97 / 345
第2章 現実と仮想現実
第98話 ルコの抽出液
しおりを挟む
とりあえず連絡を取ってみるにしても……、誰から……。
ここはトーマ君……。
いやでも、トーマ君から連絡がないってことはまだ用事が済んでないってことかもだし。
それなら、カナエさん……は、誘う時にはオリオンさんを誘ってもらうように連絡入れないとだし。
じゃあ、キャロさん?
でも、キャロさんはまだそんなに話したことないのに、いきなり連絡入れるのも……。
ど、どうしよう……!
「アキ様、ひとまずは目の前のことをやっていきませんか?」
「んー、でも……」
「でしたら、キャロライン様には今度お店に伺ってみてはいかがでしょう? それに、お薬も上手く苦みが取れれば、カナエ様へのご連絡のきっかけにもなりますし、その時にまたカナエ様とオリオン様のお店に伺うのも手かと」
「うん……、それもそうだね。そうしよっか」
鍋を見せながら話しかけてきたシルフから、鍋を受け取って、二人で調薬の準備をしていく。
と言っても、鍋をセットして、中に瓶詰めしたルコの抽出液を入れていくだけ。
「でも、これってどうやって使うのかな……」
「そうですね……」
問題は、この抽出液をどうやって使うのか、だ。
薬草を漬けるだけなのか、漬けて火にかけるなのか……。
「それに、薬草ってそのまま入れていいのかな?」
「あ……」
そのまま入れるべきか、刻んで入れるべきか……。
こうやって考えると……、ルコの実、確かに足りなかったかも……。
「ひとまずそのままの状態で、漬けてみるだけ、でやってみよっか」
「そうですね、時間を決めて漬けてみましょう」
シルフにお玉を渡して、僕はインベントリから薬草を取りだす。
そして、それを鍋に入れれば、シルフが上手い事位置を調整してくれた。
「あとは、ひとまず様子を見て……」
「変化すればいいのですが……」
シルフと2人並んで、じっと鍋の中を見守る。
うーん……、何か変わってるのかなぁ……?
数分見てても、特に変わったような気がしないんだけど……。
「シルフ……、これって何か変わってると思う?」
「特には……」
「だよね……。僕も、全然変化がない気がするんだけど……」
「そうですよね……」
それからしばらく待ってみても、特に何か変化が起きてる様子はない。
んー……、これはやり方が違うのかなぁ……?
「とりあえず、一度出して試して見よっか」
同意するように何度も頷くシルフに笑いつつ、用意したまな板の上に薬草を移していく。
水に漬けていたからか、いつもよりしなびた薬草を刻み、水を入れ替えて沸かしておいた鍋へ。
そこからは、いつも通りの手順で[最下級ポーション(良)]を作っていく。
「というわけで、完成です!」
「アキ様、ずいぶん慣れましたね!」
「もう、これだけは、かなりの数作ってるからね……」
<調薬>のスキルは、森から帰ってきたタイミングで、すでにレベルが13まで上がっていた。
それからはあんまり完成品を作っていないからか、上がってはないんだけど……。
それだけのレベルになるくらい、いっぱい作ってきたんだなぁって思うと、なんだか少し誇らしいような気持ちになる。
まぁ、まだおばちゃんに比べれば全然なんだろうけど……。
「そ、それで……、ポーションの方はどうでしょう?」
「んー、見た感じはいつもと変わらない気がするけど……」
結局は飲んでみないとわからない、ってことなんだろうけど……。
しょうがない……、飲む……かぁ……。
「が、がんばってください!」
僕の想いがそれとなく分かるからか、シルフが横で応援してくれる。
よし、と小さく声にだしてから、腰に手を当てて一気にあおる!
「……っ!」
にがい。
やっぱり、にがい。
「あ、アキ様……?」
「……にがい」
口の中いっぱいに広がる濃厚な苦み。
そして、飲み込んだ後に喉の奥から戻ってくるような、えぐみというか、にがみというか……、そんな感じのなにか。
うん……、これは……、いつもの[最下級ポーション(良)]だね……。
「シルフ、ごめん……。お水、ちょうだい……」
「は、はい!」
すかさず差し出された水を、勢いよく飲み込んでいく。
数杯飲んだところで、奥から昇ってくるえぐみのようななにかは消えた気がする……。
うん、これは絶対……、ルコの抽出液の使い方が違うぞっ!
