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第2章 現実と仮想現実
第180話 スペシャリスト
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シャラ……と、鉄の擦れるような音が聞こえ、僕の後方……ハスタさんの方へと振り返れば、道を塞ぐように立つ3人の男女。
男性1人に女性2人……それぞれが武器を片手に、僕らの前に立ち塞がっていた。
「これって……」
そうだ、確かシンシさんは、シンシさんを含めてパーティーメンバーが4人って。
その残りの3人も、シンシさん側だとするなら……。
「シンシさんは、元から……」
自分の意思で……ここに来ていた。
つまり、あの会議の時に見せた姿も……全て嘘だった……?
「シンシ……さん……」
「ふふっ。そうですよ、姫。その表情……それが見たかった」
「なにを、言って……」
「可愛らしい顔が、恐怖や絶望で歪む。それは現実では中々見ることができない……美しい表情だ。やはり良い……」
「……最低」
まるで物語に出てくる騎士みたいに格好良くて、ちょっとキザで……でも、優しくて、頼りになるお姉さん。
そんなシンシさんの顔が……酷く歪む。
シンシさん……そんな……。
「おやおや。確か……ラミナさんだったかな? あなたには嫌われてしまいましたか」
「……」
「しかし、姫を護ろうとするその姿勢。素晴らしく格好良く、一途な行為だ」
「……黙って」
「そんな眉間に皺を寄せていては、せっかくの美しい顔が台無しだ。もっとリラックスが大事ですよ」
「黙って!」
あ、怒った。
そうとしか取れないほどの気迫を声に乗せ、ラミナさんは一気に飛び出す。
しかし、そうなるように仕向けていたんだろう……シンシさんはその歪んだ笑みを崩すことも無く、彼女の眼前に切っ先を置いた。
「ッ!」
飛び出すように誘われていたことくらい、彼女にも分かっていたことだと思う。
だからこそ、その切っ先を即座に剣で払い、勢いを落とさずさらに一歩奥へ。
でも、それすらも……
「……足下が疎かですね」
その声が僕の耳に届いたと同時に、目の前のラミナさんが低く沈んでいく。
「何……」
「おや、知っていたはずでしょう? 私は、裁縫師。糸と針のスペシャリストですよ?」
そう言いながら、手の上で光る球を転がして、僕らに見せてくる。
「これは糸玉です。もっとも普通の糸ではなく、森の蜘蛛が使う糸をさらに加工しているものではありますが。先ほど私の仲間を呼んだ際に、同時に左右の木に針を飛ばしておきました。もちろん他にも数本ほど」
「っ!?」
最悪なことに、時間も場所も悪すぎる……。
この流れを想定していたんだろう。
切れ目が近いと言っても、まだ森はもう少し先まで続いていて、なおかつ、木が多すぎて太陽の光が届かない。
こんな場所じゃ……どこに糸が張られてるか、わかんないぞ……。
「このままゆっくりと楽しみましょう。ヤカタが合流するまで……」
「ヤカタさんが、合流するまで……?」
「えぇ、拠点を落とし、燃やし尽くした後で、こちらに合流するとのことですから。その時は、一緒に燃える拠点を見ましょうね。姫」
「そんな、こと……」
「あぁ、もちろん……姫以外はいりません。さっさとご退場していただかなければ」
張り付けていた笑みを戻し、シンシさんは淡々とそう……言い放つ。
じり……と、僕の足下から音が鳴る。
逃げようにも……動けない……。
ハスタさんは、シンシさんの仲間3人に囲まれ、動くことも難しい。
ラミナさんも、糸のせいで動きが制限されている……。
「このままじゃ……!」
今膠着状態なのは、シンシさんや、その仲間の3人が動いてこないからだ。
つまり、動いた瞬間……一気に僕らは不利になる……!
