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油売り
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おう、待ちなそこの坊ちゃん。危ねぇぞ橋の手すりの上に立ってちゃあよ。落ちたら死んじまうぞ。
ーー何?死にたいから飛び降りる為にここに突っ立ってた?おいおい坊ちゃんまだ俺達みてぇに歳食ってねぇんだから早まるな。
ーー生きていくのに疲れた、か。なるほどなぁ。疲れる理由はな、アンタの世界が錆び付いて動かなくなってるからなんだよ。普通、世界ってんのは綺麗な色してくるくる回るモンだ。けど錆が付けば色も落ちるし回らなくなっちまう。面白みが無くなるのさ。
だがよ坊ちゃん、アンタは運が良い。そんな錆だらけの世界を治す職人がここに居るからな!
ーーどこにって?おいおい酷いじゃねぇか。俺に決まってんだろ。俺は油売りって仕事をしててな、坊ちゃんみてぇな世界に錆が付いた奴に油を売って、また世界が回るようにするのさ。別に油を売っているからって、サボってる訳じゃないからな。
ーーそんな油要らない?足元が滑り易くなる油が良い?ダメだ、そういう油は若造にゃあ売ってねぇんだ。つーか危ないから早く下りろ。っていやいやいや飛び降りの方じゃねぇ!
ったく、危なっかしい坊ちゃんだぜ...。
ーーやめろって言われてもな、俺の商売はもう始まってんだから途中でやめる訳にはいかないんだな。それにまた飛び降りる気はしなくなったんじゃねぇか?死にたい死にたい言ってても、本当は生きていたい奴も沢山居るからな。坊ちゃんもそうだ。俺はベテランの油売りだからそういう奴の見分けぐらいつく。いいのか坊ちゃん。アンタの両親泣かせてよ。アンタが死んで喜ぶ奴なんて殆どいねぇんだ。そんなに人の辛い顔見るのが好きなのか?死んでも虚しいだけだ。
ーーおいおい俺全然話をしていないのに泣くなって、泣かれたら商売し辛い!ホラ、泣き止めって、手拭い貸すから。
ーーちっとは落ち着いたか、じゃあそろそろ油、売らせて貰うぜ。何、値段は初回限定サービスって事でナシにしてやる。なんだその顔?当然だろ、利益が出ないと商売にならねぇんだ。
この油はな、アンタが見失った世界の本来の色を取り戻す為の油なんだ。今は辛くても最初から辛かった訳じゃない筈だ。その時の世界を思い出させる油。あと世界がより長く回るように、少しの勇気とか希望とか決断力とかを入れておいたぜ。俺は錆び付いた世界を治す油売りだが、坊ちゃんに油を差す事は出来ない。自分で自分に油を差せるようにするだけさ。
使い方は、蓋を開けりゃ勝手に分かってくるさ。使い方は人によって変わるから俺からじゃ教えられねぇんだ。
もう暗い。坊ちゃんも早く帰んな、お腹空いてんじゃねぇのか?親も心配してるだろうよ。
俺は次の買い手を探しに行く。けどまた油が欲しくなったら呼んでくれよな。今度はキッチリお代を請求させて貰うぜ。
ーー何?死にたいから飛び降りる為にここに突っ立ってた?おいおい坊ちゃんまだ俺達みてぇに歳食ってねぇんだから早まるな。
ーー生きていくのに疲れた、か。なるほどなぁ。疲れる理由はな、アンタの世界が錆び付いて動かなくなってるからなんだよ。普通、世界ってんのは綺麗な色してくるくる回るモンだ。けど錆が付けば色も落ちるし回らなくなっちまう。面白みが無くなるのさ。
だがよ坊ちゃん、アンタは運が良い。そんな錆だらけの世界を治す職人がここに居るからな!
ーーどこにって?おいおい酷いじゃねぇか。俺に決まってんだろ。俺は油売りって仕事をしててな、坊ちゃんみてぇな世界に錆が付いた奴に油を売って、また世界が回るようにするのさ。別に油を売っているからって、サボってる訳じゃないからな。
ーーそんな油要らない?足元が滑り易くなる油が良い?ダメだ、そういう油は若造にゃあ売ってねぇんだ。つーか危ないから早く下りろ。っていやいやいや飛び降りの方じゃねぇ!
ったく、危なっかしい坊ちゃんだぜ...。
ーーやめろって言われてもな、俺の商売はもう始まってんだから途中でやめる訳にはいかないんだな。それにまた飛び降りる気はしなくなったんじゃねぇか?死にたい死にたい言ってても、本当は生きていたい奴も沢山居るからな。坊ちゃんもそうだ。俺はベテランの油売りだからそういう奴の見分けぐらいつく。いいのか坊ちゃん。アンタの両親泣かせてよ。アンタが死んで喜ぶ奴なんて殆どいねぇんだ。そんなに人の辛い顔見るのが好きなのか?死んでも虚しいだけだ。
ーーおいおい俺全然話をしていないのに泣くなって、泣かれたら商売し辛い!ホラ、泣き止めって、手拭い貸すから。
ーーちっとは落ち着いたか、じゃあそろそろ油、売らせて貰うぜ。何、値段は初回限定サービスって事でナシにしてやる。なんだその顔?当然だろ、利益が出ないと商売にならねぇんだ。
この油はな、アンタが見失った世界の本来の色を取り戻す為の油なんだ。今は辛くても最初から辛かった訳じゃない筈だ。その時の世界を思い出させる油。あと世界がより長く回るように、少しの勇気とか希望とか決断力とかを入れておいたぜ。俺は錆び付いた世界を治す油売りだが、坊ちゃんに油を差す事は出来ない。自分で自分に油を差せるようにするだけさ。
使い方は、蓋を開けりゃ勝手に分かってくるさ。使い方は人によって変わるから俺からじゃ教えられねぇんだ。
もう暗い。坊ちゃんも早く帰んな、お腹空いてんじゃねぇのか?親も心配してるだろうよ。
俺は次の買い手を探しに行く。けどまた油が欲しくなったら呼んでくれよな。今度はキッチリお代を請求させて貰うぜ。
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