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90.やったー、俺オメガだ!
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「やったー! 俺オメガだった!」
「え、マジで? いいなあ、毎日贅沢し放題じゃん」
貴重なオメガはアルファと番わせるべく、コロニーに移されて教育を受ける世界。
教育と言ってもオメガの能力でこなせる簡単なもので、負担にはならない。
将来エリートであるアルファと生活を共にする時戸惑わないために、生活レベルが上がる。
小さい頃からご近所では美少年で通っていた、元気なオメガはガッツポーズをした。
「俺はすんげーアルファを捕まえて、玉の輿に乗ってやる!」
「おお、その息だぜ!」
意気揚々とコロニーに移り住んだ元気くんは仰天した。
自分以上の美少年がゴロゴロいるのである。
女子棟にいる美少女はこれ以上に美麗で、眩しすぎて目が潰れるほどの美人揃いだと聞いた。
「ま、負けた……」
元気くんはすっかり自信を無くして、コロニーの中でも地味な子達と友達になり、隅っこぐらしをしていた。
「僕と番ってくれるアルファはどんな人かなあ、優しくて趣味があう人だといいな」
「あーそうだなー」
「元気くんはどんな人がいいの?」
「俺は別に、誰でもいいっていうか」
そもそも相手にしてもらえるかわかんないし、とごにょごにょ言葉を濁していたら、光り輝くイケメンがやってきた。
「やあ、はじめまして」
「え、貴方はアルファの中でも最高に優秀だと噂の、皇帝様!」
なんだそれ。見上げると、バッチリ目があった。
皇帝の目が細められる。
「見つけた。君がいいな」
「え、は?」
「僕の番になってよ」
突然皇帝とやらに粉をかけられ、まともに言葉が返せない。
彼は元気くんの頬にキスを落として「迎えにくるから」と帰っていった。
コロニーはもう大騒ぎ。なんでアイツが!? と顔を見にくるオメガ達により、元気くんの周囲はうるさくなった。
そのうちに文句を言うものも現れる。
「なんでこんなちんちくりんが皇帝に選ばれるわけ? 僕の方がかわいいのに!」
「そうだそうだ!」
「いや、知らねえよ……」
面倒に思った元気くんは、皇帝の番を断ろうと思った。
なんか一方的に宣言されて訳わからんし、確かに分不相応だと自分でも思う。
(いや、ちょっとはカッコいいなと思ったけど……どうせからかわれてるに決まってるし)
月に一度設けられる交流会の席で断ってやった。
なのに、彼はますます熱心に口説いてくるようになる。
「振られるなんて思ってもみなかった、ますます燃えてきたよ。絶対に落とすから覚悟して」
「い、いやだー!」
やる気に満ち溢れた皇帝による、息もつけないほどの猛攻でぐらっぐらに気持ちが揺さぶられて、結局よくわからないまま流されて受け入れてしまう元気くん。
いざ番になってコロニーから出て彼の豪邸に住み始めると、皇帝は釣った魚に餌をやりすぎるタイプだったらしい。
毎日のように足腰立たなくなるまで愛されて、こんなはずじゃなかったのになあと思いながらも、なんだかんだ満たされている元気くんであった。
「え、マジで? いいなあ、毎日贅沢し放題じゃん」
貴重なオメガはアルファと番わせるべく、コロニーに移されて教育を受ける世界。
教育と言ってもオメガの能力でこなせる簡単なもので、負担にはならない。
将来エリートであるアルファと生活を共にする時戸惑わないために、生活レベルが上がる。
小さい頃からご近所では美少年で通っていた、元気なオメガはガッツポーズをした。
「俺はすんげーアルファを捕まえて、玉の輿に乗ってやる!」
「おお、その息だぜ!」
意気揚々とコロニーに移り住んだ元気くんは仰天した。
自分以上の美少年がゴロゴロいるのである。
女子棟にいる美少女はこれ以上に美麗で、眩しすぎて目が潰れるほどの美人揃いだと聞いた。
「ま、負けた……」
元気くんはすっかり自信を無くして、コロニーの中でも地味な子達と友達になり、隅っこぐらしをしていた。
「僕と番ってくれるアルファはどんな人かなあ、優しくて趣味があう人だといいな」
「あーそうだなー」
「元気くんはどんな人がいいの?」
「俺は別に、誰でもいいっていうか」
そもそも相手にしてもらえるかわかんないし、とごにょごにょ言葉を濁していたら、光り輝くイケメンがやってきた。
「やあ、はじめまして」
「え、貴方はアルファの中でも最高に優秀だと噂の、皇帝様!」
なんだそれ。見上げると、バッチリ目があった。
皇帝の目が細められる。
「見つけた。君がいいな」
「え、は?」
「僕の番になってよ」
突然皇帝とやらに粉をかけられ、まともに言葉が返せない。
彼は元気くんの頬にキスを落として「迎えにくるから」と帰っていった。
コロニーはもう大騒ぎ。なんでアイツが!? と顔を見にくるオメガ達により、元気くんの周囲はうるさくなった。
そのうちに文句を言うものも現れる。
「なんでこんなちんちくりんが皇帝に選ばれるわけ? 僕の方がかわいいのに!」
「そうだそうだ!」
「いや、知らねえよ……」
面倒に思った元気くんは、皇帝の番を断ろうと思った。
なんか一方的に宣言されて訳わからんし、確かに分不相応だと自分でも思う。
(いや、ちょっとはカッコいいなと思ったけど……どうせからかわれてるに決まってるし)
月に一度設けられる交流会の席で断ってやった。
なのに、彼はますます熱心に口説いてくるようになる。
「振られるなんて思ってもみなかった、ますます燃えてきたよ。絶対に落とすから覚悟して」
「い、いやだー!」
やる気に満ち溢れた皇帝による、息もつけないほどの猛攻でぐらっぐらに気持ちが揺さぶられて、結局よくわからないまま流されて受け入れてしまう元気くん。
いざ番になってコロニーから出て彼の豪邸に住み始めると、皇帝は釣った魚に餌をやりすぎるタイプだったらしい。
毎日のように足腰立たなくなるまで愛されて、こんなはずじゃなかったのになあと思いながらも、なんだかんだ満たされている元気くんであった。
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