Secret DarkMonster

sasara

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Secret DarkMonster 8

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休み明けの仕事は忙しく、私は、毎日職場と自宅を行き来する日々を過ごした。その間、闇のモンスターは私の前に現れなかった。みさきさんを突き放してから出て来ていない。ふとそんなことを考えて眠り、また職場に向かう。今日は仕事を終えたらそのままの足で実家へ帰らなければならない。

仕事を終え、実家に帰宅したころには、もうすっかり夜で、私はクタクタだった。
玄関のドアをあけると、バタバタと足音が聞こえた。

あー、おかえり、疲れたでしょ?ごはんは?
お風呂先がいい?あ、部屋に荷物置くんよ?

ふぅー。と少し息を吐いて、一つ一つのはてなマークを消すように、返事をし、部屋に向かった。実家にある私の部屋にはほとんど物がない。必要なものは全て一人暮らししている部屋に持っているのもあるからだ。きっと今日のために布団も洗ってくれていたのが分かるくらい、部屋は綺麗で私は荷物をおろしながら、これからたくさんのはてなマークをきちんと消してあげようと、心に決めた。その為に帰ってきたのだから。

母のご飯を食べ終え、一段落してから母が口を開いた。

ねぇ、どうするの?もう決めたの?もう何回も言ったと思うけど、お母さんは……

母が話すのを遮るように

決めたよ。ちゃんと、自分で。今回の定期検診は、特に変わったところはなかった。だから予定通り来月の定期検診終わってからになると思う。職場にも伝えてあるから。でも、ごめん。やっぱり私は。

母は、怒ったように涙を流した。
分かっていた。この涙を見ることになるのは、分かっていた。それでも私は怖かったのだ。

それから無言になったので今日は疲れているから部屋に戻ると言ってその場を離れた。私には分からないことがたくさんある。でも、その分わかってしまうこともたくさんあった。母がはてなマークを使わなくなった時、その時が1番母の精神が危ういことも、私の*普通が母にとって理解できないのことも。だからといってそれを簡単に変えることができないのことも。どうしたらいいのかわからない。わかっているけど分からない。
 
その日夢を見た。
私は病室にいて、誰かと話している。

ねぇ、なにかしたいことはないの?

んーとね、けっこん!!!

結婚?できるよ!好きな人いないの?

いるよ!目の前に。なんてね。嘘だよ!

あはは、私かぁ。
じゃあ元気になったら結婚しよっか。

うん!!でも、その時には……

携帯のアラームで目が覚める。アラームを仕事用にかけっぱなしなのを忘れていたのだ。それにしても、どこかで見たことある人が出てきた気がする。最近この手の夢をよく見る。妙にリアルな夢だ。夢の中の私はいつも、私には無い普通を信じていようとしている。無邪気に笑い、見えないことを、理解できないことを受け止めている私。 

羨ましい。

そう口に出して、私はまた意識を飛ばした。

目を覚ました頃には昼を過ぎていた。
最近、体がだるくなることが多い。気を抜いてしまえば夕方まで目を覚まさない。そろそろか。時間が迫ってる。ちゃんと母に認めてもらわないと。

そう心に決めて、部屋から出る。

おはよう。

あんた、寝すぎよ?大丈夫なの?

うん、大丈夫。お母さん。
ごめんね、たくさん。ごめんね。

言いたいことがいえず、ただ謝るしかできない、それが苦しくて、それでも涙を流すことは許されない。

ねぇ?お母さんがどんな気持ちか分かる?
きっと分かってるのよね。だからもう何も言わない。でも忘れないで。お母さんはあんたを守りたいの。

母は、涙ぐみながら、それでも涙を流さず
ただ、私の目をみて、そう伝えてくれた。

涙が出そうなせいなのか、体が熱い。
酸欠だろうか、意識が……

そのまま、私はその場に倒れた。
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