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case0: 裏切り /Side-A #4
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時刻も21時に差し掛かり、これから二度目の席替えが行われようという頃合だが…帰る準備をしているかのような、先輩達の姿がちらほら見受けられる。
「あれ?この店の予約って10時30分までですよね…。あの人達、もう帰っちゃうんですか?」
「ああ。一応途中退出もOKだし、何か予定があるメンバーにとってはタイミング的にも丁度いいしな。」
終電というにはまだまだ程遠い時間ではあるが…確かに、明日の朝が早かったりすると僕だって帰りたくなる時間だ。
「そうですか…。それなら仕方ないですね…。」
「な~に残念そうにしてるんだよ!俺だってコイツだってまだまだいるんだし、そんなに名残惜しいんなら二次会だって付き合ってもらうぞ?」
「馬鹿か、お前は。そんなんじゃなくて、ほら…」
「あー...」
そう――、帰り支度を始めているメンバーの中にはY先輩も含まれていたのだ。
「ま、女はまた今度ってことで…今日は男だけで飲み明かそうぜ!」
「阿呆か、お前は。女性メンバーだってまだまだ残ってるし、Mくんや他の新人もみんな未成年だから会が終わったら解散だ。それにこれから席替えもあるし、Mくんだってもっと他のメンバーとも親交を深めたいんじゃないか?」
「ええ~!?俺だってもっとMと話してぇよー。Mもそうだよな?」
「おい、やめろS...Mくん困ってるだろ…。」
「リーダー、ありがとうございます。でも大丈夫ですよ。僕ももう少しお二人と話したいと思っていたので。…勿論、お二人がよければですけど。」
「M~~!お前いいヤツだなあ~!!」
「…本当にな。よし!将来はリーダーの座を確約してあげよう。」
「ハハッ、流石に気が早いですって!」
・・・あまりこの言葉は好きでは無いけど…この二人は、大学内でもサークル内でもカースト上位の存在だろう。取り入っておいて損はないだろうし…そうすれば、憧れのキラキラ大学生活に大きく近づけるはずだ。
(でも・・・これって本当に普通か?本当に皆、こんなに面倒くさい人付き合いをしているのか?
イヤ…駄目だ。これでは高校の時の二の舞になる。僕がオカシイから面倒に感じるだけであって、きっとこれが普通なんだ…。)
二回目の席替えでは、僕もリーダーもS先輩も動くことはなかったが、リーダーの隣――僕の斜め向かいに一人の女性メンバーがやって来た。
何という色なのか知らないが…明るめの茶髪が目立つ派手めな女性で、近づいてくると同時に柑橘系の香水の匂いが漂ってきた。
(あれ…?この人どこかで・・・)
――ああ、確かY先輩の隣に座っていた人だ。何だか対照的な二人だったので覚えている。
「どうも~。えっと…Mくん、だよね。はじめまして、"A"でーす。」
「どうも。はじめまして、Mと…申します。」
「アハッ!もしかして緊張してるの?かわいい~。」
緊張・・・というとそうかもしれない。この人…声が何となく苦手だ。
「それより...さっきウチらの方見て何か盛り上がってたみたいですけど、何話してたんですかぁ~。」
(敬語…ってことは、2年か3年だな。)
「いや、A。お前じゃないぞ。」
「そうそう!Mはお前なんかよりYちゃんが好みだって話だよ。」
「えぇ~!!そうなの、Mくん!?」
「いえいえ!そこまでは言ってないですよ。ただYさんの事が気になると言っただけであって…」
「そっかぁ~~、MくんもY派かぁ…ちょっとイイと思ってたんだけどなぁー。」
(呼び捨て・・・ということは2年だな。それもそこそこ親しい間柄らしい…。)
「A派もなにも…そんな派閥争いが生まれるほど、A派の人間なんて居ないぞ。」
「うわ・・・っ。リーダー、酷っど~い。」
ここまでの話を聞く感じ…どうやらこの"A"という女性は、俗に言ういじられキャラというポジションのようだ。かといって、決してカーストが低いという訳でもなさそうで…リーダーやS先輩にも遠慮がない様子や、洗練された都会的な雰囲気がそれを裏付けている。見た目に関しても、Y先輩と比較されているから微妙な扱いを受けているものの、単体で見ると美人と言える部類に入るだろう。
いじられキャラだと思って、下手にいじると痛い目に遭いそうだ…。
