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第64話 ご近所さん
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エルダーロックの村は確実に人口が増えつつあった。
農業系ドワーフグループの移住によって増えた事もあるが、それ以外にも大鼠族の情報網によって異種族にも注目を浴びるようになり、ぽつぽつと一人者や異種族の恋人同士で行く当てがない者などが、最後の綱とばかりに訪れてくるのだ。
その中の一組が、エルフと猫人族のカップルだった。
エルフと獣人族の組み合わせだけでも驚くのだが、さらにドワーフとは犬猿の仲であるエルフがこのドワーフの村を頼ってやってきた事が一番の驚きである。
コウはそんな異色のカップルを自分の家の近くに何棟か作られていたうちの一つの空き家に案内した。
エルフに配慮して村から少し離れた家の方が落ち着くだろうとの判断で、村長のヨーゼフが、近所であるコウに道案内を頼んだのだ。
エルフはアルミナスと名乗った。
彼女の猫人族は、キナコと言うそうで、二人はドワーフの村という事で、不安が隠せないのかピッタリと引っ付いている。
「この村は人族の少年もいるのだな」
エルフのアルミナスは、コウを見かけで人族だと思ったのかそう猫人族の彼女に言うように感想を漏らした。
「あ、僕はドワーフですよ。人族との混血なので見た目はこんなですけど、成人しています」
コウはいつもの事なので笑って応じた。
「それはすまない! ……そうか君もドワーフなのか。それにしては雰囲気がドワーフらしくないな」
エルフのアルミナスとしては、誉め言葉のつもりで言う。
エルフにとってはドワーフは相性が悪い相手だから、どうしてもその容姿についても言い争いの一つになる。
だから、彼らにとってはドワーフらしくないというのは誉め言葉なのだ。
「あはは……。それは、よく言われます。でも、僕はドワーフの一員として今は、胸を張って生きてますよ」
コウはエルフのアルミナスに胸を張ってそう答えた。
「あ……、またしてもすまない。ここはドワーフの村。君もドワーフなのだから、らしくないという言葉は誉め言葉ではないな……。どうにも私はエルフとしての価値観が抜けないようだ。この村で生活すると決めた以上、これではいけないな」
エルフのアルミナスはコウに謝ると、反省する。
彼女のキナコはそんな彼氏の背中をさすって励ました。
「気にしていないので大丈夫ですよ。──ここが村長に許可されたお二人向けの家です。最近できた新築なので、大きな問題はないと思いますが、間取りなど気に入らないようでしたら、おっしゃってください」
コウは二人に気を遣ってそう答えた。
「いや、僕達二人にはもったいないくらい良い家だと思う、ありがとう。──キナコ、君もここでいいかな? 僕は満足なんだが?」
「はい。私もここで満足です、アル」
猫人族のキナコはエルフのアルミナスをアルと呼んでいるようで、ホッとした様子を見せていた。
「お二人は周囲の反対を押し切ってここに来られたんですっけ?」
コウは村長ヨーゼフから簡単な事情だけ聞いていたので、本人から聞く事にした。
これから近所付き合いするのだから、当然の質問である。
「ええ。僕も彼女も周囲に反対されたんですよ。それに僕は親からの命令で人族の貴族の令嬢と婚約させられそうになり、村を飛び出すしかなかった。彼女はそんな僕についていくと言ってくれたんです」
アルミナスはそう言うと、キナコの手を握って微笑む。
エルフのアルミナスの見た目は確かにイケメンと言っていい美男子だ。
人族の面食いな女性なら、種族の違いがあってもこれは惚れる相手だろう。
「貴族の令嬢を袖にしたとなると、騒ぎになってるかもしれないですね」
コウは二人の今後を考えるとその点は気になった。
