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83.ルームシェアのベータが突然アルファになった
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朝起きたら、ルームシェアの相手が突然アルファになっていた。
自分はオメガだけど彼はベータだから、今まで上手くやってこれたのに。
「僕のフェロモンやばいかな? 発情期がそろそろ来る予定だけど」
「ビンビンきてる。襲いそう」
「やめて、心からやめて友よ」
早急に引越し先を探さなければ。しかし節約したいからルームシェアをしているのであって、住居代の出費が痛い。
あーでもないこうでもないと探すが、いい物件が見つからないうちに発情期に突入した。
「ごめん……ホテル、取るから。とりあえずそこで過ごすよ」
「こんなフラフラなお前に、外で泊まってこいなんて言えるか! 俺が出るよ」
「でも、体調が安定してないのに……」
アルファになりたての元ベータは、体調を崩しがちだった。
結局、同じマンションの中で部屋にこもって過ごすことになる。
「ぅ……あつ、い」
同じ家にアルファの気配があるのは、想像以上にキツかった。一時たりとも気が抜けない。
抑制剤を多めに飲んで過ごしていたが、仕事で疲れて帰った日、うっかり風呂場で出くわしてしまう。
「……っ!」
元ベータは脱ぐといい体をしている。
厚い胸板にフラフラと引き寄せられて、服がずぶ濡れになってしまう。
「どわーっ!? な、な、何してんのオメガちゃん!」
「ごめん、俺もビンビンきちゃった……」
「ヤバイって、本気で……やば、い」
濡れた肌、上気した頬、普段ふざけあってばかりいた同居人の色っぽい一面を目の当たりにして、元ベータの喉が鳴る。
「……いやいやいや! まずいって!」
「ちょっとだけ……抜きあいっこ、する?」
「……! する!」
誘われて速攻で手のひらを返した元ベータと、アレを擦りあわけて発散をする。
お互いに、この程度なら友達でもやるよねと誤魔化しながら。
後ろが疼くけれど、それだけは絶対に口に出さず毎晩抜きあいっこをした。
やっと発情期が終わり、日常が戻ってくるはずだったのに、ちっとも動悸が治まらない。
元ベータと食事をする時にふと舌が見えたり「風呂入ってくる」の一言に動揺したりと、まるで恋する乙女のような自身の感情に振り回された。
元ベータの方もぎこちなく、ちょっとでもオメガが薄着しようものなら上着を被せられるし、目が合うといちいち赤面される。
お互いに意識しまくるが、そんな関係が嫌じゃなくて。
引越しをしないまま、次の発情期になった。
オメガはもう元ベータが欲しくてたまらなくなり、ふやけた頭で「好き、好き、いれて」と言ってしまう。
普段はおちゃらけた態度の元ベータが、この時ばかりは真顔になって、余裕なく突き入れてくる。
「俺も、好きだ。どうしよう、好きになっちまった。友達なのに……」
「ん、恋人になろ? なって……っ!」
激しく愛しあった翌日、逃げるようにして出かけた元ベータが薔薇の花束を持って帰ってくる。
「オメガちゃんを俺にください!」
「ふふっ、親への挨拶じゃないんだから……こちらこそ、よろしくお願いします」
友達同士のルームシェアから愛の巣に変わった部屋には、薔薇の匂いとフェロモンと、幸せの香りが溢れている。
自分はオメガだけど彼はベータだから、今まで上手くやってこれたのに。
「僕のフェロモンやばいかな? 発情期がそろそろ来る予定だけど」
「ビンビンきてる。襲いそう」
「やめて、心からやめて友よ」
早急に引越し先を探さなければ。しかし節約したいからルームシェアをしているのであって、住居代の出費が痛い。
あーでもないこうでもないと探すが、いい物件が見つからないうちに発情期に突入した。
「ごめん……ホテル、取るから。とりあえずそこで過ごすよ」
「こんなフラフラなお前に、外で泊まってこいなんて言えるか! 俺が出るよ」
「でも、体調が安定してないのに……」
アルファになりたての元ベータは、体調を崩しがちだった。
結局、同じマンションの中で部屋にこもって過ごすことになる。
「ぅ……あつ、い」
同じ家にアルファの気配があるのは、想像以上にキツかった。一時たりとも気が抜けない。
抑制剤を多めに飲んで過ごしていたが、仕事で疲れて帰った日、うっかり風呂場で出くわしてしまう。
「……っ!」
元ベータは脱ぐといい体をしている。
厚い胸板にフラフラと引き寄せられて、服がずぶ濡れになってしまう。
「どわーっ!? な、な、何してんのオメガちゃん!」
「ごめん、俺もビンビンきちゃった……」
「ヤバイって、本気で……やば、い」
濡れた肌、上気した頬、普段ふざけあってばかりいた同居人の色っぽい一面を目の当たりにして、元ベータの喉が鳴る。
「……いやいやいや! まずいって!」
「ちょっとだけ……抜きあいっこ、する?」
「……! する!」
誘われて速攻で手のひらを返した元ベータと、アレを擦りあわけて発散をする。
お互いに、この程度なら友達でもやるよねと誤魔化しながら。
後ろが疼くけれど、それだけは絶対に口に出さず毎晩抜きあいっこをした。
やっと発情期が終わり、日常が戻ってくるはずだったのに、ちっとも動悸が治まらない。
元ベータと食事をする時にふと舌が見えたり「風呂入ってくる」の一言に動揺したりと、まるで恋する乙女のような自身の感情に振り回された。
元ベータの方もぎこちなく、ちょっとでもオメガが薄着しようものなら上着を被せられるし、目が合うといちいち赤面される。
お互いに意識しまくるが、そんな関係が嫌じゃなくて。
引越しをしないまま、次の発情期になった。
オメガはもう元ベータが欲しくてたまらなくなり、ふやけた頭で「好き、好き、いれて」と言ってしまう。
普段はおちゃらけた態度の元ベータが、この時ばかりは真顔になって、余裕なく突き入れてくる。
「俺も、好きだ。どうしよう、好きになっちまった。友達なのに……」
「ん、恋人になろ? なって……っ!」
激しく愛しあった翌日、逃げるようにして出かけた元ベータが薔薇の花束を持って帰ってくる。
「オメガちゃんを俺にください!」
「ふふっ、親への挨拶じゃないんだから……こちらこそ、よろしくお願いします」
友達同士のルームシェアから愛の巣に変わった部屋には、薔薇の匂いとフェロモンと、幸せの香りが溢れている。
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