「それは困るでござるなぁ」
「――ッ! 2人とも伏せて!」
場にそぐわない、暢気な声が聞こえた瞬間、僕の直感を何かが刺激した。
それに従うように、2人へと指示を出して……腰を一気に下げる。
直後、僕らの頭上を……ラミナさんの剣ほどの大きさの何かが、回転しながら飛んでいった。
張られていた糸と、シンシさんの仲間達を切り裂きながら。
「――忍法、手裏剣の術。……その子らは、拙者らの獲物でござるよ。手を出すな……と、うちのリーダーは言うでござろう」
「あの人は悪趣味ですが、その辺は律儀というか、なんというか……妙にPKらしくないと言うか」
「それ故に共にいるのであろう? 拙者も、お主も」
「えぇ、残念なことにその通りです」
「まことに同意でござる」
森の奥……木陰からゆらりと2人の影が姿を現す。
……いや、忍法って誰か分かるけど、なんで……?
「どうして助けたんですか?」
「助けたわけではないですよ。君たちは、僕らの獲物というだけ。……もし他の人に殺されてるところを見ていた、なんてリーダーに知られたら、僕らが死にます。間違いなく」
「ま、そういうことでござる。さすがに今、お主らに手を出す気はないでござるよ。……あの赤い鬼の餌食は嫌でござるし」
「赤い……鬼……?」
「そ、そんなことより、今のうちにさっさと逃げるでござる。ここは拙者らが時間を稼ぐでござるよ」
忍者さんはそう言って、戻ってきた大きな手裏剣を右手で持ち、身体をねじるように、右腕を後方へと回した。
なるほど、手裏剣の中心に穴があけてあるんだ……だから、そこを持って……。
「アキちゃん!」
「……アキ」
「っ、うん!」
ラミナさんが退がり、僕の手を引いて走り出す。
「姫……っ!? 「忍法・風魔手裏剣の術!」……チィッ!」
そんな僕らを追わせないためか、忍者さんの投げた手裏剣は、シンシさんの行動を阻むように間を抜ける。
それと同時に、矢がハスタさんの前方……シンシさんの仲間の3人に刺さった。
……やっぱりこの人達……強い……!
男性1人に女性2人……それぞれが武器を片手に、僕らの前に立ち塞がっていた。
「これって……」
そうだ、確かシンシさんは、シンシさんを含めてパーティーメンバーが4人って。
その残りの3人も、シンシさん側だとするなら……。
「シンシさんは、元から……」
自分の意思で……ここに来ていた。
つまり、あの会議の時に見せた姿も……全て嘘だった……?
「シンシ……さん……」
「ふふっ。そうですよ、姫。その表情……それが見たかった」
「なにを、言って……」
「可愛らしい顔が、恐怖や絶望で歪む。それは現実では中々見ることができない……美しい表情だ。やはり良い……」
「……最低」
まるで物語に出てくる騎士みたいに格好良くて、ちょっとキザで……でも、優しくて、頼りになるお姉さん。
そんなシンシさんの顔が……酷く歪む。
シンシさん……そんな……。
「おやおや。確か……ラミナさんだったかな? あなたには嫌われてしまいましたか」
「……」
「しかし、姫を護ろうとするその姿勢。素晴らしく格好良く、一途な行為だ」
「……黙って」
「そんな眉間に皺を寄せていては、せっかくの美しい顔が台無しだ。もっとリラックスが大事ですよ」
「黙って!」
あ、怒った。
そうとしか取れないほどの気迫を声に乗せ、ラミナさんは一気に飛び出す。
しかし、そうなるように仕向けていたんだろう……シンシさんはその歪んだ笑みを崩すことも無く、彼女の眼前に切っ先を置いた。
「ッ!」
飛び出すように誘われていたことくらい、彼女にも分かっていたことだと思う。
だからこそ、その切っ先を即座に剣で払い、勢いを落とさずさらに一歩奥へ。
でも、それすらも……
「……足下が疎かですね」