「それは大丈夫ですよ。婚約前の段階でしたし……。それに父と貴族との間で決めかけていた話ですが、正式に決まる前に家を出たので相手の女性の名が傷つく事にはならないと思います」
アルミナスは今後の事も考え、早い決断をして飛び出してきたようであった。
女性の方は大丈夫でも親の貴族の方が怒っている可能性は高い。
「そうですか……」
それ以上はコウも指摘しなかった。
彼女のいる前でそこまで指摘するのは酷だろうと思ったのだ。
「大丈夫ですよ。父は頭がいいので、今頃、別の人物を用意している可能性もありますから」
アルミナスはコウが考えていた事を推察してそう応じた。
どうやら頭も切れる人のようだ。
これから仲良くできるかもしれない。
「あ、そうだ。僕の同居人は、ダークエルフの混血でララノアと言います。また、あとで紹介しますが、先に言っておきますね」
コウはエルフとダークエルフとではドワーフ同様そりが合わない事が多い種族なので、はじめに注意がてら言っておく。
「ダークエルフ? 僕はダークエルフの種族については会った事がないので、全く気にならないと思います。お気遣いありがとうございます。──はははっ。良い意味でコウさん、やはりあなたは変わっていると思う」
アルミナスは、全く粗野な部分がない気遣いが出来るコウに好印象を抱いたのかそう応じた。
「はははっ! よく言われます。──アルミナスさん、僕に敬称はいらないです。コウでお願いします」
コウはどうしても前世の日本人の気質があるから、どうしても相手の気持ちを察して気遣いをしてしまう。
だが、その事は誇りでもあったから、直す気はない。
「僕の事も敬称は必要ないです。アルでお願いします」
エルフのアルミナスは、笑顔で応じるとコウと握手を交わす。
「アル、あなた……。エルフの中では変わり者って言われてませんでしたか?」
コウはこの人が良さそうなエルフに思わず、思った事を口にした。
「はははっ! バレましたか。確かに僕は村で変わり者扱いでした! でも、よくわかりましたね?」
エルフのアルミナスはコウの失礼な質問にも笑顔で応じる。
「僕も同じタイプなので」
コウはこの長い付き合いになりそうなカップルと笑い合うと、話に花を咲かせるのであった。
農業系ドワーフグループの移住によって増えた事もあるが、それ以外にも大鼠族の情報網によって異種族にも注目を浴びるようになり、ぽつぽつと一人者や異種族の恋人同士で行く当てがない者などが、最後の綱とばかりに訪れてくるのだ。
その中の一組が、エルフと猫人族のカップルだった。
エルフと獣人族の組み合わせだけでも驚くのだが、さらにドワーフとは犬猿の仲であるエルフがこのドワーフの村を頼ってやってきた事が一番の驚きである。
コウはそんな異色のカップルを自分の家の近くに何棟か作られていたうちの一つの空き家に案内した。
エルフに配慮して村から少し離れた家の方が落ち着くだろうとの判断で、村長のヨーゼフが、近所であるコウに道案内を頼んだのだ。
エルフはアルミナスと名乗った。
彼女の猫人族は、キナコと言うそうで、二人はドワーフの村という事で、不安が隠せないのかピッタリと引っ付いている。
「この村は人族の少年もいるのだな」
エルフのアルミナスは、コウを見かけで人族だと思ったのかそう猫人族の彼女に言うように感想を漏らした。
「あ、僕はドワーフですよ。人族との混血なので見た目はこんなですけど、成人しています」
コウはいつもの事なので笑って応じた。
「それはすまない! ……そうか君もドワーフなのか。それにしては雰囲気がドワーフらしくないな」
エルフのアルミナスとしては、誉め言葉のつもりで言う。
エルフにとってはドワーフは相性が悪い相手だから、どうしてもその容姿についても言い争いの一つになる。
だから、彼らにとってはドワーフらしくないというのは誉め言葉なのだ。
「あはは……。それは、よく言われます。でも、僕はドワーフの一員として今は、胸を張って生きてますよ」
コウはエルフのアルミナスに胸を張ってそう答えた。
