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魔素と自動人形
第9話
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入浴を終え一番先に準備を終えたイサムが、先程のテーブルがある部屋に戻る。入り口から良い匂いがしてくる、家庭料理だろうか色とりどりに盛り付けられた食事の数々が並べられている。
「温まりましたか?」
食事の準備をしているノルが話しかけてきた。
「まさかこっちの世界で、あんな良い風呂に入れるなんて思わなかったよ」
「ふふふ、それは良かったですね」
可愛らしい笑顔に少し見とれてしまう。
(あれ、片言じゃなくなってる?)
「上手くアップデート出来たみたいだな」
準備を終えたロロルーシェが、ノルと部屋の前で話していたイサムの後ろから話しかける。湯上りのほのかな香りがイサムを包む。
「はい、ロロ様のおかげで凄く話しやすくなりました」
他の三人ももう直ぐこちらに来るだろうとロロルーシェが言うので、そのまま先程の席へと座る。
「どうしてノルの口調が聞き取りやすくなったんだ?」
(アップデートと言っていたが、オートマトンを動かすシステムが存在するって事だよな。人と見分けが付かないし、もう何が何やらだな・・)
「オートマトンの容姿や声や性格は、コアに入っている魔素に左右されるのだが、声に関しては片言でも申し分なく理解出来てたから、別にいいやとそのままにしておいたんだ。そしたらメンテナンス室の『ルルル』がイサムがこちらに来るなら聞き取りやすい方が良いだろうと提案してきてな」
「ルルル?それもオートマトンなのか」
「そうです『ルルル』は、私達姉妹と同じで一番古いオートマトンです」
ノルがそう言って来る、イサムは古いのは二千年前の戦争で得た人達とは違うのかもしれないと考えた。
「古いと言うと二千年の戦い以前って事になるよな」
そう質問していると、他の三人が戻ってきて席に着く。
「何の話をしてたの?」
エリュオンもイサムの隣に座り、興味あるように目を輝かせている。風呂上りで火照っているのか、子供なのに妙な色っぽさを感じがする。リリとルカは、寝る前の服に着替えたようだがエリュオンは同じワンピースだった。
「ノルとルルルは古いオートマトンだって話だよ」
「ルルル?あぁメンテナンス室に居た女のオートマトンね、やたらと忙しそうに動いていたから見つからずに済んだわ」
「そうか・・ルルルには後できつく言っておこう」
そう言うロロルーシェは、表情はそのままだが一瞬後ろに鬼が見えた気がした。
「でっでっ、ノルとメルはどれくらい古いタイプなの?」
ルカが興味ありとノルに話しかける。リリも興味あるようで、ノルを見ながら同じく目を輝かせている。
「私達は約四千年前ですね。オートマトンの原型を作ったのは、ロロ様とルルルなのです」
「四千年・・・はぁーすごい昔だなーそれでも新品と変わらず綺麗だな」
イサムも感嘆しつい言葉がぽろっと出てしまう。
「そ・・そんなこと無いですよ」
顔が赤らむ事は無いのかもしれないが、振り返りそそくさと準備に戻る。淡い水色の髪が振り返った事で大きく揺れたのも照れている仕草と相俟ってより可愛く見える。
(うーん、可愛い・・・オートマトン侮りがたし)
イサムは、隣に住んでいた『大宇土 真兎』(おおうと まと)を思い出しあのコも本当に可愛かったなと一瞬思い出す。
「四千年前にヒューマンの王国と付き合いがあってね、そこで知り合った宮廷魔法技師が『ルルル』なんだよ。元は『ルーシェント・ルゥイス・ルットモント』だったかな」
ノルが「そうです」とキッチンから答える。
「じゃぁノルもメルも元は長い名前があるのよね?」
ルカが聞かせて欲しいと言うような顔でノルをみる
「私の名前は、ノルファン・ラットル・バイセン・ドルト・レイモンドです。メルは、メルフィ・ラットル・バイセン・ドルト・レイモンドです。」
「なっがーー」
「長いねーー」
リリもルカも名前の長さに驚いている。もちろんイサムも驚いている。
「他にも古いタイプっているの?」
エリュオンも会話に参加する。
「あと二体居ますね、ラルとカルです」
「ラルはさっき湯浴み場で話した、九十層のオートマトンだ。あいつは間違いなく強いな、私でも近接戦闘は押し負けるかもしれない」
「ふふっ一応、私とメルの武の師匠ですから」
身内を褒められたような感覚なのだろうか、ノルはとても嬉しそうに話す。
「あとはカルですが・・・」
「あぁ・・・そういえばあいつ百年程見ないな」
「はい・・サーチを避けるのが上手いようで、もう余程の影響が無い限りは無視して置こうかと」
「まぁ影響が無いならそれが無難だろうな。だが、どれだけ不純物が溜まってるか分からないが」
「へー変わり者のオートマトンも居るのね、良く見つからないものだわ」
エリュオンが変に関心しているがカルを馬鹿にしているような言い方である。
「あいつは小さいからな。卵型のオートマトンで、普段見かける卵のサイズと変わらない位だ」
「ん?卵のオートマトン?」
エリュオンが何か思い出したようだ。
「どこかで見たのか?」
イサムが問いかけると、エリュオンは腕組しながら考えている。
「確か、私が十階のメンテナンス室から抜け出て昇降機に向かってたら、途中で動く卵が歩いてこっちにくるのが見えたのよ。連絡される前に倒そうと思ったら、一人で勝手にパタリと倒れて動かなくなったの。なんか頭に来たから踏み潰してやったわ!割れずに地面にめり込んでたけどね!」
「あぁ・・・・カルだな」
「カルですね・・・・」
ロロルーシェとノルは呆れ顔でため息をつく。
「とりあえず、明日メルを迎えに行く時にでも回収してきてくれ」
「了解致しました」
話し終わると同時くらいに食事の準備が完了したようだ。リリとルカも手伝っていたので早く出来たのだろう。
「さて、今日は卵料理か美味しそうだ」
「いただきます!」
イサムが手を合わせ食事を始めると、エリュオンとリリとルカが、手合わせを知らない様だったので『食前に食べ物やそれを作ってくれる人に感謝する仕草』だと教えたら、他の三人も同じく真似をして食べ始めた様だ。
「いただきます!」
「いただきまーす!」
「いただきます・・」
「はははっ急に子供が増えたような感じだな」
「ですね」
ロロルーシェが笑いながらノルに言うと、ノルも嬉しそうに答えた。
「温まりましたか?」
食事の準備をしているノルが話しかけてきた。
「まさかこっちの世界で、あんな良い風呂に入れるなんて思わなかったよ」
「ふふふ、それは良かったですね」
可愛らしい笑顔に少し見とれてしまう。
(あれ、片言じゃなくなってる?)
「上手くアップデート出来たみたいだな」
準備を終えたロロルーシェが、ノルと部屋の前で話していたイサムの後ろから話しかける。湯上りのほのかな香りがイサムを包む。
「はい、ロロ様のおかげで凄く話しやすくなりました」
他の三人ももう直ぐこちらに来るだろうとロロルーシェが言うので、そのまま先程の席へと座る。
「どうしてノルの口調が聞き取りやすくなったんだ?」
(アップデートと言っていたが、オートマトンを動かすシステムが存在するって事だよな。人と見分けが付かないし、もう何が何やらだな・・)
「オートマトンの容姿や声や性格は、コアに入っている魔素に左右されるのだが、声に関しては片言でも申し分なく理解出来てたから、別にいいやとそのままにしておいたんだ。そしたらメンテナンス室の『ルルル』がイサムがこちらに来るなら聞き取りやすい方が良いだろうと提案してきてな」
「ルルル?それもオートマトンなのか」
「そうです『ルルル』は、私達姉妹と同じで一番古いオートマトンです」
ノルがそう言って来る、イサムは古いのは二千年前の戦争で得た人達とは違うのかもしれないと考えた。
「古いと言うと二千年の戦い以前って事になるよな」
そう質問していると、他の三人が戻ってきて席に着く。
「何の話をしてたの?」
エリュオンもイサムの隣に座り、興味あるように目を輝かせている。風呂上りで火照っているのか、子供なのに妙な色っぽさを感じがする。リリとルカは、寝る前の服に着替えたようだがエリュオンは同じワンピースだった。
「ノルとルルルは古いオートマトンだって話だよ」
