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14. 夜の底
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14.夜の底
「……狼人、か」
明るい橙色の瞳に不思議そうな色を浮かべて、大きな灰茶色の狼が小首を傾げる。ルカは折れた藪の上に寝転がったまま、自分を見下ろす大きな狼をまじまじと観察した。
灰茶の毛皮はふさふさとして厚いが、やや毛並みはパサついて、この狼人の栄養状態があまり良くない事を物語っている。四肢の張りや動作の機敏さから、おそらくはルカと同じか少し上くらいの年齢だろうと推測する。
くう、と小さい声で鳴いて、もう一度小首を傾げる狼の姿に、ルカはふとこの国の北側で多いとされる宗派を思い出した。
「……原理派、だったか」
同じ星教であっても、実際は国や地方によって細かい宗派に分かれている。四族の違いにもそれは反映されていて、大猫族特有の神だとか狗族に主にあがめられている神だとか、宗派によって経典の端に加えられる逸話や神がいるものだった。それらの細かい宗派全てを統括するのが谷、そして大神官だから、ルカは各地方や四族特有の神等にも詳しかった。
大災厄の後に、赤い星の神から授かった本性の姿をこそ『あるべき姿』として尊び、普段の生活は本性の姿のまま自然の中で暮らす一派、それが原理派の教義である。
大多数の人は、何かと不便な本性の姿よりもヒトに化生した姿で過ごしている。自宅で眠る時や、郊外を単独で移動する時には本性の姿に戻りはするものの、公には化生の姿でいるのが礼儀とされている。
ルカは、『真っ先に本性の姿を捨てた』竜人だから、大猫族や狗族の人が本性と化生をどのように使い分けているのか詳しくなかった(身近な大猫族のユディは、滅多な事では本性の姿には戻らない)。だが、本性の姿はある意味無防備で、所謂文明的な生活をするのには向かないだろう、という事くらいは判る。
「……どうしたの、ここに住んでいるの?」
落ちる時にしたたかに打ち付けた腰が痛んで顔を顰めながら、ルカはそろりと片肘を着く。
小さく鼻を鳴らした狼が、警戒したらしく半歩退いた。ルカは苦笑して、藪の上に寝転がった姿勢のまま、片手を差し出した。
「ごめん、木から落ちたばかりであちこち痛くて……。もしかして、お腹が空いているのかな?」
差し出した手に注意深く鼻を寄せて短く匂いを嗅いだ狼が、ひん、と掠れた声で鼻を鳴らす。
「そう、こんな雪だから狩りも難しいね。……これを、持ってお行きな」
ルカは苦労して外套の下を探り、肩から下げていた行料袋から、油紙に包まれた焼き菓子を引っ張り出した。デナリ新市街を出る事を決めた前の日に神殿の厨房を借りて焼いた菓子は、まだ香ばしく甘い香りを放っていて、油紙を出した途端に狼が小さく尾を振った。
「一昨日焼いたばかりだから、しばらく日持ちするし。……ふふ、くすぐったいよ」
雪の上に油紙に包まれた焼き菓子を置くと、灰茶色の狼が顔を寄せてルカの頬をぺろりと舐める。暖かく湿った舌は大きくて、ルカは思わず目を細めた。
「さあ、それを持ってお行き。……私は追われていたけれども、そろそろ護衛騎士が迎えに来るから大丈夫だよ」
「……くぅ」
せわしなく尾を振った狼が、小さく頷いてから油紙の包を咥えた。焼き菓子を壊さないようそっと持ち上げる姿に、思わず相好が崩れる。
「早くお行き。……また会う事があったら、化生の姿も見せておくれな。私はルカ、という。……こんな格好をしているけれど、谷で神官をしているから」
めちゃくちゃに折れた藪の上に寝転がったまま、というかなり情けない姿で名を名乗ると、油紙の包を咥えたままの狼がこくりと大きく頷いた。
「気を付けて……!」
軽い足音を立てて森の奥へと走り去る狼の後ろ姿へ、ルカはそっと囁きかけた。訪問者が去ってしまった暗い森はしんと静まって、追っ手の気配はないが、迎えの気配もまだなかった。
「……先客万来、かな」
ルカは寝心地の悪い藪の残骸の上で、大きく溜息をついて上を見上げた。傍らに立つ大樹の枝は大きく夜空を遮って、雪の白さと枝の影の闇がまだらに広がっているばかりだった。
