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メイドはジャガイモを焼く
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「という訳で、畑から食材を持ってきました」
イーリスの畑からジャガイモを奪いました。とはいえ、ジャガイモだけで出来る料理なんて、それほど多くありません。
「ご主人様、油は持っていないんですか?」
「研究用の油なら」
「調味料になりそうなものをいくつか出していただけると」
「わかった」
そういって、イーリスは黒く波打つ空間から、何種類かの小瓶を取り出します。
「これが油。後は、リリアルの蜜、イノームの種」
「その2つは知らないものですけど、食べれるんですよね」
「調味料を出してって言われて食べられないものは出さない。イノームの種は、少し塩に似た味」
「ありがとうございます。これで料理が出来ます」
包丁を取り出して、ジャガイモの皮を剥いてから、手軽な大きさに切り始めます。
イーリスの屋敷の設備は、かなり充実しています。調理器具もありますし、冷蔵庫やコンロ、オーブンまであります。
それら全てが魔道具と呼ばれる魔石を使用した道具です。さすがに日本の最先端の技術で作られた家電には劣りますが、それでも、一般家庭と比較したら、設備面ではこの家の方が良いものを置いているかもしれません。
宝の持ち腐れとはこのことを言うのでしょうけど。
少しだけ小さく刻んだジャガイモを少し多めに油を引いたフライパンに投入します。
イノームの種を入れて塩味を付けます。
ジャガイモという万能食材は、火を通して塩で味付けするだけで、十分美味しくなる食材ですからね。
ジャガイモの表面がカリカリになってきたのを確認してから、お皿に移します。
この時間、なんと5分。
ジャガイモの皮むきも『高速作業』のスキルのおかげで素早く出来ます。
「今回は、食材がなかったので、こんなレベルの物しか用意できませんでしたけど」
私の料理の技能は、0からオリジナルの料理を作れるほど高くはないですから。
「ありがとう。お腹すいた」
そう言いながらイーリスは、ジャガイモを指でつまんで1つを口に放り込む。
「ああ、もう、フォークあるんですから、使ってください」
私は、食器棚からフォークを取り出してイーリスに渡します。
イーリスは改めて、手渡されたフォークでジャガイモを食べ始めます。表情が少し柔らかくなり、嬉しそうな顔を浮かべます。
そういう顔をされると作った側としても嬉しい気持ちになります。
「うん。美味しい。ここ数年で食べたゴハンの中で1番ぐらい」
「それは流石にお世辞が過ぎますよ。焼いただけの料理ですよ」
さすがに塩もどきで味付けしたジャガイモが数年で最高になる食生活は不憫すぎます。
生活の質を向上させるというのは、私の目標です。そのためには、ここでの知識と料理を学ばなければ。
「ご主人様。私が必ず、このスラムの子供みたいな食生活を変えて見せますからね」
「フレンは相変わらず、たまに失礼なことを言う。でも、楽しみにしてる」
私の決意表明にイーリスは頬を緩ませます。
「とりあえず、肉が欲しいです。ご主人様。町に行きませんか?」
「・・・・・・無理に料理を増やさなくても毎日ジャガイモでも良い」
「私の決意表明一瞬で否定された!?」
いや、さっき楽しみって言ってたじゃないですか。いきなりどうして、そんなことを。
「町に行ったら、危険がいっぱいある」
「え、そんなに治安悪いんですか?」
「お店の人は通っただけなのに話しかけてくるし、子供は私を何故か追いかけてくるし」
「凄い微笑ましい感じの町じゃないですか」
「と、とにかく。町に行くのは無理。行くならフレンが行って」
「そりゃあ、まあ、私が行くのは構わないんですが」
というか元々、一緒に行くつもりでしたし。この人、お願いしたら、なんか変なもの買ってきそうだし。
そうですか。この近くに町はあるんですね。それなら食材もある程度、用意は出来そうですね。
「じゃあ、ご主人様。町の場所を教えてもらえますか?」
「・・・・・・本当に行くの?」
信じられないものを見るような目で私のことを見てきます。え、そんなに町って行くのに抵抗のある場所ですか?
まあ、人里離れた僻地に住んでいるのですから、人が多いのは苦手なんでしょうけど。
「このまま、食材を用意出来ないとメイドの沽券にかかわります」
「フレン、メイドとしてまだ二日しかたってない」
「いえ、それはそうなんですけど」
メイドとしての知識がないので、何がメイドらしいのかよく分かりませんけど。
とりあえず、異世界の知識を得るためにも外の暮らしを知るのは良いことだと思います。
「わ、分かった。ちょっと待ってて」
イーリスはそう言うと調理場を出て行ってしまいました。
もしかして、気が変わってイーリスも行くんでしょうか?
