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第一章 開幕の襲来
邂逅・無貌の仮面
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シュトラーフェによって鉄壁が破られる数分前。
第二部隊は北東に居ると思われる侵入者に元へ向かっていた。
商業区の背の高い建物の屋根を飛び越えて、彼らは目撃する。
分厚い城壁のような鉄の壁の一部が綺麗に円形に斬り抜かれ、侵入者と思われる一人の男が周囲の建物を破壊して遊んでいる姿を。
「アイツか――」
第二部隊の部隊長“ザックハイン”が呟く。
―――――
同時刻。
リンクは南西の侵入者を追っていた。
侵入者はリンクが接近していることに気付いたのか、移動を開始しとある場所へと向かっているようだった。
(その方向は魔法研究所、確か……魔力パルスはそこから放出されてたか?)
そこに、何かあるのか。
リンクは速度を速め、魔法研究所へ向かう。
魔法研究所、一階。
魔力パルスによって研究所を照らしていたランプが破壊され、薄暗く不気味な雰囲気が漂っていた。
「何者だ貴様は……」
研究員達の前に現れた謎の人物、黒いローブを纏い顔には奇妙なデザインの仮面をつけていた。一つの黒い点以外何も描かれていない平面な仮面の口元を指でなぞりながら、ソレは言う。
「ソアは――居るか?」
仮面で籠った男性の声が研究員達に問いかける。
しかし返ってくる答えなど決まっている。
「知らないね……、居たとしてもお前に教える訳がないだろう」
研究員の手元が黄色く光ると魔法陣が現れた。
「ふむ……誰にものを言っているのかワカッテない様子だな。
ここは一つ……教育してやろう――」
魔法陣を仮面の男にかざし、魔力を流し込む。
「ロックミサイル!!」
魔法名を発し、魔法を発動させる。
黄色く光る魔法陣から無数の岩のつぶてが放たれる、だがそれらは仮面の男に到達する前に軌道を逸らし壁や天井に直撃。
「な……」
瓦礫が飛び散り、土煙が視界を遮る。暗闇と僅かな土煙によって完全に視界を奪われた研究員は数歩後退し様子を伺う。
しかし、意識を向けた先に仮面の男はもう居ない――。
足元。
仮面の男がローブの懐から長剣を引き抜き研究員を足元から頭部のてっぺんまで一撃で両断した。
「ア――?」
血飛沫があがり、他の研究員達はその光景に目を見開く。
「ひっ」
そこからは一方的な仮面の男による殺戮ショー。
本来この場に居る者はみな研究者、戦闘など不得手であり後方支援部隊に所属している者らはみな正門での戦闘に借り出されている。
斬っては殺し、斬っては殺し。
視界に映った者は一人残らず命を奪い。
仮面の男はソアが居る第七魔法研究室がある魔法研究所四階に辿り付いた。
血に塗れたローブを靡かせて、仮面の男は暗闇に包まれた廊下を歩む――。
―――――
第七魔法研究室。
「ぅ……」
黒い十字架の魔力パルスを間近で受けた影響で僅かに気を失っていたソアは意識を取り戻しゆっくりと起き上がる。
「なに……これ……。真っ暗……何がおきてるの?」
気を失った際に頭部をぶつけたのか、ガンガンと痛む頭を抑えながら辺りを見渡す。
(外が暗い……夜まで気を失ってたのかな、でも……“変”)
異様なまでに静まり返った研究所。
(夜遅くまで居たら間違いなく帰されちゃうのに、ランプの明かりが消える時間になっても誰も起こしにこなかった……。
そこまで時間が経っていないってこと?)
立ち上がり、視線を魔法礼装に向ける。
(……あの時何があったの?)
疑問は増すばかり、ソアはとりあえず外の様子を見に行こうと研究室を出ることに決めた。
ドアに手を伸ばした瞬間、ドアがソアの力無しに勝手に開かれた――。
「えっ」
視線を手元から上へ移す。
そこには見たことも無い血だらけの、仮面をかぶった人物が立っていた。
「やぁ、ソア……」
湧き出る嫌悪感。咄嗟に彼女は後ろへ飛び退き掌をかざした。
それを見て仮面の男は溜息をつく。
「君もか。ここの奴らはよく訓練されているな……怪しい人を見たらまず攻撃しろ。
少々物騒じゃあないか?」
「誰……!」
「感動の再会だと言うのに、全く……。
ファルネイルの子、出来損ないの憑依士……私はソレを知る者さ」
仮面の男の言葉にソアの動きが僅かに鈍る。その隙を見逃さなかった男は一気にソアとの間合いを詰め、腕に手を伸ばす。
「――!」
だが仮面の男の手は見えない何かによって弾かれ、勢いよく壁に激突。
ソアの周囲に魔法的な何かが展開されていた。
「……水の加護、アクアの流壁か。まさかもうペットを憑依させていたとは」
壁に亀裂が走るほどの勢いで叩きつけられたのにも関わらず何事も無かったかのように仮面の男はソアを守る魔法を見破った。
「誰! 何で私のことを知ってるの……!」
「何だ、まだ憑依術のことは公に明かしてないのか……。
それもそうか、お前のその魔法は世界に二つとない貴重な魔法。その使い手が居ると知れたら大陸各地からお前を狙う輩が現れるだろうなァ」
神話の時代から千年、魔法という神秘の力が一般化されその価値が薄れた現代において人々の前から姿を消したとされる魔法生命体“精霊”。
彼女の魔法はそれを使役し己に憑依させて精霊の力を借りる神秘魔法“憑依”。
この時代において、確認されている使い手は彼女ただ一人。
故にこのことを知る者は僅かしかいない、両親と彼女が信頼できる者“リンク”や”レイル”だけ。
眼前の男がこのことを知っているのは有り得ない――。
第二部隊は北東に居ると思われる侵入者に元へ向かっていた。
商業区の背の高い建物の屋根を飛び越えて、彼らは目撃する。
分厚い城壁のような鉄の壁の一部が綺麗に円形に斬り抜かれ、侵入者と思われる一人の男が周囲の建物を破壊して遊んでいる姿を。
「アイツか――」
第二部隊の部隊長“ザックハイン”が呟く。
―――――
同時刻。
リンクは南西の侵入者を追っていた。
侵入者はリンクが接近していることに気付いたのか、移動を開始しとある場所へと向かっているようだった。
(その方向は魔法研究所、確か……魔力パルスはそこから放出されてたか?)