ルカが灰茶の狼に出会う少し前の事。
野営地から走り出たルカを追う刺客の背に追いすがって切り伏せてから、カナンは刺客二人と同時に対峙して、動けずにいたユディへと向き直った。
「追ってください!」
今しがた切り伏せたばかりの刺客の腕から、なまくらな剣を抜いてユディと対峙する刺客へと投擲する。その、一瞬の隙を突いてユディが身を翻した。
「お、さすが谷の護衛騎士」
思わず賞賛が口をついて出る。後を追おうとする刺客の一人の懐へと素早く潜って、急所を突きつつ、カナンはユディの姿が森の中へと消えるのを確認する。
「さて、それじゃあ、そろそろ本気を出そうか」
青白く見える雪の夜、黒装束に身を包んだ刺客は、大猫族でなくとも視認し易い。まっとうな感覚を持った暗殺業ならば、白っぽい服装を選ぶだろうから、彼らの装束には譲れない意味があるのだろう。
「……なるほど、ラサ教徒か」
現世利益を唄いつつ、信者に法外な寄進を課す邪教。それでもイスファを中心に勢力を伸ばしつつあるのは、信徒同士で商品を買い合い、販路を融通するため商人であれば寄進以上の利益を得る事が出来るからだという。
そのラサ教徒が、谷の神官の暗殺を目論むのならば、カナンには知りようもないなにがしかの利益があるのだと知れる。
とはいえ、今交戦しているのは信徒の中で腕に覚えのある一般人か、軍人崩れの類であって、暗殺を生業にする者たちではない。二人を一度に相手にしても、剣を交わす時には所詮一対一、素人相手であればカナンは斎王を追って森へ消えたユディの気配を探る余裕すらある。
「まあ、それは筆頭侍従騎士様も同じだろうけれど」
対峙した途端に突きを繰り出して、まず一人を雪の上へ転がす。声もなく仲間が絶命した事に、最後の一人が怖気づいたのか数歩を退いたが、カナンはすかさず距離を詰めて大ぶりの一撃を躱し、懐へ潜り込んで急所を突いた。
もしここに、ユディが居合わせていたならばカナンの剣の癖に疑問を抱いたかもしれない。だが、彼は既に斎王を追って森の中へと進んでしまった後だったので、カナンはのびのびと剣を使って、無様な襲撃者たちを排除できた。
「……面倒臭いが、仕方がない」
ユディの倒した刺客二人にはまだ息があったが、かまわずに足首に縄をかけて他の刺客の死体とともにひとまとめにする。幌車の向うで異常事態を感じでせわしなく鳴くムナンをなだめすかして縄を曳かせ、切り立った谷を臨む街道の端まで移動した。
「さて、こちらは全くの被害者なんだけど、あんたらをそのまま放置しておくと面倒なんだよね」
雪にまみれた刺客の身体は縄で数珠繋ぎにしてある上に、生きている二人も相応の傷を負っているからか大人しい。あるいは、隙を見て逃げ出すつもりなのか。
「お美しい神官様が知ったら、悲しむかもしれないけれど」
朗らかに告げれば、凍った雪の路に転がされた刺客が顔を引きつらせる。
「少し前にも、新市街の藍衣様がここから獣車ごと落ちて、行方知れずだそうだよ」
じゃあね、と軽く声を掛けて、まず死体を先に蹴落とせば、重さに引かれて数珠繋ぎになった刺客らの身体が闇を湛えた谷底へと真っ逆さまに落下する。
耳を澄ましても、谷底へ落ちる音すら聞こえなかった。
「さあ、ムナン。そろそろ野営地へ戻ろうか」
手近な木へ繋がれて、低い枝の葉を齧っていたムナンに声を掛ければ、大きく鼻息を吐いた毛長コルフォはどことなく不満げで、彼にとっては夜のおやつの時間を邪魔されるのが不本意らしかった。
「……はぁ」
大きな灰茶の狼が姿を消して、再び森には静寂が戻ってくる。藪を押しつぶして横向きに寝たままのルカは、瞼を閉じて胸を絞る鼓動の速さと、押し殺していた呼吸の速さをなだめられないでいた。
今まで、刺客に襲われた事も何度もあったし、荘園内の森でたった独り道に迷った事すらもあった。それでも、そもそもが神殿の……谷の中での事だったし、さらに言えば、護衛騎士やユディがすぐに駆けつけてくれた。
こんなふうにただ一人、夜の森を刺客から逃げた事など経験がない上に、相手の数すら定かではない。ユディとカナンとが迎え撃ってはくれているが、いつ新たな刺客が追いすがるとも限らない。
