85 / 345
第2章 現実と仮想現実
第86話 アルぺの実
しおりを挟む
露店でお姉さんに売ってもらった実をインベントリから取り出し、いつもの作業台に置く。
丸く、色は薄緑で、持ち上げて嗅いでみれば、少し甘い香り。
鑑定してみれば、[アルペの実]という名前みたいだ。
[アルペの実:ほのかに甘い果汁が特徴の実]
試食で食べたときにも思ったけど、たぶんこれは現実世界でいうところの、りんごだと思う。
「んー……、まずは果汁でジュースを作ってから、薬と混ぜれるか試してみようかな」
というわけで、まずは[アルペの実]を水で洗い、拭いてから包丁で切る。
そのあいだに、シルフにすり鉢セットと清潔な布を用意してもらい、洗ってもらった。
そして、乾かしたすり鉢に布を敷き、細かく切った[アルペの実]を、その上に乗せて潰していく。
「ある程度潰れたところで、布で包むように持ち上げて……」
中の実を搾るように、手に力を加えていけば、すり鉢の中に果汁が絞り出されていく。
ただ、この作業、かなり力が必要かもしれない……。
「これは……、結構大変だね……」
「なにか道具があれば良いのですが……」
少し休憩してから、絞った果汁を数本の瓶に詰めていき、そのうちの一本を軽く飲んでみる。
舌を伝わる甘味が、少し疲れた体に浸透していくような気がした。
出来ればこの果汁を使って、上手いことお薬に味が付けれればいいんだけど……。
「とりあえず、ポーションを作る時に水に混ぜるかなぁ……?」
「でも、混ぜるにしても、どのタイミングで混ぜるのでしょう……?」
「んー……。そもそも、これに熱を加えても大丈夫かどうか、から調べてみるかなぁ……」
「そうですね。それが良さそうです」
小さい鍋に瓶1本分を移し、火にかけていく。
少し温まってくれば、次第に甘い匂いが強くなってきたように感じた。
「んー……、味もちょっとだけ甘くなってるみたい」
少しだけお玉で掬って、飲んでみれば、強くなった味に驚いた。
この味なら、お薬の味にも負けない気がする……。
「火にくべても、問題なさそうですね」
「うん。これならお薬を作ってる最中にいれても、大丈夫かな?」
といっても、お薬と果物を組み合わせるだけだから、そんなに変なことにはならないと思うんだけど……。
あと、混ぜるタイミングとしては、薬草と合わせる前の水に混ぜる、薬草と合わせて煮てる最中に混ぜる、全部終わって最後に混ぜる、くらいかな?
一つずつやっていくとして……、まずは最初から混ぜてみるかな……。
「えーっと、果汁の分だけ水の量を減らして……」
いつもの鍋に水を入れていき、そこに果汁を追加。
水と果汁が混ざるように、火にかける前によくかき混ぜておくことも忘れないでっと……。
「あとはいつも通り、刻んだ薬草を加えて火にかけて……」
次第に浮かび上がってくる灰汁をお玉で取り除き、ある程度のところで火を止める。
シルフにお願いして、冷ましてもらったあと、瓶に詰め替えていけば……。
「うん、ひとまず完成、だね」
見た目的には、いつもとほとんど変わらない。
少しだけ匂いが甘く感じる気がする……。
ただ、鑑定してみても、表示される文字は普段の[歳下級ポーション(良)]と変わらなかったけど。
「んー……、飲んでみるしかなさそうだね……」
「そう、ですね……」
「一応、水をすぐ飲めるように用意しておいてっと……」
いざとなればすぐに手が届くように、近くに水を置いておく。
また、シルフも実体化して、もし僕が倒れそうになったとしても、支えられるよう傍に立った。
「よしっ!」
腰に手を当てて、一気にポーションをあおる。
口当たりの良い、アルペの味がして……。
直後、それを上書きするかのように、薬草の苦味が一気に襲ってきた。
「んぐっ!?」
甘さを感じたせいか、余計に強く感じた苦味が、どろりと喉を抜けていく。
「うへぇ……」
なんとか飲みきって息を吐けば、喉の奥から薬草の苦味と、アルペの甘味が同時に戻ってきて、余計に気持ち悪い……。
これは、確実に……失敗……。
「これは、ダメだ……」
「みたいですね……」
用意しておいた水を飲みながら、シルフと少し話をして、気分を紛らわしていく。
というか、これはほんとにダメ。
こんなのを、戦闘中に飲んだら、絶対危険すぎる。
特に、甘味の後に苦味とか、もう完全に劇薬みたいなものじゃないか……!
