転生したら世話係?

東雲

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「おい、好きな奴に乗せてもらえ。」
アメリアと話していると、不意にルークが声を掛けてきた。
好きな奴って何だよ?
ルークの方を向いているアメリアは、どこか恍惚こうこつとした表情をしている。

「何をわけわからねえこと……って、何だよそれ?」
アメリアの表情も気になって後ろを振り返ると、そこにはライオンと狼を掛け合わせたような、ふわふわで巨大な生き物が4頭集まっていた。
俺の頭より上に顔があるってことは、一番小さい奴でも最低2メートル以上ってことだろ?
どうみたって肉食だし、ルークの奴、何を呼んだんだよ。

「こいつらはレーヴォルフ キング。 魔物じゃなく、霊獣だ。 足の速さには定評があるから、日暮れまでには間に合うだろう。」
俺の視線に気づいたルークは、自分の隣で伏せをしている4匹の中で一番小さい、白色の奴の顎の下を掻いてあげながら、その生き物が何なのか教えてくれた。
霊獣ってことは、少しは神聖な生き物なのかもしれない。
だから、ほとんどの奴が白色なんだろうか?
地球でも、白い生き物は神聖だって言ってたしな。
そんなことを考えていると、唯一銀色のような毛をした、一番大きいレーヴォルフが倒木の向こう。
リアムたちの方へ向かい、そのまま動かなくなった。

「零のことが気がかりみたいだな。 そいつを俺に乗せろって言っている。」
「そうか、頼む。 落ちないように、俺も一緒に乗ってもいいか?」
遠目に見ている感じだと、しきりにリアムたちの匂いを嗅いでいる様子だったが、急に小さく吠えた。
するとルークが通訳し、リアムがそれに答えている。
俺には関係なさそうだから自分のことをしようと、思い思いにくつろぎ始めている他のレーヴォルフたちの前へ移動した。

「どの子にするか決めた? 私は、この一番乗りやすそうな子にするわ。 ねえ、いいかしら?」
「じゃあ俺は……」
「翔くん、動物に乗ったことはある?」
「いや、ないけど?」
「じゃあ、このおとなしそうな子にしたら? 初めてで手綱も無しで乗るのは、結構難しいわよ。」
「そうなのか。 じゃあ、こいつにするよ。」
どいつにしようか悩んでいると、隣にきたアメリアが声を掛けてきた。
アメリアはもう決めていたようで、一番小さい奴の頭を撫でているけど、正直どうやって選べばいいかわからない。
もうこの際、誰でもいいやと正面にいるレーヴォルフに手を出しかけたところで、アメリアから助言が入った。
確かにな。
乗馬すらしたことねえのに、車並みのスピードで走る奴の背中に乗るのは無謀だ。
俺はアメリアの言うことを素直に聞くと、居眠りをしているレーヴォルフを指差した。

「じゃあ俺はこいつだな。 よろしくな。」
「全員決まったか? 出発するぞ。 リーダー、街に近づいたら、人目につかない場所で止まってくれ。 騒ぎになっても困るから、そこで降りて歩いていく。」
俺が誰にするか決めるとすぐに、途中から後ろで成り行きを見ていたノアが、じっと自分を見ているレーヴォルフを指差した。
選ばれたレーヴォルフは嬉しそうに尻尾を振っているし、なにか通じるものでもあったんだろう。
最後にルークが、マズルに大きな傷がある、やんちゃそうなレーヴォルフに飛び乗ると、先頭にいる銀色のレーヴォルフに向かって声を掛けた。
一匹だけ色も大きさも全然違うと思ったけど、やっぱりリーダーだったのか。
そんなことを考えている間に、リーダーと呼ばれたレーヴォルフが返事をして走り出したため、俺は振り落とされないように慌てて目の前の毛を握った。
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