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城外の暮らし

レムとセバス

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「こんなもので申し訳ないですがお座りください」

レムはセバスの部屋に入るとソファに促されて座った。

「さて、レム様何があったのですかな」

セバスがベルモント兄様達の剣の指南をしていた事もあり、信用しても良いのかまだ判断がつかない。ベルモント兄様達の遣いで私を試しているのかもしれない。

素性を明かす事で、隠れて過ごすつもりがないと判断され、命を取られるかもしれないと想像を膨らませてしまっていた。

「広場に行ってみれば、レム様はお亡くなりになったとドンメルより公布され驚きました。かと思えば、あの場から立ち去るレム様に似た姿を見つけたのです。

「セバスはどうして私に声をかけ助けてくれたのですか?私は死んだといわれた存在ですよ」

レムは真っ直ぐセバスを見つめ、何故面倒ごとに首を突っ込んできたのか尋ねる。

「死んだといわれたとしても目の前にレム様がいたのですから助けない理由はないですぞ。それには元々貴方の母君であるアナーシャ様の部下でした。レム様に昔のアナーシャ様の面影を重ねているのかも知れませぬな」

セバスは髭を撫でながらレムにアナーシャの姿を重ねていた。

「して、レム様いったい何があったのですか」

セバスは温厚な表情から一転し、真剣な面持ちで再度レムに尋ねた。

レムはセバスのことを信じてみようと思い事の経緯を話すことにした。

なるほど。

レムの話を聞いたセバスはレムの置かれている現状をだいたい理解したようだ。
ただし、レムはシープのことだけはうまく説明する自信もなく、話す事をやめた。

「ミリシア様に睡眠薬を飲まされ、セレモニーをすっぽかしたと言うことでしたか。そして、レム様の話を誰も信じてくれず追放されてしまったと」

レムはただ静かにうなずく。
家族にも国民にも愛想を尽かされている王女だと思われてしまったかなと思い、
レムは顔を伏せた。

「はっはっは」

セバスは王女として未熟だと思っても仕方がない中、笑い声を上げた。

思いもよらない反応にレムは驚き顔をあげる。

「失敬。寝坊癖までアナーシャ様に似てしまったようですな」

「お母様もそうだったのですか!」

「ええ。アナーシャ様もたまに寝坊する事がありましてな。何度か注意した事を思い出して笑ってしまいました」

母親も自分と同じだったと知り、レムは少し嬉しくなった。
ただ、自分ほど眠り込んでいるわけでもなかった事をしり、自分が未熟だった事も同時に実感した。

今度、シープにも聞いてみようかしら。

シープは思うところがあるのか、あまり母のことは話してくれなかったし、レムもそんなシープの雰囲気から今までは尋ねる事を避けていた。

「レム様はこれからどうするおつもりですか?」

考え込んでいたレムにセバスが尋ねる。

「本当は城下町で仕事を見つけてひっそりと過ごそうかと思っていましたが、この街から出ようと思います。代々的に私の死が告げられ、もし私の存在に気付いてしまう人がいたらその人はきっと不幸な目に遭いますし、その時私は何もできません。今日の広場で実感しました」

レムは自分のことを誰も知らないような場所にでも行こうかと漠然と考えていた。

「左様ですか。ただ急ぐこともないでしょう。シズナとライズにしばらく預かると言ってしまいましたしな。しばらくの間ここに居ませぬか?」

「でも!私がいたらきっと迷惑をかけます」

「大丈夫です。あなたの正体は私しか知りませぬし、こうみえて中々腕も立つのですぞ。それに、こんな外れの店に来るもの達は、レム様の正体など気づけるほど鋭くはないでしょうな」

「では、しばらくの間だけここに居させてもらうえますか?それと、私はもう王女ではないので、レム様はやめてくださいね」

そういうとレムはニッコリと笑い、白い歯を溢した。
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