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4章
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敵に安易に背中を向けた彰を見送るように、零はしばらく見つめていた。
やがてそれも飽き、零は門をくぐり抜けた。
久しぶりに出たアジトの外。辺りには足跡がいくつも重なって汚れていた。
部下の報告で聞いてはいたが、天神地祇は天災地変を殺そうとしないので、血を流した者は未だにいない。
これから先、戦いは激しくなるだろう。部下たちには天神地祇に手加減する必要はないと伝えてある。
もしもこれから、命を落とした者は地獄か、はたまた天国か。
(いや…私の元に集まった者たちが極楽へ行けるなどありえない)
零自信は地獄へ堕ちることを覚悟している。しかし、簡単に堕ちようとは思っていない。やらなければならない、もといやりたいことがあるから。
この世を混沌に陥れ、惑わせる。その様を自分は上から見下ろす。彼はその日が来るまで悪行をやめようとは思っていない。
────彼女は思うんだろう。
アジト内に戻る途中、零はこめかみを押さえて立ち止まった。頭痛を感じた。記憶の底に埋もれた一片を、引きずり出されそうな痛み。
零は瞳をうっすらと開けた。
(なぜ私は…すんなりと彼女、と出てきたのだ。この前の夢と言い、最近は解せぬことばかりだ)
彼は小さくため息をつくと、手を下ろした。少しだけ痛みが緩和した気がする。
「今から、どうしようか」
彼は基本いつも玉座に座ってうたた寝をしたり、ぼーっとしたり、人間界に降りてフラフラしている。天神地祇が毎日のように乗り込んでいるとは言え、零は動じることはない。
部下はそう簡単に殺られることはない、と思っていたが。
天神地祇は彼の予想を遥かに超えて強かった。中堅の部下たちを相手にたった6人で立ち向かっている。
(…ふう。ヤツらがアジトの最深部に到達するのも…ん?)
零はふと、いいことを思いついてしまった。
天神地祇はここに来ては、また帰っていく。そして帰るのはおそらく地上ではなく、”天”。
ヤツらは普段、専用の寮で過ごしているという。住人は彼らと寮長だけ。
今、そこは凪たちが留守にしているから、ほとんどガラ空き状態だ。
だから姫は────天神地祇の守りが手薄な中で過ごしている。
「麓殿…」
彼の中には少なからず、麓をそばに置きたいという気持ちがあった。
彼女の能力はもはや邪見に扱う必要はない。言霊でどうにかすればいいだけ。
零の頭の中で少しずつまとまっていく。ここまで来たのなら。
「いっそ彼女を────」
形のいい唇がかすかに動いたと思ったら、彼は袖をまくった。
ブレスレットを見つめ、ブツブツとつぶやき始める。
その瞳は嬉しそうに、楽しそうに細められていた。
麓は東校舎から風紀委員寮へ向かっていた。
ホームルームの後、コンビニで買ってきたお菓子を教室で広げて露の見送り会を開いた。
そのため、いつもより帰りは遅め。寮長にはあらかじめ伝えてある。
嵐たちはとっくに寮に着いているだろう。全員で教室を出た時、麓は忘れ物を思い出して戻ったのだ。
教室に置いてきた手袋をはめ、外に出た。
夕暮れ時はとっくに過ぎて、暗い色の空をしている。麓は夜よりも、日中の方が好きだ。太陽が恋しくなるから。
(そっか…露さんも…また寂しくなるな。周りからどんどん減ってっちゃう…)
”天”に行った仲間。真っ先に凪の顔が思い浮かぶ。
1人の精霊に強く執着するなんて思わなかった。
泣きたくなるくらい、誰かを好きになるなんて考えたこともなかった。
「はぁ~…私も戦闘系の能力があって、凪さんたちに付いていけたらよかったのに」
