採取はゲームの基本です!! ~採取道具でだって戦えます~

一色 遥

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第2章 現実と仮想現実

第199話 大前提

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「代表者の決闘にて、決めることとなりました」

 と、ツェンさんは言葉を置く。
 代表者の決闘……それって、つまりは……。

「PvPってことか? せやったらあっちの方が分があるやろ?」
「そうですね。トーマ様の仰るとおり、PvP……つまり、プレイヤー同士の戦闘となります。ただし、個人同士ではなく、3対3のチームバトルを予定しております」
「チームバトル?」
「そうです。今回の全体ログは運営の方で、既に確認済みです。そこから算出した、今回の騒動における中心人物、および影響力の高い者でチームを組み、アキ様達拠点側と、シンシ様達PK側で、決闘を行って貰う予定です」

 要は、1対1だと慣れで戦力差が出過ぎるかもしれないから、3対3にするってことかな……?
 それに、元々のチームじゃなくて、運営により選出なら、完璧に合わせるのはお互い難しいってことなのかも。

「内容は分かった。んで、決闘の勝敗が出たらどうするんや?」
「まず拠点側が勝利されましたら、このイベント中のPK行為の禁止、および、PKプレイヤーの短期ログイン規制を行う予定です。ログイン規制は……、2日ほどでしょう」
「ふむ……」
「逆にPK側の勝利となりましたら、今のままPK行為を可能とし、ログイン規制も行いません。要は現状維持ということになります」
「まぁ、PK側とすりゃ、PKできりゃ特に問題は無いからな」
「我々としても、そう捉えております。ただ、そうなりますと、このイベント中……拠点外での活動がかなり制限されることになるかと思います」
「……わっとる。俺らとしては、初心者のためにも勝たんとあかん、ってことやろ?」
「ええ、その通りです」

 話の展開が早いけど……なんとかついていってる気がする……。
 えっと、とりあえず僕ら側が勝てば、PK被害にこれ以上悩まされないってことだよね?
 ログイン規制に関しては、どれほど影響があるのかわかんないけど……。

「しっかし、GMさん。そっちもソレを望んどるなら、運営権限でそうすりゃえぇやないか」
「そうしたいのはやまやまですが、それをしてしまうと、このゲームにおける大前提を崩す事となってしまうため、我々としては手が出せないのです」
「大前提……?」
「アキ様にはリアル側のサポート担当が似た事を言っていたと思いますが……このゲームはゲームといえど、模しているのはこの世界に生きる皆様の人生です。それを運営の意にそぐわないからと、排してしまうのは、あまりにも勝手が過ぎる。そのため、排すとしても、それはこちらの世界の住民……つまりあなた方プレイヤーやNPCの行動によって行われるべきなのです」
「ほぅ……」
「今回は、イベント中という特殊な時間であることと、エリアにおけるPK禁止やログイン規制など、運営側が対処を行う必要があるため、私共が出てきておりますが……」
「いや、わかった。すまんかったな」
「いえ、こちらとしても説明が不足しており、申し訳ございません」

 言いにくそうに言葉を紡ぐツェンさんに、トーマ君が横やりを入れる形で話を切る。
 ……確かに似たような事をサポートの方――アインスさんに言われた気がする。
 えっと、あの時は……『これは普通のゲームではないのです。<Life Game>は、ゲームの中でその人らしく生きるゲームです』だったっけ?
 だから、PKも……その人らしく生きている結果ってことなのかもしれない。
 まぁ、迷惑ではあるかもしれないけど。

「えっと、それでツェンさん。代表者って誰なんですか? 3人いるんですよね?」
「ええ、そちらをお伝えしないといけませんでしたね」

 僕の問いかけに、ツェンさんはそう言って、虚空からなにやら封筒を取り出す。
 茶色の封筒……その中から出てきたのは1枚の紙。
 多分、間違えないようにってことなんだろうなぁ……。

「まず、今回の中心人物ですが、これは皆様ご存じかと思います」
「アキとシンシか」
「そうですね。アキ様に関しましては巻き込まれただけ、ではありますが……拠点側の中心人物として名を上げるとすれば、アキ様になるかと思います」
「待って!? 僕、連れ去れてようやく帰ってきただけだよ!?」
「それ以前から色々起きておりましたが、基本的にアキ様の周りで起きておりました。また、PK側の騒動理由の1つにアキ様が関係している事も、こちらの理由に入っております」
「そ、そんな……」
「いや、わかっとったことやん……。逆に気付いてなかったことに、俺らが驚きやわ……」
「そ、それじゃ、他の人は! 他のメンバー!」
「え、えぇ……」

 半ば怒りながら机を叩く僕に気圧されたのか、ツェンさんの顔が少し歪む。
 しかし今の僕にはそんなことは関係なかった。
 それくらいに、たぶん……驚きと恥ずかしさがあった。
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