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「翔、ここからは歩きだ。」
レーヴォルフの毛が、長くてよかった。
のんびりしてそうな奴を選んだつもりだったけど、車より速いし、岩とか枝とか障害物をスピードを落とさずにギリギリで避けていくしで、暴れジェットコースターに乗ってるみたいな感覚だった。
他の奴を選んでいたら、もっと乗りにくかったのかもしれない。
確かに一番後ろを走ってたような気がするけど、振り落とされないように必死で、周りを見る余裕なんか無かったからわからねえ。
俺は伏せをしてくれたレーヴォルフの背中からなんとか降りると、そのまま目の前の木にもたれて座り込んだ。
「大丈夫? 酔った?」
「いや、速すぎて疲れただけで、大丈夫だ。」
「そう、何かあったら我慢せずに教えてね。 クリーン。」
たぶん1時間半もかかってないんだろうけど、俺は疲れきってしまっていた。
座り込んだ俺を心配してアメリアが近づいてきたけど、大丈夫だとわかると、俺を乗せてくれたレーヴォルフに向かって、いきなり魔法を発動させた。
名前からしたら、きれいにする魔法なのかと思いながら見ていたら、俺が必死に握ったから寝癖みたいに立っていた首のところの毛が、サラサラになっていった。
そうか、あの立っていた毛が気になったのか。
「おい、そろそろ行こうぜ。」
「歩きながら、街に入ってからの行動を話し合うぞ。」
「わかった。 ていうか、そいつ誰だ?」
レーヴォルフという暴走車からのダメージからようやく立ち直って立ち上がると、待っていたかのようなタイミングでノアが話し掛けてきた。
リアムもどこかいつもより早口で話しているから、急いでるのだろう。
慌てて返事をしたが、その時はじめて一人増えていることに気づいた。
肩にかかるかかからないかっていうぐらいの長さの金髪を、右側だけサイドを三本編み込みして、服装もなんだかメンズファッション誌に載ってそうなおしゃれな奴だ。
顔も零ほどじゃないにしても十分整っているし、女性がほっとかないだろうな。
「俺はカイだ。 職業はスレイヤー、よろしくな。」
「走っているところを見つけて、合流したんだ。」
「ノアに乗せてもらってなかったら、閉門に間に合わずに忍び込む気だったから、助かったぜ。」
「お前なら閉門ギリギリには、着いてたかもしれないぞ? 俺たちと会った時にはもう、街まで100キロ切ってたんだからな。」
「休憩なしで行けってか? あんまりこき使うなよな。」
このイケメンさんが、体力バカ?
どっちかっていったらファッションとか日焼けに気をつかって、あまり体力なさそうなイメージだよな。
しかもスレイヤーってことは、暗殺者?
ますます意外だな。
そんなことを考えながら、歩き始めたアメリアたちの後ろをついていっていたけど、ノアとカイは気が合うのか、ずっと後ろで楽しそうに話している。
それに比べてアメリア、ルーク、リアムの三人は、真剣な顔でずっと何かを相談している様子だった。
「なあ」
「お前ら、今後の行動について伝えるぞ。」
どうせなら楽しそうな方に加わろうと、振り返って声をかけようとした瞬間、リアムの厳しい声が飛んできた。
その真剣な声色に、ノアとカイも話を中断した。
そして俺の横へ移動してきたけど、話をする雰囲気じゃないよな。
しょうがない、今度、話しに入れてもらおう。
「とりあえず、俺と零、翔、ルークは手続きがあるから、ギルドへ行く。」
「私とノア、カイは宿を探すわ。 零くんがあの状態だから、ギルドでの手続きが終わり次第、すぐ休めるようにしてあげたいの。 それと宿なんだけど、今、零くんは激しい人間恐怖症が起こっている状態らしいの。 その原因は私たち。 だから零くんが私たちに慣れる間は、別の部屋を取ろうってことになったわ。 だから私だけの一人部屋、零くんとリアムは契約の関係上、必然的に同室にされると思うから、二人の部屋。 あとは節約もしたいから大部屋にしたいんだけど、大丈夫かしら?」
「「問題ない。」」