「ん……? もしかすると、上書きで消すんじゃなくて」
ふと、頭に思い付いたことを、考えもせずに口に出してしまう。
ただ、根拠はないけれど、なんだかその考えが、正しいような気がした。
丸く、色は薄緑で、持ち上げて嗅いでみれば、少し甘い香り。
鑑定してみれば、[アルペの実]という名前みたいだ。
[アルペの実:ほのかに甘い果汁が特徴の実]
試食で食べたときにも思ったけど、たぶんこれは現実世界でいうところの、りんごだと思う。
「んー……、まずは果汁でジュースを作ってから、薬と混ぜれるか試してみようかな」
というわけで、まずは[アルペの実]を水で洗い、拭いてから包丁で切る。
そのあいだに、シルフにすり鉢セットと清潔な布を用意してもらい、洗ってもらった。
そして、乾かしたすり鉢に布を敷き、細かく切った[アルペの実]を、その上に乗せて潰していく。
「ある程度潰れたところで、布で包むように持ち上げて……」
中の実を搾るように、手に力を加えていけば、すり鉢の中に果汁が絞り出されていく。
ただ、この作業、かなり力が必要かもしれない……。
「これは……、結構大変だね……」
「なにか道具があれば良いのですが……」
少し休憩してから、絞った果汁を数本の瓶に詰めていき、そのうちの一本を軽く飲んでみる。
舌を伝わる甘味が、少し疲れた体に浸透していくような気がした。
出来ればこの果汁を使って、上手いことお薬に味が付けれればいいんだけど……。
「とりあえず、ポーションを作る時に水に混ぜるかなぁ……?」
「でも、混ぜるにしても、どのタイミングで混ぜるのでしょう……?」
「んー……。そもそも、これに熱を加えても大丈夫かどうか、から調べてみるかなぁ……」
「そうですね。それが良さそうです」
小さい鍋に瓶1本分を移し、火にかけていく。
少し温まってくれば、次第に甘い匂いが強くなってきたように感じた。
「んー……、味もちょっとだけ甘くなってるみたい」
少しだけお玉で掬って、飲んでみれば、強くなった味に驚いた。
この味なら、お薬の味にも負けない気がする……。
「火にくべても、問題なさそうですね」
「うん。これならお薬を作ってる最中にいれても、大丈夫かな?」
といっても、お薬と果物を組み合わせるだけだから、そんなに変なことにはならないと思うんだけど……。
あと、混ぜるタイミングとしては、薬草と合わせる前の水に混ぜる、薬草と合わせて煮てる最中に混ぜる、全部終わって最後に混ぜる、くらいかな?
一つずつやっていくとして……、まずは最初から混ぜてみるかな……。
「えーっと、果汁の分だけ水の量を減らして……」
いつもの鍋に水を入れていき、そこに果汁を追加。
水と果汁が混ざるように、火にかける前によくかき混ぜておくことも忘れないでっと……。
「あとはいつも通り、刻んだ薬草を加えて火にかけて……」
次第に浮かび上がってくる灰汁をお玉で取り除き、ある程度のところで火を止める。
シルフにお願いして、冷ましてもらったあと、瓶に詰め替えていけば……。
「うん、ひとまず完成、だね」
見た目的には、いつもとほとんど変わらない。
少しだけ匂いが甘く感じる気がする……。
ただ、鑑定してみても、表示される文字は普段の[歳下級ポーション(良)]と変わらなかったけど。
「んー……、飲んでみるしかなさそうだね……」
「そう、ですね……」
「一応、水をすぐ飲めるように用意しておいてっと……」
いざとなればすぐに手が届くように、近くに水を置いておく。
また、シルフも実体化して、もし僕が倒れそうになったとしても、支えられるよう傍に立った。
「よしっ!」
腰に手を当てて、一気にポーションをあおる。
口当たりの良い、アルペの味がして……。
直後、それを上書きするかのように、薬草の苦味が一気に襲ってきた。
「んぐっ!?」
甘さを感じたせいか、余計に強く感じた苦味が、どろりと喉を抜けていく。
「うへぇ……」
なんとか飲みきって息を吐けば、喉の奥から薬草の苦味と、アルペの甘味が同時に戻ってきて、余計に気持ち悪い……。
これは、確実に……失敗……。
「これは、ダメだ……」
「みたいですね……」
用意しておいた水を飲みながら、シルフと少し話をして、気分を紛らわしていく。
というか、これはほんとにダメ。
こんなのを、戦闘中に飲んだら、絶対危険すぎる。
特に、甘味の後に苦味とか、もう完全に劇薬みたいなものじゃないか……!
「ん……? もしかすると、上書きで消すんじゃなくて」
ふと、頭に思い付いたことを、考えもせずに口に出してしまう。
ただ、根拠はないけれど、なんだかその考えが、正しいような気がした。
0
あなたにおすすめの小説
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる