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梅雨に入った頃。じめじめを吹き飛ばす話題が瞬く間に広がった。
長身で白衣姿の男を見かけると、必ず複数の生徒に囲まれている。
その度に神崎の口元は自然と和らいでいた。
「コウちゃん先生おめでとー!」
「女の子? 男の子ですか?」
「名前は!?」
女子生徒の心からの祝福を眺めていると、胸をなでおろす自分がいた。
昔、小野寺が結婚発表した時には学校中が揺れた。落ち込む女子生徒が多すぎて授業にならないクラスもあった。
一人目の出産が知られる頃には落ち着いていた。小野寺のガチ恋生徒が一気に消えたらしい。
夏休みが明けた。今年も最高気温がどうのこうの、今までに経験したことのない大雨が……と騒がれた夏だった。
台風が何度も発生し、夏休み中の三年生の出校日が変更になったこともあった。
そんな中、神崎のクラスでは暑さを忘れて密集する生徒の姿があった。
「やーちゃん!」
「もー何してたの!?」
「進級してからも音沙汰なくて……。今年もクラス一緒でよかったけど!」
夜叉が久しぶりに登校した。水色の髪をした男女が乗った車から下りるのを神崎は見ていた。
「おはよう……。ごめん」
「ちょっと太った?」
「……彦!」
夜叉たちの学年はあれから進級し、クラス替えもあった。
なんの因果か神崎は今年も夜叉のクラス担任になった。そのクラスの顔ぶれもほとんど変わらなかった。
彼が出席簿片手に近づくと、夜叉は彦瀬の腕をそっと外した。
「おはようございます……」
「よーう」
彼女の声を聞くことも姿を見るのも随分久しぶりだ。
休学届の理由について聞かれると思っているのだろうか。彼女はどこか身構えているように見えた。この様子だと友人たちにも話していないのだろう。
「……なんかたくましくなったな」
見下ろすと瑞恵が彦瀬の脇腹を突きさした。
「彦瀬も先生みたいにオブラートに包みなよ……」
「俺そういう意味で言ったんじゃねぇし。……顔つきが変わったな」
一人でいる時は冷めた顔なのが印象的だった。しかし、今の彼女は何かを乗り越えたような強さを瞳に宿していた。
(仲が良くて似ている青川もよく休むからな……)
神崎はまだ質問責めを続けたそうな生徒たちを着席させた。
就職希望組などの進路が決まった頃。季節はすっかり秋だ。
「やーちゃんとの文化祭楽しみ!」
「やーちゃんがいない日々は本当に寂しかったんだよ……」
相変わらず夜叉の両隣は瑞恵と彦瀬が占領している。
休み時間の今、夜叉は自販機から教室に戻る途中だ。
「ねーねー。文化祭のステージでダンスやろうよ! やまめちゃんとか神七ちゃんとか誘ってさー」
「えぇ……ダンス?」
「今年も早川君はバンドで出るみたいだしさ、彦瀬たちも出ちゃおうよ!」
「やーちゃん、たまに体育で見学してるんだし難しいんじゃ……」
「それもあるけどダンスとかガラじゃないし」
夜叉は水のペットボトルをぺこぺことつぶした。
まひるを出産した直後は痛みと気だるさで何もできなかった。
戯人族の血が半分は流れているので体の回復は早かった。しかし、大事をとって復帰してからの体育は見学するようにしていた。
その間や学校にいる時は朝来や舞花がまひるのお世話をしてくれる。
舞花にとって夜叉以来の赤子であり、孫の世話に張り切っているようだ。
朝来にとっては初めての子育てになる。鬼神が産まれた時には戯人族との接触を禁止されていたらしい。
その子は人間界に堕とされ、何度か転生した後に人間として生きているらしい。
彼は今、初めての娘へのあふれる愛が止まることを知らない。高校生として人間界で過ごすことをやめるくらいに。
「一緒に過ごせる最後の文化祭だし……。なんか思い出作れたらと思ったけど」
「私は一緒にいられるだけで嬉しいよ」
「……それもそうだね!」
次の授業は、というか時間は文化祭についての話し合いだ。
チャイムと共に教卓に立った神崎だが、早々に学級委員長にバトンタッチした。
