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Secret DarkMonster 9
しおりを挟む私があの子に出会ったのは2年前のクリスマスイブの日だった。街中が浮かれていて、カップルが、家族連れが喜ぶようにと、雪まで降らせた神様はずいぶんお気楽だなと苛立ちながら、クリスマスになる1時間前に私は仕事の夜勤中だった。
帰りたい。何が楽しくてクリスマスに…
pururururu……
最悪だ。こんな時間に急患なんて。
可哀想に。神様はお気楽で残酷だ。
救急車が到着し、迎えに出る。
外は相変わらず雪が降っていてとても寒かった。
救急車の中から出てきた急患はとても白くて、凛とした顔の子だった。
男……女の子?
それが、私の初めての印象だった。
その子はどうやら道に倒れていたらしく、家族に連絡したら、隣の県に住んでいるとのことだった。なぜ、クリスマスに……恋人にでも逢いに来たのか。そんなことを考えながら仕事に徹していると、退勤の時刻になった。
すっかりと、雪は止み澄んだ空気だけが漂う朝だった。よし、帰ろう。
その日から私は、彼女の。粟木 悠 あわきゆう の担当になった。彼女は、滅多に声を出さない。笑わない。でもたくさん謝る。そんな子だった。家族が来る度に気を使って、謝って、そんな彼女を私は担当として見ていた。
おはよう!今日はとっても、いい天気で外が気持ちいいよ!外出てみる??
なんて声をかけても返事はいつも
すいません。
だった。それでも私は毎日会える日に声をかけた。
いつか、 すいません。なんて帰ってこない日が
来るんじゃないかと、きっとただの好奇心に理由をつけては声をかけた。
そんな日々を続けて約1ヶ月が経った頃に私は出会ってしまった。彼女の中にいるモノに。
その日は、夜勤で病室の見回りをしていた。見回りは未だに怖くて苦手だから嫌なんだけど仕方ない。
そして、粟木悠の、部屋に入った。
粟木悠のベットはこの時間だいたい電気がついている。いつもは、そのままにしておくのだけど、今日はほんとにほんとに、好奇心に勝てなかった。
少しだけ空いてるカーテンを覗いてしまった。
そこにはベッドに仰向けに寝て、手を天井に伸ばしてる粟木悠の姿があった。
何を考えてるんだろう。何に、手を伸ばしてるんだろう。そのくらいにしか思わなかった。彼女は、どんな表情なのだろうと、疑問に思って、顔を見ると、彼女は、粟木悠は、笑っていた。薄く、優しい微笑みのように。
そして、
ねぇ、面白いでしょ?ほんとに、しょうもない。
そう、口に出した。
一瞬自分に言われたのかと驚いたけど、彼女は私の方を見ない。そう、粟木悠は、自分自身と、頭の中にいる誰かと話してる。それに気がついた時には私はもう粟木悠を患者としてではなく、一人の人として知りたいと思った。
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