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第2章 現実と仮想現実
第210話 終わったら
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今回の話は、ラミナ視点→アキ視点となります。
――――――――――――――――
『僕を、殺してみてください』
正面に浮かぶモニターの中で、アキがそんなことを言う。
一瞬、周囲が凍りついたように静かになり、直後にざわめきが場を支配した。
「アキ……」
「アキちゃん、どうしたのかなー……」
「わからない」
正直、ラミナにもわからない。
でも、その直前にアキが言っていた言葉。
『そう、思いたい』って、信じたいってことだと思う。
「……ラミナも、アキを信じてる」
アキが伝えてくれたあの言葉を。
だから、今はアキの想いを大事にしてあげたい。
「うん、そうだね! 私も、アキちゃんを信じてる! 絶対大丈夫!」
「姉さん……。ありがとう」
笑顔の姉さんと並んで、モニターへと想いを込める。
その向こうのあの人に、届くように、と。
◇
「ひ、め……? 貴女は、じぶんが何を言っているのか……理解されていますか?」
「もちろん、わかってる」
「……」
シンシさんの顔は、血の気が引いたような、そんな顔に見える。
柄に触れる手も、小刻みに震えているのが、細い針を通して僕にも伝わった。
あー……こんなこと言ったなんて、トーマ君達に知られたら、何て言われるかなぁ……。
トーマ君は呆れるか、楽しそうに笑ってくれるかもだけど、リュンさんは怒りそう。
この阿呆とか、馬鹿かお主は、くらいは言われそうだなぁ……。
「そういえば、シンシさん」
「な、なんでしょう?」
「シンシさんと、ヤカタさんの服って、シンシさんが作成したんですか?」
そんな、場の空気にそぐわない、軽い質問。
針が手から離れるときに、なぜかそんなことが気になった。
熱が出てるみたいに、頭がふわふわしているからかもしれない。
「え? ええ、そうです。ゲームを初めてから、私があつらえたものです」
「やっぱりそうなんですね。ヤカタさんと戦った際、動きを制限している様子もなかったので」
「あれは、昔……私がヤカタのリアルに送ったものと、同じデザインのものなのです。こちらでも、何かあつらえようという話になった際、ヤカタが指定してきたもので。……渡したのも、もう十年近く前になるのですが」
青かった顔色が、少し照れるような朱に変わる。
それだけで、シンシさんにとって、そのことがどんな意味を持つのか、想像できるほどだった。
そしてきっとそれは、ヤカタさんにとっても、大事なものだったんじゃないだろうか。
だからこそ、こっちの世界でも、その服と同じものを使いたかったのかな?
そういうのって、なんだか素敵だなぁ……。
「ねえ、シンシさん。このイベントが終わったらさ、僕の服も作って貰うことって出来るのかな? もちろんお金とか、素材とかは言ってくれれば頑張って準備するよ」
「え、姫の、ですか……?」
「うん。……僕、普段使い出来るような服が、お下がりしかなくて……。もしシンシさんが作ってくれるなら、すごく嬉しい」
もちろん、おばちゃんから貰った服も、僕にとっては大切な宝物のようなものだけど。
それとはまた違う、僕個人のことを考えながら作られた服は、きっとその人の思いがいっぱい詰め込まれてるはずだから。
だからこそ、僕はシンシさんにお願いしたいんだ。
仲間にも、敵にもなった僕らは、きっと他にはない不思議な関係で。
お互い、このイベントの事は、忘れることもできない……そんな、時折痛む小さな針みたいな思い出になる。
でも、それでいい。
そんな関係も、きっと宝物になるはずだから
「どうかな? シンシさん」
急速に霞み始めた視界に耐えながら、僕はなんとか笑顔を作る。
そんな僕に対して、目の前のシンシさんは右腕を持ち上げて――。
――――――――――――――――
『僕を、殺してみてください』
正面に浮かぶモニターの中で、アキがそんなことを言う。
一瞬、周囲が凍りついたように静かになり、直後にざわめきが場を支配した。
「アキ……」
「アキちゃん、どうしたのかなー……」
「わからない」
正直、ラミナにもわからない。
でも、その直前にアキが言っていた言葉。
『そう、思いたい』って、信じたいってことだと思う。
「……ラミナも、アキを信じてる」
アキが伝えてくれたあの言葉を。
だから、今はアキの想いを大事にしてあげたい。
「うん、そうだね! 私も、アキちゃんを信じてる! 絶対大丈夫!」
「姉さん……。ありがとう」
笑顔の姉さんと並んで、モニターへと想いを込める。
その向こうのあの人に、届くように、と。
◇
「ひ、め……? 貴女は、じぶんが何を言っているのか……理解されていますか?」
「もちろん、わかってる」
「……」
シンシさんの顔は、血の気が引いたような、そんな顔に見える。
柄に触れる手も、小刻みに震えているのが、細い針を通して僕にも伝わった。
あー……こんなこと言ったなんて、トーマ君達に知られたら、何て言われるかなぁ……。
トーマ君は呆れるか、楽しそうに笑ってくれるかもだけど、リュンさんは怒りそう。
この阿呆とか、馬鹿かお主は、くらいは言われそうだなぁ……。
「そういえば、シンシさん」
「な、なんでしょう?」
「シンシさんと、ヤカタさんの服って、シンシさんが作成したんですか?」
そんな、場の空気にそぐわない、軽い質問。
針が手から離れるときに、なぜかそんなことが気になった。
熱が出てるみたいに、頭がふわふわしているからかもしれない。
「え? ええ、そうです。ゲームを初めてから、私があつらえたものです」
「やっぱりそうなんですね。ヤカタさんと戦った際、動きを制限している様子もなかったので」
「あれは、昔……私がヤカタのリアルに送ったものと、同じデザインのものなのです。こちらでも、何かあつらえようという話になった際、ヤカタが指定してきたもので。……渡したのも、もう十年近く前になるのですが」
青かった顔色が、少し照れるような朱に変わる。
それだけで、シンシさんにとって、そのことがどんな意味を持つのか、想像できるほどだった。
そしてきっとそれは、ヤカタさんにとっても、大事なものだったんじゃないだろうか。
だからこそ、こっちの世界でも、その服と同じものを使いたかったのかな?
そういうのって、なんだか素敵だなぁ……。
「ねえ、シンシさん。このイベントが終わったらさ、僕の服も作って貰うことって出来るのかな? もちろんお金とか、素材とかは言ってくれれば頑張って準備するよ」
「え、姫の、ですか……?」
「うん。……僕、普段使い出来るような服が、お下がりしかなくて……。もしシンシさんが作ってくれるなら、すごく嬉しい」
もちろん、おばちゃんから貰った服も、僕にとっては大切な宝物のようなものだけど。
それとはまた違う、僕個人のことを考えながら作られた服は、きっとその人の思いがいっぱい詰め込まれてるはずだから。
だからこそ、僕はシンシさんにお願いしたいんだ。
仲間にも、敵にもなった僕らは、きっと他にはない不思議な関係で。
お互い、このイベントの事は、忘れることもできない……そんな、時折痛む小さな針みたいな思い出になる。
でも、それでいい。
そんな関係も、きっと宝物になるはずだから
「どうかな? シンシさん」
急速に霞み始めた視界に耐えながら、僕はなんとか笑顔を作る。
そんな僕に対して、目の前のシンシさんは右腕を持ち上げて――。
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