ルカの手にあるのは、短剣が一つのみ。それなりの使えるという自負はあるが、実際に人を傷つけた事はないし、そうしなければ自分が殺されるかもしれない、という事実が恐ろしい。
頬に触れる夜の森の空気は凍える程に冷たいのに、全力疾走したせいで全身を汗が覆う。吸い込む息は冷たく肺を刺し、せわしない呼吸は浅く、少しも楽にはならない。体力の限界までを移動に費やしたせいか、手足は重く、いつまでも藪の上に寝転んでいる訳にはいかないと、判っていても身体が動かなかった。
「……情けない」
逃げなければ、なんのためにユディ達が刺客を迎え撃ってくれたと思っている、そう叱咤してもやはり、ルカは上体を起き上がられせる事すら出来ずにいた。汗を拭って、せめて一番下の麻の薄衣は脱いでしまわないと、と焦る気持ちばかりが空回って、己の柔弱加減に口惜しさだけが苦しい胸に降り積もる。
ふと、痛むほどに拍動の早い心臓の裏側で、何かがめくれるような不可思議な感覚を覚える。分厚い粘膜の端のような、それでいて自律して動く何かの器官は、刺客の襲撃という危機に瀕して反応したように思えた。
(なんだろう、この感覚)
荒い呼吸を鎮めるよりも、身体の内側に沸き起こった不可解な感覚に気を取られて、ルカは粉雪のちらちらと舞い落ちる虚空を見つめる。
以前にも感じた事のあるような、それでいて違和感にも似た、異質な感触がルカの身体の内側に『目覚めた』としかいいようがない。このまま、この感覚を辿って行きつく先は何か取返しのつかない事が起きるような、さりとて、自分の生命の危機が訪れたならば、迷わずその先にこそ踏み込まなければならないと、自分は確かに知っている。
そんな、あやふやで危うい感触を己の内側に見つけて、ルカはしばし戸惑う。
「……ルカ様」
「ひっ?」
不意に、ごく間近に名前を呼ばれて、ルカは小さく息を呑む。いつの間にか瞑っていた瞼を開けば、先ほど灰色狼が立っていた場所に、艶々とした黒い毛皮の豹が佇んでいた。
「……ユディ?」
「ええ、探しましたよ。……どうして藪の上に寝ているんですか」
はふ、と小さな吐息の後に、少しばかり呆れた口調のユディの声が届いた。本性の姿はほれぼれするような、立派な大きさの黒豹だというのに、声だけはいつもの、すらりと上背のある偉丈夫然としたユディの物で、それがルカには不思議で仕方がない。
出そうと思えば、大猫族らしく吠える事も、低く唸って威嚇することもできるのだそうだが、本性の姿を持たない竜人のルカにはその切り替え方が分からない。本性と化生の姿、両方の姿を持つ人が羨ましくなる瞬間でもあった。
「……ああ、うっかり木から落ちてしまって」
「早く起きてください。……冷えますでしょうに」
「うん、それがちょっと」
藪の枝に絡まった髪を苦労して外しつつ膝立ちになれば、ユディが珍しく鼻を鳴らしながら近寄ってくる。
「……狼人の匂いがしますが。それに、かすかに甘い花の香りも」
「あ、そういえば」
起き上がって衣服に着いた雪を払いつつ、灰茶の狼に焼き菓子を渡した事を話す。手袋を着けて、ほとんど落ちかかっていた帽子を被り直したところで、ユディが不審そうな視線を向けた。
「原理派……なのでしょうか。この森は、確か峠ごと王都の管理下だったかと。原理派が本性の姿で過ごすのは、王都の近辺にある神殿の荘園内だと聞いた事があります」
「……では、王領の関係者か?」
「さあ。ですが雪深い森の中であれば、本性の方が移動はしやすいでしょうね」
私みたいに、と呟いたユディが小さく尾を振った。
「カナンが残りの刺客を引き受けてくれましたので、私はあの後すぐに御身様を追ったのですが」
どうぞ、と背を向けたユディを跨いで、太い首にしっかりと腕を回す。ルカが体重を預けた程度ではビクともしないしなやかな体躯がするりと駆け出して、周囲の木々がぐんぐんと背後へ流れ消える。ユディの走り方は、姿勢を低くとって素早く跳躍するのに近く、その結果上下の揺れがほとんどない。
短く密集した黒い毛皮は触れると体温が伝わって暖かく、躍動する肢体は力強い。丸い耳はすぐ目の前にあって、稀に本性で添い寝してくれる時には付け根のあたりを撫でると柔らかな毛が心地よい。
だが今、小雪の舞う暗い森の中を疾走する大きな黒豹は、まるで暗闇が獣となって凝ったようで、頼もしいと同時に少しだけ恐ろしくも思えた。
「一旦、降りてください」
「ああ。……これを拾えばいいのか」
視線の先に木々の闇が途切れて、青白い雪原が垣間見えた。ルカは下生えの間にわずかに通る獣道に降り立って、ユディの服が着た時の状態で落ちているのを指差した。服を持ち上げれば、外套の下に織り込むようにして剣もが落ちている。
「……ユディ、足が冷たいだろうに。ここで化生したらどうだ」
「いえ、幌車でカナンと合流する方が先です」
外套を広げてユディの着衣一式を包んで背負い、少し考えてからルカはユディの愛剣を自分の外套のベルトへと挟み込んだ。ルカが使うには少しばかり長すぎるが、帯剣していれば、多少の有利条件にはなるだろう。
「……おや、カナンは幌車を動かしたのか」
「少し、戻ったようですね」
あの後雪が積もったせいか、焚火をした場所は野営の跡形もない。わずかな轍の跡を辿って、街道を旧市街の方向へと戻った先に、まばらな林の影に幌車が停まっていた。
「……カナン、無事か?」
ひっそりと灯りもなく闇に紛れて停まっている幌車に、小さく声をかけてみる。
「いないのか?」
幌を巻き上げて車の中へ上体を入れたルカは、暗い車内に人影がない事に困惑していた。ムナンはその背に幌車を繋いだまま、呑気に近くの針葉樹の枝の葉を食んでいるが、肝心のカナンの姿が見当たらなかった。幌車の中へ上半身を入れて中をしげしげと覗き込んでも、陽気な吟遊詩人の姿は見あたらない。片膝を着いて伸び上がった時に、腰に佩いていた剣が幌車の縁に当たる。腰帯から剣を外して寝台の下へ押し込んだのは、少し離れた場所にいくつもの不穏な気配が感じられたからだった。多勢に無勢、そしてカナンの行方も知れない。こういう時には、無駄な抵抗はしない方がいい、とルカは刺客に襲われた数多の経験から知っている。
「……まさか、刺客にやられたのではないだろうな」
「いいえ、彼は相当な腕の持ち主でした。それは、考えにくいかと」
落ち着いた声音に振り返れば、すっかり服を着こんだ化生の姿のユディが眉をひそめている。癖の強い黒の巻き毛を短く切って、浅黒い肌に爛々と光る黄金の瞳は、化生の姿であっても鋭く、そして力強い。
「ルカ様、ベールを着けてください。……気配が」
「……ああ」
ルカは幌車の中、寝台の足元に落ちていたベールを掴んで、手早く整える。ふう、と小さく嘆息したユディが、林の影に向かって腰帯の短剣を抜いた。
「カナン、これは一体……」
「面目次第もございません」
ユディの問いかけに、木陰から両手を小さく挙げたカナンが姿を現す。その後ろには、見覚えのある革鎧を着けた兵士が剣を握って立っている。
「幌車を移動したところを、囲まれてしまいまして」
心底面倒くさそうに、そして悔しそうに顔を顰めて、カナンが呟く。カナンの言葉と同時に、周囲の木陰から幌車を取り囲むように兵士が現われて、剣を抜く。つ、と背にルカを庇ったユディを、せせら笑うようにしてカナンの背後に立つ兵士が口を開いた。
「……お前がユードだな。領主様から毛長コルフォをかすめ取って逃げようとは、商人の風上にもおけない盗人だ」
「濡れ衣だ」
想定していた言いがかりだから、返すユディの声に淀みはない。
「それはご領主様が裁かれる事だ。……同行者を殺されたくないなら、大人しく付いて来い」
「……ルルは幌車へ」
「でも」
肩越しにユディが囁くのを、反論しようとした時に、件の兵士が嫌な声で笑って遮った。
「奥方は、幌車で付いてくるように。……自分の夫が収監されるのだから、当然だろうが」
むしろ、こちらが本命なのだから当然のなりゆきではあるが、この下卑た兵士の言うなりになる事に、いささかの抵抗を覚えつつルカは小さく頷いた。御者台に乗って手綱を繰れば、深夜だというのにムナンは大人しく歩き始める。前後を挟む兵士らの革靴が凍った雪を踏む音が、静かな雪の夜に響いて、ルカは黒紗のベール越しに兵士に挟まれて連行されるユディの背を、ただ眺めていた。
