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第四章 ダンジョン騒動編
9 いざプルテリオン
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クインシーに手紙を書いて投函した後、俺たちはついに魔人國プルテリオンに赴くことにした。
つっても、ひと月前に新作料理を食べるために観光に行ったばかりだけどな。
結構頻繁にリッドおじさんからも呼び出されていたし、気合いを入れて行かなきゃならねえ場所じゃない。
俺は実験室の魔法陣に異常がないことを確かめてから、カイルの手を引いた。
「よし、行くか」
「ああ」
二人同時に、魔法陣の中へと足を踏み入れる。魔力を注ぐとゆらりと景色が歪みだす。瞬きを二回し終えた頃には、魔王城の一室へと移動していた。
「こっちはまだ肌寒いな」
部屋から窓の外を見たが、衛兵たちはまだコートを着て勤務をしている。
プルテリオンの首都シャルワールは、俺たちが住んでいるマーシャルよりも寒い気候なんだよな。ぶるりと肩を震わせた。
「着ておけ」
カイルはインベントリから取りだしたコートを、俺に差し出した。ありがたく受け取って、深い緋色のコートに腕を通す。
内側が白くふわふわした生地で覆われているので、とても温かい。このコートは冬の間にカイルがプレゼントしてくれた物だ。
「おお、あったけえ。ありがとなカイル。今の時間だったら、執務室に行けばリッドおじさんに会えるよな?」
「普段通りならそうだろう」
前ボタンを締めるほどの寒さではないので、前を開けたまま歩き出す。
アーガイル柄の大理石の廊下を二度ほど曲がると、リドアートの執務室についた。
ノックをすると、中からカイルと似た声が返ってくる。
「誰かね?」
「叔父さん、俺だよ」
「おお、ハニーくんか! 入りたまえ」
許可を得たので扉を押し開き、室内に足を踏み入れる。リドアートは執務机の前で立ち上がり、黒褐色の瞳を輝かせながら、両手を開いて出迎えた。
「やあやあやあ二人とも、元気にしていたかい?」
「ああ。そっちはどうだ、忙しいのか」
「ダンジョンを無事に閉鎖し終えたからね。やっと落ち着いてきたところだ。ところでカイル!」
リッド叔父さんは、赤茶の髪を後ろに撫でつけると、その手をひるがえしてビシッとカイルに指を突きつけた。カイルは嫌そうに顔をしかめる。
「君に話がある!」
「俺にはない」
「いいから聞きたまえ、短気は損だぞ? 実はだな、君を見込んで頼みたいことがあるのだ」
「断る」
「まだなにも言っていないだろう! せめて話を聞いてから断りたまえ!」
まったく、とリドアートは額に手を当てて大袈裟に嘆きながら、机の上に積んである書類の中から一枚の紙を取り出した。
「これを見てほしい」
カイルは差し出された紙を、眉をしかめながら受け取る。叔父さんは得意げに説明をしはじめた。
「北方の地には、まだまだ未開拓の地域があるのは聞いたことがあるだろう? 実は新しく調査した北方の地で、面白い泉が見つかったのだ」
「へえ、どんな泉なんだ?」
「その泉には湯気が立っていて、温かいらしい。さらに水の中にはミスリルが眠っている可能性があるのだ。詳しく調べたいのだが……」
「つまり、温泉があったのか⁉︎」
この世界に来てから、温泉の話を聞いたのは初めてだ。別にめちゃくちゃ好きってわけでもないんだが、入れないってなると入りたくなるんだよなあ、これが。
リドアートは、ふむ、と顎に指先を添えて考え込んだ。
「温泉……なるほど、ピッタリな名前ではないか! これからはその泉を、温泉と呼ぶことにしよう」
書類を読み終えたカイルは、俺にも紙を寄越してくれる。
