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yon

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第18話

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連休で会社が休みの今日は、青川くんに連れられてパーティーにやってきた。


ドレスを着るなんて初めてでとても緊張した。
 

ドレスなんて持ってないと言った瞬間 青川くんは驚いた顔をした。

まるで、喪服を持ってないと言っているようなもののように驚いた。

やはり、価値観や経験が違う、異次元な人間同士なんだなと改めて感じさせられる。


彼はどこかへ電話すると何着かのドレスを

いかにも、おばさま。というような方に持ってこさせた。


私は、そのなかの1着を頂くと早速着てこの会場に来た。


青川くんは白いスーツを着ている。


彼は白が好きなようで、私服も白が多い。



私たちの関係は伏せて友人と名乗ることにした。


やはり、彼は大物だし すぐに噂になってしまう。

彼としても、私にパパラッチがついてしまったりすることが申し訳ないようで

すこし距離を置いて行動する事にした。



彼はこんなパーティーに腐るほど参加しているのだろう。

少年時代をこの世界で過ごして

悲しいかな、輝く事に慣れてしまっている。




「おひさしぶり!」


そうしてやってきたのは、某バラエティー番組の司会の
上里龍馬さんだった。

長い足にハンサムフェイス。それは彼のトレードマークだった。


「うっわ、ひさしぶり。上里。」

そう言うとヘッドロックをして、じゃれあった。


「痛い痛い!痛いって…。あれ?そちらのお嬢さんは?」



「ん?えー おともだち。」


私はお辞儀した。

上里さんは、目をまん丸にして。

「おいおい。普通の友達をこんな所に連れてくるわけないだろ。どんな関係なんだよ。」



「だから、ともだちだって。あ~ でもゆくゆくはそういう関係になっちゃうかもね~  な!鈴ちゃん。」


そういうと私の肩をガッと掴んで微笑んだ。


私は苦笑いするしかなかった。


上里さんはまじまじと私の顔を見つめ


「は~ べっぴんさんだね。なら俺が貰っちゃおうかな~。よろしくね 鈴ちゃん。」


そう言って握手した。

青川くんはムスッとした顔をして

「なんだと~ もっぺんいってみろ!鈴は俺のもんだ!」

と、上里さんに笑いながら掴みかかり上里さんもまた反撃し

二人の仲の良さが羨ましくなった。
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