「……狼人、か」
明るい橙色の瞳に不思議そうな色を浮かべて、大きな灰茶色の狼が小首を傾げる。ルカは折れた藪の上に寝転がったまま、自分を見下ろす大きな狼をまじまじと観察した。
灰茶の毛皮はふさふさとして厚いが、やや毛並みはパサついて、この狼人の栄養状態があまり良くない事を物語っている。四肢の張りや動作の機敏さから、おそらくはルカと同じか少し上くらいの年齢だろうと推測する。
くう、と小さい声で鳴いて、もう一度小首を傾げる狼の姿に、ルカはふとこの国の北側で多いとされる宗派を思い出した。
「……原理派、だったか」
同じ星教であっても、実際は国や地方によって細かい宗派に分かれている。四族の違いにもそれは反映されていて、大猫族特有の神だとか狗族に主にあがめられている神だとか、宗派によって経典の端に加えられる逸話や神がいるものだった。それらの細かい宗派全てを統括するのが谷、そして大神官だから、ルカは各地方や四族特有の神等にも詳しかった。
大災厄の後に、赤い星の神から授かった本性の姿をこそ『あるべき姿』として尊び、普段の生活は本性の姿のまま自然の中で暮らす一派、それが原理派の教義である。
大多数の人は、何かと不便な本性の姿よりもヒトに化生した姿で過ごしている。自宅で眠る時や、郊外を単独で移動する時には本性の姿に戻りはするものの、公には化生の姿でいるのが礼儀とされている。
ルカは、『真っ先に本性の姿を捨てた』竜人だから、大猫族や狗族の人が本性と化生をどのように使い分けているのか詳しくなかった(身近な大猫族のユディは、滅多な事では本性の姿には戻らない)。だが、本性の姿はある意味無防備で、所謂文明的な生活をするのには向かないだろう、という事くらいは判る。
「……どうしたの、ここに住んでいるの?」
落ちる時にしたたかに打ち付けた腰が痛んで顔を顰めながら、ルカはそろりと片肘を着く。
小さく鼻を鳴らした狼が、警戒したらしく半歩退いた。ルカは苦笑して、藪の上に寝転がった姿勢のまま、片手を差し出した。
「ごめん、木から落ちたばかりであちこち痛くて……。もしかして、お腹が空いているのかな?」
差し出した手に注意深く鼻を寄せて短く匂いを嗅いだ狼が、ひん、と掠れた声で鼻を鳴らす。
「そう、こんな雪だから狩りも難しいね。……これを、持ってお行きな」
ルカは苦労して外套の下を探り、肩から下げていた行料袋から、油紙に包まれた焼き菓子を引っ張り出した。デナリ新市街を出る事を決めた前の日に神殿の厨房を借りて焼いた菓子は、まだ香ばしく甘い香りを放っていて、油紙を出した途端に狼が小さく尾を振った。
「一昨日焼いたばかりだから、しばらく日持ちするし。……ふふ、くすぐったいよ」
雪の上に油紙に包まれた焼き菓子を置くと、灰茶色の狼が顔を寄せてルカの頬をぺろりと舐める。暖かく湿った舌は大きくて、ルカは思わず目を細めた。
「さあ、それを持ってお行き。……私は追われていたけれども、そろそろ護衛騎士が迎えに来るから大丈夫だよ」
「……くぅ」
せわしなく尾を振った狼が、小さく頷いてから油紙の包を咥えた。焼き菓子を壊さないようそっと持ち上げる姿に、思わず相好が崩れる。
「早くお行き。……また会う事があったら、化生の姿も見せておくれな。私はルカ、という。……こんな格好をしているけれど、谷で神官をしているから」
めちゃくちゃに折れた藪の上に寝転がったまま、というかなり情けない姿で名を名乗ると、油紙の包を咥えたままの狼がこくりと大きく頷いた。
「気を付けて……!」
軽い足音を立てて森の奥へと走り去る狼の後ろ姿へ、ルカはそっと囁きかけた。訪問者が去ってしまった暗い森はしんと静まって、追っ手の気配はないが、迎えの気配もまだなかった。
「……先客万来、かな」
ルカは寝心地の悪い藪の残骸の上で、大きく溜息をついて上を見上げた。傍らに立つ大樹の枝は大きく夜空を遮って、雪の白さと枝の影の闇がまだらに広がっているばかりだった。
ルカが灰茶の狼に出会う少し前の事。
野営地から走り出たルカを追う刺客の背に追いすがって切り伏せてから、カナンは刺客二人と同時に対峙して、動けずにいたユディへと向き直った。