森を抜けたのか、だだっ広い原っぱのような場所に出ると、自然と話しやすいような形になり、リアムとアメリアから今後について説明された。
話がわかるようで、わからねえ。
まあとりあえず、宿はアメリアたちが何とかしてくれるから、俺はリアムについていけばいいんだろう。
ノアとカイは返事まで被ってて、仲がいいっていうより、兄弟みたいだな。
そんなことを考えていると、整備された道のような場所に出て、立派な城門が間近に近づいてきた。
だいぶ離れた場所で降ろされたと思ったけど、1キロもなかったのかもしれない。
「アメリア、衛兵への説明を頼んでもいいか?」
「ええ。 ルーク、身分証は持っているかしら?」
「ああ。 たまに他の村に情報収集に行ってたから、持ってる。」
「じゃあ、説明は零くんと翔くんだけで大丈夫そうね。 翔くん、街の中に入るまでは離れないでね。」
「わかった。」
道に入った途端、リアムたちは自然と二列に戻り、馬車や他の人たちの邪魔にならないよう、端を歩き始めた。
そして城門から続く、異世界に来て初めて見る行列の最後尾に並ぶと、再び話を始めていた。
俺はこの機会にと、辺りをゆっくり見渡した。
どの街の外も同じなのか、ここも見渡す限り一面草原のような場所で、建物は一つも見当たらなかった。
それに段々近づいてきている城門。
立派な石造りの壁が続いていて、人が吸い込まれていっている所だけ、大きな木の観音扉がある。
全体的な雰囲気が、中世ヨーロッパみたいな感じだ。
俺は改めて、ここが日本ではないと再確認したが、持ち前の図太さと、こっちに来てから時間が経っていることもあり、恐怖や不安はなかった。
たぶん、俺にはもう仲間がいる。
一人じゃない。
これが平静でいられる大きな理由だろう。
レーヴォルフの毛が、長くてよかった。
のんびりしてそうな奴を選んだつもりだったけど、車より速いし、岩とか枝とか障害物をスピードを落とさずにギリギリで避けていくしで、暴れジェットコースターに乗ってるみたいな感覚だった。
他の奴を選んでいたら、もっと乗りにくかったのかもしれない。
確かに一番後ろを走ってたような気がするけど、振り落とされないように必死で、周りを見る余裕なんか無かったからわからねえ。
俺は伏せをしてくれたレーヴォルフの背中からなんとか降りると、そのまま目の前の木にもたれて座り込んだ。
「大丈夫? 酔った?」
「いや、速すぎて疲れただけで、大丈夫だ。」
「そう、何かあったら我慢せずに教えてね。 クリーン。」
たぶん1時間半もかかってないんだろうけど、俺は疲れきってしまっていた。
座り込んだ俺を心配してアメリアが近づいてきたけど、大丈夫だとわかると、俺を乗せてくれたレーヴォルフに向かって、いきなり魔法を発動させた。
名前からしたら、きれいにする魔法なのかと思いながら見ていたら、俺が必死に握ったから寝癖みたいに立っていた首のところの毛が、サラサラになっていった。
そうか、あの立っていた毛が気になったのか。
「おい、そろそろ行こうぜ。」
「歩きながら、街に入ってからの行動を話し合うぞ。」
「わかった。 ていうか、そいつ誰だ?」
レーヴォルフという暴走車からのダメージからようやく立ち直って立ち上がると、待っていたかのようなタイミングでノアが話し掛けてきた。
リアムもどこかいつもより早口で話しているから、急いでるのだろう。
慌てて返事をしたが、その時はじめて一人増えていることに気づいた。
肩にかかるかかからないかっていうぐらいの長さの金髪を、右側だけサイドを三本編み込みして、服装もなんだかメンズファッション誌に載ってそうなおしゃれな奴だ。
顔も零ほどじゃないにしても十分整っているし、女性がほっとかないだろうな。
「俺はカイだ。 職業はスレイヤー、よろしくな。」
「走っているところを見つけて、合流したんだ。」
「ノアに乗せてもらってなかったら、閉門に間に合わずに忍び込む気だったから、助かったぜ。」
「お前なら閉門ギリギリには、着いてたかもしれないぞ? 俺たちと会った時にはもう、街まで100キロ切ってたんだからな。」
「休憩なしで行けってか? あんまりこき使うなよな。」
このイケメンさんが、体力バカ?
