ぐりむ・りーぱー〜剣と魔法のファンタジー世界で一流冒険者パーティーを脱退した俺はスローライフを目指す。最強?無双?そんなものに興味無いです〜

くろひつじ

文字の大きさ
59 / 101

58話「ひとまず用事を終わらせるとしようかね」

しおりを挟む

 カエデさんに渡された紙束を改めて確認すると、目的の人物に関してかなり詳しく調べられていた。

 アルの探し人。グレイ・シェフィールド。
 穏やかで人柄が良く、領地の民に慕われているらしい。
 そして年内に婚約者と結婚するのだとか。
 想像していた人物像と違ったことに少し驚いたが、何にせよ実際に会って話を聞かない事には正確な事は分からない。
 彼は現在、取引先である亜人の街ビストールに居るらしい。
 通常ならまた長旅となるのだろうが、王都からなら魔導列車に潜り込めば一日で到着出来る場所だ。

 魔導列車は食堂ギルド関係者しか利用出来ない高速馬車のようなもので、通常なら二週間かかる距離を僅か一日で駆け抜ける代物だ。
 元魔王軍四天王のイグニスが製作した魔導ゴーレムが引くそれは王都と各街を結んでいて、国中にあるオウカ食堂へ食材や人員を運ぶ為だけに作られたという経緯がある。

 もちろん俺たちは使うことが出来ないのだが、何事にも裏技はあるものだ。
 準備を整えたらすぐにでも出発するとしよう。

 そしてサウレの探し人。ベルベット。
 街を渡り歩く行商人らしく、主に街ごとの特産品や珍しい食べ物を取り扱っている。
 現在は王都の北にある、氷の都フリドールに居るらしい。
 あそこはこの時期だと雪が積もって移動が出来ないし、とりあえずは後回しだ。
 ここは先にグレイさんとやらを捕まえておきたい。

 なのでまあ、今後の方針としては。
 まずは魔導列車に潜り込んでビストールに向かい、その後一旦王都に戻ってから、今度はフリドール行きの魔導列車に潜り込む流れとなる訳だ。
 うん、まあ、何て言うか。
 ユークリア王国中を巡ることになるな、これ。

「という流れだが、何か聞きたいことはあるか?」

 自宅のリビングに集まった皆を見ながら聞く。
 尚、この情報は全て冒険者ギルドが集めてくれたものだと説明してある。
 アルやジュレは納得してくれたが、熟練冒険者であるクレアからは疑わしい目で見られてしまった。
 まあ、通常ならこんな速さで情報が集まるはずもないので当たり前なんだけど、そこは適当に誤魔化しておいた。
 後でちゃんと話しておく必要があるかもなー。
 ちなみにサウレは普段通り、無表情のまま俺の膝の上に座っている。
 
「ついに! あの人をぶっ殺せるんですね!」
「まずは話を聞いてからだな。あと殺すのは却下だ」

 場合によってはぶん殴るくらいは許可するけど。

 しかし何ていうか、この件に関してはイマイチ納得が行ってないんだよなー。
 一度はこの巨乳サイコパスと婚約した訳だし、わざわざそれを破棄する理由が分からない。
 貴族的に考えると、全くメリットが無い。
 そもそも本人の意志とは関係なしに結ばれるのが貴族の婚約だし、婚約破棄できる権力があるなら最初から断ればいい。
 話の筋が通らないという事は、何かしら裏の事情がある訳だ。

 しかしまあ、詳しい話となるともう当人に聞くしかない。
 その為にもまずは身柄を確保しないとな。

「んじゃ方針は決まったな。明日は早朝から動くから、今日は好きにしとけ」
「……私はライと一緒に居る」
「はいよ。お前らはどうする?」

 しがみついてくるサウレを適当に撫でながら聞くと、三人は顔を見合わせた。

「ええと、せっかくだから王都観光したいです!」
「そうですね。久しぶりに王都を歩いて回るのも良いかも知れません」
「じゃあボクは案内役をしようかな!」

 なるほど、観光か。そう言えばアルは王都に来るのは初めてだったな。
 ちょっと考えを巡らせてみたけど、ジュレはともかくクレアが一緒なら迷うことも無いだろう。
 歯止め役がいるから特に問題も無いだろうし。

「頼むからトラブルは起こすなよ?」
「ボクが着いてるから大丈夫!」
「まあ信用はして……おい待て」
「なにかな!?」
「お前、いつの間に着替えた?」

 数秒程目を離した隙に、クレアの服装が普段着からギルドの受付嬢のようなフォーマルな服に変わっていた。
 いつもながら女性用の服だが、細身のスーツ姿がよく似合っている。
 普段の可愛らしい様子とは違い、少し落ち着いた様子で……いや、そうじゃなくてだな。

「早着替えはボクの特技だからね!」
「いや、早すぎるだろ」

 特殊な魔法でも使ってるんだろうか。
 めちゃくちゃ無駄な魔法の使い方だな、おい。

「……何でもいいけど、とにかく任せたからな」
「はいはいさー! 王都の名所巡りしてくるね!」
「おう。楽しんで来い」

 クレアは何気にうちのパーティーで一番の常識人だし、任せても問題はないだろう。
 荒事があってもジュレが居れば大丈夫だろうし。

「買い出しは俺らがやっておくけど、一応夕飯までには帰って来いよ」
「わっかりましたー!」

 ニコニコと元気に手を上げるアルに若干の不安を感じるけど、俺は俺でやることがあるしなあ。
 マジで任せたからぞ、クレア。
 人類の脅威(弱)アルド天然な変態ジュレを止められるのはお前しかいないからな。
 
 うぅむ。不安の種は尽きないが、考えても仕方ない。
 ひとまず用事を終わらせるとしようかね。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

5人の勇者を「500人」と報告したら、魔王様が和平の準備を始めました

miko.m
ファンタジー
※最終話までプロット作成済み。 ※毎日19時に更新予定(たまに12時にも更新します)。 「勇者が500人!? 無理無理、勝てるわけないだろ! 和平だ、今すぐ娘を嫁に出せ!!」 魔王軍第一軍団長・ゴルドーは困っていた。たった5人の勇者に惨敗したなど、出世欲の塊である魔王ゼノンに言えるわけがない。保身のために彼がついた嘘。それは「勇者が500人いた」という、あまりにも適当な虚偽報告だった。 しかし、小心者の魔王様はそれを真に受けてパニックに! 「500人の勇者と全面戦争なんてしたら魔王軍が破産する!」と、威厳をかなぐり捨ててまさかの「終戦準備」を開始してしまう。 一方、真実を知った魔王家の三姉妹は、父の弱腰を逆手に取ってとんでもない作戦を企てる。 「500人は嘘? ちょうどいいわ。お父様を売って、あのハイスペックな勇者様たちを婿にしましょう!」 嘘を塗り重ねる軍団長、絶望する魔王、そして勇者を「逆スカウト」して実家脱出を目論む肉食系姫君たち。人間界のブラックな王様に使い潰される勇者たちを、魔王軍が「厚遇」で囲い込む!? 嘘から始まる、勘違いだらけの経営再建ファンタジーコメディ、開幕!

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...