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case0: 裏切り /Side-B #2
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昼休みがやって来た。
あの地獄のホームルーム以降――アケミ以外の人間とは、まだ会話すら交わせていない。
もともと社交的な性格じゃない事に加え、2年に進級してからはまだ数か月しか経っていない現在、特別仲が良いと言える程のクラスメイトはいない。その上、すでに噂が広まり始めているのか...休み時間になる度、教室の外には野次馬が集まってくるようになっている。その為、変に注目されるリスクを負ってまで今のアタシに進んで話し掛けに来るような奴は、相当な物好きと言っていいだろう。
…別に独りで居るのは嫌いじゃないけど、やっぱり…この空気はどうも居心地が悪い。
(関わりたくないなら関わりたくないで、完全に無視してくれていいのに…。
まあ...珍しいものがあったら、つい見ちゃう気持ちは分かるけどさ――。)
「ユ~~イッ!お昼、一緒に食べよっ!!」
こんな状況にも関わらず声を掛けてくる、その物好きは――幼馴染のアケミ…と、その取り巻きの女子2名。
「え~っと...いいの?」
主に後ろの二人に目配せしながら問いかける。
「うん。ウチらは全然OKだよー。」
「そうそう。前々から、わたし達もユイトく・・・じゃなかった...ユイちゃんとお話したいって思ってたんだ。」
「そっか…それじゃあ、お言葉に甘えてご一緒させて貰おうかな。」
現状・・・ここからアタシがクラスに溶け込むには、アケミの協力が必要不可欠だ。彼女もそれを知ってか知らずか、こうして他のクラスメイトと繋がるチャンスを作ってくれている。
本来、アケミには顔向けできない立場のアタシだけど…今はキミを頼らせてもらう他ない――。
各々が昼食の準備を進める中、真っ先に話を切り出してきたのは取り巻きの一人だった。
「ちなみに、ユイく…ちゃんはさぁ...トイレってどうすんの?」
「ちょっと・・・っ!!」
「あー...大丈夫だよ。うん…そりゃあ、みんな気になるよね…。」
遠慮のない質問だけど、変に気を遣われるよりはそっちの方がありがたい。
(こういうデリケートだけどいつかは触れなきゃいけない話題って、わざわざ自分から切り出すと、余計、深刻に捉えられるんだよね…。
てか...こういう話こそ先生の方から説明すべきじゃないの…?自己満足で道徳語るよりも先に、ちゃんと職務を果たして欲しいもんだよ…全く…。)
「先生からは一応、女子トイレを使ってもいいとは言われてるけど、なるべく他の子がいない場所やタイミングを狙っていくようにも言われてるよ。」
「へー...」
「そうなんだ…。」
(あー...大丈夫、分かってるよ。自分が遭遇しなければいいとか、そういう問題じゃないんだよね。うん、心配しないで。使ってもいいと言われてるってだけであって、ボクみたいのが女子トイレに立ち入る事なんて無いからさ。
…というか、そもそも学校のトイレなんて、小3の時以来一度も使ってないしね。)
気まずさを誤魔化すかように、それぞれが一斉に昼食を摂り始める。
「えーっと...確認なんだけど、ユイちゃんは心が女の子…って事でいいんだよね?」
「うん、そうだよ。」
(ま…そっち寄りであることには違いないかな。)
「だったら、もっと堂々と使わせてくれてもいいのにね!あの先生って、ホントそういう配慮足りないよねー。」
(何で自分たちは理解があるみたいな前提なんだろう?そりゃあ...あの先生よりはよっぽどマシだけどさ。)
「だねー。てかさぁ、女子トイレって全部個室だから、ぶっちゃけ男子が居たって大して関係なくない?」
そうは言うものの――、その顔は明らかに引きつっている。
「えーっ!流石にそれは嫌じゃない?
