Eternal Dear2

堂宮ツキ乃

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6章

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 数週間後。桜の木に青々とした葉が姿を見せ始めた頃。

 風紀委員の寮にいる生徒は体操服、教師はジャージ姿で朝食タイム。

 いそいそと動き回る寮長は、まだサラダにしか箸をつけていない麓と蒼を見て腰に手を当てる。

「お2人共今日はしっかり食べないとお昼前にお腹が空いてしまいますよ? 本日は頭より体を使うんですから」

「そーだよ。年に一度のクラスマッチ! 学年関係なく戦いを繰り広げる日なんだからさ」

 少食の2人と違い、光は食パンにいちごジャムを塗りたくってかぶりつく。もう2枚目だ。

 そのジャムパンを見て凪は顔をしかめた。

「朝からなんつーもん食ってんだよ…」

「朝は糖分とらないと目が覚めないの」

「太るぞその内」
 
 そういう凪はパンに何も塗らない派。コーンスープがあればつけパンするタイプだ。

「寮長、今日コーンスープねェの?」

「飲みたいのならご用意しますよ。麓様と蒼様もスープなら飲めますでしょ?」

 寮長は凪のリクエストで台所に戻り、粉末スープを棚から取り出した。

 マグカップに粉末を入れてお湯を注いで、スプーンを添えて持って行くと、凪はさっそくちぎったパンをスープにつけて食べた。

「ん~うま。やっぱ朝はこれだわ」

 凪は満足しているようで、食パン3枚目に突入した。

「麓様、いかがです?」

「甘くておいしいです。これなら大丈夫そうです」

 さっきまで眠たそうだった麓の目は、普段通りになってきた。

「良かったね麓ちゃん。今日は頑張れよ。優勝クラスには景品があるからさ」

「何がもらえるんですか?」

 お手製ポテサラサンドを食べている扇は片目を閉じた。

「内緒ー。優勝してからのお楽しみね」



 クラスマッチはトーナメント方式で行われ、試合時間は男女とも15分間。

 女子のバスケは体育館、男子のサッカーはグランドで行われる。試合が無い時は自分のクラスの応援に行くことができる。

(5点差か…)

 今まさに、麓は試合の最中だ。

 女子のバスケは3回戦に突入しており、3年VS5年の試合が行われている。得点は25対30。5年がリードしていた。

 バスケのみならずスポーツは初心者の麓がここで出場選手に選ばれたのは単純に「身長が高いから」とのこと。

 シュート成功率が6分の1なのにいいのかな、なんてためらっていたが、嵐たちに背中を押されて決心した。

「麓ー!」

 嵐の声がして麓は振り向き、勢いのついたボールをキャッチ。難なくできるようになったのは嵐や露のおかげ。

 麓は軸足を動かしてドリブルしようとしたが、5年が3人がかりで止めにきた。

(わっ!?ドリブルできない────)

 今、彼女がいるのはスリーポイントライン。

 味方は近くにいない。

 迷っていたら5年が強引にボールを奪うだろう。ルール上、止まったままボールを一定時間持っていると笛が鳴るらしい。

────シュートって必ずしもゴールの近くで撃つものじゃないんだよ。

 不意に、練習している時に言われた言葉を思い出した。

────バスケは遠くからシュートすると点数が高くなるんだよ。

 審判をチラッと見ると、笛を鳴らそうとしている。麓はボールを持つ手に力をこめた。

(…だったら!)

 麓は一か八かで腰を屈めてシュートを撃つ気配を匂わせ、5年が覆いかぶさってくるのを見計らってから、勢いよくその場でジャンプをした。

 5年は放たれたボールをカットしようとしたが、もう間に合わない。

 ボールは危なげに放射線をゆるゆると描きながらゴールへ到達し、リングの上を2回転した後、ネットをくぐり抜けた。

「…スリーポイント!」

 遠くで嵐が喜ぶ声がした。彼女だけじゃない、3年の面々が歓声を上げている。

 得点は28対30。あと2点で同点だ。

「やっ…た!」

 周りの反応を見て、麓はやっと自分のシュートが決まった実感が湧いた。

 帰ったら寮長にいい報告ができる。

 走り回って上気した顔で、麓はほほえんだ。
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