ワタシのお人形

七屋敷ナナヤ

文字の大きさ
1 / 1

ワタシのお人形

しおりを挟む
いつなのかは覚えていませんけど、目があったので、拾いました。
近所の神社の裏手って、雑草さん達がいっぱいなんですけど、私はなんとなくそこに入り込んで、なんとなく隠れたんです。その時あったと思います。
私の事怖い顔でみないので、好きだなって思いました。

髪が艶々で綺麗なお人形です。全部真っ黒だった。真っ黒。でも綺麗なお人形です。可愛いお顔。

服はお着物だったんですけど、赤黒い滲んだ水玉模様で、ちょっぴりハイカラです。

私は、A子さんの誕生日プレゼントにしようと思ったのです。A子さんはお人形が好きでした。

私は、お人形のお洋服を沢山もっていました。お家に帰って、すぐこのお人形に似合うお洋服を着せました。可愛いので何でも似合います。お人形が微笑んだ気がしました。

A子さんを家に呼びました。A子さんは、お人形を私から取り上げました。

「アタシにくれるんでしょ。」

と、言われたので「そうです。」と答えました。

お人形が、ムッとした顔をした気がしました。いえ、確かにムッとしたのです。
A子さんは気づいていませんでした。


A子さんは死にました。お人形をあげた帰りに死んだそうです。お母さんがとびきり叫んでいたので覚えてます。

「うふふふっ」

私は笑いました。なんだか、とってもおかしくて。


私は、B美さんにもお人形をあげようと思いました。B美さんもお人形が大好きで、私のお家に来たら、必ずお人形達で遊びます。美容師を目指しているそうで、お人形達を色んな髪型にするの。


ふと、ピンポーンとドアチャイムの音が聞こえました。1回だけ。お母さんは出ませんでした。なんとなく気になりましたので、私は玄関の扉を開けに行きました。

お人形が玄関外に倒れていました。赤黒い水玉模様のお洋服を着ていました。

私は無言でお人形を拾い上げました。足元をみると、泥だらけでした。

私はお人形と一緒にお風呂に入りました。暖かくって気持ちいいお湯で、お人形を綺麗に洗いました。丁寧に丁寧に洗いました。お人形は微笑みました。




肌も綺麗なお人形。傷一つありません。
そして愛くるしいお顔。




私はまたお洋服を選びにかかりました。お夕食が生ゴミにされていたので、結構な時間がかったと思います。ご飯は食べ損ねてしまいましたが、お人形さんの可愛らしさに満足していたので、不思議とお腹は空いていないようでした。


次の日に、B美さんが家に来ました。呼んではいなかったんですけれど、会いたいから来たのだそうです。私は何日かお休みしていたので、きっとお見舞いに来てくれたのだと思います。
お母さんはお仕事に出ていたので、とても良いタイミングでした。

リビングを散らかすとお母さんが叫ぶので、B美さんを私のお部屋に案内しました。

「家は清潔なんだね~。」とB美さんが言いました。


私はA子さんの事を聞きました。B美さんは、聞こえなかった様に、私のお気に入りのソファに腰掛けました。ギチッと音が鳴りました。B美さんは大柄なので、ソファが潰れてしまいそうにみえて、心配になりました。

「のどかわいた。」

B美さんがそう言ったので「飲み物持ってきます。」と、私は言う他ありませんでした。人の言うことは、ただしく聞かねばならないのですから。





私が飲み物を持ってお部屋に戻ると、あのお人形がB美さんのお膝の上に座っていました。




「これ、いいじゃん。髪長え。こんな服着てんのに、この髪型はないよねえ。巻く!いや、ボブスタイルもいいんじゃない。ねえ。なおしてやるから、コレ借りてっていいよね。」

B美さんは、笑顔で聞いてきました。とても良い笑顔です。元々B美さんにプレゼントしたかった事を伝えると、一層喜んでいました。

私もとても嬉しい。






全てが予想通りだったわけではありません。
でも、B美さんも死にました。

私はとにかく、なんだかワクワクしたんです。
何かとても良い事ばかり起きるような。




お母さんは、始終取り乱していました。A子さんだけでなくB美さんも死んだんです。お家によく来ていたので、二人共お母さんは知ってます。殺人らしいので、私は絶対に外に出てはいけないんだと叩かれました。

お母さんは叫び疲れて、リビングでお酒くさくなって寝てしまいました。
私は外の空気を吸いたくてベランダに出ました。玄関から出るなとお母さんから言われたので、その通りにしました。


ベランダには沢山プランターがあります。その間に、隠れんぼするみたいにお人形はいました。

お洋服は赤黒い水玉模様です。お顔は微笑んでいました。私もつられて笑ってしまいました。





こうなったらもう、皆んな招待するしかありませんでした。
C澤さん、D口さん、E川さんも皆んな。

私のお家には、声が全然響かない不思議なお部屋があるんです。私は、いつもそこで叩かれます。
お父さんがいた時は、もっと痛くて苦しかった。今、そのお部屋を使うのはお母さんだけだけれど、私も使っていいと思いました。家族だから。


お母さんが仕事にいっている夜、皆んなを招待しました。A子さんやB美さんの事を色々聞いてきましたけど、私は詳細は知らないので「わからない。」と答えました。

誰も納得はしてくれませんでした。だから、防音室のお部屋に案内しました。

可愛いお人形も、一張羅で待っています。
何かおきそうな気がしましたから、先にお部屋で寛いでいてもらったのです。

お部屋の明かりはついていなかったので、真っ暗でしたが、怖がりながらも皆んな入って行きました。

私はお部屋の中には入りませんでした。暗闇は安心するけれど、皆んなといる事に安心を覚えなかったからです。


元々後ろに控えるようにたっていたので、扉を閉めるなんて容易でした。
ギィガチャ。と、いつもの音が鳴りました。


皆んなお部屋の中にいるので、きっとびっくりしたのではないでしょうか。まあ、叫んでも聞こえませんから、どうしようもありません。



しばらくたったので、もういいかなと思いました。私は暗闇にじっとしているのは好きだけれども、他の人は怖いらしいですから。きっと我慢の限界で、泣いてる子もいたんじゃないかと思います。

そろそろ、お母さんも帰って来てしまいます。
はやく、皆んなには帰ってもらうか泊まってもらうか、決めていただけないといけませんでした。



お部屋の扉を開けました。


誰の声も聞こえなかった。
中には誰もいませんでした。

私は明かりをつけました。
でもやはり誰もいません。

人生で、一番びっくりしたのではないでしょうか。すごく驚きました。叩かれたり、指をあそこに捻りこまれるより驚きました。

誰もいないのですから。




お人形だけ、お部屋の中央に横たわってました。一張羅は血塗れで、赤黒くて、とても汚く臭かった。



お人形とお風呂に入ってから、もう一度お部屋をみてみましたが、やはり皆んないませんでした。

跡形も無かった!











私は、もうこのお人形と一緒にいるしかないんだなあと、はらはらぼんやり思った。

ありがとう。




でも、怖いんです。ちょっぴり。シアワセ過ぎて。




しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...