「そなたにそんなものは必要ない。むしろ似合わないと思うがな」
「えっ…?」
誰もいないはずの背後。独り言に反応が返ってくるなんて。
麓が振り向くと、そこには彼がいた。
ここにいるはずのない、いてはならない存在。
「なん、で…ここに…」
しばらくはずっと顔を見ていなかった、正体を明かさずに麓に会っていた男。黒髪に和服に。麓の瞳は恐怖で震え、足が後退した。
身体が徐々に硬直していくのが分かった。
”天”のみぞ知る術で地上に降り立った零は、学園の結界の前にいた。
彼は敷地内に侵入した。学園を囲うようにして森がある。麓と初めて言葉を交わしたのはここだ。
ここを抜ければ建物がもっとよく見える。その中で一番小さいのが風紀委員寮。いつしか立花が言っていた、ヘアピンで戦う人間の女が寮長を務めている場所だ。今は1人で、唯一の寮生を待っているのだろう。
1番大きな本館の横を通り過ぎ、東校舎が見えてくるとなんというタイミングか彼女はそこにいた。零のお目当ての姫が。
(麓殿…)
白い雪景色の中、麓は手袋やマフラーで防寒している。こちらに背中を向けており、彼女は空を見上げていた。息を吐いたのか、白い息が空中に消えていった。
細い背中に、体の奥が熱くなる。しばらく見ない間に彼女への想いが深まっていた。
そして彼女が不意につぶやいた。
「麓殿?」
「来ないでください!」
零が首をかしげて一歩近づくと、麓は一歩退く。
麓は恐怖で怯え、手でしっかりとバッグのストラップを握り、今にも逃げ出しそうだった。
「なぜだ?」
「だって私たちは────」
敵同士だから。
彼女の唇がそう動く前に、零は悟った。ついに素性がバレて麓に拒絶される日が来たことを。
零は悲しそうに息を吐き、首をすくめた。彼は震える麓に手の平を向けた。
『震えよ止まれ』
麓の震えは確かに止まった。おまけに寒さも。
「あれ…?」
「もう寒くないだろう。これは私の言霊だ。凪殿たちから聞いたことはないか?」
麓は緊張気味にうなずいた。
警戒心を持たれた態度を取られると寂しい。以前の何も知らない彼女だったら、”すごい!”と笑ってはしゃいでくれただろうか。
麓は強張った表情のまま、零との距離を保っていた。
「私を殺すんですか…?」
「いいや。考えが変わったのだ、直接そなたと会ってから。いつの間にか私はそなたに惹かれ…ほしくなった」
麓が息を呑む音がした。信じたくないと言いたげな顔で。
それも当然だろう。敵意がないと言っても、彼女にとって零はそんな存在になってしまった。もう純粋に笑ってはくれない。
そんなことは零の言霊でなんとかできてしまう。しかし彼はそうしなかった。
何も特別なことをせずに、麓の心がほしい。
彼はフッと笑むと、麓に近づいて頬をなでた。麓には逃げる隙もなかった。
「やはり美しいな…」
「やめて!」
寒さと恐怖による震えは止まっても、声の震えは止まっていない。恐怖感は増している。
零はほほえんだまま彼女の髪を梳きながらささやく。
「…怖がることはない。私はそなたに危害を加えるつもりはないのだ。ただ、そなたにそばにいてほしいだけだ────ダメか?」
「ダメです」
「やはりか」
「当たり前です! 私は天神地祇です。敵と一緒にいようなんて思いません」
麓の態度が毅然としたものに変わった。さっきまでの怯えが嘘のように。
だからこそ零は彼女にますます惹かれる。
この間にちゃっかりと距離を取りつつある麓の肩を掴んで引き寄せた。その拍子に、雪の上に彼女のバッグが落ちる。
「残念だ…そなたに断られるのは。でも私は、何が何でも麓殿を奪う。この学園から、天神地祇から…」
「はなして…!」
もがく麓を抱きしめると、彼女の力が抜けた。彼女は零に身体を委ねた。否、彼女は零の腕の中で気絶している。