なになに、調査隊は五名中三名が負傷、調査続行は不可能と判断。未知の泉を調査している最中に、大きな爬虫類のような魔物におそわれた。
「なんだ、大きな爬虫類って」
「その魔物は翼を持っていて、巨大な図体をしているくせに空を飛び回るらしい。どうやら温泉付近をナワバリにしているようだ」
へえ、話を聞く限り、ドラゴンっぽい感じじゃねえか。この世界にはドラゴンがいるのかと思うとワクワクしてきた。
「ふうん。そいつは倒してほしいのか?」
「魔人と見れば例外なく襲ってくるようなら、倒してしまって構わないよ」
報酬も出るみてえだし、未知の生き物も気になる。それになんと言っても、温泉に入れるかもしれねえんだ。この依頼は受けてみたいな。
「カイル、もう少し詳しく話を聞いてみないか」
「乗り気だな。まあいいが」
「リッド叔父さん、期限とかはあるのか? 俺たち、一応クレミア母さんとか、エイダンたちに会いに来たんだが」
「特に期限は設けていないから、気楽に取りかかってくれたまえ」
リドアートは席を立つと、来客用テーブルに移動し指を鳴らしながら、インベントリからお茶を取り出した。
「まあ、かけたまえよ」
「邪魔するぜ」
お茶を飲みながら、詳しい条件などを聞いて正式に依頼を受けると決めた。
温泉が人体に有毒かどうか、ミスリルらしき鉱物はどの程度あるのか調べてくればいいらしい。それくらいならお安いご用だ。
おじさんは優雅に茶をすすると話題を変える。
「クレミアに会いに来たのだな。我が愛しの婚約者は、二日ほど前から息子くんと過ごすために、休暇をとっているよ」
婚約者と発音するときに、やたらと気合いが入っていたな。
よっぽど嬉しいんだなあ。そりゃ人生の大半を片思いしてた相手と結ばれたんだし、そうなるのも自然か。
「ということは、城にはいないのか」
「今日は城下町に行くと聞いているから、行けば会えるのではないか?」
熊と猫の獣人を見なかったかと聞けば、一発でわかりそうだ。獣人王国と国交が回復したと言っても、獣人の旅行者自体はまだまだ少ないし。
「なるほどな、なら行ってみるか」
「待ちたまえハニーくんよ」
「なんだ、俺にも用事があんのか?」
「用事と言うわけではないが、その服装……」
リドアートが渋面を作りなにかを言いかけた時、部屋に来客があった。
「誰かね?」
「キエルステンでございます、陛下」
「ほう、ちょうどよいところに。入りたまえ」
ちょ、なに考えてんだよリドアート! キエルに会っちまったら……止める間もなく扉が開き、キエルステンと目があった。
壮年の紳士は俺の姿を見るなり、目の前に来て跪き、臣下の礼をとる。
「イツキ殿下、お帰りを待ちわびておりました」
「帰ってきてねえってば」
「そうなのですか? てっきり本日のお召し物は、魔王として舞い戻る決意証明かと思ったのですが」
緋色のコートはなるほど、俺が魔王時代に来ていたマントの色と同じだ。雰囲気もなんとなく似ている。
リドアートは腕を組み、うんうんと頷いている。
「やはりそういう印象を与えると思った。キエルもそう感じるのだな」
「ええ、威厳と高貴さを感じさせる緋色は、イツキ殿下によくお似合いでございます」
違うって、そういう意図で着てるわけじゃねえんだ。俺はため息を吐きながら、長耳を指先でつまむ。
「だから、何度も言ってるけど俺は、本当は魔人じゃねえんだよ」
「例えイツキ殿下が可愛らしい兎獣人だとしても、私の忠誠心はいかほどにも変わりません。貴方が成した偉業は、それほどまでに素晴らしい」
うーん、信頼されるのも期待されるのも嬉しいが、残念ながら俺は魔王に戻る気はいっさいない。
まあ、その割には叔父さんから頼まれた仕事は引き受けるし、こっちから施策について口を突っ込むこともあるから、キエルとしてはワンチャン狙っちまうんだろうなあ。