思わず出そうになる涙を堪えつつ、僕はそう、強く思った。
ここはトーマ君……。
いやでも、トーマ君から連絡がないってことはまだ用事が済んでないってことかもだし。
それなら、カナエさん……は、誘う時にはオリオンさんを誘ってもらうように連絡入れないとだし。
じゃあ、キャロさん?
でも、キャロさんはまだそんなに話したことないのに、いきなり連絡入れるのも……。
ど、どうしよう……!
「アキ様、ひとまずは目の前のことをやっていきませんか?」
「んー、でも……」
「でしたら、キャロライン様には今度お店に伺ってみてはいかがでしょう? それに、お薬も上手く苦みが取れれば、カナエ様へのご連絡のきっかけにもなりますし、その時にまたカナエ様とオリオン様のお店に伺うのも手かと」
「うん……、それもそうだね。そうしよっか」
鍋を見せながら話しかけてきたシルフから、鍋を受け取って、二人で調薬の準備をしていく。
と言っても、鍋をセットして、中に瓶詰めしたルコの抽出液を入れていくだけ。
「でも、これってどうやって使うのかな……」
「そうですね……」
問題は、この抽出液をどうやって使うのか、だ。
薬草を漬けるだけなのか、漬けて火にかけるなのか……。
「それに、薬草ってそのまま入れていいのかな?」
「あ……」
そのまま入れるべきか、刻んで入れるべきか……。
こうやって考えると……、ルコの実、確かに足りなかったかも……。
「ひとまずそのままの状態で、漬けてみるだけ、でやってみよっか」
「そうですね、時間を決めて漬けてみましょう」
シルフにお玉を渡して、僕はインベントリから薬草を取りだす。
そして、それを鍋に入れれば、シルフが上手い事位置を調整してくれた。
「あとは、ひとまず様子を見て……」
「変化すればいいのですが……」
シルフと2人並んで、じっと鍋の中を見守る。
うーん……、何か変わってるのかなぁ……?
数分見てても、特に変わったような気がしないんだけど……。
「シルフ……、これって何か変わってると思う?」
「特には……」
「だよね……。僕も、全然変化がない気がするんだけど……」
「そうですよね……」
それからしばらく待ってみても、特に何か変化が起きてる様子はない。
んー……、これはやり方が違うのかなぁ……?
「とりあえず、一度出して試して見よっか」
同意するように何度も頷くシルフに笑いつつ、用意したまな板の上に薬草を移していく。
水に漬けていたからか、いつもよりしなびた薬草を刻み、水を入れ替えて沸かしておいた鍋へ。
そこからは、いつも通りの手順で[最下級ポーション(良)]を作っていく。
「というわけで、完成です!」
「アキ様、ずいぶん慣れましたね!」
「もう、これだけは、かなりの数作ってるからね……」
<調薬>のスキルは、森から帰ってきたタイミングで、すでにレベルが13まで上がっていた。
それからはあんまり完成品を作っていないからか、上がってはないんだけど……。
それだけのレベルになるくらい、いっぱい作ってきたんだなぁって思うと、なんだか少し誇らしいような気持ちになる。
まぁ、まだおばちゃんに比べれば全然なんだろうけど……。
「そ、それで……、ポーションの方はどうでしょう?」
「んー、見た感じはいつもと変わらない気がするけど……」
結局は飲んでみないとわからない、ってことなんだろうけど……。
しょうがない……、飲む……かぁ……。
「が、がんばってください!」
僕の想いがそれとなく分かるからか、シルフが横で応援してくれる。
よし、と小さく声にだしてから、腰に手を当てて一気にあおる!
「……っ!」
にがい。
やっぱり、にがい。
「あ、アキ様……?」
「……にがい」
口の中いっぱいに広がる濃厚な苦み。
そして、飲み込んだ後に喉の奥から戻ってくるような、えぐみというか、にがみというか……、そんな感じのなにか。
うん……、これは……、いつもの[最下級ポーション(良)]だね……。
「シルフ、ごめん……。お水、ちょうだい……」
「は、はい!」
すかさず差し出された水を、勢いよく飲み込んでいく。
数杯飲んだところで、奥から昇ってくるえぐみのようななにかは消えた気がする……。
うん、これは絶対……、ルコの抽出液の使い方が違うぞっ!
思わず出そうになる涙を堪えつつ、僕はそう、強く思った。
0
あなたにおすすめの小説
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します
miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。
そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。
軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。
誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。
毎日22時投稿します。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる