Secret DarkMonster

sasara

文字の大きさ
7 / 11

Secret DarkMonster 7

しおりを挟む


今日は休日なので、1度シャワーを浴びて
家でゆっくり過ごそうと決めた途端、電話が鳴った。
着信相手は病院からだった。

そうだ、今日は定期検診だった。予約時間を指す
部屋の時計をみて、慌てて支度して家を飛び出した。

予約時間を30分遅刻し、私は受付をした。

担当医はとても怖い。見た目優しいくせに、めちゃくちゃに怖い。憂鬱だ。

すいません。遅れてしまって。
仕事が立て込んでいて、。

とっさに嘘を混じえて謝ってみる。
なのに、全く無視され、検診を受けた。

検診を終え、担当医が
特に異常もないから、次は来月に来てください。
あなたの来れる時間を予約して帰ってくださいね。

淡々と話しながら嫌味を入れてくる。
これが怖い。

それから、来月で予定通り定期検診は、
終了になります、何かあれば連絡してください。
この前話したこともきちんと考えておくように。

そう言って検診は、終わった。

帰り道、交通量が多く帰宅するまでに渋滞にハマりそうなので、せっかくだと思い本屋に行くことにした。
私の好きな作家の小説の新作が出ていたことを思い出したのだ。
その作家の作品には名前が無い。出てくるのはいつも、私と、僕だった。名前がない分イメージが引っ張られず、自分の中で勝手に主人公を作ることができるので、私はその作家の小説が好きだった。
他人の普通と、自分の中にある普通*その違いに戸惑わなくていいのが、特に好きだった。
本屋に2時間ほど滞在して、車に戻った時、電話が鳴った。着信相手は母だ。少し憂鬱になりながら電話に出る。

もしもし?あんた、今大丈夫?体調は、どんな?特になんもないの?いつ帰ってくるん?

母からの電話はいつも、こう、はてなマークが大量に使われる。それに1つずつ答えていく。それが憂鬱な理由だ。

うん、特に変化はないよ、うん、今週末に一回帰るよ。

私はいつも淡々とはてなマークを消していく。
これが私と母の普通の会話だ。

そうなの?わかった、なんか食べたいものないの?
あるんなら連絡してよ?今週末なのね?はーい。

そうして電話が切れた。最後の最後まではてなマークを使う理由があるのだろうか。まず、質問しているようでしていないくせにはてなマークを使う意味が分からない。そんなことを考えて車を走らせ、信号に捕まる。帰ったら荷造りをしなくてはいけない。面倒だ。
たばこに火をつけようとしていると、目の前の歩道を人が渡っている。その中にみさきさんがいた。

休憩なのか、ズボンは、真っ白で、パーカーを
羽織っている。私は目で追いかけるがみさきさんは、気づかず行ってしまった。

……しまった??なぜ、少し寂しい気持ちが残っているんだろう、私から突き放したのに。

帰宅してから、荷造りを始める。
そのついでにと、服の整理をすることにした。着ていない服を捨ててしまおう。私は服が好きだ。私に自信をつけてくれたり、楽さを与えてくれる。組み合わせは自由で、気分で変わる。その、自由さと私の求めるものに応えてくれるところが好きだ。でも着ない服をいつまでも取っておくのは服が可愛そうだと思うので、きちんと捨ててあげる。これが私の服への愛情だった。捨てる基準は1年を跨いで着たかどうかだ。

着ていない服をありがとうと、感謝して捨てていく。

すると、くたびれたパジャマがあった。

まだあったんだ。この柄好きじゃないのに、本当にくたびれてる。ありがとう。

パジャマをゴミ袋に入れる。
このパジャマは入院している時に母が買ってきてくれたもので、好きじゃない柄なので頑なに私は拒んだのに、母が、元気でる柄だからと無理やりゴリ押ししたパジャマだった。
こどもじみた、クローバーの柄のパジャマ。
クローバー柄の意味も、何故これを母がゴリ押しするのか私は理解していた。

ほんとに、くたびれたそのパジャマは、わたしのようで、ゴミ袋の中から、そのパジャマをもう一度だし、
丁寧に畳んで荷造りしていた中に入れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

雪の日に

藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。 親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。 大学卒業を控えた冬。 私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ―― ※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

処理中です...