その後はサークル内での自分の立場を盤石にするため、この三人と仲良くなることに専念した。悪酔いしたS先輩に、未成年飲酒を勧められる…こともなく、誰かが二次会にいくと言い出すこともなく、歓迎会はその場でお開きとなった。
「あれ?この店の予約って10時30分までですよね…。あの人達、もう帰っちゃうんですか?」
「ああ。一応途中退出もOKだし、何か予定があるメンバーにとってはタイミング的にも丁度いいしな。」
終電というにはまだまだ程遠い時間ではあるが…確かに、明日の朝が早かったりすると僕だって帰りたくなる時間だ。
「そうですか…。それなら仕方ないですね…。」
「な~に残念そうにしてるんだよ!俺だってコイツだってまだまだいるんだし、そんなに名残惜しいんなら二次会だって付き合ってもらうぞ?」
「馬鹿か、お前は。そんなんじゃなくて、ほら…」
「あー...」
そう――、帰り支度を始めているメンバーの中にはY先輩も含まれていたのだ。
「ま、女はまた今度ってことで…今日は男だけで飲み明かそうぜ!」
「阿呆か、お前は。女性メンバーだってまだまだ残ってるし、Mくんや他の新人もみんな未成年だから会が終わったら解散だ。それにこれから席替えもあるし、Mくんだってもっと他のメンバーとも親交を深めたいんじゃないか?」
「ええ~!?俺だってもっとMと話してぇよー。Mもそうだよな?」
「おい、やめろS...Mくん困ってるだろ…。」
「リーダー、ありがとうございます。でも大丈夫ですよ。僕ももう少しお二人と話したいと思っていたので。…勿論、お二人がよければですけど。」
「M~~!お前いいヤツだなあ~!!」
「…本当にな。よし!将来はリーダーの座を確約してあげよう。」
「ハハッ、流石に気が早いですって!」
・・・あまりこの言葉は好きでは無いけど…この二人は、大学内でもサークル内でもカースト上位の存在だろう。取り入っておいて損はないだろうし…そうすれば、憧れのキラキラ大学生活に大きく近づけるはずだ。
(でも・・・これって本当に普通か?本当に皆、こんなに面倒くさい人付き合いをしているのか?
イヤ…駄目だ。これでは高校の時の二の舞になる。僕がオカシイから面倒に感じるだけであって、きっとこれが普通なんだ…。)
二回目の席替えでは、僕もリーダーもS先輩も動くことはなかったが、リーダーの隣――僕の斜め向かいに一人の女性メンバーがやって来た。
何という色なのか知らないが…明るめの茶髪が目立つ派手めな女性で、近づいてくると同時に柑橘系の香水の匂いが漂ってきた。
(あれ…?この人どこかで・・・)
――ああ、確かY先輩の隣に座っていた人だ。何だか対照的な二人だったので覚えている。
「どうも~。えっと…Mくん、だよね。はじめまして、"A"でーす。」
「どうも。はじめまして、Mと…申します。」
「アハッ!もしかして緊張してるの?かわいい~。」
緊張・・・というとそうかもしれない。この人…声が何となく苦手だ。
「それより...さっきウチらの方見て何か盛り上がってたみたいですけど、何話してたんですかぁ~。」
(敬語…ってことは、2年か3年だな。)
「いや、A。お前じゃないぞ。」
「そうそう!Mはお前なんかよりYちゃんが好みだって話だよ。」
「えぇ~!!そうなの、Mくん!?」
「いえいえ!そこまでは言ってないですよ。ただYさんの事が気になると言っただけであって…」
「そっかぁ~~、MくんもY派かぁ…ちょっとイイと思ってたんだけどなぁー。」
(呼び捨て・・・ということは2年だな。それもそこそこ親しい間柄らしい…。)
「A派もなにも…そんな派閥争いが生まれるほど、A派の人間なんて居ないぞ。」
「うわ・・・っ。リーダー、酷っど~い。」
ここまでの話を聞く感じ…どうやらこの"A"という女性は、俗に言ういじられキャラというポジションのようだ。かといって、決してカーストが低いという訳でもなさそうで…リーダーやS先輩にも遠慮がない様子や、洗練された都会的な雰囲気がそれを裏付けている。見た目に関しても、Y先輩と比較されているから微妙な扱いを受けているものの、単体で見ると美人と言える部類に入るだろう。
いじられキャラだと思って、下手にいじると痛い目に遭いそうだ…。
その後はサークル内での自分の立場を盤石にするため、この三人と仲良くなることに専念した。悪酔いしたS先輩に、未成年飲酒を勧められる…こともなく、誰かが二次会にいくと言い出すこともなく、歓迎会はその場でお開きとなった。
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