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3章
Part 177『鬼に日本刀』
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この世界には様々な現象がある。奇跡、魔法、呪いなどなど、この世界ではそれらは、非常に一般的なものであった。
中でも顕著であったのが魔法であった。魔法は、思い出を消費する代わりに特定の現象を起こすことが出来る。
魔石という代替品の存在も魔法の発展に大きく貢献したと言える。
しかし、魔法には欠点も存在する。魔法は永久に事象を起こすものではないと言うことであった。さらには、思い出を重視する妖怪において出来れば使いたくないものであった。
その結果注目されたのが呪いであった。呪いの性質は、魔力を必要としないという点、さらには、呪いにかけられた物体は、存在そのものが改変されるため呪いが解除されるまで半永久的に持続するという持続性の高さも利点であった。
けれど、呪いをかけるには準備が必要であり、呪いを与えるためには、代償を必要とするという欠点があった。
それでも記憶を失う事を恐れたもの、あるいは、魔法という技術が劣っているものは、呪いを身につける場合も少なくなかった。
呪いは、支払う代償が大きければ大きいほど使用者に利益をもたらす。とあるものは、自分の来世の全てを捧げて力を得たものもいる程である。
そして、マコト達の目の前に存在する狼も明らかに呪いの効果を受けていた。
どれだけの対価を支払えば、こんな力を得られるのだ。並の強さではないとマコトは確信していた。先程戦っていた妖怪の一撃よりも明らかに重い一撃、ふと瞬きすれば、見失ってしまいそうな速度、同じ動物の妖怪が多い孤月にもここまでの強さを持つ存在はそうはいない。
大きな体を目を疑う様なほどのスピードで動かす狼、鼓膜を破りかねないほど巨大な咆哮をあげながらマコトと互角以上に戦っていた。
マコトの反撃で腕を吹き飛ばしても異常な回復力の高さですぐに再生する。
「マコト、無事ですか。」
遠くから真冬がマコトに向かって声をかける。マコトは、狼の爪を棍棒で受け流しながら決して狼から視線をそらす事なく返答する。
「はい。粉雪は・・・・・・」
「体に毒は受けていますが命に関わるものじゃないはずです。」
「つまりは、二人でこいつを倒さなければいけない訳ですか・・・・・・」
「呪いで強くなっているなら考えがあります。」
真冬は、手元にある日本刀に手をかける。
妖刀 『真冬』
その効果は、ただ斬るのみである。しかし、それは、例外なく持ち手が斬りたいと願ったものを斬るというシンプルであるが非常に強力な効果を持っている。
その気になれば、魔法という本来、存在しない概念を斬ることが出来る。それは、呪いであっても例外ではない。
実際にこの刀を使ったリドは、ツララの呪いを切断し、強制的に破棄した。
つまり、この強力な呪いも解除が可能である。
「ただ、実体のないものは、集中力が必要で狙いを定めないといけないので動きをなんとか止めてもらえますか」
そう話している真冬に向かって狼が向かって腕を振り下ろす。
一閃
狼の腕をいともたやすく両断した。全てを両断するこの刀は、近接戦において確実に最強の一振りだろう。
刀で打ち合おうにも、刃に当たった瞬間に名刀であろうとも切断してしまうその切れ味は、避ける以外の選択肢を与えない。
ある程度の技量さえあれば、最強の剣客になれるだけの常軌を逸脱した武器。それを天性の身体能力を持った鬼が振るうのである。
マコトでさえ、今の真冬を相手にするのは嫌だと感じるほどに強い。鬼に金棒とはよく言ったものである。この場合は、日本刀であるが・・・・・・
「この巨体を一人で押さえつけるのか・・・・・・」
「一人じゃねぇぞぉ!」
間延びした声を出しながらイズキは、狼に向かって一撃を打ち込む。
その体は傷だらけであるが、そんな事を感じさせないほどに強力な一撃であった。
「無事か。」
「あぁ、強い敵だったぁ。けど、もう一戦ぐらいなら余裕だぁ。力なら俺も負けてねぇからなぁ。」