「追ってください!」
今しがた切り伏せたばかりの刺客の腕から、なまくらな剣を抜いてユディと対峙する刺客へと投擲する。その、一瞬の隙を突いてユディが身を翻した。
「お、さすが谷の護衛騎士」
思わず賞賛が口をついて出る。後を追おうとする刺客の一人の懐へと素早く潜って、急所を突きつつ、カナンはユディの姿が森の中へと消えるのを確認する。
「さて、それじゃあ、そろそろ本気を出そうか」
青白く見える雪の夜、黒装束に身を包んだ刺客は、大猫族でなくとも視認し易い。まっとうな感覚を持った暗殺業ならば、白っぽい服装を選ぶだろうから、彼らの装束には譲れない意味があるのだろう。
「……なるほど、ラサ教徒か」
現世利益を唄いつつ、信者に法外な寄進を課す邪教。それでもイスファを中心に勢力を伸ばしつつあるのは、信徒同士で商品を買い合い、販路を融通するため商人であれば寄進以上の利益を得る事が出来るからだという。
そのラサ教徒が、谷の神官の暗殺を目論むのならば、カナンには知りようもないなにがしかの利益があるのだと知れる。
とはいえ、今交戦しているのは信徒の中で腕に覚えのある一般人か、軍人崩れの類であって、暗殺を生業にする者たちではない。二人を一度に相手にしても、剣を交わす時には所詮一対一、素人相手であればカナンは斎王を追って森へ消えたユディの気配を探る余裕すらある。
「まあ、それは筆頭侍従騎士様も同じだろうけれど」
対峙した途端に突きを繰り出して、まず一人を雪の上へ転がす。声もなく仲間が絶命した事に、最後の一人が怖気づいたのか数歩を退いたが、カナンはすかさず距離を詰めて大ぶりの一撃を躱し、懐へ潜り込んで急所を突いた。
もしここに、ユディが居合わせていたならばカナンの剣の癖に疑問を抱いたかもしれない。だが、彼は既に斎王を追って森の中へと進んでしまった後だったので、カナンはのびのびと剣を使って、無様な襲撃者たちを排除できた。
「……面倒臭いが、仕方がない」
ユディの倒した刺客二人にはまだ息があったが、かまわずに足首に縄をかけて他の刺客の死体とともにひとまとめにする。幌車の向うで異常事態を感じでせわしなく鳴くムナンをなだめすかして縄を曳かせ、切り立った谷を臨む街道の端まで移動した。
「さて、こちらは全くの被害者なんだけど、あんたらをそのまま放置しておくと面倒なんだよね」
雪にまみれた刺客の身体は縄で数珠繋ぎにしてある上に、生きている二人も相応の傷を負っているからか大人しい。あるいは、隙を見て逃げ出すつもりなのか。
「お美しい神官様が知ったら、悲しむかもしれないけれど」
朗らかに告げれば、凍った雪の路に転がされた刺客が顔を引きつらせる。
「少し前にも、新市街の藍衣様がここから獣車ごと落ちて、行方知れずだそうだよ」
じゃあね、と軽く声を掛けて、まず死体を先に蹴落とせば、重さに引かれて数珠繋ぎになった刺客らの身体が闇を湛えた谷底へと真っ逆さまに落下する。
耳を澄ましても、谷底へ落ちる音すら聞こえなかった。
「さあ、ムナン。そろそろ野営地へ戻ろうか」
手近な木へ繋がれて、低い枝の葉を齧っていたムナンに声を掛ければ、大きく鼻息を吐いた毛長コルフォはどことなく不満げで、彼にとっては夜のおやつの時間を邪魔されるのが不本意らしかった。
「……はぁ」
大きな灰茶の狼が姿を消して、再び森には静寂が戻ってくる。藪を押しつぶして横向きに寝たままのルカは、瞼を閉じて胸を絞る鼓動の速さと、押し殺していた呼吸の速さをなだめられないでいた。
今まで、刺客に襲われた事も何度もあったし、荘園内の森でたった独り道に迷った事すらもあった。それでも、そもそもが神殿の……谷の中での事だったし、さらに言えば、護衛騎士やユディがすぐに駆けつけてくれた。
こんなふうにただ一人、夜の森を刺客から逃げた事など経験がない上に、相手の数すら定かではない。ユディとカナンとが迎え撃ってはくれているが、いつ新たな刺客が追いすがるとも限らない。
ルカの手にあるのは、短剣が一つのみ。それなりの使えるという自負はあるが、実際に人を傷つけた事はないし、そうしなければ自分が殺されるかもしれない、という事実が恐ろしい。
