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case0: 裏切り /Side-A #9
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「M・・・てめぇ、俺達に逆らう気か!?」
「ハァ・・・残念だよ、M君。君はもう少し賢い男だと思ったんだけどね…。一応、理由を聞かせてもらおうか?」
「そんなん...単に気に入らないからっスよ。女酔わせて家に連れ込むなんざ、卑怯モンのすることじゃないですか。」
「卑怯ねぇ…。あのさぁ、君はこっちに越してきて数か月だから知らないだろうけど…この辺じゃ、そのくらいの事は日常茶飯事なんだよ。」
・・・噂程度だが知っている。ここ××地区は、性犯罪の発生件数が毎年のように全国ワースト3以内に入るほどに、治安の悪い場所だと。
「元々、この辺りは家や学校に居場所のない若者達が多くたむろする場所だった。近くには夜遅くまでやっている商業施設や、24時間営業のネットカフェ、比較的安価なラブホテルなんかもいっぱいあるからね。
そんな若者達を狙って……あるいはそんな若者達が自発的になって、次第に売春や買春が横行するようになっていった。最早、男も女も見境無く売り買いされるその様から、巷では『春市場』なんて呼ばれてたりもするみたいだねぇ。」
「春市場・・・。」
(そういや大学の連中がコソコソと、"春市"がどうだのと話しているのを聞いたことがあるな。そん時は何の話かイマイチ分からなかったが...まさか、そんなくだらない話だったとは…。)
「警察はそんな現状を知りながらも、一向に取り締まろうという様子を見せない。『必要悪』とでも言うのかな…。そこの所はお偉いさん方も良く分かっているようだねえ。
君も知ってるだろう?来月からは特便なんてモノが全国に先駆けて設置されるくらいだし…ここ××地区の性風俗の乱れは、言うなれば――国からのお墨付きなのさ。
そんな訳で、ここ"春市"では君の言う卑怯は、ごく普通のことなんだよ。」
「・・・・・・。」
「結局のところ...善悪の基準なんてものは個人によって変わってくる。
…しかし、個人が個人のルールで好き勝手に動いているようじゃ、当然社会は機能しなくなる。
そこで法律なんてモノが設けられている訳だが…全ての人間に対して、公正かつ平等に、裁量を図ることのできる万能のルールなんてものは存在しない。」
バン―――ッ!!
ソイツは唐突に手のひらを机に押し当て、勢いよく立ち上がり、さながら悪徳宗教の教祖が信者を前にして演説を行うかのようにして、声高に語り出した。
「ああ、実に困った!罪深い我々は一体、何を信じ、何に従って生きていけばいいというのだ!!」
「あーあ。リーダー...ま~たスイッチ入っちゃった。」
「...っせぇなぁ。回りくどいんだよ…。
要は『郷に入っては郷に従え』って事を言いてえんだろ?」
「その通り!!やはり僕の目に狂いは無かった!君は聡い男だ。
だが…だからこそ、本当に残念だ。聡いが故に、己が正義を過信して視野が狭くなっている…。
ああ...親がその名に込めた想いが、このような形で君を縛りつける事になろうとは、皮肉なものだねぇ……なあ?!"M"君…。」
「・・・チッ―――。...ゥぜぇなぁ。
長々と御託ばっか並べてねぇで、さっさとかかってこいよ…。」
「やれやれ…前言撤回だよ。やっぱり君は大馬鹿者だ。
三対一...どちらが不利かなんて、そんなの猿でも分かる計算だろう?」
「ちょっとぉ~~!!アタシを数に数えないでくださいよ~~。それに、リーダーやS先輩なら一対一でも余裕でしょ?」
「まあ、そうだけどよぉ…。何?ホントにやる流れなワケ?
なぁ、M...やっぱお前もこっち来いって。今からでも謝れば許してやるし、俺達に従うなら悪いようにはしねえからよ。」
「アンタらに謝るくらいなら死んだ方がマシだっての。
…もっとも、黙ってボコられる気もねぇですけど。」
「どうやら君も、幾らか腕に覚えのあるようだが…それでも、相手の力量も解らぬ内から下手な大見得を切って、僕らを挑発しようだなんて...そんな君を、"愚か"と言わずして何と言う?
まあいい。無知で愚かな君に教えてあげようか。Sは高校時代、地元の一帯を仕切っていた暴走族で頭を張っていた男だよ。オマケに僕は合気道の有段者…それだけ分かれば、万に一つも勝ち目が無いことくらいは容易に想像出来るだろう?
Sの言った通り...今からでも、頭を垂れて赦しを乞うなら、許してやらないでもないよ?これでも、君のことはそれなりに気に入っているからね。」
「しつけぇなぁ…。アンタら下衆に媚びてクズみてぇな生き方するくれぇなら"愚か者"で結構…ってんですよ。」
「まったく…本当に残念だよ、M君。後悔してももう遅いからね…?
