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第2章 体育祭の思い出作り
第17話「体育祭・種目選びと白羽の矢」
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朝のホームルーム。
担任が黒板にチョークで大きく「体育祭」と書いた瞬間、教室がざわつきで揺れた。
「おお、きたな!」
「リレーは俺が出る!」
「応援合戦、衣装とか作るのかな?」
数日前まで神崎玲央の件で重苦しかった空気は、もうすっかり吹き飛んでいる。
教室いっぱいに、期待とお祭りムードのざわめきが広がっていた。
(……変わったな。ほんの少し前までは疑念や不安ばかりだったのに)
俺――新堂蒼真は、隣の真白の横顔に視線をやった。
窓から差す朝陽を浴びて、さらりと光る黒髪。笑顔でクラスメイトの声に耳を傾ける彼女は、本当に眩しかった。
「……みんな、すごく楽しそうだね」
「そうだな。やっと“普通の高校生活”に戻ったって感じだ」
俺が答えると、真白は小さく頷き、微笑んだ。
それだけで胸が温かくなる。
「はい注目ー!」
担任が手を叩き、声を張る。
「種目や係はクラスごとに決めてもらう。リーダーは立候補でも推薦でもいい。決まらなければくじ引きだぞ」
「リーダーかぁ……」
「そういや神崎、先輩たちに総スカンくらってるらしいぜ」
「マジかよ。あの人望ゼロじゃん」
「まあ当然だよな……裏の顔がバレたんだし」
小声の噂話が、耳に自然と届く。
俺は心の中で(もう終わりだろ、アイツは)と吐き捨てた。
その瞬間、妙な清涼感が胸を吹き抜けた。
「で、リーダーは誰やる?」
沈黙が流れたあと、男子の数人が一斉に俺の方を向いた。
「おい、新堂、お前でいいんじゃね?」
「だな! 結城さんも隣だし、息合いそうだし!」
「カップルリーダー、爆誕!」
「ちょ、ちょっと……!」
真白が慌てて顔を真っ赤にする。
「おいおい、勝手に決めるなよ」
俺が苦笑するも、クラスの空気はもう決定事項のように盛り上がっていた。
「頼むよー! お前ならまとめられるって!」
「二人三脚出たら絶対盛り上がるだろ!」
「真白ちゃんとペアとか羨ましすぎ!」
黄色い声と冷やかしが飛び交う。
真白は恥ずかしそうに俯きながらも、机の下でそっと俺の袖をつまんでいた。
――嫌がっていない。むしろ、その仕草には小さな期待が滲んでいる。
「……仕方ねぇな。じゃあ俺、リーダーやるよ」
「わ、私も……その、頑張ります。だから、蒼真くんも……」
真白が顔を上げて答えた瞬間、教室が「おおーーっ!」と歓声に包まれた。
拍手と口笛、男子の嫉妬混じりの声、女子のからかい。
「やっぱお似合い!」
「青春すぎるー!」
「爆発しろ!」
俺は笑いながら手を振って応えた。
(お前ら……初日に祝福してたくせに、今はからかう側かよ。ほんといい加減な奴らだ)
内心で悪態をつきつつ、それでも不思議と楽しくて、胸が弾んでいた。
――体育祭。
このイベントが、俺と真白にとって新しい青春の舞台になる。
そう思うだけで、自然と力が湧いてくる。
リーダーが俺と真白に決まったあと、クラス全体のテンションは一気に体育祭モードに突入した。
黒板に「リレー・騎馬戦・二人三脚・障害物競走・応援合戦」など、種目名がずらずらと書かれていく。
「はい、各自やりたい競技に名前書けー!」
担任の号令に、クラスメイトたちは一斉に前へ押し寄せる。
チョークを手に取った女子が「結城さんはやっぱりリレーでしょ!」と書き込むと、男子が「おい新堂、お前もリレーいけ!」と勝手に名前を追加していた。
