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第113話 コボルト族との接触
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コウはコボルトの集落近くの岩場にみんなには一時隠れてもらうと、自分一人だけ接触を試みることにした。
コウ自身はベルに跨っているので、何か問題が起きた時には、すぐに逃げることが可能な状態である。
コウが山の方から魔獣である剣歯虎《サーベルタイガー》に跨ってやってきたことにコボルトの一部が気づくと、彼らはコウのことを現地の住人だと思ったのか慌てて数人の者達がコウの下に近づいてきた。
「こ、こんにちはだワン。あの……、もしかしてここ一帯は誰かの土地なのでしょうかワン?」
老いた灰色の毛並みのコボルトがベルに跨ったコウを見上げながら、低姿勢で話しかけてくる。
「いえ、違いますよ。僕は山の方から来た旅人です。上からこの集落が見えたので挨拶でもしようかなと思いまして。──みなさんは、この地に来てどのくらいですか?」
コウは敵意がないことを示して手には武器を持っていないし、ベルにも威嚇しないように言いつけており、興味本位での質問をした。
「儂らは半月ほど前にここに連れてこられて、住むように言われたコボルト族ですワン。みんな住んでいたところを追い出される形で集められたのでここを集落と呼んでいいのかワン……」
老いたコボルトは苦笑してコウの質問に答えてくれる。
他の若いコボルト達はコウに興味を持ったのか数人が集まってきた。
「あんた、人族じゃないワン? 匂いがドワーフだワン。でも、見た目が人族で不思議だワン」
灰色と黒色の毛並みに艶のある若いコボルトがあっさりコウの正体を見破って指摘する。
「ええ。僕はドワーフなんです。よくわかりましたね」
コウは感心するとこの若いコボルトに感心した。
「コボルト族は嗅覚に自信があるワン。風上から他にも匂いが漂ってくるけど、あんたのお仲間なのかワン?」
若いコボルトは余程の嗅覚なのか岩陰に隠れているララノア達の存在にも気づいていた。
「はい。近くに仲間も数人来ているんですが、初めての土地だし、みなさんがどんな人かわからないので僕が一人交渉に来ました。よかったら今日、ここで休ませてもらっていいですか?」
コウはバレている以上、とぼけるのは印象を悪くするだけと考え、正直に答えることにする。
「俺は構わないワン。でも、この集落は本当に出来たばかりで、食糧にも余裕がないワン。その辺りは自分でどうにかしてもらわないといけないけど、それでいいかワン?」
鼻が利く若いコボルトは、快く承諾をする。
だが、別にリーダーをしているという感じでもないので、独断のようだ。
「おいおい、ドッゴ。まずはみんなの確認をとるのだワン。客人を迎えるのはそれからだワン」
老いたコボルトはこの若いコボルト・ドッゴの名を口にして止める。
「なんだよ、オルデンのじいさん。みんな、やる気がないし、好き勝手にやって、最初は五百人いた奴らもすでに百人くらい逃げ出していないワン。彼らが数人ここに泊まると聞いてもこんな状況では多分、誰も反対しないワン」
ドッゴと呼ばれた若者は老いたコボルト・オルデンに現状を口にしてそう告げる。
「こらこら、こちらの内情をよそ者の前で口にするものではないワン。一応、お主からみんなに確認するワン」
オルデンは問題が起きないように確認しておいた方がよいと判断してドッゴにそう注意した。
「……わかったよ。──おーい、みんな、聞いてくれワン! この集落に初めての他所からの客人が来たんだワン。今日はここに泊まりたいというから、泊めることにするワン。反対意見はあるかワン? 無いワン?」
ドッゴは集落の広い範囲に届く大きな声で、そう言うと一応の確認をする。
家々からコボルト達がひょっこりと顔を出し、ドッゴに視線を送るが、問題ないのか反対する者はいないようだ。
「ほら、オルデンのじーさん。誰も反対する者はいないワン。みんな自分の生活だけで必死だから、わざわざ口出す連中はいないワン」