困ってるヤツがいるって思うと、どうにかしなきゃってつい動いちまうんだよな。こればっかりは性分だ。
キエルステンは俺の反応が芳しくないとわかると、カイルに狙いを定めた。
「カイル殿下におかれましては、お加減はいかがでしょうか」
「変わりない」
「それはよろしゅうございました」
「イツキは魔王に戻らない。もちろん俺にもその気はない」
「本当にないのかね? もったいない、君たちが力をあわせれば、善政を敷くよき君主となれるだろうに」
おいおい、叔父さんまでなにを言いだすんだ。
「アンタとクレミア母さんの方が、適任だと思うぜ」
確かに俺は魔酵母を広めたり、獣人王国との国交を回復するために、一時的に魔王をやったわけだが。
あの時は、カイルの悩みを解消してやりたくてそうしただけだ。今後は魔人であるあんたが、魔王をやる方がいいに決まってる。
もう話は終わったなと席を立つと、立ち上がったキエルステンが残念そうに嘆く。
「願わくば、お茶を飲みながら語り合う時間をいただけると嬉しいのですが」
「勧誘しないならいつでも誘ってくれよ」
「まったく、ひどいお人だ」
別にひどくねえだろ、自衛してるだけだって。
だって宣言しておかないと、イツキ殿下、せめて議会へご参加くださいって、しつこく勧誘してくるじゃねえか。わかってるんだからな。
部屋を出る前に、カイルはインベントリから紙を取り出した。
「リドアート、これを読んでおいてほしい」
「なんだねこれは、獣人王国における奴隷問題対応案……ああー、そうだな、これについても考えなくてはと思っていた。気を回してくれてありがとう、カイル! さすが私の自慢の甥っ子だ」
「フン」
カイルは鼻を鳴らして顔を背ける。尻尾がゆらゆらと、落ち着きなく揺れていた。
「それじゃ、城下町に行ってくる」
「ああ、クレミアによろしく伝えておくれ。君の帰りを待ち侘びていると」
「はいはい、わかったよ。じゃあな」
一時もクレミアと離れたくないリドアートの様子にクスリと微笑みながら、執務室を後にした。
つっても、ひと月前に新作料理を食べるために観光に行ったばかりだけどな。
結構頻繁にリッドおじさんからも呼び出されていたし、気合いを入れて行かなきゃならねえ場所じゃない。
俺は実験室の魔法陣に異常がないことを確かめてから、カイルの手を引いた。
「よし、行くか」
「ああ」
二人同時に、魔法陣の中へと足を踏み入れる。魔力を注ぐとゆらりと景色が歪みだす。瞬きを二回し終えた頃には、魔王城の一室へと移動していた。
「こっちはまだ肌寒いな」
部屋から窓の外を見たが、衛兵たちはまだコートを着て勤務をしている。
プルテリオンの首都シャルワールは、俺たちが住んでいるマーシャルよりも寒い気候なんだよな。ぶるりと肩を震わせた。
「着ておけ」
カイルはインベントリから取りだしたコートを、俺に差し出した。ありがたく受け取って、深い緋色のコートに腕を通す。
内側が白くふわふわした生地で覆われているので、とても温かい。このコートは冬の間にカイルがプレゼントしてくれた物だ。
「おお、あったけえ。ありがとなカイル。今の時間だったら、執務室に行けばリッドおじさんに会えるよな?」
「普段通りならそうだろう」
前ボタンを締めるほどの寒さではないので、前を開けたまま歩き出す。
アーガイル柄の大理石の廊下を二度ほど曲がると、リドアートの執務室についた。
ノックをすると、中からカイルと似た声が返ってくる。
「誰かね?」
「叔父さん、俺だよ」
「おお、ハニーくんか! 入りたまえ」
許可を得たので扉を押し開き、室内に足を踏み入れる。リドアートは執務机の前で立ち上がり、黒褐色の瞳を輝かせながら、両手を開いて出迎えた。