「ちょ、勝手に……」
「いいじゃんいいじゃん! カップルでバトン渡しとか映えるぞ!」
「そうそう! 動画撮って拡散したらバズるって!」
「バズらなくていいから!」
俺の抗議はあっさり笑い飛ばされた。
真白はというと、頬をほんのり赤くしながらも、まんざらでもない表情だ。
「リレー、楽しそうだね。蒼真くんと一緒なら……頑張れる気がする」
その一言に、不覚にも心臓が跳ねた。
(……やばいなこれ。嬉しいんだけど、周りのやつらのからかいが倍増する未来しか見えない)
案の定、教室のあちこちから囃し立てる声が飛んできた。
「うおー! 青春爆走リレー!」
「イチャイチャ二人三脚も追加だな!」
「おい新堂! 障害物競走で真白ちゃんのお姫様抱っことかやれよ!」
「誰がやるか!」
反射的にツッコミを入れると、さらに爆笑が広がった。
黒板の前では、種目の割り振りが進んでいく。運動神経自慢の男子たちは次々とリレーや騎馬戦に名前を並べ、女子たちはダンスや応援合戦に手を挙げている。
その中で――俺と真白の名前は、ほぼ自動的に人気種目に組み込まれていった。
(くそ……こうなったら腹を括るしかねぇか)
ため息をついた俺に、真白がそっと囁いた。
「蒼真くん。……大丈夫だよ。私も一緒にいるから」
その言葉に、不思議と肩の力が抜けていった。
騒がしい教室の真ん中で、彼女の声だけが柔らかく響いてくる。
気づけば俺は、黒板に向かって堂々と一歩を踏み出していた。
「よし! じゃあリレーと二人三脚、俺と真白でやる! 異論あるか!」
「なにそのカッコつけ方!」
「うおおー! やっぱりリーダーだわ!」
「爆発しろおおお!」
教室は再び笑いと歓声に包まれた。
俺の心臓はまだドキドキしていたけれど――それ以上に、ワクワク感が確かにあった。
(悪くねぇな。これが……“青春”ってやつか)
こうして、俺たちの体育祭が本格的に動き出した。
担任が黒板にチョークで大きく「体育祭」と書いた瞬間、教室がざわつきで揺れた。
「おお、きたな!」
「リレーは俺が出る!」
「応援合戦、衣装とか作るのかな?」
数日前まで神崎玲央の件で重苦しかった空気は、もうすっかり吹き飛んでいる。
教室いっぱいに、期待とお祭りムードのざわめきが広がっていた。
(……変わったな。ほんの少し前までは疑念や不安ばかりだったのに)
俺――新堂蒼真は、隣の真白の横顔に視線をやった。
窓から差す朝陽を浴びて、さらりと光る黒髪。笑顔でクラスメイトの声に耳を傾ける彼女は、本当に眩しかった。
「……みんな、すごく楽しそうだね」
「そうだな。やっと“普通の高校生活”に戻ったって感じだ」
俺が答えると、真白は小さく頷き、微笑んだ。
それだけで胸が温かくなる。
「はい注目ー!」
担任が手を叩き、声を張る。
「種目や係はクラスごとに決めてもらう。リーダーは立候補でも推薦でもいい。決まらなければくじ引きだぞ」
「リーダーかぁ……」
「そういや神崎、先輩たちに総スカンくらってるらしいぜ」
「マジかよ。あの人望ゼロじゃん」
「まあ当然だよな……裏の顔がバレたんだし」
小声の噂話が、耳に自然と届く。
俺は心の中で(もう終わりだろ、アイツは)と吐き捨てた。
その瞬間、妙な清涼感が胸を吹き抜けた。
「で、リーダーは誰やる?」
沈黙が流れたあと、男子の数人が一斉に俺の方を向いた。
「おい、新堂、お前でいいんじゃね?」
「だな! 結城さんも隣だし、息合いそうだし!」
「カップルリーダー、爆誕!」
「ちょ、ちょっと……!」
真白が慌てて顔を真っ赤にする。
「おいおい、勝手に決めるなよ」
