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「お前ら、少し休憩するぞ。」
翌日、朝早くに出発した俺たちは森の中を進んでいた。
まだ森深くないため弱い魔物しか出て来ていないのか、何回か魔物に遭遇したもののリアムたちは特に戦いをするわけでもなく、素通りしていった。
確かに今まで遭ったのは、マンガ通りの水色のゼリー状のスライムに、名前は知らないが、耳に花が挿してあるウサギ……アレはオシャレでわざと付けていたんだろうか?
あとは上空を飛んでいた黄色い鳥。
これに関しては、手の届くところまで降りてくることもなかったため、無害な魔物なのだろう。
ただ、森歩きをなめてた。
リアムの休憩という言葉に俺は荷物を放り出して、その場に倒れ込んだ。
「翔、お前本当に体力ないんだな。」
「お前らが体力ありすぎるんだろう? 俺たちの世界じゃ、移動って言ったら車やバイク、電車とかで歩きっていう選択肢は、ほとんどなかったんだよ。」
大の字に寝そべって息を整えていると、呆れた表情をしたノアが俺の顔の上にコップを差し出してきた。
起き上がってコップを受け取りながら、何時間も石や木の根が飛び出て足場の悪い道無き道を歩いてきたにも関わらず、息を切らしていないノアに向かって負け惜しみを言った。
俺だって夜、ランニングをしたり、ジムに通っていたりしたから決して体力がないわけじゃない。
だから俺から言わせれば、ノアたちの方が体力お化けだ。
「クルマ? バイク? 何だそれ?」
「聞けば聞くほど、わかんねえな。 スマホはあるのに、何で車やバイクは知らないんだ? 拳銃やガスコンロも知らないって言ってたよな?」
負け惜しみを言うだけ言ってすっきりした俺が水を飲んでいると、俺が言った言葉の中に意味がわからない単語があったようで、リアムが零の足をマッサージしながら聞いてきた。
ここまでの道中でも会話が成立せず、意外なものが、この世界にないことがわかった。
スマホなんて最近の発明品があるぐらいだから日本と同じぐらいの文明があると思っていたのに、話を聞いていると五、六十年前の日本と同じ文明しかないのかもしれない。
「ああ。それは簡単に作れるのか?」
「どうだろうな? 俺は作れねえ。 それより零は大丈夫か?」
自分から車やバイクなどの話を振ったものの、詳しいことを聞かれそうな雰囲気に、俺は慌てて話を変えた。
今のところ零も自力で歩いているものの、時々小さな凹みや木の根などに足を取られて転けそうになっていた。
馬車の中でアメリアが診察した結果、左足首を刺された時に少し神経も傷ついてしまったため、たまに自分の意思で動かせない瞬間があるのだろうということだった。
そのためなのか零は歩く時、右足に必要以上に力を入れているようで強張ってしまい、リアムが手慣れた様子で定期的にマッサージをしているのだった。
零も素直に受け入れているところを見ると、地下室に顔を出した時にマッサージもしていたのかもしれない。
「今はまだいいけど、これ以上足場が悪くなったら難しいだろうな。」
「大丈夫。」
リアムは献身的にマッサージを続けながら答えてくれたが、やっぱり先に進むほど零にとって厳しい状況になることを気にしている様子だった。
そのリアムの言葉に反応した零は、見放されたらという不安からなのか、マッサージをしてくれているリアムに歩けると泣きそうな表情で伝えている様子を見て、なぜか胸が押しつぶされそうになっていた。
「わかった。 だけど無理はするなよ。 零一人ぐらいおぶっても、戦闘に支障はないからな。」
「翔は頑張って隠れるか、逃げるかしろよ。 俺はリアムと違って、守りながらは戦えないからな。」
「大丈夫よ。 私も戦闘はできないから、一緒にいましょう。」
リアムも零の不安を感じ取ったようで、優しく頭を撫でて少しでも安心させようとしているようだった。
その様子をボーッと見ていると、何を思ったのかノアが薄情なことを言ってきた。
いや、戦闘とか今まで一度も経験したことないのに、頑張ってはないだろう?
どうすればいいんだよ?
ドッジボールみたいに逃げ回ればいいのか?
それとも隠れん坊みたいに物陰に隠れておけばいいのか?
ノアは俺の中では面倒見のいいタイプだっただけに、信じられないままノアを見ると、どうやら意地悪で言っているわけではなく、実力的に無理だということらしい。
突き放すような口調とは対照的な申し訳なさそうな表情を見て、何も言えなくなっていると、アメリアが口を挟んできた。
そうか、アメリアも回復専門だから、俺と同じで戦闘になったら隠れるしかないんだ。
そう思うと気持ちが少し楽になり、俺はアメリアの笑顔に癒されたのだった。
翌日、朝早くに出発した俺たちは森の中を進んでいた。
まだ森深くないため弱い魔物しか出て来ていないのか、何回か魔物に遭遇したもののリアムたちは特に戦いをするわけでもなく、素通りしていった。
確かに今まで遭ったのは、マンガ通りの水色のゼリー状のスライムに、名前は知らないが、耳に花が挿してあるウサギ……アレはオシャレでわざと付けていたんだろうか?
