多機能型特別公衆便所 ==特便==

辻 野乃子

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Extra case ~聖女さまの告解室~ #5

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「それでは…始める前に一度、深呼吸をしましょうか。」
「深呼吸・・・? 一体何のために…?」
「想像力を膨らませるためです。イメージの力を使うには、リラックスが必要不可欠ですから。」
「なるほど…。」

「さあ…ワタシの声に集中して……。ワタシの声に合わせて…ゆっっくりと…呼吸をしてください…。
 吸って………吐いて―――。
 吸って………吐いて―――。」

 解る人には解る――催眠的なアレを模倣し、男をトランス状態へと導いてゆく。

「スゥ~~...はーー...。
 スゥ~~...はーー...。」
「そうです…。その調子です…。」
 
「…しかし、こうして改めて聞いてみると……聖女さまってイイ声してますね。なんだか凄く落ち着きます――。」
「ハハッ、ありがとうございます…。こう見えてワタシ...声だけは昔からよく褒められるんですよ。」

 ・・・そう。おデブならでは(諸説あり)の、深みのあってよく響くこの声は――百人いれば百人が認めるブスであるワタシの、先天的かつ身体的な、唯一とも言えるアドバンテージである。
 男に目隠しをさせたのは、外見というディスアドバンテージを無くすためだけではない…。視覚情報を遮断することで、他の感覚――ここでは主に、聴覚に意識を集中しやすくするためでもあり、まさしく一石二鳥の戦術なのだ。

「それでは...深呼吸を続けましょうか。
 そうですね……。では...今度は息を吐くのに合わせて、ワタシの指示する通りに力を抜いていきましょう…。」
「指示・・・?ですか?」
「ええ。・・・とは言っても、何も難しいことはありません。
 お客さんは何も考えず……ただボーーっと、ワタシの声を聞き流してるだけで大丈夫ですよ。
 …何はともあれ、やってみれば分かりますとも…。」
「はい…、分かりました。」


「それでは・・・
 吸って………吐いて―――
 右手から…力が抜けていく……。
 吸って………吐いて―――
 左手から…力が抜けていく……。」

 漸進的筋弛緩法を用いてリラックスを促してゆく。
 本来は心理学や行動療法といった、高尚な分野で知られるリラクゼーション方法だが...ワタシのような上級変態にとって馴染み深いものでもある。

 元々ソレ系の音声作品は好きでよく聞いていて、同じ趣味を持つ常連にリクエストされて試しにやってみたところ……非常に好評を頂いた。
 そこで初めて――、コレは掃女としての武器になる...と気付いたのだ。

 丁度、当時のワタシは伸び悩んでおり…【床上手】【NG行為一切なし】に次ぐ、第三の矢を探していた。
 他の風俗業界や援交,P活などと比べると...掃女界隈では外見的要素はそこまで重要視されない、、と言われている。だが、結局のところ…その傾向は上に行けば行くほど薄れていく。これまで幾度となく、ワタシの前に立ちはだかってきた壁であり...例に漏れずワタシも、その壁にぶち当たっていた。
 そんな折...ようやく見つけた、一筋の光明であった…。

 それからというもの...趣味と勉強を兼ねて、女性向け男性向け問わず――幅広いジャンルの作品を、狂ったように聞くようになった。自分なりに考察や研究を重ねたり、ボイトレなども本格的に行うようになった。そして、その努力は実を結び……今やこうして、実践投入できるレベルにまで仕上がったのだ。
 否・・・それどころか...ワタシの元へ足繁く通う熱狂的なリピーターは、ほぼ全員漏れなく、この"生ASMR"の虜になった者達と言っても過言ではない…。

 そう――、これこそが……ルッキズムの壁を打ち破り、ワタシのようなブスを掃女界のトップたらしめた三本の矢。。。その三本目にして、最強の…究極秘奥義__【性練せいれんなる醜女せいじょ啓示みちびき(ア・テンプテーション・オブ・セイレーン)】――である。


 ・・・・・・・・・。
 ツッコミは受け付けていないので悪しからず。。。

「スゥ~~...はーーー......。
 スゥ~~...はーーー......。」
 男の両腕はダラりと垂れ、しっかりと肩まで力が抜けているのが分かる。
 そっち方面の知識が無いにも関わらず、潮吹きが出来た時点でそうだとは思っていたが……やはりこの男、筋が良い。

「そう・・・お上手ですよ。
 …それでは、このまま続けていきましょう…。」
 右足・左足・腰・背中・首周り・・・と、顔の筋肉に至るまで、ゆっくりと…じっくりと緩めていく。誘導が頭頂部に達する頃には、完全に力が抜けきって、(ドコとは言わないが)あらゆる部分がフニャフニャになっていた。

 暗示というのは、掛ける側の技量も勿論のこと…受ける側の意識も重要となっている。この男も…何となく「自分ひねくれものですよ」感を出しているが…きっと根は素直で、案外ピュアな奴なのだろう――。
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