その声が僕の耳に届いたと同時に、目の前のラミナさんが低く沈んでいく。
「何……」
「おや、知っていたはずでしょう? 私は、裁縫師。糸と針のスペシャリストですよ?」
そう言いながら、手の上で光る球を転がして、僕らに見せてくる。
「これは糸玉です。もっとも普通の糸ではなく、森の蜘蛛が使う糸をさらに加工しているものではありますが。先ほど私の仲間を呼んだ際に、同時に左右の木に針を飛ばしておきました。もちろん他にも数本ほど」
「っ!?」
最悪なことに、時間も場所も悪すぎる……。
この流れを想定していたんだろう。
切れ目が近いと言っても、まだ森はもう少し先まで続いていて、なおかつ、木が多すぎて太陽の光が届かない。
こんな場所じゃ……どこに糸が張られてるか、わかんないぞ……。
「このままゆっくりと楽しみましょう。ヤカタが合流するまで……」
「ヤカタさんが、合流するまで……?」
「えぇ、拠点を落とし、燃やし尽くした後で、こちらに合流するとのことですから。その時は、一緒に燃える拠点を見ましょうね。姫」
「そんな、こと……」
「あぁ、もちろん……姫以外はいりません。さっさとご退場していただかなければ」
張り付けていた笑みを戻し、シンシさんは淡々とそう……言い放つ。
じり……と、僕の足下から音が鳴る。
逃げようにも……動けない……。
ハスタさんは、シンシさんの仲間3人に囲まれ、動くことも難しい。
ラミナさんも、糸のせいで動きが制限されている……。
「このままじゃ……!」
今膠着状態なのは、シンシさんや、その仲間の3人が動いてこないからだ。
つまり、動いた瞬間……一気に僕らは不利になる……!
「それは困るでござるなぁ」
「――ッ! 2人とも伏せて!」
場にそぐわない、暢気な声が聞こえた瞬間、僕の直感を何かが刺激した。
それに従うように、2人へと指示を出して……腰を一気に下げる。
直後、僕らの頭上を……ラミナさんの剣ほどの大きさの何かが、回転しながら飛んでいった。
張られていた糸と、シンシさんの仲間達を切り裂きながら。
「――忍法、手裏剣の術。……その子らは、拙者らの獲物でござるよ。手を出すな……と、うちのリーダーは言うでござろう」
「あの人は悪趣味ですが、その辺は律儀というか、なんというか……妙にPKらしくないと言うか」
「それ故に共にいるのであろう? 拙者も、お主も」
「えぇ、残念なことにその通りです」
「まことに同意でござる」
森の奥……木陰からゆらりと2人の影が姿を現す。
……いや、忍法って誰か分かるけど、なんで……?
「どうして助けたんですか?」
「助けたわけではないですよ。君たちは、僕らの獲物というだけ。……もし他の人に殺されてるところを見ていた、なんてリーダーに知られたら、僕らが死にます。間違いなく」
「ま、そういうことでござる。さすがに今、お主らに手を出す気はないでござるよ。……あの赤い鬼の餌食は嫌でござるし」
「赤い……鬼……?」
「そ、そんなことより、今のうちにさっさと逃げるでござる。ここは拙者らが時間を稼ぐでござるよ」
忍者さんはそう言って、戻ってきた大きな手裏剣を右手で持ち、身体をねじるように、右腕を後方へと回した。
なるほど、手裏剣の中心に穴があけてあるんだ……だから、そこを持って……。
「アキちゃん!」
「……アキ」
「っ、うん!」
ラミナさんが退がり、僕の手を引いて走り出す。
「姫……っ!? 「忍法・風魔手裏剣の術!」……チィッ!」
そんな僕らを追わせないためか、忍者さんの投げた手裏剣は、シンシさんの行動を阻むように間を抜ける。
それと同時に、矢がハスタさんの前方……シンシさんの仲間の3人に刺さった。
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