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4章
Part 284『一芸は道に通ずる』
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「日向さん、最近は機嫌が良いですね。」
サクヤは、俺の表情を見てそんなことを呟く。
「そうか? 特に気にしてなかったけど」
「はい。数日前と比べると表情が明るいです。」
あれから数日は、何度か呪術の練習をする生活をしていた。呪術の効果は、想像以上で最初に作った石ころは、金槌で叩いても欠けることがないほど硬くなっていて、叩いたこちらの手が痺れるほどだった。
つまりは、順調に呪術で成果を出せているのだ。そのおかげで、心なしか心理的にも余裕が出来ている。
それが表情にも現れていたのだろう。ここ最近は、ストレスから生活に余裕がなかったから余計に分かりやすいのかもしれない。
「ちょっと、スランプだったんだ。だけど、最近は、自分の成長みたいなのを実感してる。」
「そうですか。早く呪術を教えてもらえると良いですね。」
サクヤの何気ない言葉に心臓が跳ねた。しかし、すぐに「そうだな。」と笑った。
「私も頑張らないと・・・・・・最近は、中華も練習してるんですよ。」
「真冬さん、中華料理もいけるのか。」
料理が趣味みたいなところがあるので、ある程度心得があっても不思議ではないが、凝り性な真冬さんのことだから、中華も店で出せるような代物なのかもしれない。
「真冬さんは、和洋中なら出来るって言ってました。和食が一番出来るとは言ってましたけど。」
「すごいな。それは・・・・・・」
「でも、真冬さん的には、料理は基礎さえしっかり出来てさえいれば、別系統の料理でも、ある程度美味しく作れるって言ってました。」
「一芸は道に通ずるってやつか。」
まあ、この場合は、全部の分野の上達が速いという話だから少しニュアンスは違うのかもしれない。
プロ野球選手が全く違うスポーツでもかなり上手だったりするのは珍しくない。
結局、一度その分野で大成した人は、どうすれば、効率よく学べるかを知っているのだ。
「なので、基礎的な事は今でも教えられます。この程度の包丁さばきで、私の奥義を習得出来るんですか!って」
「料理の話だよな?」
「はい? そうですよ。私の話ちゃんと聞いてました?」
「聞いてたから聞き返したんだよ!」
「料理を極めた者は、相手の胃袋を砕く奥義を持っているって・・・・・・」
「なにそれ、暗殺術?」
相手の胃袋を掴むじゃないの? 砕いちゃうの? 大体の人は、胃袋が砕かられたら死ぬよ?
「奥義を伝承された暁には、日向さんに振舞ってあげますからね!」
「う、うん。期待してるよ。」
きっと、勘違いだろう。じゃないと流石に恐ろしすぎる。そう言い聞かせて、俺はサクヤの頭を撫でる。
「あ、そうだ。今日の分の包丁素振りしないと・・・・・・」
「本当に奥義って料理だよね!?」
サクヤは、俺の表情を見てそんなことを呟く。
「そうか? 特に気にしてなかったけど」
「はい。数日前と比べると表情が明るいです。」
あれから数日は、何度か呪術の練習をする生活をしていた。呪術の効果は、想像以上で最初に作った石ころは、金槌で叩いても欠けることがないほど硬くなっていて、叩いたこちらの手が痺れるほどだった。
つまりは、順調に呪術で成果を出せているのだ。そのおかげで、心なしか心理的にも余裕が出来ている。
それが表情にも現れていたのだろう。ここ最近は、ストレスから生活に余裕がなかったから余計に分かりやすいのかもしれない。
「ちょっと、スランプだったんだ。だけど、最近は、自分の成長みたいなのを実感してる。」
「そうですか。早く呪術を教えてもらえると良いですね。」
サクヤの何気ない言葉に心臓が跳ねた。しかし、すぐに「そうだな。」と笑った。
「私も頑張らないと・・・・・・最近は、中華も練習してるんですよ。」
「真冬さん、中華料理もいけるのか。」
料理が趣味みたいなところがあるので、ある程度心得があっても不思議ではないが、凝り性な真冬さんのことだから、中華も店で出せるような代物なのかもしれない。
「真冬さんは、和洋中なら出来るって言ってました。和食が一番出来るとは言ってましたけど。」
「すごいな。それは・・・・・・」
「でも、真冬さん的には、料理は基礎さえしっかり出来てさえいれば、別系統の料理でも、ある程度美味しく作れるって言ってました。」
「一芸は道に通ずるってやつか。」
まあ、この場合は、全部の分野の上達が速いという話だから少しニュアンスは違うのかもしれない。
プロ野球選手が全く違うスポーツでもかなり上手だったりするのは珍しくない。
結局、一度その分野で大成した人は、どうすれば、効率よく学べるかを知っているのだ。
「なので、基礎的な事は今でも教えられます。この程度の包丁さばきで、私の奥義を習得出来るんですか!って」
「料理の話だよな?」
「はい? そうですよ。私の話ちゃんと聞いてました?」
「聞いてたから聞き返したんだよ!」
「料理を極めた者は、相手の胃袋を砕く奥義を持っているって・・・・・・」
「なにそれ、暗殺術?」
相手の胃袋を掴むじゃないの? 砕いちゃうの? 大体の人は、胃袋が砕かられたら死ぬよ?
「奥義を伝承された暁には、日向さんに振舞ってあげますからね!」
「う、うん。期待してるよ。」
きっと、勘違いだろう。じゃないと流石に恐ろしすぎる。そう言い聞かせて、俺はサクヤの頭を撫でる。
「あ、そうだ。今日の分の包丁素振りしないと・・・・・・」
「本当に奥義って料理だよね!?」
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