閉じられた瞳の上で、かすかに眉根が寄っている。最後の抵抗だろう。
零はそれを確認すると麓のことを横抱きし、満足気にほほえんで寝顔を見つめた。
「さぁ行こうか…我らの城へ」
やがてそれも飽き、零は門をくぐり抜けた。
久しぶりに出たアジトの外。辺りには足跡がいくつも重なって汚れていた。
部下の報告で聞いてはいたが、天神地祇は天災地変を殺そうとしないので、血を流した者は未だにいない。
これから先、戦いは激しくなるだろう。部下たちには天神地祇に手加減する必要はないと伝えてある。
もしもこれから、命を落とした者は地獄か、はたまた天国か。
(いや…私の元に集まった者たちが極楽へ行けるなどありえない)
零自信は地獄へ堕ちることを覚悟している。しかし、簡単に堕ちようとは思っていない。やらなければならない、もといやりたいことがあるから。
この世を混沌に陥れ、惑わせる。その様を自分は上から見下ろす。彼はその日が来るまで悪行をやめようとは思っていない。
────彼女は思うんだろう。
アジト内に戻る途中、零はこめかみを押さえて立ち止まった。頭痛を感じた。記憶の底に埋もれた一片を、引きずり出されそうな痛み。
零は瞳をうっすらと開けた。
(なぜ私は…すんなりと彼女、と出てきたのだ。この前の夢と言い、最近は解せぬことばかりだ)
彼は小さくため息をつくと、手を下ろした。少しだけ痛みが緩和した気がする。
「今から、どうしようか」
彼は基本いつも玉座に座ってうたた寝をしたり、ぼーっとしたり、人間界に降りてフラフラしている。天神地祇が毎日のように乗り込んでいるとは言え、零は動じることはない。
部下はそう簡単に殺られることはない、と思っていたが。
天神地祇は彼の予想を遥かに超えて強かった。中堅の部下たちを相手にたった6人で立ち向かっている。
(…ふう。ヤツらがアジトの最深部に到達するのも…ん?)
零はふと、いいことを思いついてしまった。
天神地祇はここに来ては、また帰っていく。そして帰るのはおそらく地上ではなく、”天”。
ヤツらは普段、専用の寮で過ごしているという。住人は彼らと寮長だけ。
今、そこは凪たちが留守にしているから、ほとんどガラ空き状態だ。
だから姫は────天神地祇の守りが手薄な中で過ごしている。
「麓殿…」
彼の中には少なからず、麓をそばに置きたいという気持ちがあった。
彼女の能力はもはや邪見に扱う必要はない。言霊でどうにかすればいいだけ。
零の頭の中で少しずつまとまっていく。ここまで来たのなら。
「いっそ彼女を────」
形のいい唇がかすかに動いたと思ったら、彼は袖をまくった。
ブレスレットを見つめ、ブツブツとつぶやき始める。
その瞳は嬉しそうに、楽しそうに細められていた。
麓は東校舎から風紀委員寮へ向かっていた。
ホームルームの後、コンビニで買ってきたお菓子を教室で広げて露の見送り会を開いた。
そのため、いつもより帰りは遅め。寮長にはあらかじめ伝えてある。
嵐たちはとっくに寮に着いているだろう。全員で教室を出た時、麓は忘れ物を思い出して戻ったのだ。
教室に置いてきた手袋をはめ、外に出た。
夕暮れ時はとっくに過ぎて、暗い色の空をしている。麓は夜よりも、日中の方が好きだ。太陽が恋しくなるから。
(そっか…露さんも…また寂しくなるな。周りからどんどん減ってっちゃう…)
”天”に行った仲間。真っ先に凪の顔が思い浮かぶ。
1人の精霊に強く執着するなんて思わなかった。
泣きたくなるくらい、誰かを好きになるなんて考えたこともなかった。
「はぁ~…私も戦闘系の能力があって、凪さんたちに付いていけたらよかったのに」
「そなたにそんなものは必要ない。むしろ似合わないと思うがな」
「えっ…?」
誰もいないはずの背後。独り言に反応が返ってくるなんて。
麓が振り向くと、そこには彼がいた。
ここにいるはずのない、いてはならない存在。
「なん、で…ここに…」
しばらくはずっと顔を見ていなかった、正体を明かさずに麓に会っていた男。黒髪に和服に。麓の瞳は恐怖で震え、足が後退した。
身体が徐々に硬直していくのが分かった。
”天”のみぞ知る術で地上に降り立った零は、学園の結界の前にいた。
彼は敷地内に侵入した。学園を囲うようにして森がある。麓と初めて言葉を交わしたのはここだ。
ここを抜ければ建物がもっとよく見える。その中で一番小さいのが風紀委員寮。いつしか立花が言っていた、ヘアピンで戦う人間の女が寮長を務めている場所だ。今は1人で、唯一の寮生を待っているのだろう。
1番大きな本館の横を通り過ぎ、東校舎が見えてくるとなんというタイミングか彼女はそこにいた。零のお目当ての姫が。
(麓殿…)
白い雪景色の中、麓は手袋やマフラーで防寒している。こちらに背中を向けており、彼女は空を見上げていた。息を吐いたのか、白い息が空中に消えていった。
細い背中に、体の奥が熱くなる。しばらく見ない間に彼女への想いが深まっていた。
そして彼女が不意につぶやいた。
「麓殿?」
「来ないでください!」
零が首をかしげて一歩近づくと、麓は一歩退く。
麓は恐怖で怯え、手でしっかりとバッグのストラップを握り、今にも逃げ出しそうだった。
「なぜだ?」
「だって私たちは────」
敵同士だから。
彼女の唇がそう動く前に、零は悟った。ついに素性がバレて麓に拒絶される日が来たことを。
零は悲しそうに息を吐き、首をすくめた。彼は震える麓に手の平を向けた。
『震えよ止まれ』
麓の震えは確かに止まった。おまけに寒さも。
「あれ…?」
「もう寒くないだろう。これは私の言霊だ。凪殿たちから聞いたことはないか?」
麓は緊張気味にうなずいた。
警戒心を持たれた態度を取られると寂しい。以前の何も知らない彼女だったら、”すごい!”と笑ってはしゃいでくれただろうか。
麓は強張った表情のまま、零との距離を保っていた。
「私を殺すんですか…?」
「いいや。考えが変わったのだ、直接そなたと会ってから。いつの間にか私はそなたに惹かれ…ほしくなった」
麓が息を呑む音がした。信じたくないと言いたげな顔で。
それも当然だろう。敵意がないと言っても、彼女にとって零はそんな存在になってしまった。もう純粋に笑ってはくれない。
そんなことは零の言霊でなんとかできてしまう。しかし彼はそうしなかった。
何も特別なことをせずに、麓の心がほしい。
彼はフッと笑むと、麓に近づいて頬をなでた。麓には逃げる隙もなかった。
「やはり美しいな…」
「やめて!」
寒さと恐怖による震えは止まっても、声の震えは止まっていない。恐怖感は増している。
零はほほえんだまま彼女の髪を梳きながらささやく。
「…怖がることはない。私はそなたに危害を加えるつもりはないのだ。ただ、そなたにそばにいてほしいだけだ────ダメか?」
「ダメです」
「やはりか」
「当たり前です! 私は天神地祇です。敵と一緒にいようなんて思いません」
麓の態度が毅然としたものに変わった。さっきまでの怯えが嘘のように。
だからこそ零は彼女にますます惹かれる。
この間にちゃっかりと距離を取りつつある麓の肩を掴んで引き寄せた。その拍子に、雪の上に彼女のバッグが落ちる。
「残念だ…そなたに断られるのは。でも私は、何が何でも麓殿を奪う。この学園から、天神地祇から…」
「はなして…!」
もがく麓を抱きしめると、彼女の力が抜けた。彼女は零に身体を委ねた。否、彼女は零の腕の中で気絶している。
閉じられた瞳の上で、かすかに眉根が寄っている。最後の抵抗だろう。
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