164 / 345
第2章 現実と仮想現実
第165話 天才的なくらい
しおりを挟む
「つまり、樹はそんなに伐れてないってことです?」
本数の確認をすると同時に、生産プレイヤー達の現状を伝えていく。
すると、アルさん達も、伐った樹は拠点設備の設営に使ってくれれば良いと言ってくれた。
「ああ。なにぶん不慣れでな……。ジンが斧を使い慣れていたこともあって、それなりには伐れたが……」
「まぁ、そればっかりは仕方ないですよね」
「すまない……。だが、今日はもう探索には行かないからな。こっちを手伝えるだけ手伝うぞ」
そう言って、アルさんは右手で自分の胸を叩く。
んー……だったらアルさん達にはどうしてもらおうかな……。
伐るのは、僕とジンさんでやっていく方が効率はいいだろうし。
「あ、だったらアルさん達は、この樹を運んでもらえますか? 一度に1人3本しか持てないみたいなので」
「分かった。場所はどこに行けば良い?」
「オリオンさん。案内をお願い出来ます?」
「かしこまりました。早速向かうようにしましょう」
その後少し話をして、アルさんとオリオンさん……さらに、魔法使いは役に立てそうにないということで、カナエさん、リアさん、ティキさんも樹の運搬を手伝うことになった。
「あと、もうひとつお伝えしとかないといけないことがありまして……」
「ふむ。なんだ?」
「なんだか、理由は分からないんですが、ここの拠点以外を拠点にしているプレイヤーがいるみたいです」
「……そうか。トーマ、お前はそっちを確認してきてくれ」
「りょーかい。……スミスを借りてええか?」
「あぁ、大丈夫だ。頼む」
拠点外を拠点にしてるプレイヤーがいる、たったそれだけの情報で、アルさん達は大体分かったみたいだ。
アルさんなんて、眉間に皺が寄ってたし。
「他のメンバーは、採取場所付近の警戒を頼む。その……」
「手伝う。姉さんも」
「迷惑掛けちゃったしね! 任せて!」
「……すまない。頼む」
快く引き受けてくれた2人に、アルさんは深く頭を下げる。
それからジンさんの方を見てから、樹をインベントリにしまうと、拠点へと向けて歩いていった。
「さて、それじゃとりあえず……」
「アキ、パーティー」
「あー……そっか、その方がいいかな?」
一応パーティーを組めば、お互いのHP状況も分かるし……。
でも、実際に戦闘になったらあんまり見てる暇ないんだけど……。
「とりあえず申請を送りますね」
「おう! 戦闘になったら任せとけ。……なんかあったらアルに顔向け出来ないしな」
「ジンさん……」
ジンさん以外にも、キャロさん、ラミナさん、ハスタさんへも申請を送っていく。
そういえばキャロさんって戦えるのかな……。
見たことがないんだけど……。
「私は戦闘になったら、その辺りの木の陰に隠れてますので」
「うぇ!?」
「一応武器は持ってますけど……。数える程度しか使っていないので……」
「あー、アキちゃん。こいつは戦わせない方が良いぜ……」
「そ、そうなんですか?」
「ああ。天才的なくらいに、戦闘センスが無い。敵じゃなくて、こっちに被害が増えるってやつだ」
「あはは……お恥ずかしながら……」
申し訳なさそうに笑うキャロさんの姿に、その言葉が本当だと言うことが分かる。
というか、そこまでひどいって……あり得るの……?
僕もあんまり戦いには自信がないし、戦いになったら後ろに下がる予定だったけど……。
「アキ、任せて」
「うんうん! 私とラミナがやっちゃうから!」
「あー……うん。お願いするね」
「大丈夫」
実際、僕よりこの2人の方が強いだろうし、信頼して任せちゃった方が良いかな。
森でPKに狙われた時も、ハスタさんは1人倒してたみたいだし。
あ、でも2人の戦ってるところって、最初の時以外は見てないんだっけ?
あの時は、ハスタさん……玉兎に頭踏まれてたのになぁ……。
「ま、一旦戦闘のことは後にしとこうぜ! さっさと伐らねぇとアル達が帰ってくるからな」
「ですね。 ひとまず伐りましょう。その間3人は周りの警戒をお願いします」
とりあえずで指示を出し、みんなが頷いてくれたのを見てから、樹を選ぶ。
ジンさんとほどよく離れて……それでいてまっすぐな樹……。
太すぎず、細すぎず……叩いてみて軽い音がしないかどうかも確認して……。
「これかな」
僕の目の前、まっすぐに立った大きな樹。
見た感じ、僕の身長3倍から4倍くらいだろうか……。
結構大きいけど、場所も太さもちょうどよさそう。
「よし、それじゃやりますか!」
インベントリから木斧を取り出して、まずは軽く刃を当てて方向を確認。
倒す方向はこっちで大丈夫かな……?
