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第1章 新しい世界と出会い
第21話 油断
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ふわりと浮くように、宙にいる――そのたった一瞬のことが、数秒にも感じられた。
視界に広がる青い空と、それを覆うように周りに見える木々。
「一体何が」と声にならない声で思い……直後、背中から地面へと着地した。
「が……ッ!?」
肺が押され、声と共に口から空気が漏れる。
叩きつけられた背中が熱い、そして痛い。
それでも、と身体を捻り見据えた先で、僕は言葉を失った。
影を帯びた焦げ茶色の皮膚、細いながらも力強さも感じられる四肢……そして、僕を射貫く黒一色の目。
その上部、頭の左右から枝のように鋭く伸びる、大きな、角。
「鹿……?」
思わずそう呟いてしまうほどに、その姿は鹿だった。
ただ、僕の知っている鹿は……こんなにも好戦的ではなかったと思うんだけど。
そう呆けていた僕の耳に「アキ様! 来ます!」と、シルフの声が刺さる。
「ぐ……っ、落ち着かせる暇すら、与えてくれないのか!」
僕目がけてまっすぐに突っ込んで来た鹿を前に、両手へ力を込めて、その場から弾かれるように数回転。
ありがたいこと、といっていいのかわからないけれど、突進の速度自体は玉兎程度で、避ける事自体は問題ない。
ただ、その身体から発せられる威圧感だけは、比べものにならないのだけれど!
真横を抜けていく鹿にひとまず体勢を立て直し、僕はインベントリから[下級ポーション]を取り出す。
それを勢いのまま、喉に流し込んだ。
「――まっず。ドロドロしてて気持ちわる……」
「アキ様!?」
悪態をつきながらもポーションを飲む僕に、シルフが妙なものを見るような目で見てくる。
いや、飲まなくても良いなら飲みたくないけど、そうも言ってられないからね?
「さすがに1本だけじゃ(完治には)足りないけど、動くには支障ないはず」
「戦うのですか? 逃げては……」
「それは無理かな? あっちのほうが足も速そうだしね」
シルフと話ながら、ひとまず木の陰へと隠れる。
考えられる相手の行動は、突撃と角を振り回すのと……。
「玉兎のときのように、タイミングを合わせて叩いてみるのは?」
「それだとたぶん力負けするかな? 玉兎は身体も小さかったし、地面に足が付いてなかったから跳ね返せたんだと思うし」
「そう言われると、試してみるのも危険な気がしますね……」
シルフと相談しながらも、左右から迫る角を避ける。
この鹿……軌道を上手いこと取って、ギリギリで角が当たるラインを攻めて――!
「く、そっ!」
僕が鹿の速度に慣れてくるのと同じように、鹿も僕の回避に慣れてきている!?
その証拠に、さっきから無理矢理で避けるタイミングが増えてきた。
――このままいくと、まずい!
「木槌、じゃ短い! ならツルハシは……!」
ステップを踏むように突進を避け、インベントリからツルハシを取り出す。
そして、タイミングを合わせ振り下ろ――
「な……っ!?」
まるで僕が狙うと分かっていたかのように、一瞬の急停止。
そして、ツルハシへ横から角を叩きつけた。
「あぐっ!」
「アキ様!?」
その衝撃に身体がふらつき、致命的なまでの隙を晒してしまう。
まずい――と咄嗟に距離を取ろうとして、僕の背中は木にぶつかってしまう。
あまりにも運が悪い、それ以外、いいようがない。
そんな隙を鹿が逃がす訳もなく、僕のど真ん中にその頭を叩きつけた。
「が、は……っ」と漏れ出す声と共に、肺の中の空気が一気に抜け、世界が白く光った気がした。
視界の端に映る残りHPは完全に危険領域――動かないと、うごかないと……。
動かない身体で最後に聞いた音は、僕の名前を呼ぶ、シルフの叫び声だった。
視界に広がる青い空と、それを覆うように周りに見える木々。
「一体何が」と声にならない声で思い……直後、背中から地面へと着地した。
「が……ッ!?」
肺が押され、声と共に口から空気が漏れる。
叩きつけられた背中が熱い、そして痛い。
それでも、と身体を捻り見据えた先で、僕は言葉を失った。
影を帯びた焦げ茶色の皮膚、細いながらも力強さも感じられる四肢……そして、僕を射貫く黒一色の目。
その上部、頭の左右から枝のように鋭く伸びる、大きな、角。
「鹿……?」
思わずそう呟いてしまうほどに、その姿は鹿だった。
ただ、僕の知っている鹿は……こんなにも好戦的ではなかったと思うんだけど。
そう呆けていた僕の耳に「アキ様! 来ます!」と、シルフの声が刺さる。
「ぐ……っ、落ち着かせる暇すら、与えてくれないのか!」
僕目がけてまっすぐに突っ込んで来た鹿を前に、両手へ力を込めて、その場から弾かれるように数回転。
ありがたいこと、といっていいのかわからないけれど、突進の速度自体は玉兎程度で、避ける事自体は問題ない。
ただ、その身体から発せられる威圧感だけは、比べものにならないのだけれど!
真横を抜けていく鹿にひとまず体勢を立て直し、僕はインベントリから[下級ポーション]を取り出す。
それを勢いのまま、喉に流し込んだ。
「――まっず。ドロドロしてて気持ちわる……」
「アキ様!?」
悪態をつきながらもポーションを飲む僕に、シルフが妙なものを見るような目で見てくる。
いや、飲まなくても良いなら飲みたくないけど、そうも言ってられないからね?
「さすがに1本だけじゃ(完治には)足りないけど、動くには支障ないはず」
「戦うのですか? 逃げては……」
「それは無理かな? あっちのほうが足も速そうだしね」
シルフと話ながら、ひとまず木の陰へと隠れる。
考えられる相手の行動は、突撃と角を振り回すのと……。
「玉兎のときのように、タイミングを合わせて叩いてみるのは?」
「それだとたぶん力負けするかな? 玉兎は身体も小さかったし、地面に足が付いてなかったから跳ね返せたんだと思うし」
「そう言われると、試してみるのも危険な気がしますね……」
シルフと相談しながらも、左右から迫る角を避ける。
この鹿……軌道を上手いこと取って、ギリギリで角が当たるラインを攻めて――!
「く、そっ!」
僕が鹿の速度に慣れてくるのと同じように、鹿も僕の回避に慣れてきている!?
その証拠に、さっきから無理矢理で避けるタイミングが増えてきた。
――このままいくと、まずい!
「木槌、じゃ短い! ならツルハシは……!」
ステップを踏むように突進を避け、インベントリからツルハシを取り出す。
そして、タイミングを合わせ振り下ろ――
「な……っ!?」
まるで僕が狙うと分かっていたかのように、一瞬の急停止。
そして、ツルハシへ横から角を叩きつけた。
「あぐっ!」
「アキ様!?」
その衝撃に身体がふらつき、致命的なまでの隙を晒してしまう。
まずい――と咄嗟に距離を取ろうとして、僕の背中は木にぶつかってしまう。
あまりにも運が悪い、それ以外、いいようがない。
そんな隙を鹿が逃がす訳もなく、僕のど真ん中にその頭を叩きつけた。
「が、は……っ」と漏れ出す声と共に、肺の中の空気が一気に抜け、世界が白く光った気がした。
視界の端に映る残りHPは完全に危険領域――動かないと、うごかないと……。
動かない身体で最後に聞いた音は、僕の名前を呼ぶ、シルフの叫び声だった。
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