「なら、その実力、見せてもらう。」
狼は、再び大地を揺るがす様な大きな咆哮をして鬼達に襲いかかった。
中でも顕著であったのが魔法であった。魔法は、思い出を消費する代わりに特定の現象を起こすことが出来る。
魔石という代替品の存在も魔法の発展に大きく貢献したと言える。
しかし、魔法には欠点も存在する。魔法は永久に事象を起こすものではないと言うことであった。さらには、思い出を重視する妖怪において出来れば使いたくないものであった。
その結果注目されたのが呪いであった。呪いの性質は、魔力を必要としないという点、さらには、呪いにかけられた物体は、存在そのものが改変されるため呪いが解除されるまで半永久的に持続するという持続性の高さも利点であった。
けれど、呪いをかけるには準備が必要であり、呪いを与えるためには、代償を必要とするという欠点があった。
それでも記憶を失う事を恐れたもの、あるいは、魔法という技術が劣っているものは、呪いを身につける場合も少なくなかった。
呪いは、支払う代償が大きければ大きいほど使用者に利益をもたらす。とあるものは、自分の来世の全てを捧げて力を得たものもいる程である。
そして、マコト達の目の前に存在する狼も明らかに呪いの効果を受けていた。
どれだけの対価を支払えば、こんな力を得られるのだ。並の強さではないとマコトは確信していた。先程戦っていた妖怪の一撃よりも明らかに重い一撃、ふと瞬きすれば、見失ってしまいそうな速度、同じ動物の妖怪が多い孤月にもここまでの強さを持つ存在はそうはいない。
大きな体を目を疑う様なほどのスピードで動かす狼、鼓膜を破りかねないほど巨大な咆哮をあげながらマコトと互角以上に戦っていた。
マコトの反撃で腕を吹き飛ばしても異常な回復力の高さですぐに再生する。
「マコト、無事ですか。」
遠くから真冬がマコトに向かって声をかける。マコトは、狼の爪を棍棒で受け流しながら決して狼から視線をそらす事なく返答する。
「はい。粉雪は・・・・・・」
「体に毒は受けていますが命に関わるものじゃないはずです。」
「つまりは、二人でこいつを倒さなければいけない訳ですか・・・・・・」
「呪いで強くなっているなら考えがあります。」
真冬は、手元にある日本刀に手をかける。
妖刀 『真冬』
その効果は、ただ斬るのみである。しかし、それは、例外なく持ち手が斬りたいと願ったものを斬るというシンプルであるが非常に強力な効果を持っている。
その気になれば、魔法という本来、存在しない概念を斬ることが出来る。それは、呪いであっても例外ではない。
実際にこの刀を使ったリドは、ツララの呪いを切断し、強制的に破棄した。
つまり、この強力な呪いも解除が可能である。
「ただ、実体のないものは、集中力が必要で狙いを定めないといけないので動きをなんとか止めてもらえますか」
そう話している真冬に向かって狼が向かって腕を振り下ろす。
一閃
狼の腕をいともたやすく両断した。全てを両断するこの刀は、近接戦において確実に最強の一振りだろう。
刀で打ち合おうにも、刃に当たった瞬間に名刀であろうとも切断してしまうその切れ味は、避ける以外の選択肢を与えない。
ある程度の技量さえあれば、最強の剣客になれるだけの常軌を逸脱した武器。それを天性の身体能力を持った鬼が振るうのである。
マコトでさえ、今の真冬を相手にするのは嫌だと感じるほどに強い。鬼に金棒とはよく言ったものである。この場合は、日本刀であるが・・・・・・
「この巨体を一人で押さえつけるのか・・・・・・」
「一人じゃねぇぞぉ!」
間延びした声を出しながらイズキは、狼に向かって一撃を打ち込む。
その体は傷だらけであるが、そんな事を感じさせないほどに強力な一撃であった。
「無事か。」
「あぁ、強い敵だったぁ。けど、もう一戦ぐらいなら余裕だぁ。力なら俺も負けてねぇからなぁ。」
「なら、その実力、見せてもらう。」
狼は、再び大地を揺るがす様な大きな咆哮をして鬼達に襲いかかった。
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