「毎年三年生のクラスは模擬店をやるのが恒例だが……。原田、仕切ってくれ」
指名された瑞恵は文化祭の資料を手に、男子の副委員長と黒板の前に並んだ。
”りんご飴がいい”とか”アサイーボウルも作りたい”とか次々に上がる。しかし、副委員長が黒板に書きあげていくのはそのどれでもないものばかり。
「保健所の決まりで作れるものは決まっていますが……。とりあえず多数決取りまーす」
不平不満の声は神崎のひと睨みで消え失せた。大半の女子生徒はふくれっ面で手を上げたり下げたりしている。
瑞恵は人数を数えては副委員長に伝え、”絞り込みとか面倒だからこれで決まりだね”と赤いチョークを手に取った。赤い丸の下には”一口ドーナツ”の文字。
「味考えるの楽しそうじゃない……?」
「チョコでディップとかしたい!」
「好きなの選べるようにしようよ」
少しずつクラス内が盛り上がってきたところで、瑞恵が注意書きに目を落とした。
「あとくじで選ばれた人は検便出してください」
「べんけん!? いたいけな乙女にう〇こ持ってこいって!?」
「彦ちゃん声デカい……」
「お前ら文句ばっかでうるせーな……。ちなみに犬のう〇こで提出するなよ。すぐバレるからな」
ギャーギャーと文句が飛び交い、委員長たちでは制御できなくなってきた。
神崎は小さくため息をつき、椅子から立ち上がった。
「お前らに朗報。ウチの文化祭は芸人とか呼ばない地味文化祭と言われているが、今年は別だ。美百合のステージが行われることになった」
「ええええええぇぇぇ!?!?!?! まぁぁぁじで!?」
一番派手に反応したのはやまめ。この大絶叫は隣のクラスにまで聞こえていることだろう。隣の席の男子が耳をふさいでいる。
「なんでなんで!?」
「MVを撮影した縁で先方から打診があったらしい。ウチも断る理由はないからな」
「文化祭終わったらいつ死んでもいい……」
やまめは顔を覆うと天を仰いだ。そこは教室の天井だが。
『二号が言っていた大ファンの子に会いたいわ。それがどちらにとっても、さいごの思い出になっても……』
夜叉は美百合からの報告と青龍の話を思い出していた。
正直、文化祭どころではない。
「氷河期……ですか?」
学校に復帰する直前。夜叉は青龍に彼の部屋へ呼ばれた。
「マンモスが氷漬けになったヤツ……」
「それより規模は小さいと予想されているけどね……」
「ていうかなんで急に?」
「……天魔波旬だ」
夜叉は彼らの姿を知らない。青龍たちに聞いた情報だと彼らは元人間。人間だった頃に人として扱われなかったことで憎悪に囚われ、いつか人類そのものを消す……と企んでいるらしい。
「地球はどうなるんですか」
「地表で生きられる人間は少ないだろううね。死神さんも地上に人が増えすぎたからいつかは……と思っていたようだし」
「そんな……」
いつも穏やかな笑みを絶やさない死神。魂を迎えに行く人、と認識しているので”奪う”ことはないと勝手に思っていた。
想像上の彼の笑顔にあるわずかな影が色濃くなる。その背後には運命やハルモニアの姿がチラつく。
「い……残った人たちはどうなるんですか?」
「さぁ……。文字通り、神のみぞ知るってことかな」
青龍は持ち手のないティーカップを持ち上げた。人類の行く末を気にした素振りも見せない。
(戯人族は人とは違うんだ……)
知らず内に手を強く握っていた。突然の痛みに視線を落とすと、指の腹が血の気を失っていた。
衣擦れの音に、青龍が足を組んだのを察した。
「残念ながら戯人族は手を貸せないよ……。死神さんの言うことも一理ある。人間の数が増えすぎて我々ではサポートできないことも増えてきた。それに……ニュースで知っているだろう? 手に負えない人間が多くなってきた」
「それなら、せめて一部の人でも」
「どこで生かすんだい。地表は永久凍土になるんだよ」
顔を上げた時に目が合う。彼の瞳の奥には諦めと後悔が浮かんでいた。口ではあぁ言っているが、黙って見過ごすことに少なからず罪悪感をおぼえているのだろう。
「私が勝手に阻止するのはダメですか」
