ぐりむ・りーぱー〜剣と魔法のファンタジー世界で一流冒険者パーティーを脱退した俺はスローライフを目指す。最強?無双?そんなものに興味無いです〜

くろひつじ

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45話「しかし相変わらずだな、この人たち」

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 王城の中に入ると、広間には誰もいなかった。
 まあこの時間だし、みんな仕事してるんだろう。
 さて、どこに向かったもんかな。

「ライ! ボク初めて王城に入ったよ! 広いねぇ!」
「そうだな。この広間だけで普通の家よりデカいしな」
「広すぎて落ち着かない!」
「分かる。さっさと挨拶済ませて帰るか」

 とりあえず訓練所に行くか。誰かしら居るだろうし。

「そうだ。アル、誰か見かけても絶対に襲うなよ? 一応ここ、王城だからな?」
「ダメなんですか!?」
「ダメに決まってんだろ」

 あぶな。やっぱりやらかす気満々じゃねぇか。

「ジュレ、見張りは任せた」
「お任せください」

 誰か見てないと危ないからな、こいつ。
 サウレは俺から離れようとしないし、ジュレに任せるしか無い。

「あー……訓練所にでも行くか。誰か居るだろ」
「……大丈夫。ライは私が守る」
「おう、頼りにしてるからな」

 まあレンジュさん以外に危ない奴はいないと思うけど。
 騎士団の訓練に巻き込まれたりしなきゃ大丈夫だろう。
 さてさて。気は進まないが……とりあえず行くか。



 王城の敷地内にある訓練所はかなり広い。
 騎士団の集団訓練を行えるよう作られたそこは、百人単位で横並びになれる広さがある。
 その隅の方、目立たない場所に目的の人達が居た。
 全員黒髪。ボサボサ頭の少年に、長髪を後ろで束ねた少年、腰ほどまである髪を風になびかせる少女。
 英雄達の中でも有名な三人だ。
 近寄ってみると、何やら話し声が聞こえてきた。

「…エイカは、王都の甘味処は全部行ったんじゃないの?」
「ほぼ毎週違う店に行っとったからなー」
「新しいお店ができたらしいから、ツカサ君と行きたいなって思って」

 いや、王都の甘味処って露店合わせたら数十店無かったか?
 それ全部回ったのか……相変わらずだな、あの人。

「…あれ? セイさん? 久しぶりだね」
「どうもです。王都に来たんで挨拶に」
「…元気そうで何より」
「ツカサさんは相変わらず眠そうですね」

 ボサボサの髪の向こう側にある黒眼は相変わらず眠そうな半目だ。
 表情が変わらないのもいつもの事で、別に俺を嫌ってる訳じゃないのを知っている。

「えらい久しぶりやなー。二年くらいやない?」
「そんなに経ちますかね?」
「みんな心配しとったでー」
「あー……それは申し訳ない」

 ハヤトさんも相変わらず、特徴的な癖のある喋り方だ。
 細められた眼の色はやはり黒。柔らかな雰囲気だが、一切油断は感じられない。

「どうもお久しぶりです。邪魔はしないでくださいね」
「ツカサさんの仕事の邪魔さえしなけらば何も言いませんよ」
「ツカサ君の邪魔なんてしたこと一度も無いですよ」
「マジかこの人」

 いつもツカサさんの傍にいるのに言い切りやがった。
 さすが恋する乙女。エイカさんも相変わらず無敵だな。
 垂れ気味の黒眼と合わせて大人しそうに見えるのに、喋ると残念さが伝わってくる。

「…それで、そっちの人達は?」
「右からアル、サウレ、ジュレ、クレア。今の俺の仲間です」
「…そっか。竜の牙は抜けたんだね」
「絶賛逃亡中です」

 主にルミィから。今からでも王都を旅立ちたいくらいだ。

「あー……一応紹介しておくか。まずこの人がトオノツカサさん。所謂『勇者』だな」
「…どうも」
「で、こっちが『剣士』シマウチハヤトさん」
「よろしゅうなー」
「最後、『狙撃手』ハヤサカエイカさん」
「よろしくお願いします。あと、ツカサ君にはあまり近付かないでくださいね」
「以上。救国の勇者パーティだ」

 魔王と素手で殴り合い、その一戦で魔王国ゲルニカの地形を変えてしまった『勇者』トオノツカサさん。
 形状の変わる魔剣を使い、その剣の腕前は王国一と言われているシマウチハヤトさん。
『ドラゴンイーター』と呼ばれるデカくてゴツいライフル銃で文字通りドラゴンすら撃ち抜くハヤサカエイカさん。
 この三人は『勇者一行』として国中の人達に知られている。

 もちろん皆も名前は知っていたようだ。
 何となく予想が着いていたのか、ジュレとクレアは苦々しく笑っていた。
 アルはいつも通り目を輝かせて殺気を放っているし、サウレは油断なく俺の隣に立っている。

「はぁ……ライさん、本当に十英雄と知り合いなんですね」
「一人だけ会ったこと無いけどな。残りはみんな知り合いだ」
「その時点で滅茶苦茶ですね」

 失礼な。オウカのせいで知り合っただけなんだが。
 あいつの人脈がおかしいだけだ。
 何せ国中の権力者と知り合いだからな、あいつ。

「…今日は訓練して行く?」
「ははは。絶対嫌です」

 素手で地面割れる人と訓練なんてしたくねぇわ。
 しかもたまに手加減間違えるし。

「…そっか。じゃあまた今度だね」
「一生やりませんからね?」
「…なんかみんな俺と訓練するの嫌がるね」
つーちゃんツカサが加減を覚えればええんやないかなー」

 苦笑いしながらツカサさんを止めるツッコミ担当ハヤトさん
 良し、そのまま抑えてくれ。

「じゃあ他の人に挨拶してくるんで」
「えーとな、アレイさんとカノンさんが会議室、カエデは書物庫やな」
「キョウスケさんは今日も治療院で仕事してますね。早く行ってください」
「あー……ありがとうございます」

 なんでだろうなー。なんか昔からエイカさんには嫌われてんだよな。
 何かした覚えは無いんだが……まあ、考えても仕方ないか。
 聞いても答えてくれなかったし。

「それじゃまた。今度飯でも食いに行きましょう」

 適当に手を振り、とりあえず英雄達のリーダーがいる会議室へと向かうことにした。

 しかし相変わらずだな、この人たち。
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