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本編
143.孫娘の応援に奮い立つ
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ガブリエルの旅は緊急性はない。ルイス王国へ向かえと夢で啓示を受けたものの、時期や条件はなかった。そのためガブリエルは、この街での延泊にあっさり同意する。
「女神様の神託に影響はないのか?」
心配する祖父エッカルトに笑顔で応じた。
「大丈夫よ。もし急ぎなら、女神様はまた夢で教えてくださるわ」
女神様が認めた天使と表現されたガブリエルなら、何度でも神託を授かるだろう。エッカルトやクラーラは安堵に胸を撫で下ろし、その通りと頷いた。
アウグストは情報を集める貴族達との折衝役に徹する。騎士団長であった経験から、自然と報告を受ける立場に馴染んでいた。ただし、思考能力は副団長のヴィリがいなければ落ちまくるため、あまり役に立たない。本人も自覚しているので、まとめてエッカルトに丸投げした。
「テンツラー男爵家だが、どうやら知っていたようだ」
三男が仕出かした子爵家乗っ取り事件を、知って見逃していた。もし成功すれば、メルテンス子爵家の財産や権力を利用する。失敗すれば三男に押し付けて逃げる。そんな算段をしていたらしい。テンツラー男爵家と取り引きのある商人からの密告だった。
情報集めに動いた伯爵家が仕入れた話だ。悪事で傾く男爵家より格上の伯爵家に恩を売るほうが、商人にとって未来があり美味しい。裏切りは嫌われるが、これは正当な行為と判断された。悪事を働く家を見逃すほうが、商人としての倫理観を疑われる。
「ソフィーを買う予定だった貴族も判明した」
アウグストが渋い顔で切り出した。女性の意思や権利を無視して、物のように売買する。奴隷などが禁止された国々の間で、このように下劣で悍ましい取り引きがなされていた。唾棄すべき行いをした貴族の名が、吐き捨てられる。
「フィンケ子爵だ」
子爵家の誰かではなく、当主が購入者だった。爵位を持つ者の行いに、エッカルトの怒りが高まる。爵位を取り上げてやる、と低い声で唸った。ゼークト王家もこれほど証拠があれば、動かないわけにいかない。
他国に知られれば、外交的な信用もすべて失うほどの大事件だった。その意味で、ロイスナー公国のガブリエル公女とバーレ侯爵の二人の存在は、外交上の切り札となる。公国に不利な条件で交渉や取り引きを持ち掛ければ、この切り札が使われるだろう。
恥となるフィンケ子爵家やテンツラー男爵家を取り潰しても、醜聞は簡単に消えない。それを知りながら、エッカルトは口止めをしなかった。娘や孫への気持ち以上に、自国内の腐った連中への嫌悪が強い。
「根こそぎ排除してやろう」
悪人のように「ひっひっひ」と笑う祖父に、ガブリエルは燃料を投下した。
「頑張って、おじい様!」
孫娘に応援されて、頑張らない祖父はいない。ゼークト王国の黒い闇の部分が綺麗に掃除される未来が確定した。
「女神様の神託に影響はないのか?」
心配する祖父エッカルトに笑顔で応じた。
「大丈夫よ。もし急ぎなら、女神様はまた夢で教えてくださるわ」
女神様が認めた天使と表現されたガブリエルなら、何度でも神託を授かるだろう。エッカルトやクラーラは安堵に胸を撫で下ろし、その通りと頷いた。
アウグストは情報を集める貴族達との折衝役に徹する。騎士団長であった経験から、自然と報告を受ける立場に馴染んでいた。ただし、思考能力は副団長のヴィリがいなければ落ちまくるため、あまり役に立たない。本人も自覚しているので、まとめてエッカルトに丸投げした。
「テンツラー男爵家だが、どうやら知っていたようだ」
三男が仕出かした子爵家乗っ取り事件を、知って見逃していた。もし成功すれば、メルテンス子爵家の財産や権力を利用する。失敗すれば三男に押し付けて逃げる。そんな算段をしていたらしい。テンツラー男爵家と取り引きのある商人からの密告だった。
情報集めに動いた伯爵家が仕入れた話だ。悪事で傾く男爵家より格上の伯爵家に恩を売るほうが、商人にとって未来があり美味しい。裏切りは嫌われるが、これは正当な行為と判断された。悪事を働く家を見逃すほうが、商人としての倫理観を疑われる。
「ソフィーを買う予定だった貴族も判明した」
アウグストが渋い顔で切り出した。女性の意思や権利を無視して、物のように売買する。奴隷などが禁止された国々の間で、このように下劣で悍ましい取り引きがなされていた。唾棄すべき行いをした貴族の名が、吐き捨てられる。
「フィンケ子爵だ」
子爵家の誰かではなく、当主が購入者だった。爵位を持つ者の行いに、エッカルトの怒りが高まる。爵位を取り上げてやる、と低い声で唸った。ゼークト王家もこれほど証拠があれば、動かないわけにいかない。
他国に知られれば、外交的な信用もすべて失うほどの大事件だった。その意味で、ロイスナー公国のガブリエル公女とバーレ侯爵の二人の存在は、外交上の切り札となる。公国に不利な条件で交渉や取り引きを持ち掛ければ、この切り札が使われるだろう。
恥となるフィンケ子爵家やテンツラー男爵家を取り潰しても、醜聞は簡単に消えない。それを知りながら、エッカルトは口止めをしなかった。娘や孫への気持ち以上に、自国内の腐った連中への嫌悪が強い。
「根こそぎ排除してやろう」
悪人のように「ひっひっひ」と笑う祖父に、ガブリエルは燃料を投下した。
「頑張って、おじい様!」
孫娘に応援されて、頑張らない祖父はいない。ゼークト王国の黒い闇の部分が綺麗に掃除される未来が確定した。
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