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4章
Part 297『技量』
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目が覚めると夜になっていた。体には明らかな倦怠感が襲っていて、もう一眠りしたいぐらいだ。
「目が覚めたか。」
俺が起き上がるのを見て篝さんは呟く。その手元には、俺の作った石像が二つ置かれている。
「起こしても全然起きねぇからな。何事かと思ったぞ。まあ、ただ眠ってるだけみたいだったから、放っておいたが・・・・・・」
どうやら、あの抗いがたい睡魔は、妖刀の効果だったらしい。つまりは、時間制限付きの能力を高めるものらしい。
「すみません。ご心配をお掛けしました。」
俺がそういうと篝さんは、無事なら良いんだ。とだけ言うと視線を俺の作った石像に目をやった。
「これは、お前が作ったのか?」
そう言って尋ねてきたのは、妖刀を突き刺して俺が作り上げた小さな石像だった。
「一応は、そうです。」
篝さんは、少し考え込むような表情を浮かべて、もう一度、不思議そうに石像を確認する。
「明らかに出来が違うな。規格がそもそも別もんだ。」
「そっちは、ちょっと不正というかズルして作ったものなので・・・・・・」
「ズル? なんだ、そりゃあ」
流石に妖刀のことを説明しない訳にもいかず、俺は、篝さんに妖刀のことを説明する。
篝さんは、俺の話を聞いて心底驚いた表情を浮かべたが、しかし、否定することはなかった。
呪いに精通していたとしても妖刀の存在は珍しいらしい。
「そいつが本当なら、すげぇ代物だな。職人いらずだ。」
「でも、十五分ぐらい使ったらぶっ倒れちゃうんですよ。」
おそらく、これを作ったウチガネさんは、ほとんど、この刀を使っていないはずだ。
何故なら、刀鍛冶の仕事は、火を扱うため、一定の段階まで止めることは出来ない。十五分という時間はあまりにも短い。
「なるほどな。まあ、使い勝手の良い物って訳ではないのか。」
「そういうことです。なので、俺の実力は、こっちの石像の方です。」
自分の実力以上のものを作って認められても後が辛いので、正直に自己申告する。
身の丈にあった評価が一番だ。それに、今までで一番の出来だと言っても過言ではないので、自信もあるのだ。
「ああ、良い出来だった。呪術のやり方を教えてやる。」
篝さんも意外にあっさりと認めてくれた。意外そうな顔をしていると「元々、あと少しで教えるつもりだった。」と呆れたように言った。
言われれば言われるほど、本当に馬鹿なことをしたものだと実感する。
「明日からは、ちゃんと呪術の技術に関しても教えてやる。ただ、今日はもう帰れ。」
もうすでに外は真っ暗になっていて、たしかに家に一度帰ってゆっくりと眠りたい欲求があった。
篝さんに適当に挨拶をすませて俺は家に帰った。
「目が覚めたか。」
俺が起き上がるのを見て篝さんは呟く。その手元には、俺の作った石像が二つ置かれている。
「起こしても全然起きねぇからな。何事かと思ったぞ。まあ、ただ眠ってるだけみたいだったから、放っておいたが・・・・・・」
どうやら、あの抗いがたい睡魔は、妖刀の効果だったらしい。つまりは、時間制限付きの能力を高めるものらしい。
「すみません。ご心配をお掛けしました。」
俺がそういうと篝さんは、無事なら良いんだ。とだけ言うと視線を俺の作った石像に目をやった。
「これは、お前が作ったのか?」
そう言って尋ねてきたのは、妖刀を突き刺して俺が作り上げた小さな石像だった。
「一応は、そうです。」
篝さんは、少し考え込むような表情を浮かべて、もう一度、不思議そうに石像を確認する。
「明らかに出来が違うな。規格がそもそも別もんだ。」
「そっちは、ちょっと不正というかズルして作ったものなので・・・・・・」
「ズル? なんだ、そりゃあ」
流石に妖刀のことを説明しない訳にもいかず、俺は、篝さんに妖刀のことを説明する。
篝さんは、俺の話を聞いて心底驚いた表情を浮かべたが、しかし、否定することはなかった。
呪いに精通していたとしても妖刀の存在は珍しいらしい。
「そいつが本当なら、すげぇ代物だな。職人いらずだ。」
「でも、十五分ぐらい使ったらぶっ倒れちゃうんですよ。」
おそらく、これを作ったウチガネさんは、ほとんど、この刀を使っていないはずだ。
何故なら、刀鍛冶の仕事は、火を扱うため、一定の段階まで止めることは出来ない。十五分という時間はあまりにも短い。
「なるほどな。まあ、使い勝手の良い物って訳ではないのか。」
「そういうことです。なので、俺の実力は、こっちの石像の方です。」
自分の実力以上のものを作って認められても後が辛いので、正直に自己申告する。
身の丈にあった評価が一番だ。それに、今までで一番の出来だと言っても過言ではないので、自信もあるのだ。
「ああ、良い出来だった。呪術のやり方を教えてやる。」
篝さんも意外にあっさりと認めてくれた。意外そうな顔をしていると「元々、あと少しで教えるつもりだった。」と呆れたように言った。
言われれば言われるほど、本当に馬鹿なことをしたものだと実感する。
「明日からは、ちゃんと呪術の技術に関しても教えてやる。ただ、今日はもう帰れ。」
もうすでに外は真っ暗になっていて、たしかに家に一度帰ってゆっくりと眠りたい欲求があった。
篝さんに適当に挨拶をすませて俺は家に帰った。
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