頬に触れる夜の森の空気は凍える程に冷たいのに、全力疾走したせいで全身を汗が覆う。吸い込む息は冷たく肺を刺し、せわしない呼吸は浅く、少しも楽にはならない。体力の限界までを移動に費やしたせいか、手足は重く、いつまでも藪の上に寝転んでいる訳にはいかないと、判っていても身体が動かなかった。
「……情けない」
逃げなければ、なんのためにユディ達が刺客を迎え撃ってくれたと思っている、そう叱咤してもやはり、ルカは上体を起き上がられせる事すら出来ずにいた。汗を拭って、せめて一番下の麻の薄衣は脱いでしまわないと、と焦る気持ちばかりが空回って、己の柔弱加減に口惜しさだけが苦しい胸に降り積もる。
ふと、痛むほどに拍動の早い心臓の裏側で、何かがめくれるような不可思議な感覚を覚える。分厚い粘膜の端のような、それでいて自律して動く何かの器官は、刺客の襲撃という危機に瀕して反応したように思えた。
(なんだろう、この感覚)
荒い呼吸を鎮めるよりも、身体の内側に沸き起こった不可解な感覚に気を取られて、ルカは粉雪のちらちらと舞い落ちる虚空を見つめる。
以前にも感じた事のあるような、それでいて違和感にも似た、異質な感触がルカの身体の内側に『目覚めた』としかいいようがない。このまま、この感覚を辿って行きつく先は何か取返しのつかない事が起きるような、さりとて、自分の生命の危機が訪れたならば、迷わずその先にこそ踏み込まなければならないと、自分は確かに知っている。
そんな、あやふやで危うい感触を己の内側に見つけて、ルカはしばし戸惑う。
「……ルカ様」
「ひっ?」
不意に、ごく間近に名前を呼ばれて、ルカは小さく息を呑む。いつの間にか瞑っていた瞼を開けば、先ほど灰色狼が立っていた場所に、艶々とした黒い毛皮の豹が佇んでいた。
「……ユディ?」
「ええ、探しましたよ。……どうして藪の上に寝ているんですか」
はふ、と小さな吐息の後に、少しばかり呆れた口調のユディの声が届いた。本性の姿はほれぼれするような、立派な大きさの黒豹だというのに、声だけはいつもの、すらりと上背のある偉丈夫然としたユディの物で、それがルカには不思議で仕方がない。
出そうと思えば、大猫族らしく吠える事も、低く唸って威嚇することもできるのだそうだが、本性の姿を持たない竜人のルカにはその切り替え方が分からない。本性と化生の姿、両方の姿を持つ人が羨ましくなる瞬間でもあった。
「……ああ、うっかり木から落ちてしまって」
「早く起きてください。……冷えますでしょうに」
「うん、それがちょっと」
藪の枝に絡まった髪を苦労して外しつつ膝立ちになれば、ユディが珍しく鼻を鳴らしながら近寄ってくる。
「……狼人の匂いがしますが。それに、かすかに甘い花の香りも」
「あ、そういえば」
起き上がって衣服に着いた雪を払いつつ、灰茶の狼に焼き菓子を渡した事を話す。手袋を着けて、ほとんど落ちかかっていた帽子を被り直したところで、ユディが不審そうな視線を向けた。
「原理派……なのでしょうか。この森は、確か峠ごと王都の管理下だったかと。原理派が本性の姿で過ごすのは、王都の近辺にある神殿の荘園内だと聞いた事があります」
「……では、王領の関係者か?」
「さあ。ですが雪深い森の中であれば、本性の方が移動はしやすいでしょうね」
私みたいに、と呟いたユディが小さく尾を振った。
「カナンが残りの刺客を引き受けてくれましたので、私はあの後すぐに御身様を追ったのですが」
どうぞ、と背を向けたユディを跨いで、太い首にしっかりと腕を回す。ルカが体重を預けた程度ではビクともしないしなやかな体躯がするりと駆け出して、周囲の木々がぐんぐんと背後へ流れ消える。ユディの走り方は、姿勢を低くとって素早く跳躍するのに近く、その結果上下の揺れがほとんどない。
短く密集した黒い毛皮は触れると体温が伝わって暖かく、躍動する肢体は力強い。丸い耳はすぐ目の前にあって、稀に本性で添い寝してくれる時には付け根のあたりを撫でると柔らかな毛が心地よい。
