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創手 カケラ

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目覚めて新世界

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チチチチ……

何かの鳴き声に目を覚ます。どこか分からない草原と暑い太陽の下……見渡しても人がいる様子はなかった。自分はといえば制服姿に傍らにスクールバッグ、電源の切れたスマホが転がっていて、他には……剣……も放置されている。餞別といったものなのだろうか?

そういやスクールバッグの中身ってなんだろ?教科書とか詰まってたりしないよな?

「……うーん」

スクールバッグを開いてみて、中身は教科書などはなくなり……茶色い布の小袋、小瓶が幾つか。読みかけの本、ラノベは残っていた。ファンタジー異世界に行くお話。
よく異世界で無双と成功してるけど……何をどうすべきなのだろうか。クーリングオフはないからって……記憶をなくしても違う人生を歩んだ方が……

「はぁ……考えても仕方ないよね……送られてしまったし、それに、現代知識あるし、ライトノベルみたいにどうにか……なるだろ」

楽観的に考え、言い聞かせて……悲観しないように、立ち上がる。スクールバッグを肩に掛けて、剣は腰のベルトに差して、留め具で固定して、どっちに向かえばいいか分からないが、兎も角歩くことにした。人に出会えればどうにかなるかもしれないし、運が良ければ町に出るかもしれない。日はまだ高い。



歩きに歩いたが……気づくと草原は森に日は沈んで暗闇。町の明かりも見えないし、空も星が見えない。と言うよりも木々の葉が邪魔をして、また夜空も雲かなにかで星が見える和気もないのかもしれない。
腹は減るし、喉も乾く。電源の入らないスマホは意味をなさないし……電源が入ったからって何に使える訳でもない。初日から詰んでる。

「たく……今日はなにも取れなかったな……」

「潮時かもなここの狩り場もよ」

聞こえる声、耳を済まして聞き入る。ファンタジー世界的な狩人だろうか?と言うより、この世界の言葉を何で理解できるんだろう?けど……助けてくれるだろうか。いい人ならいいけどもしもそうでなかった。

聞こえる方に進み、光が見えた揺らめく火の、焚き火の火だった。静かに進み木の陰から覗いてみる。いるのは男が二人。汚い男で、怪しい雰囲気である。これは狩人と言うよりもこれは……

「前に捕まえた女は良かったよな」

「ああ、高く売れたし楽しめたしよ」

賊の類い……それを聞いて男の僕でも冷や汗が出た。もし見つかれば、男の僕の場合は……後退りして、一歩……二歩、三歩……

バキッ!?

「なんだ?」

「誰だ!?」

乾いた枝の折れる音で一気に血の気が引いた。声をあげそうになるが口に手を当てて必死に呑みこみ押し込んで殺す。声を殺すが……もう遅い。

「出てくれば命だけはとらねえかもな?」

体を反転させて一目散で必死に足を踏み出して走り出すガサガサと音を立て、必死にただ必死にその場から逃げ出した。それに男たちの声が上がり背後を追いかけてくる。草を掻き分ける音、地面を踏みつける音、叫ぶ怒鳴る声。

「にげんじゃねえぞてめえ!!」

「逃げちまったもんはしかたねえな?身ぐるみ剥いでてめえの首は飾りにしてやるよ!!」

「ハァッ、ハァッ、ハァッちくしょ……な、なんだよ」

暗い森、足元の悪い森をひたすらに逃げる。逃げて、逃げて逃げ続けて……異世界を選んだことを後悔していた。現実は優しくなかった。

「へへ!!捕まえた!!おら!!」

「ぐえ!?あっ、がっ……!!」

「はは、なんだよ。胸ねえ……あ?メス見てえなガキか?へへ、雄をやんのは趣味じゃねえが……」

「や、やめっ……い、いやだ!!」

「うるせえ!!黙ってろ!!」

「おご!?」

臭い男に髪の毛を捕まれ引き倒される。あの二人以外の男……汚く臭い……賊。その賊がまるで品定めするように、なめ回すような気持ち悪い目で僕を見下ろす。制服のナイフで裂かれ、華奢な体を見ては下卑た笑いをする。相手に抵抗しようとするが、口のなかにそれこそ、臭く汚く吐気のするひどいものをねじ込まれて殴られる。睨むことしか出来ずあっという間に、縛られて涙を浮かべるしかなかった。剣も奪われて笑われて、気づけば初めの二人どころか何十人も臭く汚い賊が群がっていた。奴らは男も女も構わないと言う感じに、その下卑た笑いと目を向ける。
悔しくて、恥ずかしくて……死にたいと思った。目をつぶり臭い口に押し込まれた何かを噛むしかなかった。

「うんじゃあ!!雄だろうが楽しませてもら……」

「ひとーり!!」

「な、なんだてめえ!?っ……殺しやがったな……ただで済むとお!?」

「うるせえよ……糞ども」

びちゃりと何かが顔にかかり、何かがボールのように弾み転げる音がした。程なくどさりと自分に何かが乗った。臭い匂いは体臭だろう目も開けられず。生暖かい何かが俺にかかり、制服を濡らしていくの感じるだけで怖くて目を固くつぶった。一気に騒がしくなり賊たちと違う声がする。どっと騒がしくなり、ボールの弾むような音、水音、鉄の臭い、騒ぎが叫び声に代わり、賊とは違う声がいっそう大きく聞こえ、騒ぎが叫び声が小さくなっていった。

「はぁ……はぁ……ざまあみろ……ゴミども」

「んっ……んぅ!?うーっ!!」

吐き捨てる声が聞こえた後、ゆっくりと目を開けた俺はずぶ濡れになっていて重い何かは男だった。ただ体だけで頭はない。頭のないところから
勢いはもうないが、血が垂れていて俺の制服を染めていた。辺り一面血に染まり、その血を吸って下着まで湿気りきっていた。
横に向けると俺をにらむような頭が真横にあり逃げようと体をよじる。血と頭と体と……異世界と言うより地獄だ。地獄の世界である。体の上から男の体を落として、視界にやっと捕らえた。血に染まり、両手に大型の刃物を持つ褐色かなにか違う色の肌のとても身軽そうな同い年か年上の青年。僕をみて口元を緩ませ口角を上げて言う。

「山賊に捕まるって運のねえ奴だなおまえ?ん?お?てか……」

その少年は笑うのをやめて、近づいてくる。血で濡れた黒髪、肌は赤みを帯びている。髪から覗く角らしき突起、顔は自分なんかよりイケメンで八重歯、牙が見える。耳は先が尖りピアスやら耳飾りが見える。衣服は動きやすそうだが、露出が多い服。そして、細身だが僕と違って筋肉質で身軽に動き回る。両手に持つ武器は血を滴らせ振るえば飛び散る。この地獄を作った本人であると言うのが分かる。そして、すべてが終わると僕の顔を不思議そうに覗き、裂かれた制服を見ている。抵抗もなにもできないので大人しくしているしかなかった……だが段々と喉を上がってくるものがあり、苦しくて気持ち悪くなって……

「へー……こいつは、って?お、おい?ま、まさか、ま、まてよ。まだ……まだ待て!!まだだぞ!!」

縛ってるものを切り、口のなかに突っ込まれたものを出してくれた……がそこから一気に吹き出すようにして戻した。鉄の臭いに吐瀉物の嫌な臭い……最悪な始まりだった。
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