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第6話 ドラゴンとの商談?!
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ニャミーさんとホフマン商店に向かった。子供たちは、年長者が下の子供たちを見てくれているので、洗濯さえ終わればお昼までは多少自由に出来るようだ。
「ホフマン商店は私も利用させて頂いています。とても親身に相談に乗ってもらっています。ただ、ロンド商会には全く歯が立たないようです」
ニャミーさんが言うには、父から引き継いだ商店でやる気はあるものの、人族では無いため中々上手くは行っていないようだ。
「シスター、本日はどのようなご用件でしょうか?そちらの方々は……」
物腰も低く、丁寧な対応だ。虎の縞模様の猫族。この人がホフマンさんらしい。
「本日は紹介したい方を連れてきました」
ニャミーさんに紹介してもらう。どことなく誇らしげだ。
「初めまして、和馬と申します。今回は商品を買って頂けないかと思い、ニャミーさんにお願いして来店させていただきました。こちらは妻の美鈴です」
「妻の美鈴です。宜しくお願い致します」
丁寧な挨拶をあまり受けた事がないのか、少し慌てたように店内に案内された。元の世界で営業をやっていて良かった。ただ、奥さんの方を見て慌てていたような……
「狭くて申し訳ありませんが、どうぞこちらへ!!」
慌てているというよりは怯えているような気がする。振り向くと、奥さんはいつもの優しく可愛らしい笑顔だ。何に怯えてるんだ?
「この胡椒なんですが、買取はできますか?」
「お預かり致します」
小さな袋に入れ替えた胡椒を、ホフマンさんは少量をつまんでから、入念に確認している。時々奥さんをチラチラ見ているのは、やはり魅力的だからだろう。
「素晴らしい品質の胡椒です。大銅貨7枚で買い取らせていただきます」
大銅貨7枚は銅貨70枚。つまり7000円だ。銅貨1枚で買った物が70倍とは……
「それでお願いし……」
「お待ちください」
オレの言葉を遮るように、奥さんは静かな声で呟いた。周りの温度が5度くらい下がった気がするのは俺だけだろうか。ホフマンさんの目が泳いでいる。
「失礼ですが、素晴らしい品質の割には正当な評価では無かったと思いますが?」
「しかし初めての買い取りとしては、かなり頑張らせて頂いたのですが……」
「銀貨1枚と大銅貨2枚が適正では?」
流石に12000円はやり過ぎでは……
「?!それはいくらなんでも高すぎます!!」
ですよねー。
「これから定期的に卸させて頂こうと思っています。ロイド商会にも行こうと思っているのですが……」
「……もう少し頑張らせて頂きます……」
それから数分だったと思うが、結局1袋で銀貨1枚(10000円)での取引となった。奥さんが味方で本当に良かった……
「有意義な時間を過ごさせて頂きました。店内を拝見しても宜しいでしょうか?」
「どうぞご覧になってください……」
奥さんはウキウキしながら店内をみている。
ホフマンさんは10歳くらい老けた様な気がするが大丈夫だろうか……?近づいて話してみる。
「グッタリしてますが大丈夫ですか?」
「あの方は何者なんですか?まるでドラゴンを相手に商談している様でしたよ……」
流石は商売人だ冗談が上手い。後ろで奥さんの目が光った気がする。
「ところでこの道具なのですが、作ることは出来ますか?」
「どの様な道具なのでしょうか?」
ネット検索で調べたポンプを、木の板に木炭で書いてみた。咲なら絵が上手いからもっとすぐに伝わったのに…とりあえず時間は掛かったが伝わったようだ。