だが今、小雪の舞う暗い森の中を疾走する大きな黒豹は、まるで暗闇が獣となって凝ったようで、頼もしいと同時に少しだけ恐ろしくも思えた。
「一旦、降りてください」
「ああ。……これを拾えばいいのか」
視線の先に木々の闇が途切れて、青白い雪原が垣間見えた。ルカは下生えの間にわずかに通る獣道に降り立って、ユディの服が着た時の状態で落ちているのを指差した。服を持ち上げれば、外套の下に織り込むようにして剣もが落ちている。
「……ユディ、足が冷たいだろうに。ここで化生したらどうだ」
「いえ、幌車でカナンと合流する方が先です」
外套を広げてユディの着衣一式を包んで背負い、少し考えてからルカはユディの愛剣を自分の外套のベルトへと挟み込んだ。ルカが使うには少しばかり長すぎるが、帯剣していれば、多少の有利条件にはなるだろう。
「……おや、カナンは幌車を動かしたのか」
「少し、戻ったようですね」
あの後雪が積もったせいか、焚火をした場所は野営の跡形もない。わずかな轍の跡を辿って、街道を旧市街の方向へと戻った先に、まばらな林の影に幌車が停まっていた。
「……カナン、無事か?」
ひっそりと灯りもなく闇に紛れて停まっている幌車に、小さく声をかけてみる。
「いないのか?」
幌を巻き上げて車の中へ上体を入れたルカは、暗い車内に人影がない事に困惑していた。ムナンはその背に幌車を繋いだまま、呑気に近くの針葉樹の枝の葉を食んでいるが、肝心のカナンの姿が見当たらなかった。幌車の中へ上半身を入れて中をしげしげと覗き込んでも、陽気な吟遊詩人の姿は見あたらない。片膝を着いて伸び上がった時に、腰に佩いていた剣が幌車の縁に当たる。腰帯から剣を外して寝台の下へ押し込んだのは、少し離れた場所にいくつもの不穏な気配が感じられたからだった。多勢に無勢、そしてカナンの行方も知れない。こういう時には、無駄な抵抗はしない方がいい、とルカは刺客に襲われた数多の経験から知っている。
「……まさか、刺客にやられたのではないだろうな」
「いいえ、彼は相当な腕の持ち主でした。それは、考えにくいかと」
落ち着いた声音に振り返れば、すっかり服を着こんだ化生の姿のユディが眉をひそめている。癖の強い黒の巻き毛を短く切って、浅黒い肌に爛々と光る黄金の瞳は、化生の姿であっても鋭く、そして力強い。
「ルカ様、ベールを着けてください。……気配が」
「……ああ」
ルカは幌車の中、寝台の足元に落ちていたベールを掴んで、手早く整える。ふう、と小さく嘆息したユディが、林の影に向かって腰帯の短剣を抜いた。
「カナン、これは一体……」
「面目次第もございません」
ユディの問いかけに、木陰から両手を小さく挙げたカナンが姿を現す。その後ろには、見覚えのある革鎧を着けた兵士が剣を握って立っている。
「幌車を移動したところを、囲まれてしまいまして」
心底面倒くさそうに、そして悔しそうに顔を顰めて、カナンが呟く。カナンの言葉と同時に、周囲の木陰から幌車を取り囲むように兵士が現われて、剣を抜く。つ、と背にルカを庇ったユディを、せせら笑うようにしてカナンの背後に立つ兵士が口を開いた。
「……お前がユードだな。領主様から毛長コルフォをかすめ取って逃げようとは、商人の風上にもおけない盗人だ」
「濡れ衣だ」
想定していた言いがかりだから、返すユディの声に淀みはない。
「それはご領主様が裁かれる事だ。……同行者を殺されたくないなら、大人しく付いて来い」
「……ルルは幌車へ」
「でも」
肩越しにユディが囁くのを、反論しようとした時に、件の兵士が嫌な声で笑って遮った。
「奥方は、幌車で付いてくるように。……自分の夫が収監されるのだから、当然だろうが」
むしろ、こちらが本命なのだから当然のなりゆきではあるが、この下卑た兵士の言うなりになる事に、いささかの抵抗を覚えつつルカは小さく頷いた。御者台に乗って手綱を繰れば、深夜だというのにムナンは大人しく歩き始める。前後を挟む兵士らの革靴が凍った雪を踏む音が、静かな雪の夜に響いて、ルカは黒紗のベール越しに兵士に挟まれて連行されるユディの背を、ただ眺めていた。
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