少ししてイーリスが調理場に戻ってくると私に3枚の紙を渡してきました。
紙には何かの名前が箇条書きで書かれています。
「・・・・・・これは?」
「これも買ってきてほしい。薬の材料」
「・・・・・・ご主人様って本当にいい性格してますよね」
「? ありがとう」
「褒めてないんですよね。いや、行きますけどね。おつかいぐらい」
自分で行きたくないから私に全部の買い物を押し付けてきましたよ。この人。
いえ、従者なんですから、良いんですけども。
イーリスの畑からジャガイモを奪いました。とはいえ、ジャガイモだけで出来る料理なんて、それほど多くありません。
「ご主人様、油は持っていないんですか?」
「研究用の油なら」
「調味料になりそうなものをいくつか出していただけると」
「わかった」
そういって、イーリスは黒く波打つ空間から、何種類かの小瓶を取り出します。
「これが油。後は、リリアルの蜜、イノームの種」
「その2つは知らないものですけど、食べれるんですよね」
「調味料を出してって言われて食べられないものは出さない。イノームの種は、少し塩に似た味」
「ありがとうございます。これで料理が出来ます」
包丁を取り出して、ジャガイモの皮を剥いてから、手軽な大きさに切り始めます。
イーリスの屋敷の設備は、かなり充実しています。調理器具もありますし、冷蔵庫やコンロ、オーブンまであります。
それら全てが魔道具と呼ばれる魔石を使用した道具です。さすがに日本の最先端の技術で作られた家電には劣りますが、それでも、一般家庭と比較したら、設備面ではこの家の方が良いものを置いているかもしれません。
宝の持ち腐れとはこのことを言うのでしょうけど。
少しだけ小さく刻んだジャガイモを少し多めに油を引いたフライパンに投入します。
イノームの種を入れて塩味を付けます。
ジャガイモという万能食材は、火を通して塩で味付けするだけで、十分美味しくなる食材ですからね。
ジャガイモの表面がカリカリになってきたのを確認してから、お皿に移します。
この時間、なんと5分。
ジャガイモの皮むきも『高速作業』のスキルのおかげで素早く出来ます。
「今回は、食材がなかったので、こんなレベルの物しか用意できませんでしたけど」
私の料理の技能は、0からオリジナルの料理を作れるほど高くはないですから。
「ありがとう。お腹すいた」
そう言いながらイーリスは、ジャガイモを指でつまんで1つを口に放り込む。
「ああ、もう、フォークあるんですから、使ってください」
私は、食器棚からフォークを取り出してイーリスに渡します。
イーリスは改めて、手渡されたフォークでジャガイモを食べ始めます。表情が少し柔らかくなり、嬉しそうな顔を浮かべます。
そういう顔をされると作った側としても嬉しい気持ちになります。
「うん。美味しい。ここ数年で食べたゴハンの中で1番ぐらい」
「それは流石にお世辞が過ぎますよ。焼いただけの料理ですよ」
さすがに塩もどきで味付けしたジャガイモが数年で最高になる食生活は不憫すぎます。
生活の質を向上させるというのは、私の目標です。そのためには、ここでの知識と料理を学ばなければ。
「ご主人様。私が必ず、このスラムの子供みたいな食生活を変えて見せますからね」
「フレンは相変わらず、たまに失礼なことを言う。でも、楽しみにしてる」
私の決意表明にイーリスは頬を緩ませます。
「とりあえず、肉が欲しいです。ご主人様。町に行きませんか?」
「・・・・・・無理に料理を増やさなくても毎日ジャガイモでも良い」
「私の決意表明一瞬で否定された!?」
いや、さっき楽しみって言ってたじゃないですか。いきなりどうして、そんなことを。
「町に行ったら、危険がいっぱいある」
「え、そんなに治安悪いんですか?」
「お店の人は通っただけなのに話しかけてくるし、子供は私を何故か追いかけてくるし」
「凄い微笑ましい感じの町じゃないですか」
「と、とにかく。町に行くのは無理。行くならフレンが行って」
「そりゃあ、まあ、私が行くのは構わないんですが」
というか元々、一緒に行くつもりでしたし。この人、お願いしたら、なんか変なもの買ってきそうだし。
そうですか。この近くに町はあるんですね。それなら食材もある程度、用意は出来そうですね。
「じゃあ、ご主人様。町の場所を教えてもらえますか?」
「・・・・・・本当に行くの?」
信じられないものを見るような目で私のことを見てきます。え、そんなに町って行くのに抵抗のある場所ですか?
まあ、人里離れた僻地に住んでいるのですから、人が多いのは苦手なんでしょうけど。
「このまま、食材を用意出来ないとメイドの沽券にかかわります」
「フレン、メイドとしてまだ二日しかたってない」
「いえ、それはそうなんですけど」
メイドとしての知識がないので、何がメイドらしいのかよく分かりませんけど。
とりあえず、異世界の知識を得るためにも外の暮らしを知るのは良いことだと思います。
「わ、分かった。ちょっと待ってて」
イーリスはそう言うと調理場を出て行ってしまいました。
もしかして、気が変わってイーリスも行くんでしょうか?
少ししてイーリスが調理場に戻ってくると私に3枚の紙を渡してきました。
紙には何かの名前が箇条書きで書かれています。
「・・・・・・これは?」
「これも買ってきてほしい。薬の材料」
「・・・・・・ご主人様って本当にいい性格してますよね」
「? ありがとう」
「褒めてないんですよね。いや、行きますけどね。おつかいぐらい」
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