「すっ、すっ、スゴいですよこれは!!!」
今度は若返ってる。この人元気だなー。
「是非、ホフマン商店で取り扱わせて下さい!絶対に売れます!売ってみせます!」
テンションが凄い。どうやら領主に売り込もうとしているようだ。商店を大きく出来ると目を輝かせている。野心はかなりありそうだ。こういう人(猫族だから厳密には違うが)の方が信用出来る。
「ありがとうございました!!」
ホフマンさんはペコペコしながら最後まで見送ってくれた。ニャミーさんは大金を見ながら、同じくらい奥さんを見てぽーっとしている。
「これで軍資金ができたね♡」
「とりあえず何を買おうか?」
「もちろん、まずは美味しいゴハンだよ!」
「確かに!」
お昼ゴハンに子供たちが喜びそうなのは……オレのスキル『百均』でホットケーキミックスと牛乳、バターとケーキシロップを人数分購入。
「やっぱり百均じゃあ生クリームは売ってないかぁ。そしたら代りにジャムを塗れば美味しいよね♡」
奥さんはさっきの商談が成功した以上に、ウキウキしながら購入する商品を考えている。
「それにしても、よくあんな金額を提示できたね」
「話してれば何となくわかるよー」
元の世界では、某・有名百貨店に勤務していた時に何度も売上トップになっていた。今回はお客さんではなく商人相手だが、何ら問題無いらしい。
「お互いにメリットがあるんだから、高くてもいいんだよ。いくらで仕入れたかよりも、どれだけの価値があるかってことだから」
「……」
奥さんは『ふふっ』と微笑んだ。その横顔は小悪魔のような、ゾクリとする笑顔だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
お昼ゴハンのホットケーキはあっと言う間に無くなってしまった。ポンポコリンになった子供たちが幸せそうに寝転んでいる。
ニャミーさんは幸せそうに苦しんでいる。
スープシチューのときはまだ大丈夫だったが、ホットケーキはの時は制御不能になってしまったようだ。
「こんなに美味しいもの食べたのは生まれて初めてなので……恥ずかしいです……」
「喜んでくれて嬉しい!!たくさん作ったかいがあったなぁ」
「オレもこんなに喜んでくれて良かった!」
「晩ご飯は何にしようかなぁ~♡」
「もう晩ご飯のこと考えてるの??」
「だって喜んでほしいじゃん!」
奥さんは聖母のような、そして少女のような表情を見せてくれた。
「ホフマン商店は私も利用させて頂いています。とても親身に相談に乗ってもらっています。ただ、ロンド商会には全く歯が立たないようです」
ニャミーさんが言うには、父から引き継いだ商店でやる気はあるものの、人族では無いため中々上手くは行っていないようだ。
「シスター、本日はどのようなご用件でしょうか?そちらの方々は……」
物腰も低く、丁寧な対応だ。虎の縞模様の猫族。この人がホフマンさんらしい。
「本日は紹介したい方を連れてきました」
ニャミーさんに紹介してもらう。どことなく誇らしげだ。
「初めまして、和馬と申します。今回は商品を買って頂けないかと思い、ニャミーさんにお願いして来店させていただきました。こちらは妻の美鈴です」
「妻の美鈴です。宜しくお願い致します」
丁寧な挨拶をあまり受けた事がないのか、少し慌てたように店内に案内された。元の世界で営業をやっていて良かった。ただ、奥さんの方を見て慌てていたような……
「狭くて申し訳ありませんが、どうぞこちらへ!!」
慌てているというよりは怯えているような気がする。振り向くと、奥さんはいつもの優しく可愛らしい笑顔だ。何に怯えてるんだ?