それじゃあ・・・いくぞぉぉおっ―――!!」
「ハァ・・・残念だよ、M君。君はもう少し賢い男だと思ったんだけどね…。一応、理由を聞かせてもらおうか?」
「そんなん...単に気に入らないからっスよ。女酔わせて家に連れ込むなんざ、卑怯モンのすることじゃないですか。」
「卑怯ねぇ…。あのさぁ、君はこっちに越してきて数か月だから知らないだろうけど…この辺じゃ、そのくらいの事は日常茶飯事なんだよ。」
・・・噂程度だが知っている。ここ××地区は、性犯罪の発生件数が毎年のように全国ワースト3以内に入るほどに、治安の悪い場所だと。
「元々、この辺りは家や学校に居場所のない若者達が多くたむろする場所だった。近くには夜遅くまでやっている商業施設や、24時間営業のネットカフェ、比較的安価なラブホテルなんかもいっぱいあるからね。
そんな若者達を狙って……あるいはそんな若者達が自発的になって、次第に売春や買春が横行するようになっていった。最早、男も女も見境無く売り買いされるその様から、巷では『春市場』なんて呼ばれてたりもするみたいだねぇ。」
「春市場・・・。」
(そういや大学の連中がコソコソと、"春市"がどうだのと話しているのを聞いたことがあるな。そん時は何の話かイマイチ分からなかったが...まさか、そんなくだらない話だったとは…。)
「警察はそんな現状を知りながらも、一向に取り締まろうという様子を見せない。『必要悪』とでも言うのかな…。そこの所はお偉いさん方も良く分かっているようだねえ。
君も知ってるだろう?来月からは特便なんてモノが全国に先駆けて設置されるくらいだし…ここ××地区の性風俗の乱れは、言うなれば――国からのお墨付きなのさ。
そんな訳で、ここ"春市"では君の言う卑怯は、ごく普通のことなんだよ。」
「・・・・・・。」
「結局のところ...善悪の基準なんてものは個人によって変わってくる。
…しかし、個人が個人のルールで好き勝手に動いているようじゃ、当然社会は機能しなくなる。
そこで法律なんてモノが設けられている訳だが…全ての人間に対して、公正かつ平等に、裁量を図ることのできる万能のルールなんてものは存在しない。」
バン―――ッ!!
ソイツは唐突に手のひらを机に押し当て、勢いよく立ち上がり、さながら悪徳宗教の教祖が信者を前にして演説を行うかのようにして、声高に語り出した。
「ああ、実に困った!罪深い我々は一体、何を信じ、何に従って生きていけばいいというのだ!!」
「あーあ。リーダー...ま~たスイッチ入っちゃった。」
「...っせぇなぁ。回りくどいんだよ…。
要は『郷に入っては郷に従え』って事を言いてえんだろ?」
「その通り!!やはり僕の目に狂いは無かった!君は聡い男だ。
だが…だからこそ、本当に残念だ。聡いが故に、己が正義を過信して視野が狭くなっている…。
ああ...親がその名に込めた想いが、このような形で君を縛りつける事になろうとは、皮肉なものだねぇ……なあ?!"M"君…。」
「・・・チッ―――。...ゥぜぇなぁ。
長々と御託ばっか並べてねぇで、さっさとかかってこいよ…。」
「やれやれ…前言撤回だよ。やっぱり君は大馬鹿者だ。
三対一...どちらが不利かなんて、そんなの猿でも分かる計算だろう?」
「ちょっとぉ~~!!アタシを数に数えないでくださいよ~~。それに、リーダーやS先輩なら一対一でも余裕でしょ?」
「まあ、そうだけどよぉ…。何?ホントにやる流れなワケ?
なぁ、M...やっぱお前もこっち来いって。今からでも謝れば許してやるし、俺達に従うなら悪いようにはしねえからよ。」
「アンタらに謝るくらいなら死んだ方がマシだっての。
…もっとも、黙ってボコられる気もねぇですけど。」
「どうやら君も、幾らか腕に覚えのあるようだが…それでも、相手の力量も解らぬ内から下手な大見得を切って、僕らを挑発しようだなんて...そんな君を、"愚か"と言わずして何と言う?
まあいい。無知で愚かな君に教えてあげようか。Sは高校時代、地元の一帯を仕切っていた暴走族で頭を張っていた男だよ。オマケに僕は合気道の有段者…それだけ分かれば、万に一つも勝ち目が無いことくらいは容易に想像出来るだろう?
Sの言った通り...今からでも、頭を垂れて赦しを乞うなら、許してやらないでもないよ?これでも、君のことはそれなりに気に入っているからね。」
「しつけぇなぁ…。アンタら下衆に媚びてクズみてぇな生き方するくれぇなら"愚か者"で結構…ってんですよ。」
「まったく…本当に残念だよ、M君。後悔してももう遅いからね…?
それじゃあ・・・いくぞぉぉおっ―――!!」
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