「あ……、またしてもすまない。ここはドワーフの村。君もドワーフなのだから、らしくないという言葉は誉め言葉ではないな……。どうにも私はエルフとしての価値観が抜けないようだ。この村で生活すると決めた以上、これではいけないな」
エルフのアルミナスはコウに謝ると、反省する。
彼女のキナコはそんな彼氏の背中をさすって励ました。
「気にしていないので大丈夫ですよ。──ここが村長に許可されたお二人向けの家です。最近できた新築なので、大きな問題はないと思いますが、間取りなど気に入らないようでしたら、おっしゃってください」
コウは二人に気を遣ってそう答えた。
「いや、僕達二人にはもったいないくらい良い家だと思う、ありがとう。──キナコ、君もここでいいかな? 僕は満足なんだが?」
「はい。私もここで満足です、アル」
猫人族のキナコはエルフのアルミナスをアルと呼んでいるようで、ホッとした様子を見せていた。
「お二人は周囲の反対を押し切ってここに来られたんですっけ?」
コウは村長ヨーゼフから簡単な事情だけ聞いていたので、本人から聞く事にした。
これから近所付き合いするのだから、当然の質問である。
「ええ。僕も彼女も周囲に反対されたんですよ。それに僕は親からの命令で人族の貴族の令嬢と婚約させられそうになり、村を飛び出すしかなかった。彼女はそんな僕についていくと言ってくれたんです」
アルミナスはそう言うと、キナコの手を握って微笑む。
エルフのアルミナスの見た目は確かにイケメンと言っていい美男子だ。
人族の面食いな女性なら、種族の違いがあってもこれは惚れる相手だろう。
「貴族の令嬢を袖にしたとなると、騒ぎになってるかもしれないですね」
コウは二人の今後を考えるとその点は気になった。
「それは大丈夫ですよ。婚約前の段階でしたし……。それに父と貴族との間で決めかけていた話ですが、正式に決まる前に家を出たので相手の女性の名が傷つく事にはならないと思います」
アルミナスは今後の事も考え、早い決断をして飛び出してきたようであった。
女性の方は大丈夫でも親の貴族の方が怒っている可能性は高い。
「そうですか……」
それ以上はコウも指摘しなかった。
彼女のいる前でそこまで指摘するのは酷だろうと思ったのだ。
「大丈夫ですよ。父は頭がいいので、今頃、別の人物を用意している可能性もありますから」
アルミナスはコウが考えていた事を推察してそう応じた。
どうやら頭も切れる人のようだ。
これから仲良くできるかもしれない。
「あ、そうだ。僕の同居人は、ダークエルフの混血でララノアと言います。また、あとで紹介しますが、先に言っておきますね」
コウはエルフとダークエルフとではドワーフ同様そりが合わない事が多い種族なので、はじめに注意がてら言っておく。
「ダークエルフ? 僕はダークエルフの種族については会った事がないので、全く気にならないと思います。お気遣いありがとうございます。──はははっ。良い意味でコウさん、やはりあなたは変わっていると思う」
アルミナスは、全く粗野な部分がない気遣いが出来るコウに好印象を抱いたのかそう応じた。
「はははっ! よく言われます。──アルミナスさん、僕に敬称はいらないです。コウでお願いします」
コウはどうしても前世の日本人の気質があるから、どうしても相手の気持ちを察して気遣いをしてしまう。
だが、その事は誇りでもあったから、直す気はない。
「僕の事も敬称は必要ないです。アルでお願いします」
エルフのアルミナスは、笑顔で応じるとコウと握手を交わす。
「アル、あなた……。エルフの中では変わり者って言われてませんでしたか?」
コウはこの人が良さそうなエルフに思わず、思った事を口にした。
「はははっ! バレましたか。確かに僕は村で変わり者扱いでした! でも、よくわかりましたね?」
エルフのアルミナスはコウの失礼な質問にも笑顔で応じる。
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