「この胡椒なんですが、買取はできますか?」
「お預かり致します」
小さな袋に入れ替えた胡椒を、ホフマンさんは少量をつまんでから、入念に確認している。時々奥さんをチラチラ見ているのは、やはり魅力的だからだろう。
「素晴らしい品質の胡椒です。大銅貨7枚で買い取らせていただきます」
大銅貨7枚は銅貨70枚。つまり7000円だ。銅貨1枚で買った物が70倍とは……
「それでお願いし……」
「お待ちください」
オレの言葉を遮るように、奥さんは静かな声で呟いた。周りの温度が5度くらい下がった気がするのは俺だけだろうか。ホフマンさんの目が泳いでいる。
「失礼ですが、素晴らしい品質の割には正当な評価では無かったと思いますが?」
「しかし初めての買い取りとしては、かなり頑張らせて頂いたのですが……」
「銀貨1枚と大銅貨2枚が適正では?」
流石に12000円はやり過ぎでは……
「?!それはいくらなんでも高すぎます!!」
ですよねー。
「これから定期的に卸させて頂こうと思っています。ロイド商会にも行こうと思っているのですが……」
「……もう少し頑張らせて頂きます……」
それから数分だったと思うが、結局1袋で銀貨1枚(10000円)での取引となった。奥さんが味方で本当に良かった……
「有意義な時間を過ごさせて頂きました。店内を拝見しても宜しいでしょうか?」
「どうぞご覧になってください……」
奥さんはウキウキしながら店内をみている。
ホフマンさんは10歳くらい老けた様な気がするが大丈夫だろうか……?近づいて話してみる。
「グッタリしてますが大丈夫ですか?」
「あの方は何者なんですか?まるでドラゴンを相手に商談している様でしたよ……」
流石は商売人だ冗談が上手い。後ろで奥さんの目が光った気がする。
「ところでこの道具なのですが、作ることは出来ますか?」
「どの様な道具なのでしょうか?」
ネット検索で調べたポンプを、木の板に木炭で書いてみた。咲なら絵が上手いからもっとすぐに伝わったのに…とりあえず時間は掛かったが伝わったようだ。
「すっ、すっ、スゴいですよこれは!!!」
今度は若返ってる。この人元気だなー。
「是非、ホフマン商店で取り扱わせて下さい!絶対に売れます!売ってみせます!」
テンションが凄い。どうやら領主に売り込もうとしているようだ。商店を大きく出来ると目を輝かせている。野心はかなりありそうだ。こういう人(猫族だから厳密には違うが)の方が信用出来る。
「ありがとうございました!!」
ホフマンさんはペコペコしながら最後まで見送ってくれた。ニャミーさんは大金を見ながら、同じくらい奥さんを見てぽーっとしている。
「これで軍資金ができたね♡」
「とりあえず何を買おうか?」
「もちろん、まずは美味しいゴハンだよ!」
「確かに!」
お昼ゴハンに子供たちが喜びそうなのは……オレのスキル『百均』でホットケーキミックスと牛乳、バターとケーキシロップを人数分購入。
「やっぱり百均じゃあ生クリームは売ってないかぁ。そしたら代りにジャムを塗れば美味しいよね♡」
奥さんはさっきの商談が成功した以上に、ウキウキしながら購入する商品を考えている。
「それにしても、よくあんな金額を提示できたね」
「話してれば何となくわかるよー」
元の世界では、某・有名百貨店に勤務していた時に何度も売上トップになっていた。今回はお客さんではなく商人相手だが、何ら問題無いらしい。
「お互いにメリットがあるんだから、高くてもいいんだよ。いくらで仕入れたかよりも、どれだけの価値があるかってことだから」
「……」
奥さんは『ふふっ』と微笑んだ。その横顔は小悪魔のような、ゾクリとする笑顔だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
お昼ゴハンのホットケーキはあっと言う間に無くなってしまった。ポンポコリンになった子供たちが幸せそうに寝転んでいる。
ニャミーさんは幸せそうに苦しんでいる。
スープシチューのときはまだ大丈夫だったが、ホットケーキはの時は制御不能になってしまったようだ。
「こんなに美味しいもの食べたのは生まれて初めてなので……恥ずかしいです……」
「喜んでくれて嬉しい!!たくさん作ったかいがあったなぁ」
「オレもこんなに喜んでくれて良かった!」
「晩ご飯は何にしようかなぁ~♡」
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「だって喜んでほしいじゃん!」
奥さんは聖母のような、そして少女のような表情を見せてくれた。
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