「やあやあやあ二人とも、元気にしていたかい?」
「ああ。そっちはどうだ、忙しいのか」
「ダンジョンを無事に閉鎖し終えたからね。やっと落ち着いてきたところだ。ところでカイル!」
リッド叔父さんは、赤茶の髪を後ろに撫でつけると、その手をひるがえしてビシッとカイルに指を突きつけた。カイルは嫌そうに顔をしかめる。
「君に話がある!」
「俺にはない」
「いいから聞きたまえ、短気は損だぞ? 実はだな、君を見込んで頼みたいことがあるのだ」
「断る」
「まだなにも言っていないだろう! せめて話を聞いてから断りたまえ!」
まったく、とリドアートは額に手を当てて大袈裟に嘆きながら、机の上に積んである書類の中から一枚の紙を取り出した。
「これを見てほしい」
カイルは差し出された紙を、眉をしかめながら受け取る。叔父さんは得意げに説明をしはじめた。
「北方の地には、まだまだ未開拓の地域があるのは聞いたことがあるだろう? 実は新しく調査した北方の地で、面白い泉が見つかったのだ」
「へえ、どんな泉なんだ?」
「その泉には湯気が立っていて、温かいらしい。さらに水の中にはミスリルが眠っている可能性があるのだ。詳しく調べたいのだが……」
「つまり、温泉があったのか⁉︎」
この世界に来てから、温泉の話を聞いたのは初めてだ。別にめちゃくちゃ好きってわけでもないんだが、入れないってなると入りたくなるんだよなあ、これが。
リドアートは、ふむ、と顎に指先を添えて考え込んだ。
「温泉……なるほど、ピッタリな名前ではないか! これからはその泉を、温泉と呼ぶことにしよう」
書類を読み終えたカイルは、俺にも紙を寄越してくれる。
なになに、調査隊は五名中三名が負傷、調査続行は不可能と判断。未知の泉を調査している最中に、大きな爬虫類のような魔物におそわれた。
「なんだ、大きな爬虫類って」
「その魔物は翼を持っていて、巨大な図体をしているくせに空を飛び回るらしい。どうやら温泉付近をナワバリにしているようだ」
へえ、話を聞く限り、ドラゴンっぽい感じじゃねえか。この世界にはドラゴンがいるのかと思うとワクワクしてきた。
「ふうん。そいつは倒してほしいのか?」
「魔人と見れば例外なく襲ってくるようなら、倒してしまって構わないよ」
報酬も出るみてえだし、未知の生き物も気になる。それになんと言っても、温泉に入れるかもしれねえんだ。この依頼は受けてみたいな。
「カイル、もう少し詳しく話を聞いてみないか」
「乗り気だな。まあいいが」
「リッド叔父さん、期限とかはあるのか? 俺たち、一応クレミア母さんとか、エイダンたちに会いに来たんだが」
「特に期限は設けていないから、気楽に取りかかってくれたまえ」
リドアートは席を立つと、来客用テーブルに移動し指を鳴らしながら、インベントリからお茶を取り出した。
「まあ、かけたまえよ」
「邪魔するぜ」
お茶を飲みながら、詳しい条件などを聞いて正式に依頼を受けると決めた。
温泉が人体に有毒かどうか、ミスリルらしき鉱物はどの程度あるのか調べてくればいいらしい。それくらいならお安いご用だ。
おじさんは優雅に茶をすすると話題を変える。
「クレミアに会いに来たのだな。我が愛しの婚約者は、二日ほど前から息子くんと過ごすために、休暇をとっているよ」
婚約者と発音するときに、やたらと気合いが入っていたな。
よっぽど嬉しいんだなあ。そりゃ人生の大半を片思いしてた相手と結ばれたんだし、そうなるのも自然か。
「ということは、城にはいないのか」
「今日は城下町に行くと聞いているから、行けば会えるのではないか?」
熊と猫の獣人を見なかったかと聞けば、一発でわかりそうだ。獣人王国と国交が回復したと言っても、獣人の旅行者自体はまだまだ少ないし。
「なるほどな、なら行ってみるか」
