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2. お兄さん誰っすか?
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アーヴァインからのおっぱい催促バッドエンドを見事に回避した春男は、モトグリフ家の食堂で食事をご馳走になっていた。
「うんまうんま、ゲホっ、この肉すげー柔らかいんですね。ほっぺたがとろけそうになっちまってますよ」
「はは、好きなだけ食べてくれ。マールの食べている姿が私は好きだよ」
春男は肉を口に運んでは喉に詰まらせる。唇からは肉汁が滴り顎を伝い首元を濡らすが、それをすかさずアーヴァインが剣の刺繍が施された布で優しく拭う。
「あ、すんません、あんがとっす」
と、礼を言う春男をアーヴァインは微笑ましく見守る。
その姿はまだ幼い子供を、甲斐甲斐しく世話をする父親の様である。
「いんやー、胃袋いくらあっても足んねぇべこれじゃあ。あっ、お兄さんは食わないんすか?」
「私は残った物を食べるから大丈夫だ。私の心配はいいから沢山食べなさい」
「なんか、神様みてぇな人ですね。感謝感激っす」
留まる事を知らない春男の食欲は、ブラックホールの様だ。
春男のカラッポになった皿に、わんこそばの容量で肉を追加していた使用人が家族の帰宅に気づき食堂の入口に声をかける。
「カッツアお坊ちゃま。お帰りなさいませ」
「ああ、只今……。ってマールか!?」
男がサラサラとした金髪を揺らしながら、春男の元へ駆けてくる。
ヤンチャそうな笑顔から覗く均整のとれた白い歯。アーヴァインと同じ碧眼だがアーヴァインよりも切れ長で男らしさが漂う。男の肌は少し浅黒く、兄のアーヴァインより5センチ程身長が低いが、その分筋肉量は多い。
そのがっしりとした腕を伸ばし、春男のボーズ頭をこねくり回すように撫でる。
「やっと帰ってきたのか家出坊主。すげー心配したんだぞ、やっぱお前は肉を食ってる姿が似合うぜ」
ガハハッ、と快活に笑う。春男は、良く解らねぇ珍客だなと困惑した顔を向けながら肉を食う。
「お兄さん誰っすか?」
「何言ってんだよ、お前の兄貴のカッツアだよ。忘れちまったのか?」
「カッツア、マールは家出中に精神的に落ち込む出来事があり記憶がおかしくなってしまってるんだ」
「……そ、そうだったのか。すまないマール」
「全然大丈夫っすよ。気にしないでくだせぇ」
素直に謝るカッツアに、春男は両手を振ってそう答える。
マールに久しぶりに会えた事が嬉しいカッツアが春男にちょっかいを出そうとしているのを見てアーヴァインがたしなめる。
「カッツァ、今は食事中だから静かにしなさい。お前もそこに座って食べなさい」
「わかってるって、兄さん。久しぶりに家出坊主が帰ってきたんだぜ。嬉しくて構いたくもなるだろ」
「まぁ、気持ちは解るがな……」
モトグリフ家の長男として厳しく躾けられたアーヴァインは礼儀やマナーに厳しく、食事中に騒ぐ事を嫌う。
それを知っているカッツアは大人しく椅子に腰かけ、黙って肉を食べ終えると口を開いた。
「そうだ、兄さん。今日はマールが帰ってきた折角の記念なんだしパーティーしようぜ!」
「パーティー? 3人でか。それはまた唐突だな」
「うん。小規模だけど、記念だしさ」
人懐こい笑顔で提案するカッツァにアーヴァインは苦笑すると
「子供だなほんと。マールはパーティーしたいかい?」
と、肉にかぶりつく春男に聞く。
「フガフガ、んがっ、いや俺はどっちでもいいっすよ。でも、誕生日でもないのにパーティーするんですか?」
「パーティーは誕生日以外にも普通にするぜ。モトグリフ家は名家だからな。侯爵家の中でもホームパーティーの頻度は多いんだぜ」
「そうなんすねー」
良く解っていない春男は、肉を噛みしめながら頷く。
カッツアは笑顔で言う。
「じゃあ、決まりだな。クローク、パーティーの準備を頼む」