「いけないわけではないが、今の君にできることは……」
「今の私?」
「例えば」
長身で白衣姿の男を見かけると、必ず複数の生徒に囲まれている。
その度に神崎の口元は自然と和らいでいた。
「コウちゃん先生おめでとー!」
「女の子? 男の子ですか?」
「名前は!?」
女子生徒の心からの祝福を眺めていると、胸をなでおろす自分がいた。
昔、小野寺が結婚発表した時には学校中が揺れた。落ち込む女子生徒が多すぎて授業にならないクラスもあった。
一人目の出産が知られる頃には落ち着いていた。小野寺のガチ恋生徒が一気に消えたらしい。
夏休みが明けた。今年も最高気温がどうのこうの、今までに経験したことのない大雨が……と騒がれた夏だった。
台風が何度も発生し、夏休み中の三年生の出校日が変更になったこともあった。
そんな中、神崎のクラスでは暑さを忘れて密集する生徒の姿があった。
「やーちゃん!」
「もー何してたの!?」
「進級してからも音沙汰なくて……。今年もクラス一緒でよかったけど!」
夜叉が久しぶりに登校した。水色の髪をした男女が乗った車から下りるのを神崎は見ていた。
「おはよう……。ごめん」
「ちょっと太った?」
「……彦!」
夜叉たちの学年はあれから進級し、クラス替えもあった。
なんの因果か神崎は今年も夜叉のクラス担任になった。そのクラスの顔ぶれもほとんど変わらなかった。
彼が出席簿片手に近づくと、夜叉は彦瀬の腕をそっと外した。
「おはようございます……」
「よーう」
彼女の声を聞くことも姿を見るのも随分久しぶりだ。
休学届の理由について聞かれると思っているのだろうか。彼女はどこか身構えているように見えた。この様子だと友人たちにも話していないのだろう。
「……なんかたくましくなったな」
見下ろすと瑞恵が彦瀬の脇腹を突きさした。
「彦瀬も先生みたいにオブラートに包みなよ……」
「俺そういう意味で言ったんじゃねぇし。……顔つきが変わったな」
一人でいる時は冷めた顔なのが印象的だった。しかし、今の彼女は何かを乗り越えたような強さを瞳に宿していた。
(仲が良くて似ている青川もよく休むからな……)
神崎はまだ質問責めを続けたそうな生徒たちを着席させた。
就職希望組などの進路が決まった頃。季節はすっかり秋だ。
「やーちゃんとの文化祭楽しみ!」
「やーちゃんがいない日々は本当に寂しかったんだよ……」
相変わらず夜叉の両隣は瑞恵と彦瀬が占領している。
休み時間の今、夜叉は自販機から教室に戻る途中だ。
「ねーねー。文化祭のステージでダンスやろうよ! やまめちゃんとか神七ちゃんとか誘ってさー」
「えぇ……ダンス?」
「今年も早川君はバンドで出るみたいだしさ、彦瀬たちも出ちゃおうよ!」
「やーちゃん、たまに体育で見学してるんだし難しいんじゃ……」
「それもあるけどダンスとかガラじゃないし」
夜叉は水のペットボトルをぺこぺことつぶした。
まひるを出産した直後は痛みと気だるさで何もできなかった。
戯人族の血が半分は流れているので体の回復は早かった。しかし、大事をとって復帰してからの体育は見学するようにしていた。
その間や学校にいる時は朝来や舞花がまひるのお世話をしてくれる。
舞花にとって夜叉以来の赤子であり、孫の世話に張り切っているようだ。
朝来にとっては初めての子育てになる。鬼神が産まれた時には戯人族との接触を禁止されていたらしい。
その子は人間界に堕とされ、何度か転生した後に人間として生きているらしい。
彼は今、初めての娘へのあふれる愛が止まることを知らない。高校生として人間界で過ごすことをやめるくらいに。
「一緒に過ごせる最後の文化祭だし……。なんか思い出作れたらと思ったけど」
「私は一緒にいられるだけで嬉しいよ」
「……それもそうだね!」
次の授業は、というか時間は文化祭についての話し合いだ。
チャイムと共に教卓に立った神崎だが、早々に学級委員長にバトンタッチした。
「毎年三年生のクラスは模擬店をやるのが恒例だが……。原田、仕切ってくれ」