切っ先を入れて、修正して、また入れて、と繰り返す事数回。
ちょうど良さそうなところに切れ込みが入った。
「息を落ち着けて……足を開いて、木斧をしっかり握る……」
それから、しっかり樹を見据えて……。
「――ッ!」
本数の確認をすると同時に、生産プレイヤー達の現状を伝えていく。
すると、アルさん達も、伐った樹は拠点設備の設営に使ってくれれば良いと言ってくれた。
「ああ。なにぶん不慣れでな……。ジンが斧を使い慣れていたこともあって、それなりには伐れたが……」
「まぁ、そればっかりは仕方ないですよね」
「すまない……。だが、今日はもう探索には行かないからな。こっちを手伝えるだけ手伝うぞ」
そう言って、アルさんは右手で自分の胸を叩く。
んー……だったらアルさん達にはどうしてもらおうかな……。
伐るのは、僕とジンさんでやっていく方が効率はいいだろうし。
「あ、だったらアルさん達は、この樹を運んでもらえますか? 一度に1人3本しか持てないみたいなので」
「分かった。場所はどこに行けば良い?」
「オリオンさん。案内をお願い出来ます?」
「かしこまりました。早速向かうようにしましょう」
その後少し話をして、アルさんとオリオンさん……さらに、魔法使いは役に立てそうにないということで、カナエさん、リアさん、ティキさんも樹の運搬を手伝うことになった。
「あと、もうひとつお伝えしとかないといけないことがありまして……」
「ふむ。なんだ?」
「なんだか、理由は分からないんですが、ここの拠点以外を拠点にしているプレイヤーがいるみたいです」
「……そうか。トーマ、お前はそっちを確認してきてくれ」
「りょーかい。……スミスを借りてええか?」
「あぁ、大丈夫だ。頼む」
拠点外を拠点にしてるプレイヤーがいる、たったそれだけの情報で、アルさん達は大体分かったみたいだ。
アルさんなんて、眉間に皺が寄ってたし。
「他のメンバーは、採取場所付近の警戒を頼む。その……」
「手伝う。姉さんも」
「迷惑掛けちゃったしね! 任せて!」
「……すまない。頼む」
快く引き受けてくれた2人に、アルさんは深く頭を下げる。
それからジンさんの方を見てから、樹をインベントリにしまうと、拠点へと向けて歩いていった。
「さて、それじゃとりあえず……」
「アキ、パーティー」
「あー……そっか、その方がいいかな?」
一応パーティーを組めば、お互いのHP状況も分かるし……。
でも、実際に戦闘になったらあんまり見てる暇ないんだけど……。
「とりあえず申請を送りますね」
「おう! 戦闘になったら任せとけ。……なんかあったらアルに顔向け出来ないしな」
「ジンさん……」
ジンさん以外にも、キャロさん、ラミナさん、ハスタさんへも申請を送っていく。
そういえばキャロさんって戦えるのかな……。
見たことがないんだけど……。
「私は戦闘になったら、その辺りの木の陰に隠れてますので」
「うぇ!?」
「一応武器は持ってますけど……。数える程度しか使っていないので……」
「あー、アキちゃん。こいつは戦わせない方が良いぜ……」
「そ、そうなんですか?」
「ああ。天才的なくらいに、戦闘センスが無い。敵じゃなくて、こっちに被害が増えるってやつだ」
「あはは……お恥ずかしながら……」
申し訳なさそうに笑うキャロさんの姿に、その言葉が本当だと言うことが分かる。
というか、そこまでひどいって……あり得るの……?
僕もあんまり戦いには自信がないし、戦いになったら後ろに下がる予定だったけど……。
「アキ、任せて」
「うんうん! 私とラミナがやっちゃうから!」
「あー……うん。お願いするね」
「大丈夫」
実際、僕よりこの2人の方が強いだろうし、信頼して任せちゃった方が良いかな。
森でPKに狙われた時も、ハスタさんは1人倒してたみたいだし。
あ、でも2人の戦ってるところって、最初の時以外は見てないんだっけ?
あの時は、ハスタさん……玉兎に頭踏まれてたのになぁ……。
「ま、一旦戦闘のことは後にしとこうぜ! さっさと伐らねぇとアル達が帰ってくるからな」
「ですね。 ひとまず伐りましょう。その間3人は周りの警戒をお願いします」
とりあえずで指示を出し、みんなが頷いてくれたのを見てから、樹を選ぶ。
ジンさんとほどよく離れて……それでいてまっすぐな樹……。
太すぎず、細すぎず……叩いてみて軽い音がしないかどうかも確認して……。
「これかな」
僕の目の前、まっすぐに立った大きな樹。
見た感じ、僕の身長3倍から4倍くらいだろうか……。
結構大きいけど、場所も太さもちょうどよさそう。
「よし、それじゃやりますか!」
インベントリから木斧を取り出して、まずは軽く刃を当てて方向を確認。
倒す方向はこっちで大丈夫かな……?
切っ先を入れて、修正して、また入れて、と繰り返す事数回。
ちょうど良さそうなところに切れ込みが入った。
「息を落ち着けて……足を開いて、木斧をしっかり握る……」
それから、しっかり樹を見据えて……。
「――ッ!」
0
あなたにおすすめの小説
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる