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2章
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辺りが暗くなるにつれて大人の数が増えていく。スーツ姿の団体が多く、会社帰りの宴会のようだ。その中のOL達がこちらを気にしていたのは気のせいだろうか。
桜を愛でようとする人がさらに多くなってきた頃、寮長が腕時計に視線を落として麓に声をかけた。
「麓様、そろそろでございます」
何が、とは聞かなくてもすぐに分かった。ここへ来たのはちゃんと目的があるから。
じっと目の前の桜を見ていると、木の周りにある電灯が光り、夜の闇の中に桜を浮かび上がらせた。淡くほのかに妖艶に輝く夜桜は、昼間とは一味違った美しさがある。
「綺麗…」
「年に1度の楽しみでございます。これから毎年、こうして見に来ましょう」
「はい!」
闇の中で花弁が舞っていく姿に、麓はしばし見とれた。山の桜でライトアップされているところはさすがに見たことが無い。この瞬間を目に焼き付けよう。
宴会気分にひたり始めた凪たちと違ってアルコールを一切呑んでいない焔と光は、屋台を見に行こうと麓を誘った。
ずっと座っているだけではおもしろくないだろう、と。
「はぁ…いいにおい。何食べよっかな~」
「おいおい…まだ食えるのか?」
「デザートは別腹だもん」
「だろうな光なら。甘党だし」
ルンルン気分で先立って歩く光と、その後ろからのんびりと歩いていく焔と麓。
「麓は何が食べたい? 俺がおごるよ」
「いいんですか?」
「おう。遠慮するな」
「ありがとうございます。何がいいかなー…?」
ワクワクとした表情で麓は辺りを見渡し、迷い始めている。
そんな様子についつい、焔は目を細める。
可愛いな、なんて。
扇や霞と違って女子にガンガン話しかけられるタイプではない焔。でも麓には。今まで見たことのない彼女とはもっと話してみたい。
「ロクにゃんロクにゃん。僕のオススメはチョコバナナだよ!」
「チョコバナナ? チョコとバナナ…」
光に言われて麓は思案顔になり、やがて首を傾げた。
「バナナってなんですか?」
「え。バナナ知らない? 南国のフルーツ、果物の王様!」
山で生活していた彼女にとって、どうやら異国の食べ物とは無縁らしい。焔はサイフをポケットから取り出した。
「試しに食べてみる?」
麓が好奇心を含んだ瞳でうなずいたので、焔は店主に声をかけた。
「ありがとうございます。焔さん」
「おう」
「ではいただきます」
チョコレートがたっぷりとコーティングされたバナナには、色とりどりのカラースプレーが散りばめられている。
麓はパリパリと音を立て、おいしそうに食べた。
光はとっくに食べ終わったらしく、次の屋台へと旅立った。相変わらず食べることが好きなようだ。
(ということは…2人っきり!?)
焔の心は今の状況によってかき乱された。新学期早々、こんなにいいことが重なってもいいのかと。
桜を愛でようとする人がさらに多くなってきた頃、寮長が腕時計に視線を落として麓に声をかけた。
「麓様、そろそろでございます」
何が、とは聞かなくてもすぐに分かった。ここへ来たのはちゃんと目的があるから。
じっと目の前の桜を見ていると、木の周りにある電灯が光り、夜の闇の中に桜を浮かび上がらせた。淡くほのかに妖艶に輝く夜桜は、昼間とは一味違った美しさがある。
「綺麗…」
「年に1度の楽しみでございます。これから毎年、こうして見に来ましょう」
「はい!」
闇の中で花弁が舞っていく姿に、麓はしばし見とれた。山の桜でライトアップされているところはさすがに見たことが無い。この瞬間を目に焼き付けよう。
宴会気分にひたり始めた凪たちと違ってアルコールを一切呑んでいない焔と光は、屋台を見に行こうと麓を誘った。
ずっと座っているだけではおもしろくないだろう、と。
「はぁ…いいにおい。何食べよっかな~」
「おいおい…まだ食えるのか?」
「デザートは別腹だもん」
「だろうな光なら。甘党だし」
ルンルン気分で先立って歩く光と、その後ろからのんびりと歩いていく焔と麓。
「麓は何が食べたい? 俺がおごるよ」
「いいんですか?」
「おう。遠慮するな」
「ありがとうございます。何がいいかなー…?」
ワクワクとした表情で麓は辺りを見渡し、迷い始めている。
そんな様子についつい、焔は目を細める。
可愛いな、なんて。
扇や霞と違って女子にガンガン話しかけられるタイプではない焔。でも麓には。今まで見たことのない彼女とはもっと話してみたい。
「ロクにゃんロクにゃん。僕のオススメはチョコバナナだよ!」
「チョコバナナ? チョコとバナナ…」
光に言われて麓は思案顔になり、やがて首を傾げた。
「バナナってなんですか?」
「え。バナナ知らない? 南国のフルーツ、果物の王様!」
山で生活していた彼女にとって、どうやら異国の食べ物とは無縁らしい。焔はサイフをポケットから取り出した。
「試しに食べてみる?」
麓が好奇心を含んだ瞳でうなずいたので、焔は店主に声をかけた。
「ありがとうございます。焔さん」
「おう」
「ではいただきます」
チョコレートがたっぷりとコーティングされたバナナには、色とりどりのカラースプレーが散りばめられている。
麓はパリパリと音を立て、おいしそうに食べた。
光はとっくに食べ終わったらしく、次の屋台へと旅立った。相変わらず食べることが好きなようだ。
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