指名された瑞恵は文化祭の資料を手に、男子の副委員長と黒板の前に並んだ。
”りんご飴がいい”とか”アサイーボウルも作りたい”とか次々に上がる。しかし、副委員長が黒板に書きあげていくのはそのどれでもないものばかり。
「保健所の決まりで作れるものは決まっていますが……。とりあえず多数決取りまーす」
不平不満の声は神崎のひと睨みで消え失せた。大半の女子生徒はふくれっ面で手を上げたり下げたりしている。
瑞恵は人数を数えては副委員長に伝え、”絞り込みとか面倒だからこれで決まりだね”と赤いチョークを手に取った。赤い丸の下には”一口ドーナツ”の文字。
「味考えるの楽しそうじゃない……?」
「チョコでディップとかしたい!」
「好きなの選べるようにしようよ」
少しずつクラス内が盛り上がってきたところで、瑞恵が注意書きに目を落とした。
「あとくじで選ばれた人は検便出してください」
「べんけん!? いたいけな乙女にう〇こ持ってこいって!?」
「彦ちゃん声デカい……」
「お前ら文句ばっかでうるせーな……。ちなみに犬のう〇こで提出するなよ。すぐバレるからな」
ギャーギャーと文句が飛び交い、委員長たちでは制御できなくなってきた。
神崎は小さくため息をつき、椅子から立ち上がった。
「お前らに朗報。ウチの文化祭は芸人とか呼ばない地味文化祭と言われているが、今年は別だ。美百合のステージが行われることになった」
「ええええええぇぇぇ!?!?!?! まぁぁぁじで!?」
一番派手に反応したのはやまめ。この大絶叫は隣のクラスにまで聞こえていることだろう。隣の席の男子が耳をふさいでいる。
「なんでなんで!?」
「MVを撮影した縁で先方から打診があったらしい。ウチも断る理由はないからな」
「文化祭終わったらいつ死んでもいい……」
やまめは顔を覆うと天を仰いだ。そこは教室の天井だが。
『二号が言っていた大ファンの子に会いたいわ。それがどちらにとっても、さいごの思い出になっても……』
夜叉は美百合からの報告と青龍の話を思い出していた。
正直、文化祭どころではない。
「氷河期……ですか?」
学校に復帰する直前。夜叉は青龍に彼の部屋へ呼ばれた。
「マンモスが氷漬けになったヤツ……」
「それより規模は小さいと予想されているけどね……」
「ていうかなんで急に?」
「……天魔波旬だ」
夜叉は彼らの姿を知らない。青龍たちに聞いた情報だと彼らは元人間。人間だった頃に人として扱われなかったことで憎悪に囚われ、いつか人類そのものを消す……と企んでいるらしい。
「地球はどうなるんですか」
「地表で生きられる人間は少ないだろううね。死神さんも地上に人が増えすぎたからいつかは……と思っていたようだし」
「そんな……」
いつも穏やかな笑みを絶やさない死神。魂を迎えに行く人、と認識しているので”奪う”ことはないと勝手に思っていた。
想像上の彼の笑顔にあるわずかな影が色濃くなる。その背後には運命やハルモニアの姿がチラつく。
「い……残った人たちはどうなるんですか?」
「さぁ……。文字通り、神のみぞ知るってことかな」
青龍は持ち手のないティーカップを持ち上げた。人類の行く末を気にした素振りも見せない。
(戯人族は人とは違うんだ……)
知らず内に手を強く握っていた。突然の痛みに視線を落とすと、指の腹が血の気を失っていた。
衣擦れの音に、青龍が足を組んだのを察した。
「残念ながら戯人族は手を貸せないよ……。死神さんの言うことも一理ある。人間の数が増えすぎて我々ではサポートできないことも増えてきた。それに……ニュースで知っているだろう? 手に負えない人間が多くなってきた」
「それなら、せめて一部の人でも」
「どこで生かすんだい。地表は永久凍土になるんだよ」
顔を上げた時に目が合う。彼の瞳の奥には諦めと後悔が浮かんでいた。口ではあぁ言っているが、黙って見過ごすことに少なからず罪悪感をおぼえているのだろう。
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