ドッゴはそういうと、コウ達を歓迎することにしたのであった。
ララノア達はコウからの合図を待って、コボルトの集落に入ることにした。
コボルト達はコウ達が剣歯虎を四頭も連れていることに驚いた様子であったが、その剣歯虎達をワグ、グラ、ラルのドワーフ達がしきりに撫でているので、危険はなさそうだと安堵する。
コボルト達は聞いた通りリーダーがおらず、統制を欠いていたが、家族単位では集団を作りつつあるようではあった。
その中で、若いドッゴと老いているオルデンがしっかりしているように映るが、リーダーになる気はないようだ。
「まだ、夜まで時間があるワン。あんたらが今晩寝る家は自分で作るワン。材料は国が前もって用意した材木や道具があるからそれを使用すると良いワン」
ドッゴがこの集落の現状を隠すことなく、国絡みであることを公言する。
オルデンも最早それを否定する気にもなれないのか、溜息を吐くと、
「そういうことだワン。勝手にすると良いワン」
とだけ答えるのであった。
「材料があるのはいいですね。それでは、みんな、今晩の寝床を作るよ」
コウはそう答えると、ベルの背中に乗って集落の一角に積まれた材木や道具を回収に向かう。
残ったララノアや村長の娘カイナ、ワグ、グラ、ラルは土魔法を使って整地を始める。
慣れた様子のララノア達に、ドッゴやオルデンはおろか、近くにいた他のコボルト達は、興味を惹かれて足を止め眺めはじめた。
自分達の作った家は素人丸出しの掘立小屋だったからだ。
だが、コウ達は整地から基礎の組立てなど、おもちゃのブロックを積んでいくように簡単に作っていく。
材木は、コウが大工道具一式を魔法収納鞄から取り出し、早業で加工していき、それをワグ達が慣れた様子で組み立てていくから、それを見ていたコボルト達は自分達の掘立小屋より立派な家があっという間に出来ていく不思議さに目を輝かせるのであった。
屋根はさすがに木の釘で、一枚一枚打ち付けていくので、時間がかかり、完成する時には周囲も暗くなっていくのであったが、今日一晩泊まるだけの代物してはかなり上出来なものだろう。
「それでは、今晩、お世話になります。ドッゴさん、オルデンさん、良かったら夕食一緒に食べませんか? 僕達、多少のお酒も用意してあるので」
コウはそう言うと、出来立てほやほやの家にこの二人のコボルトを招き、楽しい夕食を一緒に過ごすのであった。
コウ自身はベルに跨っているので、何か問題が起きた時には、すぐに逃げることが可能な状態である。
コウが山の方から魔獣である剣歯虎《サーベルタイガー》に跨ってやってきたことにコボルトの一部が気づくと、彼らはコウのことを現地の住人だと思ったのか慌てて数人の者達がコウの下に近づいてきた。
「こ、こんにちはだワン。あの……、もしかしてここ一帯は誰かの土地なのでしょうかワン?」
老いた灰色の毛並みのコボルトがベルに跨ったコウを見上げながら、低姿勢で話しかけてくる。
「いえ、違いますよ。僕は山の方から来た旅人です。上からこの集落が見えたので挨拶でもしようかなと思いまして。──みなさんは、この地に来てどのくらいですか?」
コウは敵意がないことを示して手には武器を持っていないし、ベルにも威嚇しないように言いつけており、興味本位での質問をした。
「儂らは半月ほど前にここに連れてこられて、住むように言われたコボルト族ですワン。みんな住んでいたところを追い出される形で集められたのでここを集落と呼んでいいのかワン……」
老いたコボルトは苦笑してコウの質問に答えてくれる。
他の若いコボルト達はコウに興味を持ったのか数人が集まってきた。
「あんた、人族じゃないワン? 匂いがドワーフだワン。でも、見た目が人族で不思議だワン」
灰色と黒色の毛並みに艶のある若いコボルトがあっさりコウの正体を見破って指摘する。
「ええ。僕はドワーフなんです。よくわかりましたね」
コウは感心するとこの若いコボルトに感心した。
「コボルト族は嗅覚に自信があるワン。風上から他にも匂いが漂ってくるけど、あんたのお仲間なのかワン?」
若いコボルトは余程の嗅覚なのか岩陰に隠れているララノア達の存在にも気づいていた。
「はい。近くに仲間も数人来ているんですが、初めての土地だし、みなさんがどんな人かわからないので僕が一人交渉に来ました。よかったら今日、ここで休ませてもらっていいですか?」
コウはバレている以上、とぼけるのは印象を悪くするだけと考え、正直に答えることにする。
「俺は構わないワン。でも、この集落は本当に出来たばかりで、食糧にも余裕がないワン。その辺りは自分でどうにかしてもらわないといけないけど、それでいいかワン?」
鼻が利く若いコボルトは、快く承諾をする。
だが、別にリーダーをしているという感じでもないので、独断のようだ。
「おいおい、ドッゴ。まずはみんなの確認をとるのだワン。客人を迎えるのはそれからだワン」
老いたコボルトはこの若いコボルト・ドッゴの名を口にして止める。
「なんだよ、オルデンのじいさん。みんな、やる気がないし、好き勝手にやって、最初は五百人いた奴らもすでに百人くらい逃げ出していないワン。彼らが数人ここに泊まると聞いてもこんな状況では多分、誰も反対しないワン」
ドッゴと呼ばれた若者は老いたコボルト・オルデンに現状を口にしてそう告げる。
「こらこら、こちらの内情をよそ者の前で口にするものではないワン。一応、お主からみんなに確認するワン」
オルデンは問題が起きないように確認しておいた方がよいと判断してドッゴにそう注意した。
「……わかったよ。──おーい、みんな、聞いてくれワン! この集落に初めての他所からの客人が来たんだワン。今日はここに泊まりたいというから、泊めることにするワン。反対意見はあるかワン? 無いワン?」
ドッゴは集落の広い範囲に届く大きな声で、そう言うと一応の確認をする。
家々からコボルト達がひょっこりと顔を出し、ドッゴに視線を送るが、問題ないのか反対する者はいないようだ。
「ほら、オルデンのじーさん。誰も反対する者はいないワン。みんな自分の生活だけで必死だから、わざわざ口出す連中はいないワン」
ドッゴはそういうと、コウ達を歓迎することにしたのであった。
ララノア達はコウからの合図を待って、コボルトの集落に入ることにした。
コボルト達はコウ達が剣歯虎を四頭も連れていることに驚いた様子であったが、その剣歯虎達をワグ、グラ、ラルのドワーフ達がしきりに撫でているので、危険はなさそうだと安堵する。
コボルト達は聞いた通りリーダーがおらず、統制を欠いていたが、家族単位では集団を作りつつあるようではあった。
その中で、若いドッゴと老いているオルデンがしっかりしているように映るが、リーダーになる気はないようだ。
「まだ、夜まで時間があるワン。あんたらが今晩寝る家は自分で作るワン。材料は国が前もって用意した材木や道具があるからそれを使用すると良いワン」
ドッゴがこの集落の現状を隠すことなく、国絡みであることを公言する。
オルデンも最早それを否定する気にもなれないのか、溜息を吐くと、
「そういうことだワン。勝手にすると良いワン」
とだけ答えるのであった。
「材料があるのはいいですね。それでは、みんな、今晩の寝床を作るよ」
コウはそう答えると、ベルの背中に乗って集落の一角に積まれた材木や道具を回収に向かう。
残ったララノアや村長の娘カイナ、ワグ、グラ、ラルは土魔法を使って整地を始める。
慣れた様子のララノア達に、ドッゴやオルデンはおろか、近くにいた他のコボルト達は、興味を惹かれて足を止め眺めはじめた。
自分達の作った家は素人丸出しの掘立小屋だったからだ。
だが、コウ達は整地から基礎の組立てなど、おもちゃのブロックを積んでいくように簡単に作っていく。
材木は、コウが大工道具一式を魔法収納鞄から取り出し、早業で加工していき、それをワグ達が慣れた様子で組み立てていくから、それを見ていたコボルト達は自分達の掘立小屋より立派な家があっという間に出来ていく不思議さに目を輝かせるのであった。
屋根はさすがに木の釘で、一枚一枚打ち付けていくので、時間がかかり、完成する時には周囲も暗くなっていくのであったが、今日一晩泊まるだけの代物してはかなり上出来なものだろう。
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