Secret DarkMonster

sasara

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Secret DarkMonster 7

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今日は休日なので、1度シャワーを浴びて
家でゆっくり過ごそうと決めた途端、電話が鳴った。
着信相手は病院からだった。

そうだ、今日は定期検診だった。予約時間を指す
部屋の時計をみて、慌てて支度して家を飛び出した。

予約時間を30分遅刻し、私は受付をした。

担当医はとても怖い。見た目優しいくせに、めちゃくちゃに怖い。憂鬱だ。

すいません。遅れてしまって。
仕事が立て込んでいて、。

とっさに嘘を混じえて謝ってみる。
なのに、全く無視され、検診を受けた。

検診を終え、担当医が
特に異常もないから、次は来月に来てください。
あなたの来れる時間を予約して帰ってくださいね。

淡々と話しながら嫌味を入れてくる。
これが怖い。

それから、来月で予定通り定期検診は、
終了になります、何かあれば連絡してください。
この前話したこともきちんと考えておくように。

そう言って検診は、終わった。

帰り道、交通量が多く帰宅するまでに渋滞にハマりそうなので、せっかくだと思い本屋に行くことにした。
私の好きな作家の小説の新作が出ていたことを思い出したのだ。
その作家の作品には名前が無い。出てくるのはいつも、私と、僕だった。名前がない分イメージが引っ張られず、自分の中で勝手に主人公を作ることができるので、私はその作家の小説が好きだった。
他人の普通と、自分の中にある普通*その違いに戸惑わなくていいのが、特に好きだった。
本屋に2時間ほど滞在して、車に戻った時、電話が鳴った。着信相手は母だ。少し憂鬱になりながら電話に出る。

もしもし?あんた、今大丈夫?体調は、どんな?特になんもないの?いつ帰ってくるん?

母からの電話はいつも、こう、はてなマークが大量に使われる。それに1つずつ答えていく。それが憂鬱な理由だ。

うん、特に変化はないよ、うん、今週末に一回帰るよ。

私はいつも淡々とはてなマークを消していく。
これが私と母の普通の会話だ。

そうなの?わかった、なんか食べたいものないの?
あるんなら連絡してよ?今週末なのね?はーい。

そうして電話が切れた。最後の最後まではてなマークを使う理由があるのだろうか。まず、質問しているようでしていないくせにはてなマークを使う意味が分からない。そんなことを考えて車を走らせ、信号に捕まる。帰ったら荷造りをしなくてはいけない。面倒だ。
たばこに火をつけようとしていると、目の前の歩道を人が渡っている。その中にみさきさんがいた。

休憩なのか、ズボンは、真っ白で、パーカーを
羽織っている。私は目で追いかけるがみさきさんは、気づかず行ってしまった。

……しまった??なぜ、少し寂しい気持ちが残っているんだろう、私から突き放したのに。

帰宅してから、荷造りを始める。
そのついでにと、服の整理をすることにした。着ていない服を捨ててしまおう。私は服が好きだ。私に自信をつけてくれたり、楽さを与えてくれる。組み合わせは自由で、気分で変わる。その、自由さと私の求めるものに応えてくれるところが好きだ。でも着ない服をいつまでも取っておくのは服が可愛そうだと思うので、きちんと捨ててあげる。これが私の服への愛情だった。捨てる基準は1年を跨いで着たかどうかだ。

着ていない服をありがとうと、感謝して捨てていく。

すると、くたびれたパジャマがあった。

まだあったんだ。この柄好きじゃないのに、本当にくたびれてる。ありがとう。

パジャマをゴミ袋に入れる。
このパジャマは入院している時に母が買ってきてくれたもので、好きじゃない柄なので頑なに私は拒んだのに、母が、元気でる柄だからと無理やりゴリ押ししたパジャマだった。
こどもじみた、クローバーの柄のパジャマ。
クローバー柄の意味も、何故これを母がゴリ押しするのか私は理解していた。

ほんとに、くたびれたそのパジャマは、わたしのようで、ゴミ袋の中から、そのパジャマをもう一度だし、
丁寧に畳んで荷造りしていた中に入れた。
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