「ルルル?あぁメンテナンス室に居た女のオートマトンね、やたらと忙しそうに動いていたから見つからずに済んだわ」
「そうか・・ルルルには後できつく言っておこう」
そう言うロロルーシェは、表情はそのままだが一瞬後ろに鬼が見えた気がした。
「でっでっ、ノルとメルはどれくらい古いタイプなの?」
ルカが興味ありとノルに話しかける。リリも興味あるようで、ノルを見ながら同じく目を輝かせている。
「私達は約四千年前ですね。オートマトンの原型を作ったのは、ロロ様とルルルなのです」
「四千年・・・はぁーすごい昔だなーそれでも新品と変わらず綺麗だな」
イサムも感嘆しつい言葉がぽろっと出てしまう。
「そ・・そんなこと無いですよ」
顔が赤らむ事は無いのかもしれないが、振り返りそそくさと準備に戻る。淡い水色の髪が振り返った事で大きく揺れたのも照れている仕草と相俟ってより可愛く見える。
(うーん、可愛い・・・オートマトン侮りがたし)
イサムは、隣に住んでいた『大宇土 真兎』(おおうと まと)を思い出しあのコも本当に可愛かったなと一瞬思い出す。
「四千年前にヒューマンの王国と付き合いがあってね、そこで知り合った宮廷魔法技師が『ルルル』なんだよ。元は『ルーシェント・ルゥイス・ルットモント』だったかな」
ノルが「そうです」とキッチンから答える。
「じゃぁノルもメルも元は長い名前があるのよね?」
ルカが聞かせて欲しいと言うような顔でノルをみる
「私の名前は、ノルファン・ラットル・バイセン・ドルト・レイモンドです。メルは、メルフィ・ラットル・バイセン・ドルト・レイモンドです。」
「なっがーー」
「長いねーー」
リリもルカも名前の長さに驚いている。もちろんイサムも驚いている。
「他にも古いタイプっているの?」
エリュオンも会話に参加する。
「あと二体居ますね、ラルとカルです」
「ラルはさっき湯浴み場で話した、九十層のオートマトンだ。あいつは間違いなく強いな、私でも近接戦闘は押し負けるかもしれない」
「ふふっ一応、私とメルの武の師匠ですから」
身内を褒められたような感覚なのだろうか、ノルはとても嬉しそうに話す。
「あとはカルですが・・・」
「あぁ・・・そういえばあいつ百年程見ないな」
「はい・・サーチを避けるのが上手いようで、もう余程の影響が無い限りは無視して置こうかと」
「まぁ影響が無いならそれが無難だろうな。だが、どれだけ不純物が溜まってるか分からないが」
「へー変わり者のオートマトンも居るのね、良く見つからないものだわ」
エリュオンが変に関心しているがカルを馬鹿にしているような言い方である。
「あいつは小さいからな。卵型のオートマトンで、普段見かける卵のサイズと変わらない位だ」
「ん?卵のオートマトン?」
エリュオンが何か思い出したようだ。
「どこかで見たのか?」
イサムが問いかけると、エリュオンは腕組しながら考えている。
「確か、私が十階のメンテナンス室から抜け出て昇降機に向かってたら、途中で動く卵が歩いてこっちにくるのが見えたのよ。連絡される前に倒そうと思ったら、一人で勝手にパタリと倒れて動かなくなったの。なんか頭に来たから踏み潰してやったわ!割れずに地面にめり込んでたけどね!」
「あぁ・・・・カルだな」
「カルですね・・・・」
ロロルーシェとノルは呆れ顔でため息をつく。
「とりあえず、明日メルを迎えに行く時にでも回収してきてくれ」
「了解致しました」
話し終わると同時くらいに食事の準備が完了したようだ。リリとルカも手伝っていたので早く出来たのだろう。
「さて、今日は卵料理か美味しそうだ」
「いただきます!」
イサムが手を合わせ食事を始めると、エリュオンとリリとルカが、手合わせを知らない様だったので『食前に食べ物やそれを作ってくれる人に感謝する仕草』だと教えたら、他の三人も同じく真似をして食べ始めた様だ。
「いただきます!」
「いただきまーす!」
「いただきます・・」
「はははっ急に子供が増えたような感じだな」
「ですね」
ロロルーシェが笑いながらノルに言うと、ノルも嬉しそうに答えた。
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