「承知致しました」
春男の肉のお替りを盛り付けていたシルバーブロンドの使用人は、微笑みながら頷いたのであった。
「うんまうんま、ゲホっ、この肉すげー柔らかいんですね。ほっぺたがとろけそうになっちまってますよ」
「はは、好きなだけ食べてくれ。マールの食べている姿が私は好きだよ」
春男は肉を口に運んでは喉に詰まらせる。唇からは肉汁が滴り顎を伝い首元を濡らすが、それをすかさずアーヴァインが剣の刺繍が施された布で優しく拭う。
「あ、すんません、あんがとっす」
と、礼を言う春男をアーヴァインは微笑ましく見守る。
その姿はまだ幼い子供を、甲斐甲斐しく世話をする父親の様である。
「いんやー、胃袋いくらあっても足んねぇべこれじゃあ。あっ、お兄さんは食わないんすか?」
「私は残った物を食べるから大丈夫だ。私の心配はいいから沢山食べなさい」
「なんか、神様みてぇな人ですね。感謝感激っす」
留まる事を知らない春男の食欲は、ブラックホールの様だ。
春男のカラッポになった皿に、わんこそばの容量で肉を追加していた使用人が家族の帰宅に気づき食堂の入口に声をかける。
「カッツアお坊ちゃま。お帰りなさいませ」
「ああ、只今……。ってマールか!?」
男がサラサラとした金髪を揺らしながら、春男の元へ駆けてくる。
ヤンチャそうな笑顔から覗く均整のとれた白い歯。アーヴァインと同じ碧眼だがアーヴァインよりも切れ長で男らしさが漂う。男の肌は少し浅黒く、兄のアーヴァインより5センチ程身長が低いが、その分筋肉量は多い。
そのがっしりとした腕を伸ばし、春男のボーズ頭をこねくり回すように撫でる。
「やっと帰ってきたのか家出坊主。すげー心配したんだぞ、やっぱお前は肉を食ってる姿が似合うぜ」
ガハハッ、と快活に笑う。春男は、良く解らねぇ珍客だなと困惑した顔を向けながら肉を食う。
「お兄さん誰っすか?」
「何言ってんだよ、お前の兄貴のカッツアだよ。忘れちまったのか?」
「カッツア、マールは家出中に精神的に落ち込む出来事があり記憶がおかしくなってしまってるんだ」
「……そ、そうだったのか。すまないマール」
「全然大丈夫っすよ。気にしないでくだせぇ」
素直に謝るカッツアに、春男は両手を振ってそう答える。
マールに久しぶりに会えた事が嬉しいカッツアが春男にちょっかいを出そうとしているのを見てアーヴァインがたしなめる。
「カッツァ、今は食事中だから静かにしなさい。お前もそこに座って食べなさい」
「わかってるって、兄さん。久しぶりに家出坊主が帰ってきたんだぜ。嬉しくて構いたくもなるだろ」
「まぁ、気持ちは解るがな……」
モトグリフ家の長男として厳しく躾けられたアーヴァインは礼儀やマナーに厳しく、食事中に騒ぐ事を嫌う。
それを知っているカッツアは大人しく椅子に腰かけ、黙って肉を食べ終えると口を開いた。
「そうだ、兄さん。今日はマールが帰ってきた折角の記念なんだしパーティーしようぜ!」
「パーティー? 3人でか。それはまた唐突だな」
「うん。小規模だけど、記念だしさ」
人懐こい笑顔で提案するカッツァにアーヴァインは苦笑すると
「子供だなほんと。マールはパーティーしたいかい?」
と、肉にかぶりつく春男に聞く。
「フガフガ、んがっ、いや俺はどっちでもいいっすよ。でも、誕生日でもないのにパーティーするんですか?」
「パーティーは誕生日以外にも普通にするぜ。モトグリフ家は名家だからな。侯爵家の中でもホームパーティーの頻度は多いんだぜ」
「そうなんすねー」
良く解っていない春男は、肉を噛みしめながら頷く。
カッツアは笑顔で言う。
「じゃあ、決まりだな。クローク、パーティーの準備を頼む」
「承知致しました」
春男の肉のお替りを盛り付けていたシルバーブロンドの使用人は、微笑みながら頷いたのであった。
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