「待ちたまえハニーくんよ」
「なんだ、俺にも用事があんのか?」
「用事と言うわけではないが、その服装……」
リドアートが渋面を作りなにかを言いかけた時、部屋に来客があった。
「誰かね?」
「キエルステンでございます、陛下」
「ほう、ちょうどよいところに。入りたまえ」
ちょ、なに考えてんだよリドアート! キエルに会っちまったら……止める間もなく扉が開き、キエルステンと目があった。
壮年の紳士は俺の姿を見るなり、目の前に来て跪き、臣下の礼をとる。
「イツキ殿下、お帰りを待ちわびておりました」
「帰ってきてねえってば」
「そうなのですか? てっきり本日のお召し物は、魔王として舞い戻る決意証明かと思ったのですが」
緋色のコートはなるほど、俺が魔王時代に来ていたマントの色と同じだ。雰囲気もなんとなく似ている。
リドアートは腕を組み、うんうんと頷いている。
「やはりそういう印象を与えると思った。キエルもそう感じるのだな」
「ええ、威厳と高貴さを感じさせる緋色は、イツキ殿下によくお似合いでございます」
違うって、そういう意図で着てるわけじゃねえんだ。俺はため息を吐きながら、長耳を指先でつまむ。
「だから、何度も言ってるけど俺は、本当は魔人じゃねえんだよ」
「例えイツキ殿下が可愛らしい兎獣人だとしても、私の忠誠心はいかほどにも変わりません。貴方が成した偉業は、それほどまでに素晴らしい」
うーん、信頼されるのも期待されるのも嬉しいが、残念ながら俺は魔王に戻る気はいっさいない。
まあ、その割には叔父さんから頼まれた仕事は引き受けるし、こっちから施策について口を突っ込むこともあるから、キエルとしてはワンチャン狙っちまうんだろうなあ。
困ってるヤツがいるって思うと、どうにかしなきゃってつい動いちまうんだよな。こればっかりは性分だ。
キエルステンは俺の反応が芳しくないとわかると、カイルに狙いを定めた。
「カイル殿下におかれましては、お加減はいかがでしょうか」
「変わりない」
「それはよろしゅうございました」
「イツキは魔王に戻らない。もちろん俺にもその気はない」
「本当にないのかね? もったいない、君たちが力をあわせれば、善政を敷くよき君主となれるだろうに」
おいおい、叔父さんまでなにを言いだすんだ。
「アンタとクレミア母さんの方が、適任だと思うぜ」
確かに俺は魔酵母を広めたり、獣人王国との国交を回復するために、一時的に魔王をやったわけだが。
あの時は、カイルの悩みを解消してやりたくてそうしただけだ。今後は魔人であるあんたが、魔王をやる方がいいに決まってる。
もう話は終わったなと席を立つと、立ち上がったキエルステンが残念そうに嘆く。
「願わくば、お茶を飲みながら語り合う時間をいただけると嬉しいのですが」
「勧誘しないならいつでも誘ってくれよ」
「まったく、ひどいお人だ」
別にひどくねえだろ、自衛してるだけだって。
だって宣言しておかないと、イツキ殿下、せめて議会へご参加くださいって、しつこく勧誘してくるじゃねえか。わかってるんだからな。
部屋を出る前に、カイルはインベントリから紙を取り出した。
「リドアート、これを読んでおいてほしい」
「なんだねこれは、獣人王国における奴隷問題対応案……ああー、そうだな、これについても考えなくてはと思っていた。気を回してくれてありがとう、カイル! さすが私の自慢の甥っ子だ」
「フン」
カイルは鼻を鳴らして顔を背ける。尻尾がゆらゆらと、落ち着きなく揺れていた。
「それじゃ、城下町に行ってくる」
「ああ、クレミアによろしく伝えておくれ。君の帰りを待ち侘びていると」
「はいはい、わかったよ。じゃあな」
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