どっちかっていったらファッションとか日焼けに気をつかって、あまり体力なさそうなイメージだよな。
しかもスレイヤーってことは、暗殺者?
ますます意外だな。
そんなことを考えながら、歩き始めたアメリアたちの後ろをついていっていたけど、ノアとカイは気が合うのか、ずっと後ろで楽しそうに話している。
それに比べてアメリア、ルーク、リアムの三人は、真剣な顔でずっと何かを相談している様子だった。
「なあ」
「お前ら、今後の行動について伝えるぞ。」
どうせなら楽しそうな方に加わろうと、振り返って声をかけようとした瞬間、リアムの厳しい声が飛んできた。
その真剣な声色に、ノアとカイも話を中断した。
そして俺の横へ移動してきたけど、話をする雰囲気じゃないよな。
しょうがない、今度、話しに入れてもらおう。
「とりあえず、俺と零、翔、ルークは手続きがあるから、ギルドへ行く。」
「私とノア、カイは宿を探すわ。 零くんがあの状態だから、ギルドでの手続きが終わり次第、すぐ休めるようにしてあげたいの。 それと宿なんだけど、今、零くんは激しい人間恐怖症が起こっている状態らしいの。 その原因は私たち。 だから零くんが私たちに慣れる間は、別の部屋を取ろうってことになったわ。 だから私だけの一人部屋、零くんとリアムは契約の関係上、必然的に同室にされると思うから、二人の部屋。 あとは節約もしたいから大部屋にしたいんだけど、大丈夫かしら?」
「「問題ない。」」
森を抜けたのか、だだっ広い原っぱのような場所に出ると、自然と話しやすいような形になり、リアムとアメリアから今後について説明された。
話がわかるようで、わからねえ。
まあとりあえず、宿はアメリアたちが何とかしてくれるから、俺はリアムについていけばいいんだろう。
ノアとカイは返事まで被ってて、仲がいいっていうより、兄弟みたいだな。
そんなことを考えていると、整備された道のような場所に出て、立派な城門が間近に近づいてきた。
だいぶ離れた場所で降ろされたと思ったけど、1キロもなかったのかもしれない。
「アメリア、衛兵への説明を頼んでもいいか?」
「ええ。 ルーク、身分証は持っているかしら?」
「ああ。 たまに他の村に情報収集に行ってたから、持ってる。」
「じゃあ、説明は零くんと翔くんだけで大丈夫そうね。 翔くん、街の中に入るまでは離れないでね。」
「わかった。」
道に入った途端、リアムたちは自然と二列に戻り、馬車や他の人たちの邪魔にならないよう、端を歩き始めた。
そして城門から続く、異世界に来て初めて見る行列の最後尾に並ぶと、再び話を始めていた。
俺はこの機会にと、辺りをゆっくり見渡した。
どの街の外も同じなのか、ここも見渡す限り一面草原のような場所で、建物は一つも見当たらなかった。
それに段々近づいてきている城門。
立派な石造りの壁が続いていて、人が吸い込まれていっている所だけ、大きな木の観音扉がある。
全体的な雰囲気が、中世ヨーロッパみたいな感じだ。
俺は改めて、ここが日本ではないと再確認したが、持ち前の図太さと、こっちに来てから時間が経っていることもあり、恐怖や不安はなかった。
たぶん、俺にはもう仲間がいる。
一人じゃない。
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