リベルニオン ー神剣解放―

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第一章 開幕の襲来

鉄壁崩すは醜悪なる獣

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 魔物の群れで異変が起きた。

「な、なんだ!?」
 
 “”かが魔物を蹴散らしながらこちらに向かってきている。
 無数にある魔物の魔力の中で、ハッキリと感じられる力の塊。

「なんだ……あれは……」

 群れより姿を現したのはすらりと長く伸びた二本の角と頭部から生えた管のような細い何か、その奥から覗く赤い瞳、細長い両腕とガッシリした両脚、アンバランスさが特徴的の全身が漆黒に染まった異形の化け物だった。

 山岳のとある村。
 此れはそこを襲った“あの男”が生み出した個体だった。

 化け物・シュトラーフェから発せられる魔力の強さはこの場にいるどの魔物よりも強く、強靭で異質。肌でソレを感じ取ると、まるで鋭い針で刺されているような感覚が生じる。

「ひるむな!」

 完全に“個の圧”に圧倒されていた隊員達が部隊長の声で我に返る。

(他の魔物よりも強力な個体のようだがたかが一匹……、この部隊の連携攻撃の前では無力……!)
 
 “我々は奴らに勝てる”。
 揺るがぬ確信!百戦錬磨の戦士の自信! 


「我らは鉄壁!! 崩れること無き堅牢の城塞!! 破れる者無し!!」


 しかしそれは、――。


 部隊長の鼓舞を嘲笑し、襲い掛かる赤い瞳のシュトラーフェ。
「Gia Gia Gia Gia Gia」

 迫る獣、隊員は即座にタワーシールドを地面に突き立てて防御態勢を取る。後方では性能強化、身体能力強化の魔法が展開され、その隊員に付与されていく。

 身体機能の向上を認識し、どんな攻撃でも防いで見せると強気な姿勢を見せる隊員を、その自信を、――。

「ぎェ――」

 飛び散る赤い鮮血。

 牛頭の魔物の一撃を耐えて見せた重厚な鉄の盾は、シュトラーフェの貧相な細長い腕によってまるで柔らかい粘土のように叩き曲げられて、隊員は頭上からの圧によって見るに堪えない姿へと変えられていた。

「ひっ」
「うあああああーっ!!」

 怯む隊員と果敢にも飛び出す隊員。
 強敵を前にした際、生き延びるのはその場で怯んだ隊員だろう。しかし漆黒の化け物は両者に等しく同時に死を与えた。

 飛び出した隊員の攻撃をいなし、その頭を鷲掴みにすると、近くで怯み怯えている隊員にむかって彼を叩き付けた。

 打ち付けられたトマトのように、弾ける。

「KuAaaaaaaaaaa....」

「ぐっ……何なんだあの化け物は! このままではマズい、総員撤退!」

 揺るがぬ確信……?百戦錬磨の戦士の自信……?
 そんなものはもう何処にもない、跡形も無く砕け散った。

 部隊長は撤退を呼びかけるが、もう遅い。

「魔法支援!撤退支援を……っ!」

 後方部隊の魔法反応を確認したシュトラーフェは太ももとふくらはぎ部分からいくつもの黒い棘を造り出し、それをアンカーのように地面に突き刺した。
 自身の肉体をその場に固定したシュトラーフェは次に、引き裂かれてしまうほど大きく、口を開いた。

「な――んだ、今度は何をするつもりだっ」

 シュトラーフェの大きく開けた口の前に魔力の渦が発生し高密度の魔力の塊が作られる。その塊がもたらす破壊力は後方支援部隊全員が同時に放つ魔法よりも遥かに勝るものを秘めているだろう。

 見ただけで、部隊長は確信する。
 それを都市の中で放てば土門や居住区の防壁どころか辺り一面消し飛ぶだろう。

 シュトラーフェが狙いを定め。

「(防がなければ――!)魔法を、気休めでいい……! 防御魔法を!!」

 破壊の具現体は放たれた。

「GAaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」


 展開された防御魔法をまるで小枝を折るかのように、その表面を撫でただけで破壊して、高密度の魔力の塊は防衛部隊背後の土門に直撃。

 大爆発が発生。

 爆発は第一土門だけではなく第二、第三をも巻き込み第四土門以外の全てを呑み込んだ。
 第一土門付近、居住区防壁、居住区の一画、正門周辺は跡形も無く破壊され。
 至近距離で爆発を受けた第五部隊は壊滅、生死不明。その他の部隊も爆発の被害を受け部隊としての機能を停止。


 鉄壁と呼ばれた彼らはたった一匹の化け物によって突破された。
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