戻ると、“三年生最後”っていう実感が湧きますね」

 気づけば周囲の視線が集まっていた。
「おー、土峰またハーレムかよ!」
「はいはい、公認カップルだからな!」
「冬休みもデート三昧だったんだろ?」

「ちょ、ちょっと! からかわないでよ!」
 杏奈が真っ赤になって抗議するが、ふわりは「えへへ」と笑い、鈴音は困ったように俺を見上げる。

(……うん。やっぱり目立つな、俺たち)

 だが、嫌な注目じゃない。
 高校最後の三学期。あと少しで卒業だ。
 この教室で、みんなと過ごせる時間も残りわずか。

 俺は心の中でそっと呟く。
(最後まで――笑って過ごそう)


 チャイムが鳴り、教室がざわつきを静める。
 担任が入ってきた。

「よーし、新年あけましておめでとう。今年もよろしくな」
 先生は軽く頭を下げてから、黒板にチョークを走らせる。

 大きく書かれた文字は――
『卒業式まで、あと二か月』

「……改めて書いてみると、早いもんだなぁ。三年の皆はもう進路もほとんど決まってるだろうし、最後の学期は“卒業行事”がメインになる」

 ざわっと教室の空気が揺れた。
 文化祭や体育祭で盛り上がったクラスだからこそ、最後のイベントとなる卒業式は、全員にとって大きな節目だ。

「式典の練習、卒業旅行の希望調査、アルバム用のコメント集め……やることは盛りだくさんだ。だがまあ、堅苦しく考える必要はない。楽しく終わるのが一番だ」

 先生は笑いながら言い、黒板にスケジュールを次々と書き込んでいく。

 卒業式リハーサルの日程。
 記念撮影の日程。
 そして――最後の三年生イベント「送別会ライブ」。

「……ライブ?」
 クラス中から声が上がる。
 先生は頷きながら説明を続けた。

「下級生が主体の送別イベントだ。例年だとダンスや合唱、部活の発表なんかが中心になるが……今年は三年生も参加するらしい。クラス単位で出し物を決めていいぞ」

「えぇぇ~っ!?」
「いきなりハードル高っ!」

 みんなが一斉に騒ぎ出す。

(……クラス単位の出し物、か)
 俺は後ろの席で腕を組む。
 文化祭のときもそうだったが、どうせまた巻き込まれるんだろうな……。
 ちらっと隣を見ると、杏奈がにやっと笑った。

「れー君、クラスのエースに期待されちゃうね?」
「俺はパフォーマーじゃねぇっての」
「じゃあ、バスケ部のダンクでもやっちゃう? 舞台で」

「無茶言うな!」

 そんなやり取りをしているうちに、ふわりがのんびりと手を上げた。
「わたしたち、歌とかはどうかなぁ? れーじくんの声、好きだよ」
「ふ、ふわりさん……!」
 鈴音まで赤くなって頬を押さえている。

 教室は笑いと驚きとざわめきで満ちていた。
 三学期――卒業までの二か月。
 最後の学校生活は、どうやらまた騒がしくなりそうだった。
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