俺が苦笑するも、クラスの空気はもう決定事項のように盛り上がっていた。
「頼むよー! お前ならまとめられるって!」
「二人三脚出たら絶対盛り上がるだろ!」
「真白ちゃんとペアとか羨ましすぎ!」
黄色い声と冷やかしが飛び交う。
真白は恥ずかしそうに俯きながらも、机の下でそっと俺の袖をつまんでいた。
――嫌がっていない。むしろ、その仕草には小さな期待が滲んでいる。
「……仕方ねぇな。じゃあ俺、リーダーやるよ」
「わ、私も……その、頑張ります。だから、蒼真くんも……」
真白が顔を上げて答えた瞬間、教室が「おおーーっ!」と歓声に包まれた。
拍手と口笛、男子の嫉妬混じりの声、女子のからかい。
「やっぱお似合い!」
「青春すぎるー!」
「爆発しろ!」
俺は笑いながら手を振って応えた。
(お前ら……初日に祝福してたくせに、今はからかう側かよ。ほんといい加減な奴らだ)
内心で悪態をつきつつ、それでも不思議と楽しくて、胸が弾んでいた。
――体育祭。
このイベントが、俺と真白にとって新しい青春の舞台になる。
そう思うだけで、自然と力が湧いてくる。
リーダーが俺と真白に決まったあと、クラス全体のテンションは一気に体育祭モードに突入した。
黒板に「リレー・騎馬戦・二人三脚・障害物競走・応援合戦」など、種目名がずらずらと書かれていく。
「はい、各自やりたい競技に名前書けー!」
担任の号令に、クラスメイトたちは一斉に前へ押し寄せる。
チョークを手に取った女子が「結城さんはやっぱりリレーでしょ!」と書き込むと、男子が「おい新堂、お前もリレーいけ!」と勝手に名前を追加していた。
「ちょ、勝手に……」
「いいじゃんいいじゃん! カップルでバトン渡しとか映えるぞ!」
「そうそう! 動画撮って拡散したらバズるって!」
「バズらなくていいから!」
俺の抗議はあっさり笑い飛ばされた。
真白はというと、頬をほんのり赤くしながらも、まんざらでもない表情だ。
「リレー、楽しそうだね。蒼真くんと一緒なら……頑張れる気がする」
その一言に、不覚にも心臓が跳ねた。
(……やばいなこれ。嬉しいんだけど、周りのやつらのからかいが倍増する未来しか見えない)
案の定、教室のあちこちから囃し立てる声が飛んできた。
「うおー! 青春爆走リレー!」
「イチャイチャ二人三脚も追加だな!」
「おい新堂! 障害物競走で真白ちゃんのお姫様抱っことかやれよ!」
「誰がやるか!」
反射的にツッコミを入れると、さらに爆笑が広がった。
黒板の前では、種目の割り振りが進んでいく。運動神経自慢の男子たちは次々とリレーや騎馬戦に名前を並べ、女子たちはダンスや応援合戦に手を挙げている。
その中で――俺と真白の名前は、ほぼ自動的に人気種目に組み込まれていった。
(くそ……こうなったら腹を括るしかねぇか)
ため息をついた俺に、真白がそっと囁いた。
「蒼真くん。……大丈夫だよ。私も一緒にいるから」
その言葉に、不思議と肩の力が抜けていった。
騒がしい教室の真ん中で、彼女の声だけが柔らかく響いてくる。
気づけば俺は、黒板に向かって堂々と一歩を踏み出していた。
「よし! じゃあリレーと二人三脚、俺と真白でやる! 異論あるか!」
「なにそのカッコつけ方!」
「うおおー! やっぱりリーダーだわ!」
「爆発しろおおお!」
教室は再び笑いと歓声に包まれた。
俺の心臓はまだドキドキしていたけれど――それ以上に、ワクワク感が確かにあった。
(悪くねぇな。これが……“青春”ってやつか)
こうして、俺たちの体育祭が本格的に動き出した。
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