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case0: 裏切り /Side-A #1
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昔から正義感が人一倍強かった。自分の信念は決して曲げず、誰に何を言われようとも貫き通してきた。おかしいと思ったことは真っ先におかしいと言ったし、困っている人を見かけたら、周りの目なんて気にせず、率先して助けに行く――そんな人間だった。
小、中学生頃まではクラスのリーダー的存在として慕われていたが、みんな大人になるにつれて、"そういうの"を鬱陶しく感じるようになったらしく、自分もそれに合わせてなるべく目立たないように振る舞うようになっていった。
そんな僕も今日からは華の大学生。新しいファッションに身を包み、一人称も変え、誰も自分のことを知らないこの地で、今度こそ…普通の人間として生きていく決意を固める。…とは言ったものの、これから普通の大学生活を送るにあたって何から始めるのが良いだろう?アルバイトをして、遊ぶ為のお金を作りながら職場での人間関係を築いたり、何かしらのサークルに入って、新入生歓迎会と称した飲み会に参加したりするのが普通だろうか…?いろいろ分からないことも多いが、クヨクヨしてたって何も始まらない――。まずは至る所で行われているサークル勧誘の中から、適当にいろんな所を見て回ってみよう。
いろいろなサークルの見学に顔を出したが、その中でも一番活気があって、オシャレなイメージのあるテニスサークルへの入会を決めた。和気あいあいとしたした雰囲気で、先輩たちも気さくで話しやすい人ばかりだったし、何より体を動かすのは昔から好きだった。
メンバーは各学年それぞれ10~20人程の大規模なサークルで、男女比は若干男多めの半々位。活動は大体週に3回で行われているが、毎回全員が参加するということは基本なく、一回当たりの参加人数はおおよそ10人程で、多い日でも20人には満たない。高校時代の部活と比べるとどうしてもユルい感じはするが、活動をほとんどせずに飲み会ばかり…みたいなサークルがあるなんて噂もあるし、これでもウチは十分に真面目なサークルと言えるのだろう。
時は流れ、大学に入って早1ヶ月――今日は待ちに待ったサークルの新入生歓迎会の日だ。今までは緊張や忙しさを理由に、他者との交流に消極的なのも許されたが、そろそろそうもいかない時期に入ってきた。今日を境にサークルや大学内での僕の立ち位置が決まるといっても過言ではない。守りに入って真面目になり過ぎず、かと言って攻めすぎてヤバい奴だと思われないよう、丁度いい具合に立ち回らなければならない。
・・・ああ心臓がバクバクしてきた。期待と不安で胸がいっぱいになるとはこういうことなんだろう。
同じ新入生の中でも、専攻や学部が違ったりしていて、ちゃんと話したことのない人や初めて会う人だって居るだろう。普段は気さくで優しい先輩たちだって、お酒が入ったら人が変わってしまうかもしれない…。そうなったら未成年飲酒を勧められたりするのだろうか…?もしそうなったらキッパリと断るべきか…それとも、一度軽く断りを入れつつもその場の雰囲気に流されて仕方なく飲んでしまうのがいいのか…?そうしたら、真面目だけどノリのいい後輩という丁度良さを演出できるだろうか…?そしたら、少しずつ悪い遊びを教えてもらったりもしながら…今風の若者らしい、充実した普通のキャンパスライフを送ることが出来るだろうか…?
・・・いや、こんなありもしない妄想を膨らませていても仕方がない。今はただ、この歓迎会を上手く乗り切ることだけに集中しよう…。
小、中学生頃まではクラスのリーダー的存在として慕われていたが、みんな大人になるにつれて、"そういうの"を鬱陶しく感じるようになったらしく、自分もそれに合わせてなるべく目立たないように振る舞うようになっていった。
そんな僕も今日からは華の大学生。新しいファッションに身を包み、一人称も変え、誰も自分のことを知らないこの地で、今度こそ…普通の人間として生きていく決意を固める。…とは言ったものの、これから普通の大学生活を送るにあたって何から始めるのが良いだろう?アルバイトをして、遊ぶ為のお金を作りながら職場での人間関係を築いたり、何かしらのサークルに入って、新入生歓迎会と称した飲み会に参加したりするのが普通だろうか…?いろいろ分からないことも多いが、クヨクヨしてたって何も始まらない――。まずは至る所で行われているサークル勧誘の中から、適当にいろんな所を見て回ってみよう。
いろいろなサークルの見学に顔を出したが、その中でも一番活気があって、オシャレなイメージのあるテニスサークルへの入会を決めた。和気あいあいとしたした雰囲気で、先輩たちも気さくで話しやすい人ばかりだったし、何より体を動かすのは昔から好きだった。
メンバーは各学年それぞれ10~20人程の大規模なサークルで、男女比は若干男多めの半々位。活動は大体週に3回で行われているが、毎回全員が参加するということは基本なく、一回当たりの参加人数はおおよそ10人程で、多い日でも20人には満たない。高校時代の部活と比べるとどうしてもユルい感じはするが、活動をほとんどせずに飲み会ばかり…みたいなサークルがあるなんて噂もあるし、これでもウチは十分に真面目なサークルと言えるのだろう。
時は流れ、大学に入って早1ヶ月――今日は待ちに待ったサークルの新入生歓迎会の日だ。今までは緊張や忙しさを理由に、他者との交流に消極的なのも許されたが、そろそろそうもいかない時期に入ってきた。今日を境にサークルや大学内での僕の立ち位置が決まるといっても過言ではない。守りに入って真面目になり過ぎず、かと言って攻めすぎてヤバい奴だと思われないよう、丁度いい具合に立ち回らなければならない。
・・・ああ心臓がバクバクしてきた。期待と不安で胸がいっぱいになるとはこういうことなんだろう。
同じ新入生の中でも、専攻や学部が違ったりしていて、ちゃんと話したことのない人や初めて会う人だって居るだろう。普段は気さくで優しい先輩たちだって、お酒が入ったら人が変わってしまうかもしれない…。そうなったら未成年飲酒を勧められたりするのだろうか…?もしそうなったらキッパリと断るべきか…それとも、一度軽く断りを入れつつもその場の雰囲気に流されて仕方なく飲んでしまうのがいいのか…?そうしたら、真面目だけどノリのいい後輩という丁度良さを演出できるだろうか…?そしたら、少しずつ悪い遊びを教えてもらったりもしながら…今風の若者らしい、充実した普通のキャンパスライフを送ることが出来るだろうか…?
・・・いや、こんなありもしない妄想を膨らませていても仕方がない。今はただ、この歓迎会を上手く乗り切ることだけに集中しよう…。
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