あとは上空を飛んでいた黄色い鳥。
これに関しては、手の届くところまで降りてくることもなかったため、無害な魔物なのだろう。
ただ、森歩きをなめてた。
リアムの休憩という言葉に俺は荷物を放り出して、その場に倒れ込んだ。
「翔、お前本当に体力ないんだな。」
「お前らが体力ありすぎるんだろう? 俺たちの世界じゃ、移動って言ったら車やバイク、電車とかで歩きっていう選択肢は、ほとんどなかったんだよ。」
大の字に寝そべって息を整えていると、呆れた表情をしたノアが俺の顔の上にコップを差し出してきた。
起き上がってコップを受け取りながら、何時間も石や木の根が飛び出て足場の悪い道無き道を歩いてきたにも関わらず、息を切らしていないノアに向かって負け惜しみを言った。
俺だって夜、ランニングをしたり、ジムに通っていたりしたから決して体力がないわけじゃない。
だから俺から言わせれば、ノアたちの方が体力お化けだ。
「クルマ? バイク? 何だそれ?」
「聞けば聞くほど、わかんねえな。 スマホはあるのに、何で車やバイクは知らないんだ? 拳銃やガスコンロも知らないって言ってたよな?」
負け惜しみを言うだけ言ってすっきりした俺が水を飲んでいると、俺が言った言葉の中に意味がわからない単語があったようで、リアムが零の足をマッサージしながら聞いてきた。
ここまでの道中でも会話が成立せず、意外なものが、この世界にないことがわかった。
スマホなんて最近の発明品があるぐらいだから日本と同じぐらいの文明があると思っていたのに、話を聞いていると五、六十年前の日本と同じ文明しかないのかもしれない。
「ああ。それは簡単に作れるのか?」
「どうだろうな? 俺は作れねえ。 それより零は大丈夫か?」
自分から車やバイクなどの話を振ったものの、詳しいことを聞かれそうな雰囲気に、俺は慌てて話を変えた。
今のところ零も自力で歩いているものの、時々小さな凹みや木の根などに足を取られて転けそうになっていた。
馬車の中でアメリアが診察した結果、左足首を刺された時に少し神経も傷ついてしまったため、たまに自分の意思で動かせない瞬間があるのだろうということだった。
そのためなのか零は歩く時、右足に必要以上に力を入れているようで強張ってしまい、リアムが手慣れた様子で定期的にマッサージをしているのだった。
零も素直に受け入れているところを見ると、地下室に顔を出した時にマッサージもしていたのかもしれない。
「今はまだいいけど、これ以上足場が悪くなったら難しいだろうな。」
「大丈夫。」
リアムは献身的にマッサージを続けながら答えてくれたが、やっぱり先に進むほど零にとって厳しい状況になることを気にしている様子だった。
そのリアムの言葉に反応した零は、見放されたらという不安からなのか、マッサージをしてくれているリアムに歩けると泣きそうな表情で伝えている様子を見て、なぜか胸が押しつぶされそうになっていた。
「わかった。 だけど無理はするなよ。 零一人ぐらいおぶっても、戦闘に支障はないからな。」
「翔は頑張って隠れるか、逃げるかしろよ。 俺はリアムと違って、守りながらは戦えないからな。」
「大丈夫よ。 私も戦闘はできないから、一緒にいましょう。」
リアムも零の不安を感じ取ったようで、優しく頭を撫でて少しでも安心させようとしているようだった。
その様子をボーッと見ていると、何を思ったのかノアが薄情なことを言ってきた。
いや、戦闘とか今まで一度も経験したことないのに、頑張ってはないだろう?
どうすればいいんだよ?
ドッジボールみたいに逃げ回ればいいのか?
それとも隠れん坊みたいに物陰に隠れておけばいいのか?
ノアは俺の中では面倒見のいいタイプだっただけに、信じられないままノアを見ると、どうやら意地悪で言っているわけではなく、実力的に無理だということらしい。
突き放すような口調とは対照的な申し訳なさそうな表情を見て、何も言えなくなっていると、アメリアが口を挟んできた。
そうか、アメリアも回復専門だから、俺と同じで戦闘になったら隠れるしかないんだ。
そう思うと気持ちが少し楽になり、俺はアメリアの笑顔に癒されたのだった。
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