……あっ!も...もちろん、ユイちゃんなら全然大丈夫だよ!!」
「うん...ありがとね。」
「でもさぁ・・・」
最初のお昼のお誘い以降――これまで沈黙を貫いてきたアケミが口を開き、その場に居る全員の…食事の手が止まった。
「心が女だからって、女子トイレ使うのは普通に駄目じゃない?」
あの地獄のホームルーム以降――アケミ以外の人間とは、まだ会話すら交わせていない。
もともと社交的な性格じゃない事に加え、2年に進級してからはまだ数か月しか経っていない現在、特別仲が良いと言える程のクラスメイトはいない。その上、すでに噂が広まり始めているのか...休み時間になる度、教室の外には野次馬が集まってくるようになっている。その為、変に注目されるリスクを負ってまで今のアタシに進んで話し掛けに来るような奴は、相当な物好きと言っていいだろう。
…別に独りで居るのは嫌いじゃないけど、やっぱり…この空気はどうも居心地が悪い。
(関わりたくないなら関わりたくないで、完全に無視してくれていいのに…。
まあ...珍しいものがあったら、つい見ちゃう気持ちは分かるけどさ――。)
「ユ~~イッ!お昼、一緒に食べよっ!!」
こんな状況にも関わらず声を掛けてくる、その物好きは――幼馴染のアケミ…と、その取り巻きの女子2名。
「え~っと...いいの?」
主に後ろの二人に目配せしながら問いかける。
「うん。ウチらは全然OKだよー。」
「そうそう。前々から、わたし達もユイトく・・・じゃなかった...ユイちゃんとお話したいって思ってたんだ。」
「そっか…それじゃあ、お言葉に甘えてご一緒させて貰おうかな。」
現状・・・ここからアタシがクラスに溶け込むには、アケミの協力が必要不可欠だ。彼女もそれを知ってか知らずか、こうして他のクラスメイトと繋がるチャンスを作ってくれている。
本来、アケミには顔向けできない立場のアタシだけど…今はキミを頼らせてもらう他ない――。
各々が昼食の準備を進める中、真っ先に話を切り出してきたのは取り巻きの一人だった。
「ちなみに、ユイく…ちゃんはさぁ...トイレってどうすんの?」
「ちょっと・・・っ!!」
「あー...大丈夫だよ。うん…そりゃあ、みんな気になるよね…。」
遠慮のない質問だけど、変に気を遣われるよりはそっちの方がありがたい。
(こういうデリケートだけどいつかは触れなきゃいけない話題って、わざわざ自分から切り出すと、余計、深刻に捉えられるんだよね…。
てか...こういう話こそ先生の方から説明すべきじゃないの…?自己満足で道徳語るよりも先に、ちゃんと職務を果たして欲しいもんだよ…全く…。)
「先生からは一応、女子トイレを使ってもいいとは言われてるけど、なるべく他の子がいない場所やタイミングを狙っていくようにも言われてるよ。」
「へー...」
「そうなんだ…。」
(あー...大丈夫、分かってるよ。自分が遭遇しなければいいとか、そういう問題じゃないんだよね。うん、心配しないで。使ってもいいと言われてるってだけであって、ボクみたいのが女子トイレに立ち入る事なんて無いからさ。
…というか、そもそも学校のトイレなんて、小3の時以来一度も使ってないしね。)
気まずさを誤魔化すかように、それぞれが一斉に昼食を摂り始める。
「えーっと...確認なんだけど、ユイちゃんは心が女の子…って事でいいんだよね?」
「うん、そうだよ。」
(ま…そっち寄りであることには違いないかな。)
「だったら、もっと堂々と使わせてくれてもいいのにね!あの先生って、ホントそういう配慮足りないよねー。」
(何で自分たちは理解があるみたいな前提なんだろう?そりゃあ...あの先生よりはよっぽどマシだけどさ。)
「だねー。てかさぁ、女子トイレって全部個室だから、ぶっちゃけ男子が居たって大して関係なくない?」
そうは言うものの――、その顔は明らかに引きつっている。
「えーっ!流石にそれは嫌じゃない?
……あっ!も...もちろん、ユイちゃんなら全然大丈夫だよ!!」
「うん...ありがとね。」
「でもさぁ・・・」
最初のお昼のお誘い以降――これまで沈黙を貫いてきたアケミが口を開き、その場に居る全員の…食事の手が止まった。
「心が女だからって、女子トイレ使うのは普通に駄目じゃない?」
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