そこに、何かあるのか。
リンクは速度を速め、魔法研究所へ向かう。
魔法研究所、一階。
魔力パルスによって研究所を照らしていたランプが破壊され、薄暗く不気味な雰囲気が漂っていた。
「何者だ貴様は……」
研究員達の前に現れた謎の人物、黒いローブを纏い顔には奇妙なデザインの仮面をつけていた。一つの黒い点以外何も描かれていない平面な仮面の口元を指でなぞりながら、ソレは言う。
「ソアは――居るか?」
仮面で籠った男性の声が研究員達に問いかける。
しかし返ってくる答えなど決まっている。
「知らないね……、居たとしてもお前に教える訳がないだろう」
研究員の手元が黄色く光ると魔法陣が現れた。
「ふむ……誰にものを言っているのかワカッテない様子だな。
ここは一つ……教育してやろう――」
魔法陣を仮面の男にかざし、魔力を流し込む。
「ロックミサイル!!」
魔法名を発し、魔法を発動させる。
黄色く光る魔法陣から無数の岩のつぶてが放たれる、だがそれらは仮面の男に到達する前に軌道を逸らし壁や天井に直撃。
「な……」
瓦礫が飛び散り、土煙が視界を遮る。暗闇と僅かな土煙によって完全に視界を奪われた研究員は数歩後退し様子を伺う。
しかし、意識を向けた先に仮面の男はもう居ない――。
足元。
仮面の男がローブの懐から長剣を引き抜き研究員を足元から頭部のてっぺんまで一撃で両断した。
「ア――?」
血飛沫があがり、他の研究員達はその光景に目を見開く。
「ひっ」
そこからは一方的な仮面の男による殺戮ショー。
本来この場に居る者はみな研究者、戦闘など不得手であり後方支援部隊に所属している者らはみな正門での戦闘に借り出されている。
斬っては殺し、斬っては殺し。
視界に映った者は一人残らず命を奪い。
仮面の男はソアが居る第七魔法研究室がある魔法研究所四階に辿り付いた。
血に塗れたローブを靡かせて、仮面の男は暗闇に包まれた廊下を歩む――。
―――――
第七魔法研究室。
「ぅ……」
黒い十字架の魔力パルスを間近で受けた影響で僅かに気を失っていたソアは意識を取り戻しゆっくりと起き上がる。
「なに……これ……。真っ暗……何がおきてるの?」
気を失った際に頭部をぶつけたのか、ガンガンと痛む頭を抑えながら辺りを見渡す。
(外が暗い……夜まで気を失ってたのかな、でも……“変”)
異様なまでに静まり返った研究所。
(夜遅くまで居たら間違いなく帰されちゃうのに、ランプの明かりが消える時間になっても誰も起こしにこなかった……。
そこまで時間が経っていないってこと?)
立ち上がり、視線を魔法礼装に向ける。
(……あの時何があったの?)
疑問は増すばかり、ソアはとりあえず外の様子を見に行こうと研究室を出ることに決めた。
ドアに手を伸ばした瞬間、ドアがソアの力無しに勝手に開かれた――。
「えっ」
視線を手元から上へ移す。
そこには見たことも無い血だらけの、仮面をかぶった人物が立っていた。
「やぁ、ソア……」
湧き出る嫌悪感。咄嗟に彼女は後ろへ飛び退き掌をかざした。
それを見て仮面の男は溜息をつく。
「君もか。ここの奴らはよく訓練されているな……怪しい人を見たらまず攻撃しろ。
少々物騒じゃあないか?」
「誰……!」
「感動の再会だと言うのに、全く……。
ファルネイルの子、出来損ないの憑依士……私はソレを知る者さ」
仮面の男の言葉にソアの動きが僅かに鈍る。その隙を見逃さなかった男は一気にソアとの間合いを詰め、腕に手を伸ばす。
「――!」
だが仮面の男の手は見えない何かによって弾かれ、勢いよく壁に激突。
ソアの周囲に魔法的な何かが展開されていた。
「……水の加護、アクアの流壁か。まさかもうペットを憑依させていたとは」
壁に亀裂が走るほどの勢いで叩きつけられたのにも関わらず何事も無かったかのように仮面の男はソアを守る魔法を見破った。
「誰! 何で私のことを知ってるの……!」
「何だ、まだ憑依術のことは公に明かしてないのか……。
それもそうか、お前のその魔法は世界に二つとない貴重な魔法。その使い手が居ると知れたら大陸各地からお前を狙う輩が現れるだろうなァ」
神話の時代から千年、魔法という神秘の力が一般化されその価値が薄れた現代において人々の前から姿を消したとされる魔法生命体“精霊”。
彼女の魔法はそれを使役し己に憑依させて精霊の力を借りる神秘魔法“憑依”。
この時代において、確認されている使い手は彼女ただ一人。
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